No.535465 真・恋姫†無双~絆創公~ 第五話 【時空の侵入者】2013-01-24 02:02:22 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2631 閲覧ユーザー数:2253 |
第五話
私のことはヤナギとお呼び下さい。こちらの男はアキラと言います。
我々は、そちらの北郷様御一行がいた天の国より、さらに二千年ほど先の世界からやって来ました。
我々の仕事は時空の流れを管理することです。あらゆる時の流れを監視して、異常がないかを見極めて、異常が発覚すればその原因の究明と解決に向かうのです。
北郷一刀様が、時の旅をして皆様の前に現れたように。
事の起こりは我々のいる世界で、一人の牢破りが出現した事でした。九頭竜(くずりゅう)という男で、奴は未だに捕まっていません。
その時には、まだ我々は事態の危うさに気付いていませんでした。
奴の逃亡先として怪しい場所をくまなく調べましたが、全て外れました。
しかし、奴の人脈を調べてみたら驚くべき場所に潜伏していた事が判明したのです。
皆様のいるこの世界です。
奴の人脈の中に、我々と同じように世界を行き来できる人間や、病気の元を作り出せる人間がいたのです。
その助力を得て、奴は様々な世界を転々としていたのです。
さらに、過去の奴の様々な潜伏先の一つに、この世界について調べた形跡がありまして、特に北郷一刀様について詳細に調べてありました。
しかもその資料には、かなり辛辣な言葉が奴の筆跡で並べてありまして………どうやら個人的に北郷一刀様を恨んでいたようです。
北郷一刀様の件については、あくまで可能性として調べていたのですが、的中してしまいまして。
ああ、御家族の皆様についての説明がまだでしたね。我々は万が一の為に北郷様の御家族を調査していたのです。
北郷様を亡き者にするためには、産まれる前にその両親の命を奪うのが確実ですので。
それで、年代ごとに調べていき、御家族の方々には何もなかったので、一旦引き上げようとしたのですが…………
ここにいるアキラが、少々手違いを致しまして、極秘の任務であるのに、北郷一刀様が居なくなった数年後の世界の御家族の方々に、我々の存在が知られてしまったのです。
致し方なく、我々は事情を説明しました。任務の経緯から、北郷一刀様が現在どうしているかまで………
事情を明かした以上、御家族も身の危険を感じてしまいまして、我々が保護する事になりました。
そして同時に、御協力もお願いして、北郷一刀様に関する資料をお貸し頂けるよう頼みました。
その資料を取りにいく際に…………また、こちらのアキラが、迂闊にも時間を移動するための手段である指輪を…………放置していまして…………
それを妹である、佳乃様が使用したとすぐに気付きまして、指輪は一度のみの使い切りの物だったのですが、幸いにもこの世界に移動する事は分かっておりましたので、御息女を心配する御三方をお連れして、こちらにやってきた次第です。
「幾つか、質問が」
何なりと、北郷一刀様。
「いまいち相手の目的が理解できないんだ。それと、今巷を騒がしている妙な連中との関係性も………」
正直な話、奴の目的に関しては不明な点が多いのです。北郷一刀様を恨んでいたのは確かなのですが、その理由がまだ………………
辛辣な言葉と先ほど申し上げましたが、それらがどうも支離滅裂な印象を受けまして。
ですが、妙な連中との関係性は御説明致します。
奴は人脈の一人から、妖術使いの力を得まして、鉄の鎧の兵士を作り出せるのです。
「鉄の鎧の、兵士……?」
はい、奴が刑に服していた罪状は大した物ではないのですが、知識を蒐集する力は優れていて、異国の文化から得た知識で独自の兵士を作り出したのです。この国の民が見たのはそれに違いありません。
「でもその兵士って、すぐ消えるって報告を受けているんだ。そんなの作って何の意味があるんだ?」
それは奴の力が完全ではないからです。今はまだ付け焼き刃ですが、次第に力の調整がうまくいけば、向こうから攻撃を仕掛けてくるハズです。
しかし、それも首尾一貫していないのです。病気にするのであれば食物などに紛れさせて服用させれば済む話。なのに何故兵を用意しなくてはならないのか。
念の為に自軍の力を強固にする必要がある、とも受け取れますが、色々と不可思議で奇怪な案件ゆえ、確実な対策が出来ないのが現状なのです。
「その……九頭竜、だっけ? そいつが潜伏している場所は分からないの?」
調べてみたのですが、妖術で気配を消しているのか、ぼやけさせているのか、全く掴めないのです…………
お恥ずかしい話、今はまだ手をこまねくしかないのです……………
「抜け目ないのか、行き当たりばったりなのか、とんと見当が付かないな……」
はい。しかし我々もあまり長居は出来ないのです。
無関係の未来の人間が、過去の世界に干渉しすぎると、その世界に隙が生まれて、それ以降の世界が混乱する恐れがあります。
だからこそ、皆様の協力を仰ぐためにも、我々がやってきたのです!!!
-続く-
Tweet |
|
|
16
|
0
|
追加するフォルダを選択
この作品の設定です。説明主体になりますので、あまり面白くないかと思われます……