遊馬は立ち止っていた。そこは狭い道で、一度でも足を踏み外せば二度と地上に戻れない程、暗闇に包まれていた。
そして遊馬の前方に、門があった。その門は、固く閉ざされており、顔の模様がある。
「これは…あの時の」
かつて遊馬は、この門を乗り越え新たな力を手にした。それ以来、この門を見ていない。
『この扉を抜けた者は、時空の狭間にある時間の記憶を与える。だがその代償として、その者は希望の光を失う』
「希望の…光?」
遊馬がそう言った途端、道が崩れる。遊馬は逃げられず、その暗闇に落ちていく。
「うわああああああ!!!!!!!!!!!」
「!?ったた…」
ベットからずれ落ちた遊馬。窓を見ると、どうやら朝になっていた。ここは961プロ専用のマンション。霊夢と魔理沙のルームである。寝室は2つあり、1つは遊馬が使用している…と言うより、借りているが。
「何だったんだ…あの夢は?」
推理しても全然分からず仕舞いである。この意味が一体何を示しているのか…
3人称side
身支度を整え、朝食を食べた後、遊馬とアストラルは再び961プロにやってきて、文がいる秘書室にやって来た。すでに中に入り、会話をしている。ちなみに、霊夢と魔理沙は仕事のため不在。霊夢は渋々だったそうだが。ちなみにデュエルに関する事らしい。
「お疲れの所すいません。今日お呼びしたのも2つの要件があるのです」
「2つの要件?」
「まず1つですが、大会に至ってのデュエルルールです。今までのデュエルでは、ライフが4000で統一されてましたが、大会ではライフは8000でスタートになります。最近1キルに特化している時期ですので、少しでもそれを抑えるため、今回の判断になりました」
現実ライフですね。分かります。
「それから、この大会に至って確実に『No』の存在が全世界に知れ渡ります。霊夢さん、魔理沙さんが一緒と言えど、油断は禁物です。注意してください」
「ああ。分かったぜ」
「では2つ目です。実はここ最近ですが、アイドルやデュエリストが襲撃されている情報です」
「襲撃!?」
「ええ。何者か分かりませんが、襲撃されている事は確かです。中には行方不明者もいるそうです」
何と物騒な話…まあ遊戯王なら良くあることだが。
「推測ですが、遊馬君以外の『No』の所有者を探している可能性が高いです。現に、876プロのアイドルである、『日高愛』さんと『水谷絵里』さんが、昨日襲われたそうです」
『876プロ…知名度はこちらに比べて薄いが、実力は中々のものと聞く。この襲撃、ただ事では無いな』
「それで、その二人は?」
「病院に搬送され、現在は入院中です。そのため、876プロはしばらくの間活動停止になりますね・もう一人のアイドルの方もいますが、あんな事があったため、しばらくは休止ですね。」
これは相当不味いのでは?
「幸い、まだ961プロから被害が受けてないですが、油断は禁物です。これも注意が必要です」
「そうだな…分かったぜ!」
これで話が終わったかと思われた時
『!?これは』
「どうした、アストラル?」
その時、場が白黒の景色に変わっていく。あらゆる物・風景も。
「な、何ですかこれ!?」
「俺が知るかよ!?」
遊馬と文が焦る中、アストラルは何かを考えている様子。そして、何かを思い出したかのような表情をする。
『これは…まさかバリアンの力!?』
「ば、バリアン!?」
何故、この世界でバリアンの力が?その時。
「やっと見つけたぜ。全く、こんな方法じゃなくて、正攻法で探せば一番見つけやすいけどな。でもまあ、周囲の事を考えてると、仕方ないよな」
秘書室から声が響いた。そこから、謎の空間が現れ、一人の少年が姿を現した。
その少年は、褐色肌で遊馬と同じ制服を着ている。左腕に独自のD・パットが装備されている。だが、それは通常のD・パットと異なるデザインをしている。
「だ、誰だ!お前は!?」
「俺か?俺は『アリト』。バリアンと言えば分かるか?」
「な、バリアンだって!?お前が!?」
バリアン…それは元の世界で遊馬達が対峙している勢力。アストラル界とは別の、もう一つの異次元世界。アストラル界を滅する為、人間界で何らかの行動をしている。
『何故この世界に奴らが…』
「!成程、お前が噂に聞いていたアストラルか。あいつの言うとおり、九十九遊馬に居たのか」
『私が見えるのか…』
アリトと名乗る少年は、普段は遊馬ぐらいしか見えないとされるアストラルが見える。やはり、バリアンと見て判断しても良いだろう。
「え?遊馬君の隣に、何か浮いてますよ!?どうなってるんですか!?」
と、文が驚いた表情でアストラルを見ている。どうやら、文もアストラルが見えているらしい。先ほどまで全然見えてなかったが。
「一体どうなってるんだ!?」
『まさか、この空間がそうなのか?』
恐らくそうだろう。ただの空間とも言えない。バリアンの力で作られた空間の可能性が大だ。
「ま、取りあえず俺の要件はただ一つ。九十九遊馬、俺とデュエルだ!」
「俺とデュエル?」
『狙いは『No』だな』
「その通りさ。その為に、邪魔が入らないようこの空間を作り上げたんだ。と言え、邪魔が一人いるけどな」
アリトの言う事が本当なら、この空間を抜け出すにはデュエルに挑む必要があるようだ。
「分かった。お前がそれで良いのなら、このデュエル、受けて立つぜ!!」
「なら、私も手を貸します。この空間を抜け出すにも、結局はデュエルしなければ抜け出せない以上、手を加えて見るのも私としても嫌な方ですし。それに、彼には聞きたいこともあるので」
「へへ。良いぜ。2人まとめてかかってきな!」
話は決まったようだ。変則タッグデュエルでの開始である。
「「「デュエルディスク、セット!!!」」」
3人のD・パットが展開する。
「「D・ゲイザー、セット!!」」
遊馬と文にD・ゲイザーがセットされる。アリトは、左目が赤くなる。そしてAR空間が発生する。
<ARビジョン、リンク完了>
「「「デュエル!!!」」」
九十九遊馬 【エクシーズ・ワンターンキル】 手札5 デッキ35 墓地0 除外0 エクストラデッキ15
射命丸文 【紋章BF】 手札5 デッキ35 墓地0 除外0 エクストラデッキ15
LP8000 後攻
アリト 【BK】 手札5 デッキ35 墓地0 除外0 エクストラデッキ4
LP8000 先行
変則タッグデュエルルール
基本はTFルールと考えてもらいたい。ただし、墓地と除外は共通では無い。順番は、アリト⇒遊馬⇒文⇒アリトのループ。
バトルフェイズは最初の遊馬のターンから開始される。
モンスター効果を使う場合、遊馬と文は元々の所持者のコントローラーでなければ使えない。表示形式・攻撃・素材は可能。ただし、リバースカードの発動はどちらでも可能。
手札制限とかはそのまんま。ドロー枚数もそのまんま。大体のところは変わっていない。
「先行は俺が貰う!俺のターン、ドロー!」 手札5⇒6 デッキ35⇒34
今までとは違うフィールドで戦う以上、何が待ち受けているか分からない。気を引き締めなければならない。
「俺は『BK ヘッドギア』(ATK1000/☆4)を召喚!」 手札6⇒5
BK ヘッドギア 炎属性 戦士族 ☆4 効果 OCG
ATK 1000 DEF 1800
このカードが召喚に成功した時、デッキから「BK」と名のついたモンスター1体を墓地へ送る事ができる。
フィールド上に表側攻撃表示で存在するこのカードは、1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。
アリトの場に、ボクサーと呼べる戦士モンスターが現れる。ちなみに、作者はボクシングの知識はほぼ皆無に近い。当たり前のことだが。
「『BK』?初めて見るカードですね…」
『気をつけろ2人とも。奴は必ず何かを仕掛けてくる筈だ』
「ああ。分かってるさ」
「『ヘッドギア』の効果発動!こいつが召喚に成功したとき、デッキから『BK』モンスター1体を墓地に送る事が出来る。こいつの効果で、俺は『BK グラスジョー』を墓地に送るぜ」 デッキ34⇒33 墓地0⇒1
何と言う『終末の騎士』効果。何故だ?『BK』から『BF』臭を感じる…
「さらに、俺の場に『BK』と名のついたモンスターが存在し、このターンのバトルフェイズを放棄する代償に、手札から『BK スパー』(ATK1200/☆4)を攻撃表示で特殊召喚できる!来い、『BK スパー』!!」 手札5⇒4
BK スパー 炎属性 戦士族 ☆4 効果 OCG
ATK 1200 DEF 1400
自分フィールド上に「BK」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
この方法で特殊召喚した場合、このターン自分はバトルフェイズを行えない。
またも、『ヘッドギア』に似ているモンスターが現れる。
『1ターン目は、いかなるプレイヤーでもバトルを行う事は出来ない。それを逆手に取ってくるとは』
「そして、彼の場にはレベル4モンスターが2体」
「エクシーズ召喚か」
「早速行かせてもらうぜ。俺は、レベル4の『BK ヘッドギア』と『スパー』でオーバーレイ!2体の『BK』モンスターで、オーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!!」
2体のモンスターが属性の光となり、アリトの場に出現した亜空間に吸い込まれる。
「魂に秘めた炎を拳に宿せ!『BK 拘束蛮兵リードブロー』(ATK2200/ランク4/ORU2)!!」 エクストラデッキ4⇒3
BK 拘束蛮兵リードブロー 炎属性 戦士族 ランク4 エクシーズ・効果 OCG
ATK 2200 DEF 2000
「BK」と名のついたレベル4モンスター×2
自分フィールド上の「BK」と名のついたモンスターが戦闘またはカードの効果によって破壊される場合、その破壊されるモンスター1体の代わりにこのカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事ができる。
また、このカードのエクシーズ素材が取り除かれた時、このカードの攻撃力は800ポイントアップする。
これもまた、ボクサーに似ているが、やたらと体に拘束されている器具を装備されている。
『1ターン目からエクシーズ召喚か…』
「明らかに、厄介な効果を持っている筈ですね」
「俺はカードを2枚セットして、ターンエンドだ」 手札4⇒2
準備の方は万端と言えるアリト。ここから遊馬と文はどう攻める?
「行くぜ!俺のターン、ドロー!」 手札5⇒6 デッキ35⇒34
「(今回の変則タッグデュエルは、このターンからバトルが可能になる。遊馬君次第ね)」
「俺は『ガガガマジシャン』(ATK1500/☆4)を召喚!」 手札6⇒5
お馴染みの『ガガガ』先輩が登場しました。
「更に手札から魔法カード『破天荒な風』を発動!」 手札5⇒4
破天荒の風 通常魔法 OCG
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターの攻撃力・守備力は、次の自分のスタンバイフェイズ時まで1000ポイントアップする。
『ガガガマジシャン』に、風が吹き上がる。
「こいつの効果で、『ガガガマジシャン』(ATK1500⇒2500/DEF1000⇒2000)の攻撃力と守備力は、次の俺のスタンバイフェイズまで1000ポイントアップするぜ!」 墓地0⇒1
「ちなみに今回のルールでは、『破天荒な風』の効果は次の遊馬君のターンまで効力が続きますので」
「へっ。それくらいなら問題ないぜ」
『何だ?彼の余裕に満ちたあの表情は…』
アストラルは少々心配している。敵はバリアン。今までとは全然違う戦術を披露してくる筈。
「バトルだ!『ガガガマジシャン』!『リードブロー』に攻撃!『ガガガマジック』!」
と言う名の物理のパンチが『リードブロー』に直撃する。
「そいつは甘いぜ!『リードブロー』(OVU2⇒1)の効果発動!こいつは俺の場に『BK』と名のついたモンスターが戦闘またはカード効果で破壊される場合、こいつのORUを一つ取り除く事で、その破壊の身代わりになる!」 墓地1⇒2
『何!?』
「だが、戦闘ダメージは受けてもらうぜ!」
衝撃波がアリトを襲う。
「ぐっ!」 LP8000⇒7700
だがこの程度の衝撃波で、アリトが怯む様子は無い。
「まずまずのパンチだったな。だが、『リードブロー』の効果はまだ続くぞ!こいつのORUが取り除かれるごとに、攻撃力が800ポイントアップする!」
『リードブロー』(ATK2200⇒3000)に拘束されている器具の一部が、自らの手で破壊した。どうやら器具は彼の力を抑えつけていた様子。
「攻撃力が3000!?」
『ORUがある限り、戦闘と効果では破壊されず、攻撃力が上がるのか!?』
「くっ、これ以上何も出来ない。ターンエンドだ。文、頼んだぜ!」 手札4
「任されましたよ!私のターン、ドロー!」 手札5⇒6 デッキ35⇒34
続いて文のターン。秘書兼新聞記者の実力は如何に?
「(手札に『暁のシロッコ』か…タッグデュエルで一番困るのがこのカードなのよね。でもまあ、この際贅沢何て言っている場合じゃない。今は遊馬君の安全を確保するのが私の役目)手札から速効魔法『手札断殺』を発動です!お互いのプレイヤーは、手札を2枚墓地に捨て、カードを2枚ドローします」 手札6⇒5
ここで手札交換カード。文にしては良いセンスだ。
「私は『紋章獣アバコーンウェイ』2枚を墓地に捨て、カードを2枚ドロー!」 手札5⇒3⇒5 デッキ34⇒32 墓地0⇒2⇒3
「なら俺は、『BK カウンターブロー』と『強欲で謙虚な壺』を捨てて、2枚ドローだ!」 手札2⇒0⇒2 デッキ33⇒31 墓地1⇒3
安定感の墓地送り。てか地味にガチカードを持っているよ、アリト…
「行きますよ?手札から魔法カード『高等紋章術』を発動!」 手札5⇒4
高等紋章術 通常魔法 OCG
自分の墓地の「紋章獣」と名のついたモンスター2体を選択して発動できる。
選択したモンスター2体を特殊召喚し、その2体のみを素材としてエクシーズモンスター1体をエクシーズ召喚する。
「このカードは、私の墓地に存在する『紋章獣』モンスター2体を選択し、選択した2体のモンスターを特殊召喚士、その2体で即座にエクシーズ召喚を行う事が出来ます!」
「んな!?ノーコストでモンスター・エクシーズを呼ぶカードがあるのか!?」
このカード、はっきり言って便利すぎます。ガチ化しちゃうよ…
「私は墓地に入る『紋章獣アバコーンウェイ』(ATK1800/☆4)2体を特殊召喚。そしてレベル4『紋章獣アバコーンウェイ』2体でオーバーレイ!」 墓地3⇒4
あっけなく出番を終えた『アバコーンウェイ』は属性の光となり、上空から発生した異次元の渦に飲み込まれていく。
「2体の風属性モンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!電光石火の如く敵を欺け!『電光千鳥』(ATK1900/ランク4/ORU2)!!」 エクストラデッキ15⇒14
電光千鳥 風属性 雷族 ランク4 エクシーズ・効果
ATK 1900 DEF 1600
風属性レベル4モンスター×2
このカードがエクシーズ召喚に成功した時、相手フィールド上にセットされたカード1枚を選択して持ち主のデッキの一番下に戻す。
また、1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して持ち主のデッキの一番上に戻す。
上空から現れたのは、まるで千鳥そのものと言える鳥が現れる。電気を常に浴びているため、触れたら即感電してしまう。
『よし。このモンスターなら、奴のフィールドのカードを対処する事ができる』
「『電光千鳥』の効果発動!このカードがエクシーズ召喚に成功したとき、相手の場にセットされているカード1枚を選択し、そのカードを持ち主のデッキの一番下に戻す事ができます。よって、貴方のリバースカード1枚をデッキの下に戻します!」 墓地4⇒5
『電光千鳥』から発した雷が、アリトのリバースカードに命中し、そのカードがデッキの下に戻る。ちなみにカードは『攻撃の無力化』。地味に優れているカウンター罠だ。
「やるな。俺のリバースカードをこうも簡単に除去するなんてな。だが、その攻撃力じゃ『リードブロー』は倒せないぜ?」 デッキ31⇒32
「いいえ。突破口は十分ありますよ。『電光千鳥』(ORU2⇒1)の第2の効果発動!ORUを1つ取り除く事で、相手の場に表側表示で存在するカード1枚を選択し、そのカードを持ち主のデッキトップに戻す事ができます!」
『よし、戦闘・効果破壊が出来ないなら、バウンスしてしまえば『リードブロー』とて無力に近い』
その通りである。これなら厄介な『リードブロー』とて楽に倒す事が出来る。
「さあ、『リードブロー』はエクストラデッキに帰ってもらいますよ!」
「くそ!そんなのアリかよ!?…って驚くとでも思ったか!!カウンター罠『エクシーズ・リフレクト』発動!俺の場のモンスター・エクシーズに対するカード効果の発動を無効にして破壊する!そして相手に800のダメージを与えるぜ!」 墓地3⇒4
「な!?」
『電光千鳥』の雷は、『リードブロー』の前に現れた障壁によって阻まれ、それが返ってきて『電光千鳥』は破壊される。そしてその余波が文に襲いかかる。
「うっ!?」 LP8000⇒7200 墓地5⇒7
ダメージを受けた文は、少し後ろに下がるが、すぐに体制を立て直す。
「大丈夫か!?文!?」
「ええ…それにしても、この衝撃、普段のARでは感じられない衝撃ですね」
まあ遊戯王なら良くあることだが。だが、少なからず文から息の方が若干乱れている。それだけ体への衝撃が強かったのか?
「(まずいわ。こんな衝撃をまともに受ければ、遊馬君とて唯では済まない。それに、あの変な生命体…アストラルでしたっけ?彼にも負担がかかる筈。どうすれば…)」
『やはり、ただのデュエルでは無かったか。それにこの空間…まるで『アレ』だな』
「『アレ』って?」
「以前、WDCの決勝戦で使われた『スフィア・フィールド』と同じ感覚だ」
「『スフィア・フィールド』だって!?」
特別編でも一応語ったが、WDCの決勝戦で使用されたフィールド魔法の事である。効果は、明らかに『No』専用のフィールド魔法の効果。そしてそれは、バリアン界の力で作られたフィールドでもある。
『これから先、何が起こるか分からない。遊馬、決して彼のデュエルから目を離すな』
「ああ。それに、ここで俺が負けたら…お前と文の身が危ねえ。絶対負けるわけにはいかないぜ!」
段々と闘志が燃え上がって来た遊馬。
「文!たとえこのデュエルで何かがあっても、俺が必ず、お前を守るぜ!!」
「遊馬君…(何迷っていたんだ私は。今の私は、遊馬君を守る存在。逆に遊馬君から励まされる身じゃない。全く、ガラじゃないけど遊馬君の調子を上げるためと思っておきますか)ええ。ありがとうございます。ですが、お気づかいは無用です。これでも清く正しいのがモットーの私です。この程度で後れを取るつもりはありません!」
文も改めて気を取り直したらしい。それを見ていたアリトは。
「おっ、やっとマジになったのか?へへ、俺も燃えて来たぜ!!」
あら、アリトもやる気が上がったそうだ。敵にしては珍しいタイプだ。
「(まだ召喚権を失って無いけど、今の手札じゃ展開するのは難しい。チューナーと『黒い旋風』がいない以上、今の私が出来る最善の選択は…)モンスターをセット。『ガガガマジシャン』(DEF2000)を守備表示に変更。カードを1枚セットして、ターンエンドです」 手札4⇒2
3ターン終了。フィールド状況
九十九遊馬 手札4 デッキ34 墓地1 除外0 エクストラデッキ15
射命丸文 手札2 デッキ32 墓地7 除外0 エクストラデッキ14
モンスターゾーン 『ガガガマジシャン』(ATK2500/DEF2000/☆4/『破天荒な風』継続中/コントローラー:遊馬)守備表示 セットモンスター1(コントローラー:文)
魔法・罠ゾーン リバースカード1
LP7200
アリト 手札2 デッキ32 墓地4 除外0 エクストラデッキ3
モンスターゾーン 『BK 拘束蛮兵リードブロー』(ATK3000/ランク4/ORU1)攻撃表示
魔法・罠ゾーン 無し
LP7700
奇妙な変則デュエルになっているが、あまり見られない光景だ。
「俺のターン、ドロー!」 手札2⇒3 デッキ32⇒31
以外にも、熱血漢だと言う事が分かったアリト。ここからどう展開してくる?
「このデュエルに、守備表示なんて必要ないぜ!魔法カード『守備封じ』発動だ!」 手札3⇒2
守備封じ 通常魔法 OCG
相手フィールド上に守備表示で存在するモンスター1体を選択して表側攻撃表示にする。
「何!?」
「こいつの効果で、俺は『ガガガマジシャン』の表示形式を変更するぜ!」 墓地4⇒5
守備態勢だった『ガガガマジシャン』が攻撃態勢に変わる。
「さあ行くぜ!『リードブロー』で『ガガガマジシャン』に攻撃だ!さっき喰らったダメージをそのまま返すぜ!」
『リードブロー』が放ったパンチは、『ガガガマジシャン』では受けきれず、破壊される。
「ぐわああああ!!!!!」 LP7200⇒6700 墓地1⇒2
「遊馬君!!」
『遊馬!』
文と違って、ある程度吹っ飛ぶ遊馬。やはり衝撃は相当なものだ。
「どうだ?俺のカウンターの味は?」
「へへっ…効いたぜ。おかげで俺も、楽しくなって来たぜ!お前と戦ってるとな!」
「ほお…この状況でそんな事が言えるのか。なら見せてみな。俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ」 手札2⇒1
依然、アリトの場に攻撃力3000にしてあらゆる破壊から1度だけ身を守る事ができる『リードブロー』が顕在している。この状況をどう乗り越えるか?
「行くぜ!俺のターン、ドロー!」 手札4⇒5 デッキ34⇒33
「俺は手札から『ドドドウォリアー』(元々のATK2300⇒1800/☆6)を召喚!こいつは、元々の攻撃力を1800にすることで、リリース無しで通常召喚できる!」 手札5⇒4
何気に優秀すぎるモンスター。最近はバスターが来たからもっと優秀な存在に。
「さらに手札から魔法カード『死者蘇生』を発動!蘇れ、『ガガガマジシャン』(ATK1500/☆4)!」 手札4⇒3 墓地2⇒1⇒2
流石過労死先輩。呼び戻されても平然な顔で再登場する。
「『ガガガマジシャン』の効果発動!1ターンに1度、このカードのレベルを1から8までの好きな数字に変更できる!『ガガガマジシャン』(☆4⇒6)のレベルを6に変更!」
「これで遊馬君の場に、レベル6のモンスターが2体」
「そして、レベル6の『ドドドウォリアー』と『ガガガマジシャン』でオーバーレイ!2体のモンスターで、オーバレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」
2体のモンスターが属性の光となり、遊馬の場に現れた時空の渦に飲み込まれていく。
「熱き魂を絞り、狙いをつけろ!『ガントレット・シューター』(ATK2400/ランク6/ORU2)!!」 エクストラデッキ15⇒14
ガントレット・シューター 地属性 戦士族 ランク6 エクシーズ・効果
ATK 2400 DEF 2800
自分のメインフェイズ時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターを破壊する。
見た目は『ガントレット・ウォリアー』に似ているが、色は赤である。両手の爪は、ロケットパンチの如く射出できるらしい。棘もおまけで付いているが。
「行くぜ!『ガントレット・シューター』(ORU2⇒1)の効果発動!1ターンに1度、ORUを1つ使う事で、相手の場に存在するモンスター1体を選択し、そのモンスターを破壊する!俺は当然『リードブロー』を破壊だ!」 墓地2⇒3
「なに!?そんな効果があるのか!?…だが、まだ『リードブロー』にはORUがある!『リードブロー』(ORU1⇒0)の効果発動!ORUを1つ使う事で、俺の場に存在する『BK』と名のついたモンスターは、あらゆる破壊から身を守るぜ!」 墓地5⇒6
『リードブロー』のORUが消えると、『ガントレット・シューター』の攻撃を防いだ。
「くそ!これでも駄目か!」
『まずい…これでまた、『リードブロー』のORUが使ったと言う事は』
「『リードブロー』(ATK3000⇒3800)はORUが減る度に強くなる!」
再び『リードブロー』の拘束が解かれる。だが今ので拘束具が全て解かれたので、本来の力が発揮される。
「こ、攻撃力3800!?」
『攻撃しても、カードによる破壊をされても、されただけその分強くなるのか』
「単純に言えば、ORUさえ減っていけばそれだけ攻撃力が上がりますからね。厄介ですよ」
普通に考えればかなり強力な効果でもある。
「俺はカードを2枚伏せて、ターンエンドだ!」 手札3⇒1
厄介になった『リードブロー』だが、今ならORUは無い。破壊するなら早めに始末しなければならない。
「私のターン、ドロー!」 手札3⇒4 デッキ32⇒31
『ガントレット・シューター』の効果を使えば、『リードブロー』を倒す事が出来るが、この変則タッグルールにより、所持者のコントローラーにしか効果発動ができない。今の文ではそれを使う事はできない。
「(やばい、思っている以上にこのデュエルのルールが効いている。『暁のシロッコ』はともかく、『ダーク・クリエイター』はほぼ出せず仕舞い。残りの手札と今引いたカードでは、『リードブロー』を辛うじて倒せても、次の展開が防ぎきれなければ不味い事に…こうなったら、無理矢理でも次に持ってくるコンボを早急に作り上げなければ)魔法カード『増援』を発動です。デッキから、『終末の騎士』を加えます」 手札4⇒3⇒4 デッキ31⇒30 墓地7⇒8
自動で『終末の騎士』を手札に加える文。ちなみにこのデッキに戦士族は『終末の騎士』ぐらいしか入って無い。闇変態?そんなの論外だ。
「『終末の騎士』(ATK1400/☆4)を召喚!効果により、デッキから闇属性モンスター『BF-大旆のヴァーユ』を墓地に送ります」 手札4⇒3 デッキ30⇒29 墓地8⇒9
墓地に入ってこそ活動する『ヴァーユ』。
「(今このカードを使ったとしても、下手に使うのは良くない。ここは…)ターンエンドです」 手札3
6ターン終了。フィールド状況。
九十九遊馬 手札1 デッキ33 墓地3 除外0 エクストラデッキ14
射命丸文 手札3 デッキ30 墓地9 除外0 エクストラデッキ14
モンスターゾーン 『ガントレット・シューター』(ATK2400/ランク4/ORU1/コントローラー:遊馬)攻撃表示 『終末の騎士』(ATK1400/☆4/コントローラー:文)攻撃表示
魔法・罠ゾーン リバースカード3
LP6700
アリト 手札1 デッキ31 墓地6 除外0 エクストラデッキ3
モンスターゾーン 『BK 拘束蛮兵リードブロー』(ATK3800/ランク4/ORU0)攻撃表示
魔法・罠ゾーン リバースカード1
LP7700
お互いジリ貧であるが、アリトの優勢である事に変わりない。
「俺のターン、ドロー!」 手札1⇒2 デッキ31⇒30
「お、こいつは丁度良いカードだな。俺は魔法カード『エクシーズ・トレジャー』を発動!」 手札2⇒1
エクシーズ・トレジャー 通常魔法 アニメ
フィールド上に表側表示で存在するエクシーズモンスターの数だけ、自分のデッキからカードをドローできる。
「フィールド上に存在するモンスター・エクシーズの数だけ、デッキからカードをドローする。今フィールドに出ているモンスター・エクシーズは2体!よって、2枚のカードをドローだ!」 手札1⇒3 墓地6⇒7
明らかに汎用性が高すぎるカード。OCG化したら弱体化か1ターンに1度しか使えない制約になりそうな気配が。
「(このタイミングでこのカードか。やっぱりお前も暴れたいのか!だったら、無理矢理でもあいつ等の場を破壊するぜ!)魔法カード『ブラックホール』を発動!フィールド上の全てのモンスターを破壊する!」 手札3⇒2
「何!?」
『このタイミングでモンスター全破壊のカードを引いたのか!?』
「私達のリバースカードに、その魔法カードを止めるカードをありません…」
全てのモンスターが破壊される。一体何を企んでいるんだ?
墓地(遊馬)3⇒5 墓地(文)9⇒11 墓地(アリト)7⇒9
「お前らのデュエルを見ていたら、どんどん暑くなって来たぜ!俺の全力、お前達に見せてやるぜ!」
「全力!?」
『まさか、『No』を出すつもりか!?』
「俺は手札から魔法カード『死者蘇生』を発動!墓地から『BK グラスジョー』(ATK2000/☆4)を攻撃表示で特殊召喚!」 手札2⇒1 墓地9⇒8⇒9
BK グラスジョー 炎属性 戦士族 ☆4 効果モンスター OCG
ATK 2000 DEF 0
このカードが攻撃対象に選択された時、このカードを破壊する。
このカードがカードの効果によって墓地へ送られた時、自分の墓地から「BK グラスジョー」以外の「BK」と名のついたモンスター1体を選択して手札に加える事ができる。
本当にボクサーモンスターしか持っていないかと思われるモンスターがまた出現。地味に効果が強い。
「そして手札から『BK スイッチヒッター』(ATK1500/☆4)を召喚!」 手札1⇒0
BK スイッチヒッター 炎属性 戦士族 ☆4 効果モンスター OCG
ATK 1500 DEF 1400
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「BK」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚できる。
この効果を発動するターン、自分は「BK」と名のついたモンスター以外のモンスターを特殊召喚できない。
左右の構えでも戦えるボクサーモンスター。本当にボクシングの知識が薄いため、こんな感じでしか表現できないが…
「『スイッチヒッター』の効果発動!こいつが召喚に成功したとき、俺の墓地に存在する『BK』と名のついたモンスター1体を選択し、特殊召喚できる!来い!『BK ヘッドギア』(ATK1000/☆4)!」 墓地9⇒8
蘇る『ヘッドギア』。そして、アリトの場にレベル4モンスターが3体。
「見せてやるぜ。俺の本気。俺の意思の力を!今見せてやるぜ!!遊馬!文!」
『遊馬、来るぞ!!』
「ああ。分かったる!文、気をつけろ!」
「ええ。細心の注意を払います」
「俺は、レベル4の『BK グラスジョー』と『ヘッドギア』と『スイッチヒッター』でオーバーレイ!!」
3体のモンスターが属性の光となり、アリトの場に現れた異次元の渦に飲み込まれていく。
「3体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」
異次元の渦から大爆発の光が発生する。そこから、無限大の記号を模した青い機械状の物体の姿のオブジェが現れる。
「現れろ!!『No.105』!!」
そこから展開し、やがて現した姿は、ボクサーからかけ離れた剣闘士の姿をしていた。そして、右肩に「105」の数字が刻まれている。
「『BK 流星のセスタス』(ATK2500/ランク4/ORU3)!!!!」 エクストラデッキ3⇒2
アリトの場に現れたのは、『No』。だが、その『No』は…100番台の数字である『No』だ。
『105番目の『No』だと!?』
「ど、どうなってるんだ!?何であんな『No』があるんだ!?」
「こ、これは一体!?」
3人の前に現れたのは、規則外の『No』。これは一体何を示しているのか。だがそれは、既に新たな運命の扉が開かれた瞬間でもあった。
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お久しぶりです。リアルでは大変な事が発生しました。
1つ、使用していたパソコンが壊れました。HD粉砕しました。まあ何とか修復出来たので良かったのですが、データは…無い。やむ終えず、本来なら15話のプロットは出来てましたが、完全に入れ替える形になりました。ちくしょー。
2つ、体調を崩しました。結構面倒な症状で、毎回病院に通っています。体調崩した日はマジで最悪な日でした。あれは悪夢だ…
3つ、仕事先が変わりました。どういう…事だ?
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