No.534039

気になるニキビ

即興小説トレーニングにて作成

お題:緑の微笑み 必須要素:ニキビ
http://webken.info/live_writing/novel.php?id=96293

2013-01-20 13:03:26 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:463   閲覧ユーザー数:463

「おい、お前。ニキビできてるぞ?」

 通学路の林を通ってる時、そんなことを平気で言う彼は、私の友人だ。

 正直、そんなこと言われるとさすがに私も不愉快を感じざるを得ない。今日、いきなりできてしまってすごく気にしているところなのだ。

「おいおい、なんだよ。その顔」

「べっつに~」

 こんなこと言う奴のことなんて相手してられるか。私は彼から顔をそむけ、そのまま無視を決め込んだ。

「おいおい、なに怒ってるんだよ。なにが悪いってんだよ」

「……」

 まったく、この男は……。私の気持ちも分からないでそんなことを言う。本当に空気の読めない人。

「ったく……」

 さすがに彼も観念したようなのか、しばらく私たちの間には会話などなかった。ただ、私たちが地面を踏む音だけが響いている。

 そうして、林から抜け出す直前、またあの男は口を開いた。

「あのさ……そのニキビ……」

 またこの話題か。本当に懲りない男だ。

「そこにできるニキビってよ、確か思われニキビなんだろ?」

 ああ、そう言えばあまり意識していなかったが、思われニキビとか呼ばれる場所だった。

「それがどうしたの? そんな迷信、信じてるの?」

「いんや、今まで信じてなかった。でも今日お前と会って信じるようになった」

「はぁ……? あんた何を言って――」

 その瞬間、彼の言わんとすることが何となくわかった。思わず私は顔が熱くなってきた。彼も同じように熱いのだろうが、林の木の葉を通した光で彼の顔は緑に染まっている。そして、彼は微笑んでいた。

「おうよ、そういうことだ」


 
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