「……ハア~」
現在、俺達のクラスに一人分の溜め息が零れる。
我等がクラスの
今日の
勿論、シュテル達を始め女子生徒達を見ると元気になるのだがしばらくすると何かを思い出した様な表情を浮かべ、また溜め息を零すという一種のループが発生している。
にも関わらず授業の内容は滞る事無く進み、また内容も分かりやすいので本当に『ロリコンじゃなければ優秀な先生なのに…』と思い知らされる。
とは言え、こう何度も溜め息を吐かれると授業内容よりも
「おい、さっきから先生ずっとあんな様子だぜ」(ヒソヒソ)
「どうしたんだろうな?女子が声掛けりゃ元に戻るのに」(ヒソヒソ)
「少し間を置くとすぐにああなるのよね」(ヒソヒソ)
「何か思う所があるんじゃない?」(ヒソヒソ)
「誰か聞いてみろよ?」(ヒソヒソ)
どうやら
でも誰一人としてその理由を聞こうとはしない。
「ねえ勇紀、貴方が聞いてきたら?」
隣の椿姫に声を掛けられ俺は眉を顰めて答える。
「何で俺が?自分で聞きに行けばいいだろ?」
「私はそこまで先生が溜め息吐いてる理由を知りたいとは思わないもの。貴方は逆に知りたそうにしてるじゃない?」
「む……」
否定は出来ん。確かに気になっているのは事実だし。
椿姫の声が聞こえたのか他のクラスメイトの視線も堂々と寝ているレヴィ以外、全員分が俺に集まる。やれやれ……
「あー、
クラスを代表して俺が理由を聞いてみた。
「…小僧か。貴様には分からんだろうな」
いや分からんよ。アンタ何も言ってないし。
「世の中には例外というものが存在する。そして俺はその例外に出会ってしまったのだ」
ひどく沈んだ雰囲気の
「例外ですか?」
『ああ』と軽く返事をした後、それ以来口を閉ざしてしまった
だが俺は放課後にその『例外』の事を知ってしまった………。
放課後、俺はゲームソフトを買いに『ソ〇マップ海鳴店』に来ていた。
いやー、まさか海鳴にソ〇マップが出来るとは思わなかったよ。店がOPENしたのは運動会の日と同じ10月の第一日曜日だった。一般のゲームは勿論、アダルトゲームも販売している。この世界で18歳になったら足を踏み入れよう。
まあ、アダルトゲームの事は置いといて今日、俺が買いに来たのは『ニ〇テン〇ー3〇S』のソフト『P〇OJ〇CT X ZO〇E』という三社のゲームメーカーによるクロスオーバー作品だ。
「えーっと、新作コーナーは何処にあるかな?」
店内に入り新作コーナーの場所を探す。丁度レジの近くにあり目的のソフトも有った。
無事に買う事が出来て俺は非常に満足している。ついでにソ〇マップカードも発行しておいたので今後はココでソフトを購入してポイントを溜めていこう。
「~~♪~~♪」
思わず笑顔で鼻歌も歌ってしまう俺。今日は木曜日なので明日一日頑張れば、明後日と明々後日はお休みだ。だから週末の休みは思いきりゲームを楽しむとしよう。
「おっ?勇紀じゃねーか?」
「ん?」
ご機嫌な俺に声を掛けてきたのは
「よっ」
「ヴィータじゃんか」
片手を上げて挨拶してきた鉄槌の騎士様だった。
「何してんだヴィータ?こんな所で」
「仲の良いじーちゃん達とゲートボールしてたんだよ。んでお菓子くれるっていうからさっきまでお邪魔してたんだ」
「成る程」
ヴィータはご年配の方々と仲良いもんな。皆さん、孫の様に接してるって話だし。
「勇紀こそこんなトコで何してんだよ?」
「新作のゲーム買ってきたんだ。で、今から帰るところ」
手に持っているソ〇マップの袋を見せる。
「そうか。なら途中まで一緒に帰らねえか?アタシももう帰ろうと思ってたし」
「別に良いぞ」
俺とヴィータは肩を並べて歩き出す。
その間は色々な事を話してた。俺はまあ、学校での日常とか家でシュテル達と過ごしてる内容とか。ヴィータは主にゲートボール仲間であるご年配の事とか八神家の日常の事とか。
「…そういえば昨日、変な奴に会ったんだよ」
「変な奴?」
突然話しの内容が切り換わった。
「ああ、何かアタシの事を見て最初は驚いた表情浮かべてたんだよ」
「何処かで会った事有る知り合いとかじゃないのか?」
「いや、アタシの記憶の中には会った記憶ねえから初対面の筈なんだ。んで私の事ジーっと見てたんだけどな。途中で表情が曇ったかと思うとブツブツ言いながらどっか行ったんだよ」
「……不審者じゃね?」
「やっぱそうだよなあ」
「警察に相談した方がいいと思うぞ?」
ヴィータは強いから心配ないとは思うが。
「…はやてにはあんまり心配掛けたく無いんだけどなあ」
「家族思いの良い子だねえ」
思わず頭を撫でてしまう。
「コラ勇紀!アタシを子供扱いすんじゃねえ!!」
「あ、悪い。つい…」
ヴィータに怒られたので撫でるのを止め素直に謝る。
だが機嫌を損ねてしまったヴィータはそっぽを向いてしまう。
「ヴィータ、機嫌直してくれ。マジで俺が悪かったから」
「ふんっ」
こりゃ相当ご立腹だな。
…しゃーない。
「機嫌直してほしいなあ。何ならお詫びにアイス買ってやるから」
ピクッ
お、反応した。そっぽ向きつつも聞き耳立ててるな。
「しかも東雲堂のバニラアイスだぞ?」
ピクピクッ
もう一息か?
「何なら3個ぐらい奢っちゃうけど?」
この一言が止めになったようで
「しゃ、しゃーねえな。そこまで誠意を見せられたなら許さない訳にはいかねえ//」
どうやら許してくれる様だな。
「い、言っとくけどアイスに釣られた訳じゃねえかんな!//」
「分かってるって」
苦笑しながら答える。
それから俺達は目的地を東雲堂へと変更し、駅前に向かって歩き始めた………。
…で、東雲堂でアイスを買い、家路に着こうとした所で超ご機嫌なヴィータが足を止める。
「???どうしたんだヴィータ?」
「……何か見られてる気がする」
「そうか?俺は特に何も感じないけど」
「いや、アタシは確かに視線を感じるんだ」
ヴィータがハッキリとそう言う。
俺には視線を感じないという事はおそらくヴィータだけを見ているのだろう。周りにはそこそこ人がいるが、キョロキョロと辺りを見回すと
「…居た」
少し離れた所から俺達…というよりヴィータを見ているらしい怪しい人物が。ていうかあれって…
「
思わず声を上げてしまった。
「???おい、勇紀。アイツの事知ってんのか?」
「ああ、ウチのクラスの担任だからな」
ヴィータの方を向かず答える。
オイオイ、何であの人がこんなトコにいんだよ?
「ていうか勇紀。アイツがさっきアタシの言ってた変な奴だ」
「マジか!?」
頷くヴィータ。
……いや、冷静になってよく考えると納得出来る事がある。
奴は海鳴1の
守護騎士として生きてきたヴィータは俺や目の前の
そんな
……だとしたらヴィータの貞操が危機を迎えているのでは?
「おい、ヴィータ…逃げた方がいいと思うぞ?」(ヒソヒソ)
「???何でだよ?」(ヒソヒソ)
「奴はな…」(ヒソヒソ)
そして俺は
俺の話を黙って聞いていたヴィータは徐々に怒りを露わにし
「フッザけんな!つまりアイツはアタシの事
大声で怒鳴り出した。
「マジで許さねえ!!ガツンと言ってきてやる!!」
「ちょ!?」
俺が制止する間も無くヴィータは
「おいっ!」
「っ!!?」
ヴィータに声を掛けられ
「勇紀から聞いたぞ!オメーが小学生の女子に卑猥な想いを抱く奴だってな!!」
「……………………」
「言っとくがアタシはな!オメーが思ってる
「……………………」
「それにオメーがはやてやリインに手を出そうってんならブッ飛ばすかんな!!」
大声で怒鳴るヴィータに対し、
……しかし可笑しい。
…もしかして
そんな考えがよぎった俺はヴィータと
「すみませんが貴方は海小の先生ですか?」
とりあえず根本的な事を聞いてくる。これで別人なら謝らないといけないからな。
「む…小僧か?」
…うん。俺に対する呼称を『小僧』と呼ぶのは間違い無く我が校我がクラスの
というか今、声掛けて初めて俺の存在に気付いたみたいだな。どんだけヴィータに意識が向いてたんだよ。
「珍しいですね。ヴィータの容姿だったら
「おい勇紀!それってアタシが
「いや、ただ単純にお前は可愛いんだからこの人が愛でる対象に入ってるんじゃないか?って言う意味で言ったんだが?」
「なっ!!?////////」
おお!!?いきなり茹蛸みたいにヴィータの顔が真っ赤になっちゃったよ。
「こ、この馬鹿!?恥ずかしい事言ってんじゃねえ!!////」
「ゴ、ゴメンなさい…」
まさか怒られるとは。そんなに恥ずかしい事言ったつもりでは無かったんだが…。
「う~~~……(ゆ、勇紀の奴がアタシの事可愛いって…可愛いって…)////」
ううっ…また機嫌損ねちまったかな。唸ってるし。
「とりあえず小僧、貴様の質問に答えてやろう」
っと、
…ヴィータさんの視線が若干痛いけど。
「貴様の言う通り、確かにそこの少女は素晴らしい容姿をしている。俺の理想、
「は、はあ…」
「うがああああっっっ!!」
「うおっ!?お、落ち着けヴィータ!!」
「は、離せ勇紀!!アイツブッ飛ばす!!今ブッ飛ばす!!」
横にいたヴィータが
本気でキレてる。
「だがな…………反応しないんだよ」
そんなヴィータを全く無視して
「くうっ!…反応…しないって…何が…です?」
暴れるヴィータを必死に抑えながら俺は言葉を紡ぐ。
「俺の……………………ロリセンサーにだ!!!!」
……………………
………………
…………
……
はい?
「えー…っと、
「勿論、ロリッ娘を探知するための俺の奥義だ!!」
随分限定的でつまらない奥義だなオイ!!
「自慢にはならないかもしらんが俺のロリセンサーはロリッ娘が何処にいるかをある程度把握でき、ロリ成分も感知する機能がある」
ホントに自慢にならねえよ。
「だが目の前にいる少女はどういう事かロリ成分を一切感知出来ない!!見た目は間違い無くロリなのに感知出来ないんだよおおおおっっっっ!!!」
大声で叫ぶ
あっ、周囲の人達が何かヒソヒソと言い始めた。今の
しかしそのロリ成分とやらが無いのも当然だ。俺達より年上だし。
「あー、
「何っ!?」
物凄い反応で聞き返してくる。
「この容姿で貴様より年上だと言うのか!?」
頷く俺。
「そうか…そう言う事だったのか………」
おや?
「フ…フフ……フハハハハハハ!!」
突然笑い出したよこの人!?
「そうかそうか…道理でロリ成分を感知出来ない訳だ。…なら俺は、目の前の存在を排除せねばなるまい!!」
突如殺気をヴィータに放ち睨みつける
「いや!意味分からないですから!!」
何でいきなり排除とか物騒な事言ってんの!?
「馬鹿を言え!!目の前にいるのは
「誰がババアだ!!」
再び暴れ出すヴィータ。今度は子供ではなくババアの発言に対してキレ出す。
「
どこぞのガ〇ダムマイ〇ターみたいな言い方してんじゃねえよ!!格好良く言えば良いってもんじゃねえだろうが!!
「上等だ!!はやてやリインにも害が及びそうなオメーはアタシがここでブッ潰す!!」
ついに俺の羽交い絞めを振りほどいた
「「「「「待ていっ!!」」」」」
その時、突如第三者の声が割って入る。声色の数からして五人。今度は誰だよ!?
「何者だ!!?」
「緑川!」(ビシイッ!)
「青木!」(ビシイッ!)
「桃山!」(ビシイッ!)
「黄土!」(ビシイッ!)
「赤井!」(ビシイッ!)
「みん」
「な」
「そ」
「ろっ」
「て」
「「「「「海鳴戦隊!ジジレンジャー!!」(ビシイイイイイッッッ!!!!)
……………………
………………
…………
……
…はっ!!?
あまりの出来事に一瞬意識がトリップしてしまった。
何やら特撮番組に出て来る戦隊ヒーローみたいなヒーロースーツを着て仮面を着け、ポーズを取った明らかに高齢者と思われる方々がいた。
「じ、じーちゃん達!!?」
驚いた様子のヴィータ。
どうやらヴィータの知り合いみたいだ。ゲートボール仲間の人達かな?
「若造!貴様が儂等のアイドル、ヴィータちゃんに暴行を働こうとした罪は断じて許せるものではない!!」
「左様!!その罪、死を以って贖うがよい!!」
怒ってる。ご年配の方々がメッチャ怒ってる。
「じ、じーちゃん達何言ってんだよ!?危ねーからじーちゃん達は下がってくれよ」
「何を言っとるんじゃヴィータちゃん!ヴィータちゃんはもう儂等の孫も同然」
「そうじゃ!ここでヴィータちゃんに怪我でも負わせようものなら他のゲートボール仲間に顔向け出来んわい」
「ここは儂等に任せて速く逃げるんじゃ!そっちの男の子はヴィータちゃんの友達かの?頼む!ヴィータちゃんを守ってやってくれい」
そう言ってご年配の方々は皆
「
「ふん!貴様の様な若造に儂等が後れを取ると思うなよ。行くぞおおおおおっっっ!!!」
「「「「うおおおおおおっっっっっ!!!!!」」」」
そうして
次の日…。
「おはよう勇紀。早速だけど昨日、事件があったのを知ってるかい?」
「事件?」
教室に着いた瞬間、謙介が開口一番にそんな事言ってきた。
「何でも若い男性が高齢者の人達に暴行を働いたんだって。犯人はその場で現行犯逮捕されたらしいけど現場は嵐でも起きたかの様にボロボロだったらしいよ」
…覚えが有り過ぎる。何せ実際にその事件の現場に居合わせていた当事者だからな。
あの後、事の顛末を見ていた通行人の誰かが通報したのだろう。
アレか?海鳴の高齢者は皆ああなのか?もしそうならこの街の高齢者全員間違い無く管理局の即戦力になれると断言しちゃうね。
それを見ていた周りの一般人には一切の被害を出していない辺りがまた凄い(俺もヴィータも一般人の前では魔法を使う訳にはいかないので防御系の魔法は一切使っていない)。
「随分と物騒ですね」
「そんな事件あったんだー。僕全然知らなかったよ」
「年寄りに暴力を振るうとは人間の風上にも置けん奴だな」
「全くです」
俺の机の周囲でそんな雑談をしているシュテル達。
それより俺は『今日からクラスの担任はどうなるのだろうか?』という事が気がかりだった。
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン…
予鈴が鳴った。シュテル、レヴィ、ユーリも自分の席に戻り少し時間が経つと教室の扉が開き…
「よーし、HR始めるぞー」
入ってきたのは昨日逮捕された筈の
「何でアンタいるの!?」
思わず立ち上がって叫んだ俺は悪くない。教室の皆の視線を集める事になったがこの際ソレはどうでもいい。
「小僧…世の中金がありゃ大抵はどうにかなる」
保釈金払ったって事か!?駄目だよ海鳴警察署!!この人は保釈金で許したら駄目な人間だよ!!
「それより座れ。さっさとHR始めたいからな。出席取るぞー」
俺に座るよう促し出席を取り始める
時間は進んで放課後。
今日は特に何をするのでも無く家路についている途中だった。シュテル、レヴィは掃除当番、ディアーチェ、ユーリは夕食の買い物に行ったので俺一人で帰宅中だ。
…あれから俺が叫んだ理由を話すのは面倒だったが嘘偽りなく話した。もっとも皆
『ウッソだあ~』
てな感じで信じてくれなかったが。
まあ、信じないなら信じないで本人の勝手だ。事実を他人に押し付けるつもりは無いし。
それより早く帰って『P〇OJ〇CT X ZO〇E』進めないと。
「あ~、勇紀さんですぅ~」
やけに幼い感じの聞き覚えがある声。
後ろからトテトテと走って来る様な足音が聞こえ、振り返った途端に俺は抱き着かれた。
「リインじゃないか。今日は一人なのか?」
「はいですぅ~。一人でお散歩してたんですぅ~(勇紀さんに会えてうれしいですぅ)」
俺に抱き着いたまま質問に答えてくれるリイン。『よしよし』と撫でてやると
「ふにゃ~(勇紀さんに撫でられるとお胸がポカポカして気持ち良いですぅ~)////」
気持ち良さそうな表情で俺に体重を預けてくるのが分かる。
しばらくしてから撫でるのを止めるとリインが俺の顔を見て
「勇紀さん勇紀さん、リインにもアイス奢って下さぃ~」
そう言ってきた。
「いきなりたかられた!?」
「だって、昨日ヴィータちゃんアイス持って帰ってきたんですぅ。勇紀さんに奢って貰ったって言ってたですぅ~」
俺の方を見上げながら頬を『ぷぅ』と少し膨らませながら言うリイン。
「うーん…。ヴィータに奢ってやったのは理由があったから何だけど…」
この様子だと俺が頷くまで離れ無さそうだしなあ…。
「…しょーがない。じゃあコンビニまで行くか?」
「ぷぅ~、リインも東雲堂のアイスが食べたいですぅ!」
「…了解。なら駅前に行くぞリイン」
「はいですぅ!!」
俺から離れ、手を繋いでくるリイン。
まさか二日続けて行く事になるとは…
「そう言えば昨日は何でヴィータちゃんにアイスを奢ったんですかぁ?」
「ん?それはだな…」
俺はリインと二人で昨日の出来事なんかを話しながら駅前に向かうのだった………。
「勇紀さん、ありがとうございますぅ~♪」
昨日のヴィータ同様ニコニコ笑顔でお礼を言うリイン。片手にはアイスの入った箱をしっかりと持っている。
「どう致しまして」
俺もシュテル達のお土産用に買った。昨日は買わなかったからな。
駅前に来る時同様、空いているもう片方の手はリインの手と繋いでいる状態だ。
「???」
突然リインがキョロキョロと辺りを見回し始めた。
「どうしたんだリイン?」
「何だか誰かに見られてる様な気がするですぅ」
「誰か?」
「はいです」
周りを見ながら返事をするリイン。何だか昨日のヴィータと同じ様な状況だな。あの時は俺も一緒になって探すと
…よく見たらここってその一悶着あった現場じゃねえか。
だが昨日ここで争った様な跡は一切残っておらず完璧に修復されている。
…一体どうやって修理したんだ?たった一晩で修理し終える様な感じじゃなかったぞ。
「あっ!いました!!」
どうやらリインを見ていた人物が見つかったらしいので
「どの人だリイン?」
「あの人ですぅ」
リインが見ている視線の先に居たのは…
「ハアー…ハアー…////////」
頬が真っ赤に染まり非常に鼻息の荒い状態でコッチ…というよりもリインをガン見している
「またアイツかよ!?」
昨日みたいに叫んでしまった。
「???勇紀さん、お知り合いですかぁ~?」
「…さっき話に出た俺のクラスの担任なんだよ」
「あの人が勇紀さんの言ってた先生だったんですかぁ!?」
リインの問いに頷いて答える。
何してんだよあの人?リインを見て鼻息荒くして…………って、まさか!!
そう思ったと同時にツカツカと足音を立てた
「ひうっ!」
そんな
「お、おお、お嬢さん!!名前は!?お名前は何と言うのですか!?////////」(ハアハア)
ヤバい!!コイツやっぱりリイン見て興奮してやがる。リインも
「う…うう…怖いですぅ」
リインはもうすすり泣き始めている。
「ちょっと
「リインさんとおっしゃるのですか!?リインさん!!俺…いや僕と結婚して下さい!!////////」(ハアハア)
「人の話聞けよ!?」
しかも何求婚してんだよ!!
「五月蠅い!!黙れ小僧!!俺は今俺にふさわしい最高の伴侶を見つけたのだ!!邪魔するな!!」
鼻息は荒いまま俺の肩越しにリインを見て迫る
「ふ…ふえええええんんん!!!」
遂に声を上げて泣き始めたリイン。通行人の人達も何事かと足を止めてこちらを向く。
「アンタ本当に止めろって!!リイン泣いてるじゃんか!!」
「馬鹿野郎が!!彼女は嬉しくて泣いてるんだ!!見て分からんのか!?」
駄目だ、今のコイツの頭の中銀髪トリオと同じ様な状況になってる。
リインはまだ幼いのに対人恐怖症になったらどうするんだよ!!
「ハア…ハア…。この容姿に加えて彼女が発してるロリ成分!!正に至高!!////////」
今のコイツには説得なんて無駄だ。
「リインを…泣かしてんじゃねええええっっっ!!!!」
バギイッ!!!
「へぶうううっっ!!?」
俺の右ストレートが
吹き飛んだ
「君達、大丈夫!?今警察に連絡したから」
どうやらこの状況を見てた人が警察に連絡してくれたらしい。
「ありがとうございます」
俺はその人にお礼を言い、後ろを向いて泣いているリインを慰める。
「リイン、もう大丈夫だから安心して…な?」
「ふぐうっ…えぐっ…ご、ごわがっだでずぅ~…」
俺が頭を撫でてやると俺の胸に顔をうずめて泣く。
俺はリインをそっと抱きしめて背中を優しくさすってやる。
その後、警察が来てのびている
それからかなり時間が経ち、ようやく泣き止んで落ち着いたリイン。もう日も暮れ始めている。
少しずつ空が暗くなり始めてる上、あんな事が有ってそのまま一人で家に帰す訳には行かないので俺は八神家へとリインを送る。
リインはずっと俺の腕に抱き着いている。それだけ怖かったんだろう。
「勇紀さん。迷惑掛けてゴメンなさいですぅ」
「リインが謝る必要は無いぞ」
「でも…リインが我が儘言ってアイスを買いに行かなければ迷惑を掛けなかったですぅ」
シュンと落ち込むリイン。でもリインは全く悪くない。悪いのはあの
「俺は気にしてないから。それよりリイン、今度から家を出る時は誰かと一緒に出る事。また今日みたいな事が一人でいる時に起きたら大変だからな」
「はいです」
俺の言葉に頷くリイン。
二人揃って歩いている内にリインも段々と明るさを取り戻していき、やがて見覚えのある家が見えてきた。
玄関の前には八神家の主が居た。こっちに顔が向くと俺とリインに気付き、小走りで寄ってくる。
「あれ?何で勇紀君おるんや?」
「んー…ちょっとな」
「はやてちゃん、ただいまですぅ」
「リイン!こんな遅くまでどこ行ってたんや!?」
「ひうっ!」
はやてに怒鳴られビックリしたリインは俺の背に隠れる。
「あー、落ち着いてくれはやて。遅くなったのには理由もある」
「理由?」
俺ははやてにさっきまでの出来事を話した。
「……っていう訳だ。携帯で電話しようと思ったんだが充電し忘れててバッテリーが切れてたんだよ」
「そうやったんか。ゴメンな勇紀君、リインがえらい世話になったみたいで」
「良いって良いって。それよりもう家に入ったらどうだ?」
「あー、せやね……せや勇紀君!良かったら晩ご飯食べていかへん?お礼したいんやけど?」
「勇紀さん。ご飯食べて行って下さいですぅ」
はやての言葉に続き、リインも笑顔で俺を夕食に誘ってくれる。
「有り難いお誘いだけど今日は遠慮しとくわ。もうディアーチェが夕食作り始めてるかもしれないし予めそういう事は伝えておかないとアイツ怒るから」
「そうなんか。残念やなあ」
「残念ですぅ」
落ち込む二人。
「ホントに悪いね。また今度来た時にでもご馳走してくれ」
「そうするわ。今度来た時は絶対食べてってや!」
「食べて行ってくださいですぅ!」
「ああ、そうさせてもらうわ」
はやての料理は美味いからな。ヴィータが『ギガうま』と評価出来るのも分かる。
「じゃ、またな」
「気を付けて帰ってやー!」
「勇紀さん、さよならですぅ~!」
大きく手を振ってるリインに軽く手を振り返し、俺は自宅へと足を進めるのだった………。
~~あとがき~~
ジジレンジャーのポーズはドラゴンボールZのギニュー特戦隊と全く同じポーズです。
どうでも良い事ですが…………。
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神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。