No.523573

魔法少女リリカルなのはStrikerS00(仮)--26 刹那の過去--

ケイさん

刹那は自分が歩んできた「道」をなのはに話す決意をする。それは、過酷な「道」。魔法少女リリカルなのはA's00~とある日常~(仮)の設定を踏まえたクロスオーバー作品です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。

2012-12-26 21:31:15 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:35923   閲覧ユーザー数:33146

本編14話目。

「私は刹那君のことが知りたい」

なのはの言葉を刹那はある程度予想していた。

だから、特別驚きはしなかった。

ただ黙ってなのはを見つめていた。

なのはも黙って刹那の視線を受け止めていた。

「わかった。いいだろう」

刹那は了承した。

自らの過去を……なのは達の知らない自分を語ることを。

「長くなる。ここで立ち話はお前も疲れるだろう。中へ行こう」

「あ……うん」

 

屋上から寮の中へ戻り、刹那に割り当てられた部屋へ二人は向かった。

会話はなく通路をただ歩くのみ。

暫くすると刹那の部屋の前に辿り着き、暗証番号を打ち込むとロックを解除する電子音が短く鳴る。

なのはが「お邪魔します」と小さく呟いて刹那に続いて部屋の中へ入る。

中に入ると直ぐにカーペットが敷かれた生活空間のため、なのは靴を脱いで上がった。

なのはが部屋の中を軽く見渡す。

刹那の部屋には最低限の備品しかなく、なのはとフェイトが一緒に使用している部屋とは違い、ソファーなどの来訪者をもてなす様な物は一切ない。

そういえば、一緒に暮らしていた時も特別に物を揃えようとはしなかったなぁ、となのはは思い出した。

「一緒に暮らしていた時もそうだったけど、綺麗に使っているね」

ほかの人がどうかは知らないが、刹那の部屋はきちんと片付いており、カーペットにも汚れはない。

「余計な物がないからだろう」

そう言うと、上着を椅子に引っ掛けた。

刹那の言葉になのはが苦笑した。

こういうところが刹那らしい。

さて、と刹那が呟いた。

「ソファーやクッションなどは揃えていない。ベッドにでも腰かけてくれ」

語るべき内容は多い。カーペットが敷いてあるとはいえ、そのまま長時間座らせるのは疲れるだろうと判断した刹那は、なのはにベッドに腰かける様に勧めた。

「失礼します」

一言断りを入れてからなのははベッドの端に腰かけた。

なのはの言葉に刹那は疑問を持ち、首を少し傾げた。

そんな刹那を見てなのはも首を傾げた。

なのは自身も何故断りの入れたのか、よくわかっていなかった。

「どこから話すか……」

自分のことを人に話すというのは簡単の様に思えて意外と難しい。

刹那が真剣な表情でなのはに歩み寄って、少し離れたところに腰かけた。

静かな部屋にギシっと軋む音が一度響いた。

刹那は正面を見据えていた。

部屋に緊張感が漂う。

暫くして刹那がなのはの方を向いた。

何かを言おうとして口を開きかけて、直ぐに真一文字に結んでドアの方を向いた。

「どうかしたの?」

「いや」

そう言うや否や、刹那は立ち上がってドアの方へ向かって行く。

そして、開閉ボタンを押してドアを開けた。

「わっ!?」

刹那がドアを開けると、はやて、シャマル、シャーリーが折り重なる様に部屋の中になだれ込んできた。

「はやてちゃん!?」

突然のことになのはが声を上げた。

外にはフェイトやヴィータ、スバル達FW(フォワード)も居た。

刹那がはやて達を見下ろしながら一言。

「何をしている」

「あ、あははは……」

はやてが笑って誤魔化す。

しかし、そんなものが刹那に通用するはずもなく。

「何をしている」

もう一度。

今度はやや怒気が含まれていた。

はやて達は服を軽く叩きながら立ち上がる。

こほんっ、とはやてがワザとらしく咳払いを一つ。

「いやな~。シャーリーから、二人が刹那君の部屋に入るところを目撃したっていう連絡を受けてな~」

「それで?」

「え? いや~。ほら、何ていうか……もしかして二人がそういう関係に……ってシャマルが」

「はやてちゃん!?」

いきなり、話を振られた所為かシャマルが声を上げた。

「どういうことだ?」

はやての言っていることが理解できない、と言わんばかりに刹那が説明を求めた。

「どうって……夜に二人っきりで部屋にって言ったら……」

そこまで言って、はやてが顔を赤くした。

他の者も同じような表情をしていた。

フェイトだけは逆に青くなっていた。

「せ、せ、刹那! なのはと……!!」

声を震わせながらフェイトが刹那に詰め寄った。

が、それを気に留めることなくはやてが続けた。

「私個人としては他人(ひと)のプライベートに口を出すつもりはないんやけど……ほら、一応、部隊長として隊の風紀に「ちょ、ちょっと待って! 誤解だよ!!」

はやての話をなのはが遮った。

ベッドから立ち上がって、はやて達の方へと早足で歩み寄る。

「刹那君が話をしてくれるって言うから、私は……!!」

「そうなの?」

「そうですよ! 当たり前じゃないですか!」

シャマルの言葉になのはが真っ赤になって力いっぱい否定した。

「でも、さっきベッドに……」

「そ、それは……他に場所がなくて……」

なのはの声がだんだん小さくなっていく。

そこで、刹那がようやく口を開いた。

「お前の言いたい事はわかった。だが、なのはとはそういう関係じゃない。それは知っているだろう?」

刹那が顔色一つ変えずにはやてに言った。

その言葉に、コクコクと何度も首肯したなのはだったが、ガックリと肩を落とした。

赤くなったかと思えば、今度は肩を落として俯いている。

その様子を刹那は不思議そうに見ていたが、なのはの――乙女心に心中を察してはやて達は深い溜息をついた。

刹那からしてみれば仲間の様なものだろう。

なのはの心情は正確にはわからないが、異性として意識しているの確かだ。

その意識している男性からハッキリと言われたら、それは複雑だろう。

だが、そんななのは達を他所(よそ)に刹那はいたってマイペースだった。

刹那がなのは達を一通り見渡してから通路に出た。

「……手間が省けてちょうどいいか。とはいえ、この部屋に全員は入れない。食堂にでも行くか」

「刹那君?」

「どうせなら一度に済ませた方が楽だ。フェイトもはやても……聞きたいのだろう?」

刹那がフェイトとはやてを見た。

刹那の視線を受けて、先程までとは違う真剣な表情で二人は肯いた。

 

刹那君を先頭に私達は食堂を目指していた。

周囲から見たらちょっと異様な光景かも。

部隊――組織のトップが先頭を歩き、部下がそれに続く。というのはよくあるけど、先頭を歩く人はトップでなければ階級も持たない、ましてや管理局員でもない民間協力者。

その背中を見ながらフェイトちゃんが話しかけてきた。

「いよいよなんだね」

「そうだね」

刹那君と出会ってから十年。

フェイトちゃんの言うとおり、本当にいよいよって感じがする。

「それにしてもなのは。本当に何も無かった……よね?」

フェイトちゃんが先の件について再度確認をとってきた。

「本当に何も無いってば。みんなして誤解するんだから……」

「それならいいんだけど。でも、なのはにも問題があると思うよ」

「え?」

「だって、いくら何でも夜に男の人の部屋に二人っきり。おまけに、刹那に言われたからって……ベ、ベッドに……誤解されても仕方ないと……思う」

「あ」

フェイトちゃんの言うとおりだ。

相手が刹那君だから、そういう事が起きるはずがないと思っていた。

ちょっと、無防備過ぎるのかな……私。

「それに、刹那の話を聞くなら私にも言ってくれればいいのに」

フェイトちゃんが少し頬を膨らませてそっぽを向いた。

確かに。

刹那君の事を一番知りたがっていたのは、フェイトちゃんだもんね。

「ごめんごめん」

素直に謝るとフェイトちゃんは微笑んで、「いいよ」と言ってくれた。

「刹那のことを知る事ができるのは嬉しい。でも……」

フェイトちゃんの顔に不安の色が浮かんだ。

「刹那のことは知りたい。でも、少し怖い……って思う自分が居る」

フェイトちゃんの気持ちはよくわかる。

魔法文化のない地球出身。

にも関わらず、高い戦闘能力と高性能のデバイスを所有している。

それだけじゃない。機械類に明るくて、自身でデバイスの強化を行える。

分析力や情報収集力も高い。

正直言って、普通の生活を送っていたとは思えない。

「大丈夫だよ」

フェイトちゃんの手をそっと握る。

「私達はもう子供じゃない。ちゃんと、受け止められるよ」

私の言葉にフェイトちゃんが肯いた。

「それに、私達の中で刹那君と一緒に居た時間が一番長いのはフェイトちゃんなんだよ? フェイトちゃんが受け止めてあげなかったら、誰が受け止めてあげるの?」

「そう……だね」

「うん。でも……」

「?」

「フェイトちゃんが駄目なら、私が刹那君を取っちゃおうかなぁ~」

「!?」

「刹那君には今日、励ましてもらったし……慰めてもらったしなぁ~」

「な、なのは?」

少し意地悪な笑みを浮かべると、からかわれたと気付いたフェイトちゃんがまたそっぽを向いた。

 

機動六課の隊員は交代で夜も従事する。

そのため、夜勤者のためにも食堂はいつでも利用できる。

「それはこっちのテーブルや」

「はやてちゃんこれは?」

「それはあっちに」

「は~い」

「……」

食堂には俺達の他に人は居ない。

しかし、食堂の一角は何故か賑わっている。

原因は目の前で繰り広げられている光景。

まるで、これから座談会かなにか始めるつもりなのか。

ともかく、はやてが中心となって指示を出し、テーブルには大量のお菓子やジュースが並べられている。

「う~ん、こんなもんやろ」

テーブルを見渡して、はやてが満足そうに肯いた。

「はやて」

「うん? なんや刹那君。そないな難しそうな顔をして」

「何だこれは。俺は……」

そう、俺はこれから自身の過去について話をする。

こいつらにとってはキツイ内容になるだろう。

にも関わらず、この軽い雰囲気。

「いや~。何か、刹那君の雰囲気がかなり重かったから少しでも場を和ませようかな~と」

どうやら、はやてなりの気遣いだったようだ。

この辺りは、はやての人間性と上に立つ者として素質か。

「それに、お話やったらお茶とお菓子は必須やろ!」

……前言撤回、意味がわからない。

「刹那君は何を飲む?」

「水で構わない」

はやて達に座るように促す。

なのは、フェイト、はやて、ヴィータ、シグナム、シャマル、ザフィーラ。

十年前に出会った者達。

スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、リインフォース、シャリオ。

つい最近出会った者達。そして、フリードまで居た。

エリオとキャロには部屋に戻るように言おうと思ったがやめた。

共に戦う仲間として、ここで外す様に言うのは違う。

それに、ここで話しておけばこの二人が俺の様な存在(・・・・・・)になることもないだろう。

「始めよう。まずは、俺の出身世界だが」

「八神部隊長やなのはさんと同じ地球ですよね」

「この前、派遣任務で行った第97番管理外世界――地球」

「それは半分正解で半分不正解だな」

エリオとキャロが答えたが、不正解と言われて顔を見合わせた。

「パラレルワールド」

「え?」

「一番わかり易い例えで言うなら、この場に俺が居ない……お前達だけの機動六課もありえる世界だな」

「それって、もしかして……」

スバル達の表情が変わっていく。

「そう、地球であっても俺は平行世界の地球から来た」

 

--刹那の過去~戦争根絶のために動く者~--

 

「ほ、本当ですか」

「ああ」

スバルは信じられないと言った感じだった。

いきなり、そう言われても信じてくれという方が難しい。

「でも、自分でわかるものなんですか?」

「エクシア」

《了解しました》

刹那がエクシアに指示を出すと空中に画像が映し出される。

そこには地球が映っていた。

「これが俺とエクシアの生まれた地球だ」

青い惑星(ほし)

なのは達もよく知る青い惑星(ほし)

「刹那君達の地球も私達と同じ、青くて綺麗だね」

「そうだな。だが、決定的に違う」

「え?」

刹那がエクシアに指示を出すと、画像が徐々に拡大されていく。

「あ、あれ? 地球に……輪が?」

「刹那君……この輪っかはなんや? それに、地球から何か伸びてるし」

「オービタルリングと軌道エレベーターだ」

「……はい?」

「西暦2200年頃から地球資源は枯渇状態でエネルギー問題が深刻だった」

「「西暦2200年!?」」

なのはとはやてが驚きの声を上げたが、刹那は説明を続けた。

「この画像は西暦2312年のものだ。……エネルギー問題を解消するために、イオリア・シュヘンベルグが提唱した太陽光発電システムが造られた」

「太陽光発電システムってのは……」

ヴィータが腕組みしながら刹那に説明を求めた。

「ソーラーパネルというのは知っているな?」

「ああ。身近なもんだと、家の屋根に取り付けられてるよな」

「あれを巨大化させたものと思ってくれればいい。全世界のエネルギーを賄う」

「マジかよ」

「高度1万キロメートル付近に低軌道リング。高度3万5千キロメートル付近に高軌道リング。高軌道リング上には太陽光発電衛星が3万個配置されている。そして、太陽光エネルギーを地上へ送る役目も果たす、全長約5万キロメートルの軌道エレベーターが赤道上に3本建造された」

「「……」」

あまりにも想像を超えた刹那の説明に全員が言葉を失った。

「つまり、刹那君は私達の世界から約300年後の未来から来た?」

やっとのことではやてが口を開いたが、刹那が頭を振った。

「単純に未来から来たというわけではない」

「どういうこと?」

「俺達の地球とは違いがある。詳しくは省くが、国家名や数……日本はあるが海鳴市という街が存在した記録はなかった」

「違い……もしかして、図書館で調べていたのって」

「ああ」と刹那が肯いた。

「だから、お前達の地球が300年後に同じ状態になるとは限らない」

尤も、そうなって欲しくないなと刹那は心の中で呟いた。

エネルギー問題を解決する技術革新はいいとしても、軍事技術の方は歓迎できない。

「刹那?」

黙ってしまった刹那にフェイトがどうかしたのかと声をかけた。

「……続ける。太陽光発電システムと軌道エレベーターという巨大構造物建造のために、世界の勢力図は大きく三つに分かれた」

「世界の勢力図?」

シグナムが怪訝そうな表情で呟いた。

「巨大構造物建造には莫大な資金と資材、人員が必要になる。軌道エレベーターを中心に三つの国家群が生まれた。米国が中心のユニオン、中国・ロシア・インドが中心の人類革新連盟、ヨーロッパが中心のAEU。俺達の地球では、この三国家群が中心と思っていい」

「なるほど」

確かに一国で造れる代物ではない。各国が共同で造れば集約されるのは必然か、とシグナムが納得したように肯いた。

「日本は?」

なのはが自分の故郷である日本がどうなっているのかと尋ねた。

「ユニオンの傘下になるが、人革連とAEUとの交流も盛んだな。経済特区と呼ばれている」

「ジンカクレン……えっと」

「人類革新連盟の略だ」

「あ、そっか」

なのはが少し恥ずかしそうに頬を掻いた。

「軌道エレベーターは巨大で、有事になれば防衛は極めて困難だ。それでも、各国家群は威信と繁栄の為に争っていた」

「それって……」

刹那の言葉に、なのは達の脳裏には【戦争】という最悪の二文字が浮かんだが、刹那は何も言わなかった。

刹那が一度エクシアに触れた。

ここまではあくまでも自分達の世界について。

ここからが始まり。

「……エクシア、次を」

《……了解》

刹那とエクシア、両者とも一瞬の間があったが、それに気付いた者はいなかった。

ピッという電子音と共に画像が切り替わった。

映し出されたのは、薄い緑色の人の形を模した様な機械。

「ロボット……ですか?」

画像を見たシャーリーが刹那に質問をした。

「機動兵器――MS(モビルスーツ)だ。」

「モビルスーツ」

「いくつか種類があるが、総じて人型であり全高は18メートルから20メートルが主流だ」

「刹那君は機動兵器って言うたな」

はやてが画像を見ながら「やっぱり」と続けようとしたが言葉にならず、刹那がそれを引き継いだ。

「思っているとおりだ。お前達の地球同様、戦車や戦闘機は存在するが主力はMSだ。勿論、人間が搭乗して操作する」

つまり、戦争になれば人間がこの巨大な機械に乗って、戦闘を繰り広げるということ。

どんな戦闘になるのか。はやてにはまだ想像が出来なかったが、それでも決して良いイメージが浮かばなかったのは言うまでもない。

再び電子音が響く。

《これからお見せする映像は、私のデータとマスターの記憶を元に、第三者の視点からはこのように見えるだろう、という考えにより作成したものです》

空中モニターには、先程の薄い緑色のMSが映し出されていた。

「西暦2307年。この日は、AEUの新型MS――イナクトの発表会だった」

そのイナクトの目の前に、もう一機MSが降り立った。

イナクトと呼ばれたMSよりも人間に近い造形。

額にV字の装飾と双眸。

青と白を基調とした躯体。

右腕には折り畳まれた巨大な剣。

「「!?」」

そのMSを見た全員が目を見開いた。

似ていたのだ。

否、似ているどころの話ではなかった。

胴体部の形状と色。

右腕に装備された巨大な剣。

背中から放出される光。

それは、まさしく……。

相対する二体の巨人。その一方が動いた。

イナクトが左手にナイフを持って、青いMSに突き出す。

直後、青いMSは右腕に装備されていた剣を起こして右腕を振り上げた。

たったそれだけで、イナクトの右腕が切断され地面の落ちる。

「なっ!!」

はやてが驚きの声を上げた。

他の者も声に出してはいなかったが、驚愕の表情を浮かべていた。

モビルスーツと呼ばれる物がどのような材質で造られているのか、はやて達にはわからなかったが、それでも鋼鉄以上の硬度を有しているのは想像できた。

しかし、青いMSの剣は容易く相手の腕を切断したのだ。

並外れた切断力ではないことは明らかだった。

さらに、青いMSは至近距離の射撃を滑らかな動きで避け、右肩の後部から何か(・・)を引き抜くと、光輝く刃を出現させる。

右腕の大剣と左手の剣。二振りの剣により次々と攻撃を繰り出し、相手の左腕と右腕を肩から斬り飛ばし、最後は頭部を吹き飛ばす。

バランスを失ったイナクトが背中から倒れ、青いMSは左手に持っていた剣を戻し、右腕の剣を折り畳む。

「「……」」

あっという間に制圧した【力】を目の当たりにして、言葉を失う。

その沈黙の中で、フェイトが何とか声を出した。

「刹那、エクシア。まさか……これって……」

《そう。これが私の本来の姿です》

「!!」

フェイトの質問……否、確認にエクシアが応じた。

青いMSが自分であると。

 

「そ、そんな……何で……」

フェイトちゃんが質問を続けようとしたところで、画面が切り替わった。

杖を持ち、椅子に座った初老の男性。

見る者を威圧するかの鋭い眼光。

その老人の口から信じられないような言葉を聞かされた。

老人は言った。

自分達は【ソレスタルビーイング】という名の私設武装組織であると。

機動兵器【ガンダム】を所有していると。

そして、世界各地の戦争行為に対して武力による介入を開始すると。

……戦争根絶のために。

その為に、自分達は創設され立ち上がったのだと。

「……」

静寂が辺りを包んでいた。

誰も声を発することが出来ないでいた。

《私は、型式番号GN-001。機体名ガンダムエクシア。私を操縦するパイロット――ガンダムマイスターは、勿論……》

「刹那」

「そうだ」

フェイトちゃんの言葉に刹那君が首肯する。

モニターには、出会った頃の……少年の刹那君が映し出された。

――俺はソレスタルビーイングのガンダムマイスター。戦争根絶を目指す者。

刹那君の言葉を思い出していた。

そこに、キャロが手を上げた。

「先程のお爺さんはどなたですか?」

「イオリア・シュヘンベルグ。ソレスタルビーイングの創設者だ」

「イオリア……あれ? その名前、どこかで……」

スバルが首を傾げた。

「太陽光発電システムの提唱者」

「「……ええっ!!?」」

みんなが驚きの声を上げたあと、はやてちゃんが深く息を吐いた。

まるで、この場と自分の緊張感を解きほぐすかの様に……。

「はぁ~~~」

そして、背もたれに身体を預けて見上げる。

「どうした?」

「どうしたも、こうしたも……。正直、想像を超える話の連続で頭がどうにかなりそうや」

「だが、事実だ」

「そうやろうな。この期に及んで刹那君が嘘をつくわけがない。せやけど、300年後の地球とか巨大な機械兵器――モビルスーツやったな。それが軍事力として存在して、さらに刹那君はそのパイロット。そして、私設武装組織の一員で世界に対して事実上の宣戦布告。いくら、刹那君に事情があると理解していてもこんなん想像できるわけないやん」

はやてちゃんは、まるでお手上げだと言わんばかり。

「ならば、ここでやめておくか?」

「まさか、『信じられません。やめましょう』何て言えるわけないやん。ただ、ビックリの度合いが大き過ぎただけや。構わず続けて……で、ええよな?」

そう言って、はやてちゃんが皆を見渡す。

「私は元々全部聞くつもりだったし」

フェイトちゃんが真っ先に答えた。

皆も黙って肯く。

「わかった」

そう言うと、刹那君は話を続けた。

ガンダムマイスターは、刹那君の他に3人居るということ。

プトレマイオスという母艦があり、そこにはオペレーターや操舵士、戦術予報士という人達が居るということ。

 

「しかし、戦争根絶のためとはいえ、少数で世界を相手に喧嘩を売るとは……正気とは思えねぇ」

「おまけに矛盾している。戦争を無くす為の行動が武力とは……下手をすると敵と判断される」

「でも、ソレスタルビーイングの方々は覚悟を持っているのではないでしょうか? それに、少数でも世界を相手にするからには有利になりえる何かを持っているのでは?」

ヴィータとシグナムの言葉にティアナが意見を述べた。

「ソレスタルビーイングのメンバーは、様々な理由で参加している。テロや紛争で家族を失ったもの。軍事の一環で人体実験を受けた者。そういった者達が『戦争を無くしたい』という想いで集まった」

「……刹那は? 刹那はどうしてソレスタルビーイングに?」

刹那は以前、紛争で両親を失ったと言った。

だから、刹那は紛争を……戦争を無くしたいと思っているのだと思った。

でも……。

「歪んだ世界(現実)を断ち切るために……」

「え?」

「ティアナの言うとおり俺達にはアドバンテージがあった。その一つが、ガンダムだ」

私の言葉が聞こえなかったのか、刹那はそのまま続けた。

そして、刹那の話は【ガンダム】に触れた。

読了お疲れ様でした。

 

え~と、ですね。

さっくり終わらせるつもりだったのですが、気がついたら前振りでてんこ盛り。

何故?

おまけに、区切りが……。

刹那のお話が何話になるか……読めなくなってきました(汗)

 

 

次回に、また。


 
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