No.522017

超次元ゲイムネプテューヌ 希望と絶望のウロボロス

さん

うむっ、遂にクライマックスが見えた気がした。
そしてまた空にキチガイ設定が出来た気がする……。

2012-12-23 20:08:27 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1128   閲覧ユーザー数:1058

夜天 空side

 

「----」

 

振り下ろされる無垢な刃を体を逸らして避ける。

次に来る薙ぎ払いをその場で跳んで躱すが、それを予測していた相手も同時に飛び大鎌を振るうような回し蹴りを繰り出してくる。

僕は咄嗟に手を交差させて、ガードするが防御姿勢を嘲笑うかのごとき強烈なパワーにより軽く引き飛ばれる。

 

「」

 

地面に体を大きく激突させ、砂埃が舞う。

あの傷の所為で、喉の機能はほとんど役に立たない。

声は掠れた声程度で、それなりに重症だ。

レイスの断切の概念で傷つけられた僕の体は、癒える気配が全くない目の前の敵に破壊の力の封印を解除してくれるなら話は別だけどーー!

 

「それっ」

 

感情が込められていない声音が聞こえたと同時にその場から急いで離れる。

僕がいた場所には巨大なハンマーが振り下ろされ、地面を容易に陥没させる。

もしあの場に僕がいたならば、潰れたトマトのような惨状になっていただろう。

彼女はハンマーを無に還して、さきほど使っていた刀を再度、具現させた。

 

ーーー『布都御魂剣(フツミタマノツルギ)』、こことは別の世界に存在する神殺しの刀だ。

この世界の神殺しの武器と威力が同じぐらいだが、彼女の掛けたブーストにより限界突破しているため、一撃でも致命傷となる。

 

「桜花」

 

神速の速さで僕の懐に飛び込み腕が霞んだ。

又もや、空に吹き飛ばされるギリギリで展開していたガントレットのお蔭で九死に一生を得れた。

 

「葬爪撃」

 

安心する余地はない。

彼女の戦いには容赦がない。そうするように教え込んだのは僕とレイスだからね。

心を殺せ、鬼となれ……とかメタな教育はしていない。彼女の力は特別それを忌み嫌う存在が地獄の亡者のようにいるのだから。

自覚しろ、自身がどうしようもない化物だと『神殺しの頂点』だと言うことを。

 

 

 

 

でも、一言あるとすればーーーこれは模擬戦なんだよーー!!!!

空亡ちゃん滅茶苦茶、殺す気満々じゃねぇかー!!!

 

「」

 

どわぁ!?髪がちょっと切れた!?

刀と鞘の混合した殴る、蹴る、斬るの踊る様な連撃に縦横無尽に体を動かして捌き続けるが正直な所かなり辛い。

空亡ちゃんの能力で自動的に体のスペックが僕の数倍にまで跳ね上がるのだ、更にさきほどネプテューヌ達もいるからそれをさらにそれが陪乗して、もはや手の施しようがないほど空亡ちゃんのスペックは上がっている。

ぶっちゃけ、彼女の動きなんて見えない(・・・・)。『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』と三つのクローがあるガントレット『雷影牙狼(フェンリル)』で、今までの戦闘経験から見えないほどの速さで動く彼女の攻撃を予測して弾く。

 

女神を要求する未来(ゲハバーン)

 

刀からゲハバーン二刀流に変え、更に空亡ちゃんの速度を増す。

ブーストにより、別次元ではマジュコンヌすら一撃で滅ぼすほどの威力を更に上げ、絶望的なまでの光速剣閃ーーーふむっ、軽く終わっている。

 

「双迅乱舞・永劫殺」

 

 

\ピチャーーーン/

 

 

 

 

 

目が覚めるとそこは血の世界だった。

天空は鮮血のような赤黒い色で、地面は血で沈んでいる。

俺の前の零崎 紅夜ーーーいや、レイスが十六の世界を殺したその経験から生まれた心理世界だ。

倒れていたのか、俺は血の池で無抵抗のまま浮かんでいる。

目に入れる色は全て痛く、起き上がるこの世界に来ると必ずと言ってもいいほど俺は血だらけになる。

 

「強制的に連れてきてすまん。俺もだが、お前もかなり時間がないようだからな」

「…………なら、この世界をどうにかできないのか」

 

容姿が双子やクローンと呼ばれても可笑しくないほどまで一致している容姿をした俺の前世であるレイスは血の池に立ちながら俺を見てきた。

 

「あぁ、目に悪かったか」

 

レイスにとっては見慣れているのか、そう思わせるようにレイスは涼しげな顔で血の世界を見つめ指を鳴らした。

すると大地を満たしていた血は全て無くなり樹木が生え、雑草が生え、自然を造りだし、見苦しい鮮血の空は一瞬にして消え去り蒼穹の空と輝かしい光を放つ太陽が造られる。

 

「…………」

「いつまで寝そべっているんだ?いくぞ」

 

心理世界……ここはレイスの世界だとしてもこんな直ぐに変化できるのか?俺は疑問を心で渦巻きながら立ち上がりレイスの背中を追う。

 

「ほら、座れ」

「あ、あぁ」

 

続く草原をある程度、歩いたところで白と金で彩られたロイヤルな席に座る。

何度も言うがここは彼のだけの世界なんだ。何が出てきても不思議じゃない。

 

「あの……」

「あぁ、ちょっと待ってくれ」

 

俺が要件に入ろうとするとレイスを手を出して静止させる。

何をするかと思えば、コートの中から小さな箱を取り出した。

そこから、紙で包んだ棒を取り、指先に炎を灯し棒の先端に火を付け、口に含み、白い煙を吐いた

 

「……煙草?」

 

それも紙巻タバコだ。

 

「ティシフォネやマジックの前で吸おうとすると体に悪い!と言って中々吸う機会がないんだ。くうちゃんの前だと論外だし……あぁ、うめぇ~~」

 

時に鬼神の如く戦うレイスの意外な場面を見たーーーこいつ、中年サラリーマンかと心でツッコミが浮かんだ。

 

「いる?」

「いらん」

 

仮にも未成年に進めるな。犯罪組織の副幹部

 

「レイス、話ってなんだ。その為だけに俺をこの心理世界に引っ張ってきたんだろう?それに時限爆弾ってなんだ。俺の体の中で何が起こっているんだ」

「負」

 

そう短くつぶやいてレイスは白い煙を吐き出す。

 

「罪遺物は十六界の全ての生物を魂魄を見境なく喰らい尽くした物だ。そして内包した魂は長い年月を得てそれは全て怨嗟へと変わってしまった。その叫びはこの世を壊すほどの言霊となった。」

「…………」

 

罪遺物、この体そのものことだ。

ある程度のことは空から聞いていた。絶対に使うことが出来ない代物だと言われ続けてきた。

 

「この世界ーーーゲイムギョウ界に逃げてきた同時に俺は全ての力で己自身の意識と罪遺物の力を封印した。俺が居なくなった肉体という器からは、お前が生まれたのだ」

「俺が……?」

「あぁ、それを想定させたうえで施した封印術式だが………お前がブラッディハード・エクリプスへと別の存在することによって封印が弱まってお前の刺激し始め、ゲイムギョウ界の負を取り込もうとしている。」

 

それはつまり俺はいま、浸食されていると言うところかお前の遺産に

 

「その通りだ」

 

驚きはしない。

ここはこいつの心理世界なんだ。何でもありだと言うことだろう

だから俺は、心の中で呟いた抗う方法はないかと

 

「ないな」

 

当たり前だと言わんばかりにレイスは口を開いた。

 

「今のお前の状況は、破裂寸前まで風船に水を入れた状態で、更に水を入れ始めている。一週間以内に俺の封印は破壊され、お前は一気に闇に飲まれてバットエンドーーーゲイムギョウ界のありとあらゆる生物を鏖殺するだろう。更にブラッディハード・エクリプスを使えば更に時間は加速する」

 

………もう一度、その封印術式を俺に組み込むことはできないのか?

 

「無理だ。言ったろ?あの時の俺の全ての力を使って要約、不完全に封印できたと、………それに俺も時限爆弾を仕込まれているからな、俺が俺で入れる時間も残りわずかだ。」

 

レイスは目を細め自分の体をぽんぽんと忌々しく叩いた。

ずっと不思議に思っていたことだ、お前は俺の前世で俺の中で完全に意識と罪遺物の恐るべき力と共にを封印したのに、なんで俺の目の前に現れることが出来る。

 

「ーーーお前が空を倒した後、俺はコイツなら大丈夫だと思い。お前から抜けた。魂だけになった俺はこの世界に従い。ギョウカイ墓場に言ったが……奴につかまったんだ」

 

捕まった?。誰に

 

「ディスペア・ザ・ハードーーー聞いたことがあるだろう?」

 

俺と同じオッドアイの瞳が刺す様に冷たく光る。

その名前には聞き覚えがある。確か空と原初の女神レインボハートが協力して封印することができた究極の災厄とか言われる魔人だと空が言っていた気がする。

 

「本来なら俺は冥獄界に送られる筈だったんだが、俺の魂はあいつにとって極上の獲物、そしてあいつの封印を解除する鍵だったみたいなんだ。っで俺は一度見事に喰われた」

 

喰われた……と言うことはディスペア・ザ・ハードが復活したのか!?

 

「っで、乗っ取ってやった」

 

乗っ取ってやった!?おまえどんだけ規則外なの!?

 

「だけどな、さすがの俺も限界が近づいてきたんだ。喰われたことには変わりないし、マジェコンヌのバカ野郎が女神のシェアを削るから余計に復活しやすい環境が出来てしまったんだ」

 

だとしたらお前は何で、マジェコンヌの味方をするんだ?

お前の立場を考えれば、デメリットしかないぞ?

 

「お前の立場を悪化させた形だ。俺も女神を見ると殺戮衝動が溢れる。なにせディスペア・ザ・ハードは………ブラッディハード・ベルゼルグの上位種だからな」

 

空が出した二つの選択肢の一つ、モンスター形態の上位種……?

いや、そもそもお前がブラッディハードの存在を知っているんだ?一応それは、かなりの機密事項に入るんだが。

 

「空が隠しているんだろ。良く考えてみろ、なんであいつはブラッディハードの上位種を知っているんだ?」

 

……分からない。

 

「過去のブラッディハードによれば、お前は5代目らしいな」

 

過去の……ブラッディハードだと。

いや確かに、俺が初のブラッデイハードなら、空がエクリプスやベルゼルグを知っている訳がない。だとしたら前例があるんだ。

 

「まぁ初めて女神と友好関係を持ったのはお前が初だけどな。ほかのブラッディハードは女神に殺されたり空に殺されたり色々だ」

 

俺はその事実に手を震わした。

 

「ディスペア・ザ・ハードはゲイムギョウ界で負の集合体であり、同時に人々の負を無限に吸収する存在だ。そうすることでこの世にはモンスターと言う概念を生ますことなく平和を回すことが出来たが、内包した負が基準値を超えディスペア・ザ・ハードは暴走しこの世界を破滅させようとした。」

 

この世界のモンスターの源は負だ。

負さえなければ、モンスターは生まれない。

 

「封印したもの、世界の法則は崩れ、世界にモンスターという災いが生まれたーーーまぁ、その当時は空でも気づかずレイさんが死んだあと気づいたことみたいだがな」

 

そんなことがあったのか、そんなことを考えているとレイスは小さくなった煙草を完全に焼失させ、真剣な眼差しでこちらを見いた。

 

「つまり、モンスターを統べ、操作することができるブラッディハードとモンスターを生み出すことが出来る冥獄界という存在は、空が作り出した人工のディスペア・ザ・ハードだと言うことだ」

 

世界の為……と考えれば、考えれば楽になる。

必要悪と思えば、仕方がないと納得するしかない。

 

「一応、封印術式の応急処置はしてやる。マジェコンヌはともかく、四天王は説得したからお前たちと敵になる確率はかなり低くした。」

 

本当にお前は規則外だな。

 

「この会話を最後に俺とお前の魂魄のつながりを完全に断つ」

 

いつの間にかレイスの手には、ありとあらゆるものを断切する『死味魔境(レデュラ)』が握られている。

 

「今度、俺と会うとき……その時の俺が正気でいる可能性が低いからな」

 

驚かない。会話の途中から既に予想は出来ていた。

レイスはもう少しでレイスでは無くなる。

俺も時間が来れば、抗うことが出来ない怨嗟に飲まれて化物になる。

 

「………頼む」

 

炎が燃え上がる様な形状をした大剣を持ってレイスは真っ直ぐ俺を見詰めた。

 

「ティシフォネを、くうちゃんを頼む!」

 

それは家族を心配する眼差しだ。

 

「……分かった」

 

レイスはその答えに満足したかのように『死味魔境(レデュラ)』を振るう。

大地と天空を断つ一撃は、心理世界でも有効なようで俺達を境界に世界は割れる。

 

「でも、レイス」

 

落ちていく中で俺も手を伸ばす。

届かないと分かっても、家族を思いやり、この世界を大切に思い、俺を鍛えたり空に喝を入れたりするお前はとても優しいのだろう。

お前の様な奴が、愛されている奴が、死ぬなんて勿体なさすぎる。だからーーー

 

「お前も救ってみせる」

 

レイスは最後に笑った。


 
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