第百六十三技 二刀流VS双剣
キリトSide
俺の『エリュシデータ』と『ダークリパルサー』、デモントの双剣『ガウルファング』がぶつかる。
俺は右手に持つエリュシデータで上段から斬りつけ、奴はそれを左手の剣で受け止め、
すかさず俺は左手のダークリパルサーで切り払いを仕掛ける…が、奴はものともせずに右手の剣で受け止めた。
「なるほど。ハクヤ相手に片手剣で戦りあえたのは、マグレじゃないわけか」
「当ったり前よぉ。《双剣》スキルを高める為にモンスターと戦いまくったからなぁ。
そのうえ、このガウルファングを作る為に慣れねぇ《鍛冶》スキルまで使ったんだ。
ま、お陰さまで経験値も稼げてレベルもかなり高めることが出来たがな」
どうでもいいことまでペラペラとぬかしてくれたが、
少なくともコイツのレベルが安全マージンである87を超えている可能性は十分にありえる。
加えて本気ではないとはいえ、ハクヤと渡り合える事ができるということは戦いの才能も高いということだ。
それにしても、こんな奴にユニークスキルが発現するとはな…。
茅場の仕業かそれとも茅場自身も想定外だったのか…。
「なぁにボケッとしてんだよ!」
「くっ!?」
―――ガギィンッ!
思考を張り巡らせすぎたのか隙を突かれてしまった、らしくないな。
ユニークスキル持ちとはいえコイツは危険すぎる……ここで片づけた方が今後も、リアルでも世の為かもしれない。
俺自身の思考も最早常人のものでもないか…。
「ふっ!」
俺はソードスキル《ダブルサーキュラー》を発動して斬りつけ、
奴は攻撃の
「ぐっ!? はっ、ようやく本気かよ!」
奴は俺が本気だと思っているらしいが、まぁいいだろう。
まだ本気でいく必要はない。そう思わせて油断しているところを潰す!
「ハァッ!」
「疾っ!」
再び刃を交える俺達。デモントは俺に双剣を振り下ろしてくる。
俺はそれを二振りの剣で流し、奴の額に頭突きをかました。
お互いに僅かにHPが減るが俺は無視してショルダータックルを行い、奴を吹き飛ばす。
「っのやろー!!!」
体勢を直したデモントは双剣による猛烈な剣戟を行ってきた。
切り払い、斬り下ろし、薙ぎ払い、突き、さらには双剣で同時にそれらを行うが、俺はそれを全て捌いていく。
「くっそがぁ!!!」
当たらぬ攻撃に苛立ちを覚えたのか、デモントは俺に向かって突撃してきた。
そこで奴の双剣にライトエフェクトが発生した、ソードスキルか!?
奴が右手の剣で斬りつけて来たので左手のダークリパルサーで防ぐ…が、まだ攻撃は終わっていなかった。
奴は体を浮かすと今度は左手の剣で斬りつけてきた。
「ぐっ!?」
突然のことに驚いた俺は反応が遅れ、エリュシデータで受け流そうとしたが頬を少し抉られた。
幸い麻痺毒を受けることはなかったが油断していたのは俺の方だったか…。
「まだまだぁ!!!」
デモントの声で俺はさらに気を引き締めた。
奴はソードスキルならば当たるのだろうと思ったのか、またもやスキルを使用してきた。
双剣にライトエフェクトが灯ると、右の剣で斜め切り下ろし、左の剣で斜め切り下ろし、
両方の剣で突き、最後に斬り下ろしを行った…が、俺はそれを小さく呟いてから全て回避する。
「(ボソッ)………」
「なっ!?」
驚愕するデモント。スキル発動直後の硬直で動けない奴に対して俺は剣で軽く斬りつけるのみ。
奴のHPは僅かに減るだけだ。それに屈辱を感じたのだろう、奴は顔を怒りの表情に染めて再び向かってきた。
「ウオォォォォォ!!!」
「ふぅ~……神霆流歩法術《
雄叫びを上げながらデモントが行う剣戟の嵐を、俺は足捌きと僅かな動きの緩急だけで全て躱す。
これこそが《影霞》ってな。
攻撃が全て避けられたことにさらなる苛立ちを覚えたのだろう、再びソードスキルを使用してきた。
双剣による刃の乱舞……斬りつけ、切り払い、切り下ろし、切り上げ、薙ぎ払い、突きを行っていく…が、
やはり俺は全てを躱してみせた。
「へっ?」
全てで十八連撃はあっただろう攻撃を避けられたからか、デモントは呆然とした様子で俺を窺い見る。
その表情に恐怖が浮かぶ……なんせ、俺が二振りの剣を構えたからだ。
「
デモントが武器を構えたのを確認して、俺は技を使う。
「神霆流闘技《
俺は左手のダークリパルサーを逆手に持ち替え、右手のエリュシデータと並べて構えると、
体勢を低くしてから突撃した。
デモントの双剣にワザと剣をぶつけて弾き、追撃を行う。
「はっ! しっ! ふっ!」
俺は連続で斬りつけていく。
「うっ、がっ、ひっ!?」
俺の猛攻に、デモントは必死に攻撃を受ける……のではなく、俺が奴の武器に当てているのだ。
だがそれも終わる。
「神霆流闘技《
《呀雷》の構えのまま回転を行い、奴の武器に多大なダメージを与えてから、
「神霆流闘技《
回転の勢いを利用して、再び逆手に持った剣で斬りつけてからそのまま回転してもう一度斬りつける。そして、
―――バギィンッ!
デモントの双剣ガウルファングは砕け散った。俺はなおも構えを解かない。
「ま、待て!? 待ってくれ!?」
「お前が真人間だったなら、待ってやったけどな…」
奴は制止の叫びを上げるがそれは無理な相談だ…。
「神霆流闘技《
俺は逆手に持っていたダークリパルサーを通常の持ち方に戻し、
二振りの剣でデモントの胸元に向けて、最速の突きを放った。
「がはっ!?」
命中した事で奴はそのまま後方へと吹き飛ばされていった。
さてと、死んだかな?
俺は周囲で戦闘が続く中、デモントが飛ばされていった方に向かった。
キリトSide Out
To be continued……
オリジナルスキル・技説明
ソードスキル《ディレイバイツ》(デモントが最初に使用したスキル)
双剣のスキル。右手の剣で斬りつけた後、体を浮かせてから左手の剣で切り下ろしを行う。
ソードスキル《レインドバイツ》(デモントが二回目に使用したスキル、キリトに避けられた)
双剣のスキル。右斜め切り下ろし、左斜め切り下ろし、双剣突き、双剣切り下ろしを行う。
ソードスキル《クロス・ブラッディズ》(デモントが三回目に使用したスキル、キリトに避けられた)
双剣の最上位スキル。双剣による十八連撃の剣戟を行う。
神霆流・闘技《
二振りの刀か剣、二本の槍で最速の突きを行う技。《鬼雫》の強化技。
神霆流・歩法術《
特殊な歩法による回避術。少しの足捌きと動きの緩急で行う。
後書きです。
はい、デモント戦終了です。
結局のところ、自分より弱い相手としか戦ったことがないデモントではキリトには敵いません。
ちなみに次回で討伐戦そのものは終わります、が・・・カノンの身になにかが・・・。
他の神霆流の技は初使用時を参考にしてください。
それでは・・・。
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第百六十三話です。
デモント戦になりますが・・・この話しだけで終わりますw
強いといえば強いですが、キリト相手じゃあねぇ~。
では、どうぞ・・・。