No.517303

やさぐれ魔法少女マッシヴドリーム

木十豆寸さん

ギャグかけって言われたから描き始めてみる。可能な限り毎日更新頑張る。

2012-12-11 02:24:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:352   閲覧ユーザー数:350

 それは夏の暑い日だったことを覚えている。アスファルトの熱と強い日差しにより板挟みにされた俺は、汗を流しながら水泳道具を片手に三十度はあるんじゃないかという急な坂道を上っていた。

 その時見えた坂の上にある青空は、吸い込まれるように真っ青で、群青という表現がしっくりと来るような、見ているだけで歩く気力の削がれる色だった。

 それでも藍人との約束をすっぽかす気にならなかったのは、彼に大きな借りがあるからだった。

 彼が居なければ今の俺はいない、また逆もしかり、お互いに借りがあるからこそ俺たちは裏切れなかった。

「ちょっと、そこの暑苦しい奴」

 彼女の第一声は確かこうだったはずだ。今思えば初対面の相手になんて高圧的な物言いをするんだろうか……まあ、それはいい。その後の行動が問題あった。

 あろうことか、彼女は俺の頭に片足を乗せて着地したのだ。こう表現すると何を言っているのか一瞬わからなくなるが、事実その時俺は彼女に頭を踏まれて灼熱のアスファルトと濃厚な口づけをした。

「ここはどの世界? 魔法は使えるの?」

 恐らく情けない声で地面に倒れ込み、焼けど寸前の地面と愛を育んでいる俺への言葉としてはあんまりな物だった。まず気遣いが無い、これは初対面の人間とコミュニケーションをとる上で非常に不利となる要素だ。そして次に行っている意味が当時の俺にとっては一切理解できないものだった。

 後頭部に乗る足を右手で何とか払いのけて、濃厚なキスから何とか脱出すると、俺は声の主に一言物申そうと彼女をまじまじと見た。

 そして見た後に時が止まった。蝉のうるさい鳴き声も、すぐ近所でファンを回すエアコンの室外機が発する騒音も一切耳に入ってこなかった。

 俺を踏んだ彼女は、肩甲骨あたりまで伸びた髪をツインテールに縛り、フリルがこれでもかと付いた上着を纏い、ちょっときわどいフリルスカート、そしてかなり大ぶりのファンシーな装飾の付いた棒を持っていた。日曜朝にやってるようなアニメから出てきたような、というかそれのコスプレらしかった。

 ただアニメに出てくる彼女らと違うのは、表情がすこし、いや非常に、なんというか……

 やさぐれていた。


 
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