翌日
「皆さん先日の学園祭ではお疲れ様でした。それではこれより投票結果を発表します。」
体育館に学年生徒(一夏以外)のつばを飲む音が響く。
「一位は、生徒会主催の参加型劇『シンデレラ』!」
「「「・・・・・・・え!」」」
皆の口がポカンと開く。まあそうだと思ったがな。数秒後にブーイングの嵐が発生する。
「卑怯!ずるい!イカサマ!」
「なんで生徒会なのよ!」
「私達がんばったのに!」
「劇の参加条件は『生徒会に投票すること』よ。私達は強制的に参加させたのではないのだから、立派に民意と言えるわ。」
それでもブーイングは止まらない。多分次の手は・・・・
「はい、落ち着いて。生徒会メンバーになった織村一夏君には適宜各部に派遣します。男子なので大会参加は無理ですが、マネージャーや庶務をやらせてあげてください。それらの申請書は生徒会に提出するようにお願いします!」
楯無さんの言葉に皆のブーイングは歓声に変わった。
「そ、それならいい!いい!」
「文句なしだよ!」
まあ、結果的にこうなると思ったけどね・・・・はぁ・・・・
「織村一夏君、生徒会副会長着任おめでとう!」
「おめでと~。」
「おめでとう。これからもよろしく。」
楯無さん、のほほのんさん、虚さんの三者三声の言葉のあとに特大クラッカーがぱぱーんと鳴る。
「どうも。」
「あら、意外とすんなりね。」
「大方予想は出来てましたよ。そもそもあれを始めたのは部活内での暴徒を抑えるためですよね。」
「そこまでわかってたのね。」
「ええ。でも生徒会が独占すると今度は生徒会長に挑戦者が募ってくるから最善の策としてクジでの抽選を選んだ。これなら皆に平等ですからね。」
「ほんと一夏君は何者!そこまでわかってると驚きを通り越して恐いよ。」
「ほんとすごいね~。花火のときも思ったけどすごいよおりむ~。」
「お嬢様にここまでした方はあなた以外いません。」
楯無は本音と虚と共に廊下に出て外を眺めていた。
「おりむ~が楯無お嬢様に勝っちゃいましたね~。」
「う~ん、そうだね~。でも織斑君一体何者なのかしら?ねえ虚。」
「はい。彼のことを少しばかり調べましたが彼は昔、第二回モノグロッソのときに誘拐されています。それ以来彼は身体を鍛えたりしています。」
「おりむ~誘拐されちゃったんだ~。」
「近辺に不審な人物は?」
「不振人物はいませんがここ最近に姫矢准、千樹憐とコンタクトがあります。」
「その二人って何かあったの?」
「姫矢准は戦場カメラマンで過去に一時期日本に長く滞在していました。千樹憐は織斑君がバイトをしていた時期の先輩です。ただ・・・」
「ただ?」
「この二人には共通点があるのです。覚えていますか、TLTを。」
「ええ。確か新宿大震災のことを何らかの技術で隠していたわよね。」
「はい。正確には記憶を脳内の片隅にしまわせたと言った方が正しいですね。その新宿大震災の後にTLTは行動を起こしました。それから五年間彼らは駆動続けていました。」
「その後五年後にあの二人がTLTに関係したの、お姉ちゃん?」
「ええ。TLTが解散したときに色々情報が更識の方にも入ってきました。その時に入った情報の中にウルトラマンとビーストの情報も入っていました。」
その言葉に二人は驚いた。
「ええ~~~~~~~~~~~!!!!」
「本音ちゃん、驚きすぎよ。」
「で、でもなんで私達や皆が覚えてないんですか~?」
「それはISの技術的進歩が活発的だった時期だから。それにそんな話誰も信じようとしなかったのよ。」
「納得ね。ん!」
「どうかしましたか~。」
「あれ!」
楯無が指差す方向を本音と虚が向くとそこには光の何かが落ちてきたいた。
「な、なんですか~、あれ~。」
「わからないけど行くわよ!」
「はい、お嬢様!」
「わわわわ、まって~。」
楯無たちは学園外れの森に向かって行った。
「あれ!楯無さんに皆も!」
一夏も楯無と同じように学園外れの森に落ちる光の何を目撃し向かっていたところ、楯無たちと箒達に合流した。
「さしずめあなた達も見たの?」
「ええ。」
「またウルトラマンかと思いまして。」
ガサガサ
「「「「「「「「「!!!!!!」」」」」」」」」
突然森の中から草木を掻き分ける音が響く。
「ふう、なんだかとんでもないところに落ちたようだが・・・・ん?」
森の中から出てきたのはお坊さんのような服装をした中年男性であった。
「君たちは・・・・一体?」
「いえ、まずあなたからだと思いますよ。ここに無断で入ったんですから。」
「む!そうなのか。これは失礼した。私の名はおおとりゲンだ。」
「俺達はここIS学園の生徒です。」
「IS?あいつが言っていた世界はこのことか。」
「・・・あの・・・」
「なんかね。」
「もしかしてですがISを知らないんですか?」
「ああ。」
一同驚いた。
「またか・・・・」
「またですわね。」
「これ何回目?」
「多分・・・・・・五回目かな?」
「まあそんなところだろう。」
あきれている箒達にのほほのんが話しかける。
「なんでみ~んなそ~んな反応なの~?」
「前に別のウルトラマンが現れたことがあっただろ。」
「うん。」
「その時のウルトラマンは別世界のウルトラマンだったんだ。」
「え~~~!」
「なるほど。それでみんなそんな反応だったのね、納得。とりあえずここで話すのもなんなので織斑先生の立会いの元、生徒指導室の方で話しましょう。」
「そうか・・・またか・・・・」
「やっぱりおんなじ反応ね。」
「お前にはわからんだろうが同じことが何度もあると流石にあきれるぞ。」
「なるほど。」
「あの・・・・・」
「!すみません。改めまして私はここIS学園の教員の織斑千冬です。おおとりさんでいいですか?」
「ゲンでいいです。」
「ではゲンさん。あなたは別世界から来た人ですね。」
「ええ。」
「どうしてあそこにいましたか?」
「それは・・」
ゲンが答えようとした瞬間であった。突然アラームが鳴り響く。
『生徒の皆さん避難してください!ビーストが出現しました!』
「一時中断。生徒の避難を最優先事項とする!」
「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」
「な、なんですか!」
「あなたには私とモニタールームまで同行してもらいます。」
「わ、わかりました。」
学園外れの森にバンピーラが出現した。
「チュイイイイイイイイイイイ!!!」
「何よあれ!」
「クモみたいで気持ち悪いですわ!」
「とにかくアイツを足止めするわよ!」
「はい!・・・・て・・・へ!?」
「ん!どうかした?」
そこには箒達だけではなく楯無の姿もあった。
「な、何でここにいるんですか!」
「学園の危機にのうのうと見ていることなんて出来ないわよ!」
「は、はあ・・・・」
「いくわよ!」
「チュイイイイイイイイイイ!!」
箒達は散開しバンピーラに攻撃を仕掛ける。
「喰らえ!」
「はあ!」
「うおりゃあああああああああああ!!」
「ふっ!」
「くっ!」
「うりゃ!」
バンピラーに少しばかりの効果はあったがあまり意味がない。バンピーラは糸をセシリアに向けて吐く。
「きゃあああああああ!!」
「セシリア!」
箒、鈴、楯無が糸を切ろうとするがまったく刃が立たない。
「なんて堅いのだ!」
「この!切れなさいよ!」
「皆さん離れてください!このままでは!」
「何言ってるのセシリアちゃん!仲間を見捨てるなんてことは絶対してはいの!」
セシリアを引き込もうとバンピーラは勢い強く引っ張った。
その途端バンピラーの前を閃光が通り過ぎる。
「!あれは!」
そこには左の手のひらに青光りの球体を載せ、片膝を突いたネクサスの姿があった。
「シュア」
ネクサスは左手の上に乗ってある青光りの球体を地上に向けて投げる。青光りの球体からはセシリアが出てきた。
「セシリア!」
「よかった~。」
ネクサスは立ち上がりバンピーラに向けて構える。
「シュア」
「チュイイイイイイイ」
ネクサスとバンピラーは互いに突進する。ネクサスのほうがバンピーラを押す。ネクサスはバンピーラの胸部にキックを喰らわす。バンピラーは悲鳴を上げる。ネクサスはバンピーラの足の一本を掴み投げる。ネクサスはクロスレイ・シュトロームを放とうとする。
「シュアアア、シュグアア!」
突如ネクサスの足元がめくり上がり、バグバズングローラーが出現する。
「ギギャアアアアアアアアアアン」
「またアイツ!」
「でも色とか違うよ!」
「口より手だ、シャルロット!」
ラウラはレールカノンをバグバズングローラーに向けて放つ。
カンッ
ボトン
「・・・・・・え!」
鈍い音が響き渡る。ラウラの放ったレールカノンの銃弾はバグバズングローラーの皮膚に当たったがあまりの強度に銃弾が潰れ落ちた。
「な、なんて堅い装甲!」
「いいえ、どちらかと言えば皮膚ね。」
「でもこれじゃあ僕らの攻撃の意味がないよ。」
バグバズングローラーはネクサスに両手の鎌で攻撃する。ネクサスは両腕のアームドネクサスで受け止めるが後ろからバンビーラが突進してくる。
「グアア!」
体制を崩し、ネクサスは片膝を突く。バグバズングローラーはネクサスに蹴りを喰らわす。ネクサスは転がる。バンビーラはネクサスの足に糸を巻きつけ振り回し、飛ばす。ネクサスが立ち上がったところをバンビラーは糸をネクサスの上半身に吐く。ネクサスは身動きが封じられる。バグバズングローラーはネクサスに容赦なく鎌で攻撃する。
「織斑先生!」
「山田先生。今の私達には何も出来ません。」
「でもルラーノさんの使用禁止しているビーム兵器だったら!」
「それは違っている!」
「「!!」」
「強い力は時に無関係な人を巻き込む。」
「でも~!」
「お譲ちゃん。」
「はい~?」
「人は戦うために武器を使うね。」
「はい。」
「だが武器ばっかりに頼っていてはダメなんだ。最後には自分の力が頼りになる。」
「自分の・・・・力・・・・」
「ああ。ここにいなさい。」
「あ、あなたは!」
「同じウルトラマンを助けに行く。」
そう言ってゲンはモニタールームから出て行った。
ネクサスがバンビーラとバグバズングローラーの卑劣な攻撃を受けている様を箒達は指を加えて見ていることしか出来なかった。
「私達にもっと力があれば!」
「シールドエネルギーもそこを突きましたし、私達には何にも出来ませんわ!」
「君たち、まだここにいたのか!」
「「「「「「!」」」」」」
声を掛けられた方を向くとそこにはゲンの姿があった。
「何でここにいんのよ!」
「同じウルトラマンを助けるためだ。」
「え!じゃああなたも・・・・」
「下がってなさい。」
ゲンは左手の薬指にはめている獅子の顔が彫られ、赤い宝石がはめ込まれているレオリングを前に突き出し叫ぶ。
「レオーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
バグバズングローラーとバンビラーにきりもみキックが炸裂する。バグバズングローラーとバンビーラは倒れる。
地上に地響きを立て現れたのはウルトラマンレオであった。レオはネクサスの身体を起こす。ネクサスのエナジーコアが光り輝きネクサスは自力で拘束から開放する。ネクサスとレオは向き合い頷き、バグバズングローラーとバンビーラに向けて構える。
「シュア」
「ヤア」
ネクサスは左手を胸にかざし振り下ろす。ネクサスはジュネッスブルーになる。ネクサスはバンビラーに向けた踵落としを喰らわす。バンビラーは脳天を打たれもがき苦しむ。ネクサスは空中三段蹴りを食らわしバンビラーを吹っ飛ばす。ネクサスは左手に光を込め、
バンビラーの胸部に叩き込む。バンビーラの動きが鈍る。
レオはバグバズングローラーに向けて二段蹴りを喰らわす。バグバズングローラーは悲鳴を上げる。バグバズングローラーはレオに向けて鎌を振り下ろすがレオはバグバズングローラーに蹴りを喰らわす。バグバズングローラーの攻撃は無効になる。レオはジャンプし右手を振り下ろす。バグバズングローラーは両手の鎌をクロスさせて防ごうとするが流れ切りの技で両手の釜を切断する。レオはジャンプし急降下キックを喰らわす。バグバズングローラーの動きが鈍った。
ネクサスはアローアームドネクサスを胸にかざしY字型の矢を形成しバンビーラに向け、アローレイ・シュトロームを放つ。
「シュッ、フッ、ハアアアア、フィア」
「チュイイイイイイイイイ」
バンビラーは光の粒子となった。
レオはバグバズングローラーに向けてレオキックを喰らわせる。
「ハアアアアアアア、アイヤーーーーーーーー」
「ギュオオオオオオオオン」
バグバズングローラーの身体を貫通し、バグバズングローラーは光の粒子となった。
ことが終わり、ゲンは千冬たちに質問されていた。
「おおとりゲン、貴様はウルトラマンだな。」
「まあ、一応。」
「一応?」
「私が生まれた星はM78星雲で生まれたウルトラマンではないのだよ。」
ゲンの言うことに一同頭に?を浮かべた。
「ああ、言葉が足りなかったね。私は今は無き獅子座L77星で生まれたんだ。」
「今は無き?」
「ああ。私が生まれた獅子座L77星は侵略宇宙人により滅んでしまった。私は宇宙を放浪し第二の故郷、地球にたどり着きしばらくの間安定した生活を送っていた。だが侵略宇宙人は地球を襲ってきた。私は当時の地球防衛チームMACに所属し戦った。だがMACは侵略宇宙人の手により基地ごと壊滅した。生き残ったのは私を含めて二人だけだ。一人は以前に地球を守ったウルトラマンだ。だが彼は戦闘で戦えない状態になってしまった。彼の代わりに私は戦った。」
「MACが壊滅したあとでも私は一人で戦い、地球を守った。」
「大変だったんですね。」
山田先生が同情する。
「まあね。でも今はウルトラの星でウルトラ兄弟として格闘戦闘担当教官としているよ。」
「教官なんですか!?」
「ああ。こんな姿をしているがまだまだ現役だ。」
「あの、いいですか?」
一夏が現に質問をする。
「何かな?」
「ウルトラの星って言いました。」
「ああ。君たちの世界のことはメビウスから聞いているよ。」
「あの人は元気ですか!」
「ああ。彼は元気だ。」
IS学園男子専用の風呂。一夏とゲンは風呂に入っていた。
「こうして風呂に入るのも久しいな。」
「そうですか~。」
「ところで君がメビウスの言っていたウルトラマンになれる少年だね。」
「・・・・・・はい。」
「君は救えなかった命はあるかね?」
「・・・・・はい。今でも忘れません。」
「私もだ。」
「・・・え!」
「私がMACに入りたての頃黒潮島という伊豆諸島の島が水没し住民のほとんどが死んでしまった島だ。その時私は人間の視点でしか戦えないことが悔しかった。だが、それは仕方の無いことだった。今でも私は忘れていない。」
「・・・・・・」
「君が救えなかった命を忘れてないことは立派な戦士になれる証拠だ。頑張りたまえ!」
「はい!」
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花火大会の翌日のIS学園体育館。一夏の運命を決める結果はいかに!