No.516235

ガンダム学園で僕と握手 016 姫様茶会とそれを取り巻く男共<UC・W・∀・00>

レイガンさん

ガンダムのキャラクターたちが学園を中心に生活している世界だったのだ!シリアス成分は少な目で、ほぼギャグのバカコメディ。キャラ崩壊なんて日常茶飯事!作品は1stなどの宇宙世紀作品を始め、平成4作品とSEEDや00などオールです。<>内に主な登場作品を記載しています。

2012-12-08 13:25:55 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1805   閲覧ユーザー数:1773

学園のテラスで優雅にお茶を飲む者たちがいた。

「地球で飲むお茶も美味しいものね」

「あら、まるで自分が地球人では無いような言い方ね」

「最近の若い子にはよくある病気だそうよ」

「マリナさんは俗なことに詳しいのね」

何を隠そう、優雅にお茶を飲むのはそれぞれプリンセスなのであった!!!

自称月の女王、ディアナ・ソレル!

少し頭のねじが飛んでいるリリーナ・ピースクラフト!

仮面金持ちプリンセスのマリナ・イスマイール!

そして唯一まともな姫君、ミネバ・ザビ!

この4人がテラスに揃っていては、その周りの空間全てを支配したも同然。

有象無象の一般人たちは、遠巻きに見守ることしかできないのだ。

「あ、みなさんにお伝えしなければいけないことがありますの」

リリーナが自分の高級バッグの中をゴソゴソと探し始めた。

というか、学校にいるのに学園指定のバッグを持ってこない彼女は問題児である。

「ありましたわ。近々、私の家でパーティーを行いますの。みなさん来て下さらない?」

リリーナが3人にそれぞれパーティーの招待状を渡す。

「まぁ。それは楽しみですね」

ディアナが口元に手を当ててフフフと笑う。

「(キエルさんと一緒に行けば面白いことになりそうですわねふふふ)」

「私もぜひ参加致します。聞くところによると、とても紳士なお兄様がいらっしゃるとか」

ミネバも笑顔で応対した。

「いえいえ、顔はイケメンですけど、中身が残念ですよ。ガルマさんの方がジェントルマンだと思いますわ」

「いえいえ、あれは顔だけで無能な男ですから」

ミリアルドとガルマは泣いていいと思う。

ここにこの二人がいなくて本当に良かったと思う。

「ところでマリナさん」

「ぎくっ」

ずっと黙っていたマリナに会話の矛先が向いた。

「な、何か用ですこと、ほほほ」

当の本人は挙動が不審過ぎているが。

「マリナさんは参加して下さらないのかしら?」

リリーナは邪気が全く籠っていない、屈託な笑顔で尋ねる。

だが、そこには当然来るのだろうという脅しにも似たプレッシャーを発していた。

シロッコは後にこの事件を「プレッシャー危機」と名付けた。

「ほ、ほほほ…ちょっとこの日は用事があっていけませんの…ほほほ」

「あら? 私のパーティーよりも大事な用事なんですか?」

ちなみにリリーナは天然傲慢である。悪意は無いのだ。

「ほ、ほほほ…人生に関わる重大な用事が…ほほほ(ドレスなんて高いから持ってないし、買えないわ!)」

確かにマリナの人生というかプライドに関わる問題であった。

「あらそれは残念ですわ…では他に誰か来てくれそうな方をご存知ですか?」

「あ、アレルヤさんとかはどうですか?」

「アレルヤ?」

「誰かしら?」

「知りませんわね」

アレルヤは学校であまり有名でないようだ。

「あ、私急用を思い出しましたの! これで失礼しますわ!!」

マリナ、逃走。

とにかくこの場を離れて再起を誓った彼女だった。

「ミネバさんは誰か知り合いいらっしゃいます?」

「シャアとハマーンなら来てくれると思います」

「そのお二方は有名ですよね。私もハイム家のお二人も大丈夫だと思いますわ」

「なるほど。よく解りましたわ」

リリーナは手を叩いて二人に笑いかける。

「おや、女性3人かたまって何をしておられるのかな?」

「グエン卿…」

女3人の異様な空気に誰も近づけなかったが、ただ一人の男だけその空気を察知できずに近づいた。

「リリーナさんのパーティーのお話ですわ、グエン卿」

顔見知りのディアナが説明する。間違っても友達などでは無い。

「なるほど。ならば私めと私のローラも一緒に参りましょう」

「ローラ?」

「ローラです!!! 今年入学してきた1年生なんですがね、もう可愛いのなんのって!! 運よく私がいる剣道部に入部してきてね、もう可愛いのなんのって!! 剣道を知らないみたいだから私が一から手取り足取り教えましてね、もう可愛いのなんのって!! あまりにも可愛いからドレス着せてみたんですがね、もう可愛いのなんのうぼぁーーーー!!」

気持ち悪い演説をし始めたグエンの顔に拳がヒットした。

「ディアナ様、お怪我は!?」

「私は何もされておりませんよ。むしろそこのグエン卿が白目をむいております、ハリー」

「ははっ!! 今存じましたっ!!」

「ハリー先輩! 何をして…」

「ポゥか。今しがたディアナ様に不埒な真似をした輩に鉄槌を…」

なお、グエンが不埒な真似をした相手はどちらかといえばローラなので、厳密に言わなくても勘違いである。

でも地味に内心気味が悪いと思っていたディアナは、何も咎めなかった。

「賑やかになってきましたわね」

「申し訳ありません」

ディアナがリリーナに平謝りをする。

「いえいえ」

そんな彼女たちを見つめるもう一人の少年。

「オードリー…」

少年の名前はバナージ・リンクス。彼女に変態の烙印を押されて以降、彼はずっと落ち込んでいたが、ようやく誤解を解こうと奮起していた。

「何て言うか…すごく入りにくいなぁ…」

バナージはあまり会話が得意な方では無い。

友達も多い方では無い。

いわゆるコミュ障の一人であったりする。

「で、でも…それでもっ!! …うあっ…でも…それでも…くうっ…」

だがバナージは一人で頭を抱えたり歩き回ったりしているだけであった。

「俺は…俺はっ…」

「ねぇあの人おかしくない?」

「気にしちゃだめよリヒティ。不審者とは目を合わせちゃだめだからね」

なお、周りの視線は惜しみなくバナージへと注がれていた。

「よっバナージ。何やってんだ?」

「リディさん。あの…オードリーが…」

「オードリー?」

バナージは未だに談笑を続けていミネバを指差す。

「彼女がどうかしたのか?」

「そのカクカクジカジカで…」

「あー…つまり誤解を解きたい訳だな」

「そうなんです!! こんなの…人の誤解じゃありませんよ!!」

「いやぁそれは…」

リディは若干バナージが誤解される理由が分かるような気がした。

彼は人付き合いが異常に苦手なのだろうと瞬時に理解したからだ。

「そこで何をやっている」

「え?」

そんな二人にマリーダが近付いてきた。

「バナージ・リンクス…またお前か」

「え? え?」

バナージとリディはいつの間にかマリーダの他にもディアナやリリーナ、オードリーなどに囲まれていた。

「姫様を見ながら不審な行動を何回も…」

「ち、違うんだ!! 俺は誤解を解きたくて!! だから一日中オードリーを見てたんだ!!」

「お、おいバナージ!!」

リディの忠告も無視でバナージはしゃべり続ける。

「やましい気持ちなんてないんだ! ただただ誤解を解きたかっただけなんだ!! でも話しかけるタイミングが分からなくて、一日中つけてたんだ!!」

「それをストーカーと呼ぶんだ、バナージ。しかもオードリーでなくミネバ様だ」

「それでもっ!! それでも俺は誤解をとかなきゃいけないんだ!!」

必死そうにバナージはマリーダに訴える。

ある程度マリーダもバナージを理解した。こいつは人に何かをするのがとにかく下手なのだと。

だが、お姫様はそう取らなかった。

「バナージ。貴方は必要ない、帰って」

パチン。

ミネバはバナージの頬を叩いた。

「え」

「貴方もよ」

「巻き添えかよ!」

パチン。

ついでにリディも叩かれたのだった。

「行きましょうマリーダ」

「は、はい姫様。バナージ、私が少しフォローするから安心しろ」

マリーダはコッソリとバナージに耳打ちした。

彼女はこの学園の中ではかなりまともな人物であり、根はやさしいのだ。

「マリーダさん!!」

バナージは嬉しさのあまりマリーダに抱きついた。

「そういうのがよくないんだお前は!!」

マリーダは背負い投げでバナージを投げ飛ばした。

「はぁ…」

溜息を吐きながらマリーダは去って行った。

「やったよリディさん!! マリーダさんがある程度フォローしてくれるって!! ん? リディさん?」

「何ていい平手打ちなんだ…」

「常人(ひと)の性癖じゃありませんよ!!」

リディはMに目覚めてしまったようだ。

 

 

 

 


 
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