「おじゃまします」
「はい、いらっしゃい」
今日の夕食はコンウェイの家で食べることになったので、コンウェイと一緒に帰っていたルカはそのままコンウェイの家にお邪魔することになった。
ルカはコンウェイの家に上がるときに礼儀正しく、おじゃまします、と言ったが、コンウェイの家には誰もいない。ルカのあいさつの応えたのは、ルカと一緒に家に上がったコンウェイだ。
「ルカくん、ランドセルはいつも通りイスの上にでも置いておいてね」
「うん!」
ルカはコンウェイの言葉に応えて、いつものように自分のランドセルをリビングのイスの一つの上に置きに行く。
ルカがコンウェイの家で夕食を食べるのは珍しいことではない。むしろ、ほとんど毎日と言っていいくらいだ。
ルカの父親は有能なビジネスマンで、国内・国外問わず様々なところを飛び回っていて、家にいることはほとんどない。ルカの母親も同様に、そんな父親の仕事の関係で、パーティーや会食の同伴のためにほとんど家にいない。それはコンウェイの両親も同様であり、そのため、ルカとコンウェイはほぼ毎日一緒に食事を取っている。
一緒に食事を取り始めたは、互いの両親がそうするように言ったからのもあるが、コンウェイは仕事で忙しいルカの両親の代わりにルカの面倒を小さい頃からよく見ていたので、一緒に食事を取るのは前々からよくあった。
そして、ルカとコンウェイは仲が良いため、一緒に食事というのは今でも続いている。
ルカはまだ小学3年生と幼いため、食事を作るのはほとんどコンウェイだ。そのため、コンウェイの家で食事を取るということがほとんどとなっている。
ルカがイスにランドセルを置いて、夕食の準備をしようとしているコンウェイのそばへ行く。
「コンウェイ、何かすることある?」
「じゃあ、そこにある玉ねぎの皮を取っておいてくれるかい?」
ルカはいつも積極的に食事の手伝いをしようとする。コンウェイはルカに手伝うように言ったことはない。ルカが先に手伝おうとするからだ。
ルカにとって、コンウェイが一番よく一緒にいる人であり、一番親しい人である。
だから、ルカはコンウェイにはよく話し、そのため一層親しくなってくる。
コンウェイからすると、教えなければいけないためルカの手伝いがない方が早く食事の準備ができるときがある。しかし、コンウェイにとってそういうことはどうでもよく、ルカが手伝ってくれることが嬉しかった。幼いルカが拙くも一生懸命に手伝ってくれるのは微笑ましいことであったし、一人で食事の準備をするより、ルカと一緒にする方が楽しかった。
そのため、ルカとコンウェイはいつも一緒に食事の準備をしている。
「あのね、コンウェイ―‐」
玉ねぎの皮をむき終わり、次は材料を洗うことになったルカが、丁寧に水で洗いながら言った。
「今日、学内交流があったんだ」
そうだったな、とコンウェイは思った。学内交流があることは前にルカから聞いていた。
そして、ルカが自分からその話をしたことから、今日ルカが嬉しそうにしていたのはそれが理由だと気づいた。
ルカは人見知りするので、少し心配していたのだが、いらぬことだったようだ。むしろ、ルカにとって楽しいものであったようであり、コンウェイは安心した。そして、心で喜んでいた。
「どうだったんだい?」
「あのね!すごく楽しくてね―‐」
ルカは食事の準備をしながら、今日の学内交流のことを楽しそうにコンウェイに話した。
この前に会った人が同じ班だったこと、ドッジボールをしたこと、ボールの投げ方や受け方を教えてもらったこと――‐
「うん?」
ルカの話に相槌を打っていたコンウェイが、途中で何かに疑問を抱いたようだった。
「コンウェイ、どうしたの?」
「今、スパーダ・ベルフォルマって言ったかい?」
「うん!スパーダがボールの投げ方とか教えてくれたんだ!!」
「そう・・・・・・」
コンウェイは何か考え込むように、少し俯く。
「どうしたの?」
ルカが不思議そうにコンウェイに尋ねる。
「ううん、スパーダくんってあの有名なスパーダくんのことかなって」
「えっ、スパーダって有名なの!?」
「うん、噂だけどね。確か――‐」
コンウェイは、スパーダの噂をルカに話した。
話しながら別のことを考えていた。
(「・・・スパーダ・ベルフォルマね。あのベルフォルマ家の末っ子か・・・」)
「スパーダってケンカが強いんだね!」
「うん、とても有名だよ」
コンウェイはルカにスパーダの噂を話し終えて、ルカはその話に目を輝かせていた。
「じゃあ、夕食をテーブルに運ぼうか」
「うん!」
コンウェイがルカにそう促すと、ルカはテーブルの食事を運び始めた。コンウェイも一緒に食事を運び始める。
「じゃあ、食べようか?」
「うん、いただきます!」
「いただきます」
ルカとコンウェイは――ルカはいつもより元気に――夕食を食べ始めた。
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TOI-Rの現代パロの5話目です。