No.510893

【獣機特警K-9】動き出す暗雲【交流】

古淵工機さん

前回:http://www.tinami.com/view/509864
いよいよ動き出した凶悪な影。さぁ、一体どうなってしまうのか!

◆出演
アンバー:http://www.tinami.com/view/424395

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2012-11-22 00:54:36 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:790   閲覧ユーザー数:762

フェザントヒル市内某所…その片隅に置かれている、FXⅠ形電車の廃車体。

二度と鉄路を駆け巡ることのない電車の廃車体は現在、少年自警団の隠れ家として使われている。

 

そこに、パトロールを終えたクラリス・ヤスカワとキララ・アグスタが帰ってきた。

「お帰りクラリス、キララ。状況はどうだ?」

と、自警団のリーダー、アンバー・ホイットニーが声をかける。

「んーっと、いまのところあやしい動きはないみたい!」

と、キララ。

「……異常なし」

と、クラリスも続く。

その報告を聞いたアンバーが、次のパトロールへ向かおうとしたその時だった。

 

「!!」

一人のテラナーの少年が、ボロボロになった様子で戻ってきたのである。

「ど、どうしたんだ一体!!」

駆け寄るアンバー。

「…やられた…見たこともない奴に…!」

「みたこともないやつ?」

「……誰なの?」

「…黒い服に…黒い帽子…恐ろしいことにそいつ…全身が武器で……!!」

「もういい!じっとしてろ!…クラリス、すぐにこいつを後ろの車両に運んでくれ。早く手当てしねぇとヤバイ!」

「…わかった」

…同市内の商業地区。

その裏通りはギャングやマフィア、ヤグザなどが密集するブラックスポットであった。

どうやら治安の悪さは相変わらずのようだ。

…そんな裏通りを、ライオン形ファンガーの女性が歩いていく。

服装は黒い帽子に黒いジャケット。見るからにマフィアのボスといった雰囲気である。

「…ここはいいねェ…やっぱりアタシはこの場所が一番落ち着く」

と、煙草をふかしながら、悪党御用達の酒場へと入っていく女。

 

…彼女の名はレオーネ・モルボーゾ。

かつてファンガルド星と地球を騒がせた稀代の大悪党である。

通過月ほど前に、地球で悪事を働いていたところを御用となるも、

まんまと逃走を図り舞い戻ってきたのである。

 

しばらくして、存分に酒を楽しんだ様子で酒場から出てきたレオーネ。

そんな彼女の目に、あるものが飛び込んできた。

「でさぁ、もう少しってところでサツ公が出てきやがったんだよ。冗談じゃねーっての」

「ホントだよな。こっちはこれからが稼ぎ時だってのによ…」

路上に座り込んでいる不良学生の少女たちだ。

(…ふむ。この娘たち、使えそうだね)

と、レオーネは服の内ポケットから何かのケースを取り出し、少女たちのほうへと歩み寄る。

「…ちょっとアンタ達」

と、声をかけるレオーネ。

「あ!?誰だよアンタ。警察の仲間か!?」

不審がる少女たちに、さらに近づきながらレオーネは言う。

「まさか、アタシはむしろアンタたちの仲間さね。…警察がアンタたちのジャマしてるらしいじゃないか」

「え!?…あ、あぁ、そうだよ」

「…じゃあさ…いっぺんぶっ飛ばしてみないか?」

「ぶっ飛ばす?」

「そうさ。ジャマ者は片付けちまえばスッキリするだろ?」

と、レオーネは先ほどのケースの中身を少女たちの掌に乗せる。

「こ、こいつは!?」

「このカプセルを飲めば、アンタたちは一気に強くなる。そうすれば…」

「…な、なるほど!そいつで警察にジャマされる心配もなくなるってワケだ!」

「誰だか知らねえけどサーンキュ!」

と、少女たちは掌の上に載せられたカプセルを飲み込む。

だが、しばらくしたところで彼女たちの身体に異変が起きた!

「うぐ…ごぁ、が・あ・ぁ・ぁアアアァァアァアアア!!!」

全身が不気味に波打ち、やがて腕や脚、腹の皮膚が破れて中から砲身やら、振動ブレードが姿を現し始める。

「フフ…苦しいのは最初だけだよ」

「な、何がっ…アギィィィ!?」

「アンタたちは強くなるんだ。全身武器の殺戮マシンとしてね」

レオーネの言うとおり、少女たちの身体は徐々にその面影を失い、代わって数多くの武器が出現する。

そう、レオーネが渡したカプセルこそ、生物の体組織を侵食して兵器に改造してしまう恐るべき代物だったのだ!!

…さて、事の顛末を見ていた影が二つ。

NC-7隊の九段下(くだんした)璃穏(りおん)とアマヨ・スリートだ。

「うげ…なんてヤツだ。ひっでぇコトしやがる…!」

と、こぼすリオンにアマヨが言う。

「彼女が、アイヴィー総監やケン隊長の言ってたレオーネ・モルボーゾ…薄々感づいてはいたけどまさかココまでとは…!」

「あぁ…すぐに隊長に知らせなきゃヤバイな…」

と、二人の忍者警官は、すぐさまパームビーチ警察署へと急ぐのだった。

 

…もうひとつ、一部始終を見ていた者がいた。

ゴールドホース探偵事務所の所長アンヌ・ロレアルと、K-9隊創設時に支援を行った科学者のレオンハルト・マイバッハだ。

「…うっ……!こ、これは…むごい…!」

目の前でグロテスクなものを見せられたせいで、思わず吐きそうになったアンヌ。

「…人体をその場で兵器に改造する技術なんて…レオン博士、これはまさか?」

「…確かに……『あれ』しか考えられん。惑星間条約で禁止されているナノマシン兵器だ」

…ナノマシン兵器。特に人体を侵食し兵器に改造してしまうタイプのものは、

レオンの言うとおり惑星間条約によって製造・使用が厳しく禁止されている。

しかしながら、それを所持しているのはあの極悪非道・残虐無比のレオーネ・モルボーゾである。

彼女であればそうした非人道的な手段を使うこともありえなくはないだろう。

 

「…事実、大量虐殺事件において使われた殺戮兵器の数々も、『もとは普通の人間だった』ということらしいからな」

「そ、そんな…酷い…!いくらなんでも、あんまりです!!」

「そうだ。それを平然とやってのけてしまうのが奴の恐ろしいところなのだよ…」

と、握りこぶしを作り歯を食いしばるレオン。

それを見ていたアンヌもまた、レオンと同じ心境であったに違いない。

「…とにかく…アンヌ女史。すぐにラミナ警察署へ向かおう」

「了解です、博士」

と、アンヌは愛車であるブラックカラーのセリアを駆り、レオンとともにラミナ警察署へ向かうのであった。


 
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