No.510179

IS x 龍騎〜鏡の戦士達 Vent 37: 学園祭ライブ

i-pod男さん

学園祭です!曲のチョイスは自分好みですからお気に召すかどうかは分かりません。どうぞ!

2012-11-19 22:58:27 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1577   閲覧ユーザー数:1512

イレイズドに上陸してから数日後。ライダー達は次々に敵対する国家を制圧、傘下に下らせた。世界中に各国の裏仕事が発信されている為、誰も互いに何も出来なくなっている。

 

「これで七割五分・・・・・残りは小国か。」

 

「はい。でも、俺達の味方になっても俺達の弱みを握ろうとする輩も少なからずいるから、これはちょっと厄介になるかもよ?」

 

「だろうな・・・・こっちだって半ば脅しながら軍門に下って貰ったんだ、恨み言を言われるのは当然だ。まあ、いい条件は出しておいたんだがな。」

 

憲司の言葉に司狼は渋い顔をする。持っていたアイスカフェラテをかき回した。

 

「条件?」

 

「そう。各国のISのデータを、互いに共有する。当然必要な分だけだがな。これは分量が大事だ。全員が手の内を少なからず明かす事になるし、誰かに無い物を与え、誰かが持つ物を奪い、共有する。言うなれば世界を舞台に鼠小僧(ロビン・フッド)を演じようって訳だ。陳腐な言い回しだがな。」

 

「ロビン・フッド、ですか・・・・昔の俺を思い出しますね。」

 

「そうだったな。お前もハック・クラック共に最高クラスの腕前を持ってる。元は情報局に勤めてたのに、嵌められた。その時に、俺が拾ったんだよな。あの頃は楽しかった。」

 

「そうっすね、日本政府をどんどん掌握して行って、馬鹿やって、好きな時に好きな事して・・・・・でも、世界が元に戻ったら、どうするんスか?」

 

「そうだな・・・・俺は別に独裁者になる気は無い。なった所で、転覆がオチだ。やるとしたら、監視、かな?一度風潮がひっくり返されたら、当然それに反対する奴らが現れる。それも世界的な規模で、だ。だから、もしそんな輩が現れたら、そいつらを消す。当然男達の暴動鎮圧も兼ねてるがな。」

 

「成る程。」

 

「あの〜・・・・」

 

「お、真耶ちゃん。どうしたの?」

 

「その、何と言うか、御鏡君のやろうとしている事のスケールの大きさについて行けなくて・・・・あ、でも、男女平等の世界にしたいって言う気持ちは変わりませんよ?」

 

「それだけで十分だ。所で、学園のスケジュール帳見せてくれますか?」

 

「あ、はい・・・・」

 

差し出された小冊子を受け取り、それを眺めて行く。そして見る見る内に司狼の顔が笑みに変わる。いつもの、また何かを仕掛けると言うあの顔だ。

 

「憲司。」

 

「ん?」

 

「学制組の奴ら全員呼んで来い。学園祭当日に戻ってライブやるぞ。企画書ももう楯無に渡してあるし、準備してある筈だ。」

 

「え、学園に戻るんですか?!」

 

山田先生がその発言に驚きを隠せない。だが、間違い無く彼は本気だと言う事は間違い無く分かる。今までにAD・VeX7の連中の滅茶苦茶さとその行動力、実力、統制に何度も度肝を抜かれた所為で、もう馴れてしまったのである。

 

「戻るって言っても、一時だけだからな。楯無にはもう連絡してある。だから、俺達が心配する必要は無い。」

 

「でも、学園にIS委員会の手が回ってるんじゃ・・・・?」

 

「それなら問題無い。手が回っているとしても、こっちには力強い味方がいる。今ここにはいないがな。ISがあろうと、奴らが勝てる可能性は、万に、いや兆に一つも無い。」

 

司狼が断言する。しばらくすると、一夏、マドカ、弾、数馬、シャルロット、ラウラが歩いて来る。既に何の用かは分かっている様だ。

 

「もう伝わってると思うけど、俺達は今日一旦学園に戻る。学園祭なんて久し振りだしな。弾、お前の妹の分のチケット、送ってあるから心配するな。」

 

「ま、待て!わ、私もやるのか?」

 

「恥ずかしいよ〜・・・・」

 

シャルロットとラウラが今一つ乗り気ではない。

 

「緊張するのは別に悪い事じゃない。只それを悟られるな。それに、二人共元々良い声してるし、見た目も綺麗だから問題無いと思うけど?」

 

「うー・・・・でも・・・・」

 

「ほら、良いから行くぞ。」

 

「「「「「「「「変身!」」」」」」」」

 

学生組と森次がライダーに変身してミラーワールドに飛び込んだ。山田先生は一人ポツンと取り残された。

 

「あ、あの・・・・」

 

「はい?」

 

憲司が同時に顔を上げる。

 

「お聞きしたいんですけど、何で御鏡君に従ってるんですか?」

 

「彼は、俺達の命の恩人だからだ。」

 

「それもありますが、とても気前の良いビジネスパートナーですしね。」

 

突如現れた斉藤弁護士がそう付け加える。

 

「ISが開発された時代に、我々は業界から爪弾きにされた人間の集まりなんですよ。彼は情報局に勤めていて、同僚の女性に嵌められてクビになった。それ以降はそのハッキングとクラッキングの能力を活かして生計を立てていた所を、社長に拾われた。私も、ある裁判で敗訴し、法曹界から干された身です。それを、あの方は拾って下さった。そして私を再び法曹界に返り咲かせてくれた。何より、あの人を食った何を考えているか分からないあの態度・・・・何をするか分からないし、興味が尽きません。ついて行くのは当然です。この世界は、変えるべきだ。」

 

「何より、その行動力、度胸、頭脳は、圧倒的です。VTシステムの開発及び使用で隊長を嵌めようと下我が国の政府を何の苦も無く叩き潰し、真犯人を突き止めてこの事実を世界中に公表した。彼に大義名分があるとは思えない。だが、間違い無く彼はこの世界を正しい方向に導いている。貴方も少なからずそう思っているのでしょう?山田教諭。」

 

「まあ、そうですけど・・・・」

 

彼女はクラリッサの言葉に頷くしか無かった。司狼が現れてからと言う物、毎日新聞の見出しを大きく飾るのは決まってAD・VeX7なのだ。新進気鋭にも程があると言う程の驚くスピードで業績は右肩上がりになり、遂には世界の頂点にまで躍り出た。

 

「でも、もし、本当にこの世界が男女平等に戻ったら、デッキ(コレ)はどうするんですか?」

 

「それはまだ分からない。そのまま持ったままかもしれないし、破壊されるかもしれない。どうなろうと、私は構わない。」

 

 

 

 

 

場所は変わってIS学園。学園祭の開始を告げる為に講堂に全校生徒と招待客が集まっていた。そして挨拶が終了した所で、司狼、一夏、マドカ、弾、数馬、ラウラ、シャルロット、そして森次の順番で入って来る。

 

「さてと・・・お集まり頂いた皆さん。学園祭を楽しみましょう。俺としては久し振りな物なので、ちょっとしたプレゼントを用意しました。こんな所でなんですが、我々AD・VeX7主催の学園祭ライブショーを始めたいと思います!!トップバッターは、皆さんがご存知、黒白一対の兄弟ISを持つ、織斑一夏と、白鳥マドカだ!曲目は、相棒さえいれば、究極をも超えられる、W Boiled Extremeーーーー!」

 

曲が流れ出すと同時に、白と黒の対照的な衣装を着た二人がマイク片手に進み出た。終わりに近付きつつあると、二人は最後に背中合わせになって斜めの視線を向け、前方を指差した。あの名台詞とともに。

 

「「さあ、お前の罪を数えろ!」」

 

それで一気に会場と化した講堂が拍手と歓声で比喩表現無く爆発した。

 

「WOW!いきなり盛り上がって来たね!んじゃその調子で次行ってみよう!メインは、この二人だ!」

 

スポットライトが当てられたのは、弾と数馬だった。軽く拳を打ち合わせながら前に進み出た。

 

「この息ぴったりの二人の曲目は、革命(Revolution)の名前を持つアーティストの曲、かき立て、呼び覚ます、INVOKEだーーーーー!」

 

二人は顔を見合わせていたが、やがて覚悟を決めて歌い始めた。これはまたもや大成功。弾は調子に乗って大手を振り始めた。二人がステージを降りると、次のトラックに進む。

 

 

「さてと、次はテストパイロットの麗しきレディー達が歌ってくれるぞ?良く聞いてしっかりと鼓膜に刻み付けろ!雲の上を超えたいと言う願い、Over the Cloud、ご清聴あれ!」

 

シャルロットとラウラがマイクを持って進み出た。二人は一夏と司狼を一瞬見たが、二人が頷いて、目で『大丈夫、絶対出来る』と伝えた。深呼吸を一つすると、曲に合わせて体を揺らし、歌い始めた。不思議と声は震えていなかった。むしろ曲に乗っていた。ラウラの口も自然と笑みに広がって行く。照明が落ち、青白い月の様な光りが二人を照らし出す。二人の動きは打ち合わせをした物でも無いのに、切れのある動きでステージの上を歩いて移動し、芝居がかった動きを取り入れて歌い続けた。終わるや否やまたも歓声が挙がる。やはり二人は声の質が若干異なるので、上手い具合に曲の良さを引き立てて歌った。それに加え、どちらも容姿端麗なのだ。歓声が起こらない方がおかしい。それからも様々な人員の組み合わせで曲が歌われて行く。中でもラウラと一夏のデュエットが歌った『Dead or Alive』、数馬がソロで歌った『Chosen Soldier』、マドカのソロ『lily』、一夏と数馬のデュエット『Aesthetics and Identity』そして締めくくる為に全員で歌った『Revolution』は大盛況だった。

 

「さてと、皆楽しんでくれたみたいだね!ここで細やかではありますが、後二つ!一つはこのライブに集まってくれた皆様に、我々が歌った曲と特典映像、ボーナストラックを詰め込んだCDを漏れなくプレゼントしちゃいます!詳しくは我が社のホームページへアクセス!更に更に!もう一人ゲストシンガーに来て頂きましょう。皆さんご存知の、頭脳明晰、容姿端麗、才色兼備の生徒会長、更識楯無さん!曲目は、その心を折られても再び復活すると言う闘志あれ、『Revive』!」


 

 

時間も押していたので、短く切ったが、熱狂は寧ろヒートアップした。

 

「それでは、学園祭、開幕です!」

 

地面に何かを投げつけ、ライダー達は姿を消した。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
2
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択