No.510123

現代に生きる恋姫達 目指すは恋姫同窓会 七乃の前編

MiTiさん

本シリーズをお読みになっている皆様、お待たせしました。

蜂蜜ジャンキー娘に仕える腹黒娘こと七乃のお話です。

楽しんでいただけたら幸いです。

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2012-11-19 20:48:50 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3699   閲覧ユーザー数:3040

その日、私はたまたま用事があってカズトの家の近くに来ていた。

携帯に掛けてみたところ、カズトは家にいて、

少し前にちょっとしたツアーに出かけており、

お土産もあるから寄って行かないかと言われた。

 

特に予定もなかったから、私はそのままカズトの家を訪れた。

そして、用意されていたお土産を受け取った。

お土産は、一言で言えば蜂蜜グッズ。

いくつかの花から取れた数種類の蜂蜜、

蜜蝋から作られたアロマキャンベル、

その他、石鹸や蜂蜜酒etc…

 

家族や友人などにも渡す予定があるので、

全部を渡すことは出来ないけど好きなものがあれば選んでくれと言われたので、

グッズの中からいくつか選んで受け取った。

 

カズトが行ったツアーは養蜂場見学&体験ツアー。

カズト自身の目的は恋姫関連の娘がいるのではないかと考えて行ったらしい。

前世(恋姫)が関係してくる娘と言えば…

 

「私たちに関わりがあって、それに蜂蜜も加わるとなると…袁術、美羽かしら。

 それで、ツアーに行って会えたの?」

 

「いや、俺も美羽と言えば蜂蜜、蜂蜜と言えば身近で言うなら養蜂場と想像してな。

 たまたまそのツアーがあることを聞いて参加してみたんだけど、

 残念ながらそこに美羽はいなかった」

 

「…そう」

 

 

前世ではそこまで関わりがあったわけではない。

雪蓮に敗れ国を出た後は美羽と七乃で旅に出ていて、

五湖との戦いのときもその姿はなかった。

三国が平定して暫く経ってからその姿を現し、

交流はそれから。

 

でも、二人はお互いに互いのことしか(美羽は蜂蜜も加える)考えてなかったから、

一刀から養蜂技術の事を聞いてからはそっちに専念していた。

たまに話すことはあったけれどその程度の交流しかなかった。

一刀とも(性的)関係を持っていなかったしね。

 

それでも、前世の転生者に会える可能性があるのなら会いたかった。

でも、会えなかった。

別のところにいるのか、下手をすれば転生していないのか。

少し残念さを感じていると、それを気にせずカズトは次にこう言った。

 

「美羽には会えなかったけどな…七乃には会えたぞ」

 

その言葉を、その名前を聞いて、私は少し俯かせていた顔を上げた。

カズトは苦笑を浮かべていた。

 

「どういうこと?七乃も養蜂場で働いていたの?」

 

「いや、ツアーに行って会ったのはそうなんだけど、

 養蜂場にいたわけじゃないんだ」

 

「じゃぁ、何処であったのよ」

 

「ああ、今の七乃なんだけどな…バスガイドやってたよ」

 

「ば、バスガイド?」

 

 

七乃とバスガイド…関連性があったかしら?

前世の七乃と言えば、美羽のことを第一に考えて行動し、

美羽のためならばなんでもしていた。腹黒い方向に…

他人を嵌めること、陥れること、利用することetc…

そんな彼女がバスガイド。

 

バスガイドの仕事と言えば、

ツアーなどの行き先やそこに到るまでの案内、

乗客を盛り上げ楽しませることが仕事。

いわゆる不特定多数の為の仕事。

 

美羽一人のために行動していた七乃からは、正直想像できないし、

前世と現世の接点も思いつかない。

 

「どうして、その娘が七乃であるとわかったの?」

 

「名前が一緒で格好が似てたからだな」

 

「名前はともかく…格好?」

 

「原作、華琳にとっては前世か。で、七乃がどんな格好してたか覚えてるか?」

 

そう問われて、私は前世での七乃の格好を思い浮かべる。

正史と現代を知った身からすると、

七乃の服装は三国志の時代からするとありえないもの。

まぁ、これは他の娘にも言えることだったりするけど。

私自身が見たものと恋姫のゲームで見た七乃の格好、

現代人からすると何処のバスガイド?あるいはスチュワーデス?

と、思えてくるものだったはず。

 

「…あんな格好をしていたの?」

 

「全く同じじゃなくてもちっとシンプルにはなってたけどな。

 あれに案内用の旗も加わってたから、なんていうかすごい似合ってた」

 

カズトの評価を聞いて私は、手に小さな旗を持った前世の格好をした七乃を想像した。

天然が入った笑みを浮かべながら旗を振り、明るい声で先頭を歩き、

彼女の後に美羽をはじめとする子供たちが続く…

そんな光景が頭に浮かんで、違和感も感じられなかった。

 

 

「それで、七乃とは話したのかしら?

 さっきから話を聞いてると、七乃って呼び捨てにしてるけど」

 

「ああ、話したぞ。お互いに自己紹介をしてから連絡先の交換もして、

 本人から七乃って呼び捨てにしていいって言われた。

 ちなみに、年齢は俺の二つ上」

 

「そう。まぁ良かったじゃないの」

 

「それ自体は良かったんだけど、その後がちょっとな…」

 

そう言って、当時のことを思い出してか、

何故かカズトはいやなことを思い出したような表情を浮かべた。

 

「何かあったの?」

 

「呼び捨てを許可された後とアドレス交換してからよ、

 ツアー客の内何人かの男から嫉妬と憎悪の視線を向けられることになっちまってな」

 

「七乃の彼氏とか、友達とか?」

 

「そういうのは一切なし。

 なんて言うか…七乃って普通よりは確実に美人の部類に入るだろ。

 で、七乃が勤めてる会社自体が美人が多いことで評判らしくてな。

 七乃にピンポイントな奴もいれば、会社の女性社員に対して小規模ではあるけど、

 いわゆるファンクラブみたいなもんがあるらしい」

 

「…何よそれ?そこってアイドル会社じゃなくて、

 ガイドってことは観光会社か何かでしょう」

 

「それは俺も思った。まぁ、それはともかく…

 そのファンクラブを差し置いて俺が呼び捨てとアドレス交換してるとこ見られてな。

 それからツアーが終わるまで睨まれ続けたんだ。

 帰りのバスでも、わざわざ他の客と席を交換してまで俺よりも後に座ってよ。

 なんて言うか、視線で人を殺せなくても視線で苦しめられるんだぜぇ…って感じだった」

 

「それは…なんと言うか、ご愁傷様?」

 

こればかりは、女である私にとって男であるカズトの気持ちは深く察してやれない。

男女逆であるけど、一刀に対して恋心や愛欲を抱いてた蜀の誰かであったなら、

今のカズトの気持ちを察して上げられたかもしれないけれどね…

 

 

気持ちを落ち着けるためにと、私は台所を借りてお茶を入れた。

お土産にもらった蜂蜜を早速使って、

柑橘系のお茶に少しだけ蜂蜜をたらして混ぜたものを作った。

お茶独特の香りと柑橘系の香りが湯気に乗って漂い、

蜂蜜によるほのかな甘みとまろやかさ、

蜂蜜の甘さによって際立つ柑橘系のすっきりとした味わい。

それらが調和した一品。

それをカズトに飲ませて、カズトは落ち着きを取り戻し立ち直った。

 

「ありがとうな」

 

「お礼はいいわよ。元々カズトからもらったものから作ったしね。

 それじゃ、落ち着いたところで話を聞かせてちょうだい。

 七乃とどんなことを話したのか」

 

「そうだな…」

 

私が作ったお茶を飲みながら、カズトは当時のことを語り始め、

私はその話に耳を傾けた。

さて、どんな話が聞けるのかしら…

 

 

~おまけ(と言う名の没ネタ)~

 

蜂蜜を使おうとした華琳だが、少量使うのに新品をあけるのはもったいないと、

カズトから既に自分用に確保し封を開けているものを使うように言われた。

 

それを了承し、渡されたものを使おうとする。

が、そこでハプニングが起きた。

 

ふたを開けようとするが、最後に使ったときに淵の部分に少量残っていたのか、

それが固まってふたが中々開かなくなっていた。

 

力を入れれば開けられるだろうと考え力をこめる。

その甲斐あって蜂蜜の瓶の蓋を開けることができたのだが、

こめていた力が強すぎたのか、蓋は勢いよく回り、

華琳は瓶を滑らせ手放してしまった。

 

角度が悪かったのか、瓶は華琳の鎖骨から手首までを伝って床に落ちた。

伝っていくうちにその中身を華琳に浴びせながら。

 

「大丈夫か、華琳」

 

「ええ。それよりもごめんなさいね、蜂蜜をこぼしてしまって」

 

「気にすんなって。とにかく、華琳についちまった蜂蜜拭かないとな」

 

そう言ってカズトは布巾の準備をしようとするが、

華琳自身は少し悩んでしまった。

 

決して安くはなかっただろう、少なくはない量の蜂蜜。

拭き取ったとなれば、その分の蜂蜜はもう使えなくなる。

それに、蜂蜜のような粘りがあるものは、

布や衣類に付いたり染み込んだとなると洗濯が意外と大変だ。

ならばどうすれば良いのか。そこまで考えた華琳は驚く行動に出た。

 

布巾を持って戻ってきたカズトが見たのは、

身体に付いた蜂蜜を、鎖骨から手首に掛けてなめ取っている華琳だった。

 

シミ一つないきれいな白い肌についた、

光を反射して琥珀色に輝くとろりとした粘り気のある液体。

それを、体勢的にやり辛いのか、ゆっくりとなめ上げていく。

 

その光景は、切り傷などをなめるのとは違って、

カズトにとって非常に艶めかしく見えてしまった。

 

「な、な、何やってんだよ、華琳!?」

 

「何って…これだけの蜂蜜もったいないし、

 蜂蜜がついて染み込んだ布って洗濯が大変なのよ」

 

「んなこたいいから、これ使って拭き取ってくれ!!」

 

言いながら、カズトは無理矢理ぎみに華琳に布巾を渡してその場を去った。

去り際に見たカズトの顔は少々赤くなっていた。

 

不思議に思う華琳だが、近くにあった鏡で自分の状態を見て納得してしまった。

鎖骨から手首に掛けて蜂蜜と言う粘液質のものがついていて、

それに加えて今さっきなめとった部分が自身の唾液が付着している。

それに加えて、カズトは自分が舌を伸ばして自分の身体をなめているシーンを目撃したのだ。

 

華琳は納得し自覚した。自分がどれだけ恥ずかしい状態であり、

他人に、カズトに見られて恥ずかしい行動をとっていたのかを。

顔を真っ赤にした華琳は、羞恥心をはらわんと若干力をこめて、

渡された布巾で身体についた蜂蜜を拭き取った…

 

 

~あとがき~

 

恋姫同窓会シリーズ 七乃の前編 いかがでしたでしょうか?

 

と、言うわけで…七乃は格好繋がりでバスガイドとなりました。

 

作中にちょこっとあったようにスチュワーデスも考えたんですが、

 

カズトと一対一の状況を作るのが難しかったのでこの案は断念しました。

 

一バスガイドにファンが出来るのもなんだかなぁとは思いましたが、

 

そこは二次小説ならではのご都合主義ということでwww

 

おまけに関してですが、この話の時期は夏で、

 

華琳はキャミソールタイプのワンピースを着ています。

 

なので、鎖骨から手首にかけて蜂蜜が付いちゃう状況が出来るんです。

 

シャツの場合だと袖にびっちゃんこってなっちゃうんで。

 

それにしても、蜂蜜が垂れている華琳、まるでローシ…おっと、規制に引っかかってしまう(笑

 

次回、七乃の後編ではカズトによって七乃との出会いと会話が語られます。

 

はたして、七乃とはどんなやり取りがあったのか…

 

後編をお楽しみに。

 

それでは、この辺で…

 

ps.あとがきに書く”次回”と言うのは後編のことをさします。

  次に投稿する話のことではありません。

  星の後編を期待していた方には申し訳ありません…


 
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