亡国機業 タボン・トラークの幼少期
第2話 「疑念を知らず」
僕は腐ったジャンク屋のゴロツキ共に完膚無きまでリンチされ、住んでいた掘っ立てがソイツらに奪われた。
僕は居場所を無くしてしまった。父さんも母さんも死んでしまったんだ。
ボクは力が欲しかった。父さんを殺したゴロツキ共を皆殺しにしたかったから。
父さんの死で母さんは後を追うようにボクだけを残して自殺してしまったんだ。
家を奪われた僕は傷だらけの体を引きずってスラム中をひたすら徘徊した。
昼間でも物凄く仄暗いスラム。空は灰色じみた暗めの蒼・・・。当たり一面は粗大ゴミの山。
そんな光景を際限なく見ながらひたすら途方に暮れてた。ボクはここで死にたくない!!
ボクは死ぬわけには行かないんだ!! ボクには夢があるんだ!!
ボクは飛行機のパイロットになって空を自由に駆けたいんだ!!
夢を叶られなくて死ぬなんてヤダ!!
こんな所で死にたくはない!!
生きるんだ!!
そうやって自分の夢を思うことで今のタボンを慰めて精神を保ってた。
そう思いに更けてる間にどれ位の時間が経ったのだろうか・・・・・。
空は漆黒に染まってた。しかしその漆黒の空間に明るい沢山の光が映えてた。
ボクはその沢山の光が映えてる所へ突き進んだ。
徐々に沢山の光が映える場所に近づいていた。そこに見えてのは沢山の大きな建物。ライトアップされた高層ビルも見えた。
タボンはスラムから一般市民の暮らす市街地へと近づいてたのだ。
タボン(当時10歳)
「ここって、まさか・・・・!!昔ボクが住んでた街・・・!!」
彼は自分が生まれ育った街を目にしてずっと黙り込んだままだった。
更識家の陰湿な計略の犠牲になる前、タボンはこの活気溢れる大きな都会で育ったのだ。そして豊かな上流家庭生まれのお坊ちゃまだったので、一般人と比べて豪勢と贅沢な暮しで幸せに暮らしてた。
しかし、今スラムでゴミとして扱わる身分にまで転落した彼は、自分の育たった街を見て何かを思ったのか泣き崩れてしまった。
タボン
「う・・・・・うわぁぁぁぁぁぁあぁぁうううううううう!!」
あの頃の幸せな暮しに戻りたい・・・・!!家族と共にに暮らした笑いが絶えなかったあの幸せな日々に戻りたい・・・・!!
しかし、もうその幸せな日々に戻れない。戻りたいのに、彼は叶わぬ願いを思いながらひたすら泣き続けた。
ズギューン!!
タボン
「!?」
すると、遠くない距離から銃声が聞こえた。タボンはその銃声にビビり泣き止んだ。
タボンは呼吸を整えて、その銃声の音源へ向かった。
命の危険に晒されるかもしれないと直感した彼は廃車等の粗大ゴミに隠れて音源に近づいていく・・・・。
近づくにつれ、銃声の音が徐々に大きくなり、しかも複数の銃声が聞こえた。
そして音源に辿り着いた。
タボン
「な・・・・・なんだよ!?コレは!?」
10歳の少年にとっては余りにも凄惨すぎた光景だった。
それは黒服でサングラス掛けた強面の大人の男性たちがピストルの撃ち合いをしてたのだ。
撃ち合いで次々と赤い血を吹き出しながら倒れてく・・・・。
人の命が闘争によって消えていく光景を直に見てしまったのだ。
タボンは父親の死後の姿は見たことがある。しかし、生から死への過程を見るのはコレが初めてだったのだ。沢山の銃声と撃たれて倒れていく人の断末魔が際限なく響いていた。
廃車の陰に隠れてたタボンは恐怖の余り大声を出したかった・・・!!
タボン
「だ・・・・ダメだ・・!!此処で声なんか出したら確実に殺される・・・・!!」
そうやってマゴマゴしてると流れ弾がタボンの隠れてる廃車へと被弾した。
タボン
「ひぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
すぐさまその場を立ち去ろうとした。早くここから逃げないと死んでしまう!!
咄嗟に逃げようとした。すると目の前に目を疑うような物が落ちてた。
ピストルとナイフだった。
おそらくピストルの撃ち合いで黒服の男が落としたものだろう。
タボンは頭が真っ白になってるのにも関わらず、2つの凶器を拾って、それを徘徊してる時に拾った雑嚢に入れて、その場から離れるために全力疾走した。
徐々に銃声と断末魔の音が小さくなっていった。
どれくらい走ったのかは分からない。
とにかく走りまくった。
分かってることは、夜空を照らすように光輝く市街地からは離れてない事だった。
走り続けてる内にバランスを崩して転んでしまった。
そして転んで態勢を整えて座り込んで彼は大きな口を開けながら泣き叫んだ。
タボン
「ぎゃああああああああうぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
転んで泣いてるのではない。
ピストルの撃ち合いで生きている人が死んでいく瞬間が頭から離れなくて、それがしつこい様に頭にこびりつき、彼は恐怖心に苛まされてた。
人が死んでいく姿があまりにも怖い!!怖すぎる!!
人を殺してひそかにほほ笑む黒服の男たちが怖い!!怖すぎる!!
タボンはそれを振り払うかのように泣き崩れて、ひたすら泣き喚いた。
中年男性
「どうしたんだい?坊や。そんな所で泣いていて。迷子になっちゃたのかい?」
タボン
「迷子じゃない・・・!!ボクには父さんも母さんも居ないんだ・・・!!」
突如、現れた男性は見た目げ40くらいで、小太りで毛むくじゃらな体をしてて、顔の半分はヒゲに覆われてた。
男性
「そうなのかい・・・。孤児なんだね。服装を見る限り、君はスラム地区の子なんだね。あそこは身寄りの無い子供たちが大勢いて社会問題にもなってるんだ。」
男性はとても優しい声でタボンに語りかけた。泣き顔だったタボンも何時まにか落ち着いた表情になってた。
男性
「実はおじさんはキミみたいな身寄りの無い子供たちを支援する児童支援する団体の人間なんだよ。どうかね、おじさんと一緒について来ないか?君を育ててくれる施設に案内するよ。この辺はマフィアやギャングの闘争が激しい場所だから危ないからね。」
タボン
「ボクを育ててくれる施設・・・・。ボクに居場所が出来るんだよね!?」
男性の優しさに疑いを一切見せないタボンであった。
疑うことなんて無い!!自分に新しい居場所が出来るのだから・・・。
男性
「そうだとも。では付いて来なさい。」
タボン
「うん!!」
彼は男性の言わるれまま同行した。
明るい市街地を歩いてた。
タボン
「キレイだ・・・・。」
仄暗いスラムで暮らしてたタボンに取って、市街地の明かりはとても素晴らしい光景だった。スラムで暮らす前に自分はこんな綺麗な街に住んでたんだ。そう過去の思いに更けてた。
男性
「お腹減ってないかい?なにか御馳走するよ。」
男性は出店で中華料理をご馳走してくれた。
スラムで暮らして以来、碌なものを口にしなかったタボンは脂っこい中華料理を無我夢中で貪るように食べ漁った。
食べ過ぎて動けない位食べまくった。
食後、再び男性に同行してしばらく歩くと明るい市街地の裏道のほうに辿り着いてた。
裏地といっても明るい市街地の光でちょっと薄暗いという感じだった。
男性
「もう少しで、これからキミの居場所となる児童施設に辿り着くよ。」
5分くらい歩くと3階建てのビルがあった。
ビルは物凄く寂れた感じだった。
男性
「ここが児童施設だよ。さぁ入ろうか。」
タボンは男性に誘われまま、薄暗い寂れたビルの中へ入って行った。
To Becontinued
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幼少期の続きです。 序でに番外編の「亡国機業便り」も書いて見ました。