No.508611

真・恋姫†無双~不信の御遣い~ 第十話

BLADEさん

第十話です。

2012-11-15 21:37:41 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2990   閲覧ユーザー数:2680

叫び声が聞こえた方へ、忍び足で歩いていくと。

 

そこには。

 

「動くんじゃねぇ!!!」

 

と。

 

可愛らしい、まだ幼さが残る女の子を人質に取り。

 

脅迫する男を筆頭に。

 

ほかにも、五人の男がいて。

 

「やめろ!!!その子は何も関係ないだろ!?」

 

と。

 

茶色の髪をした。

 

いかにも。

 

正義の味方っぽい。

 

僕と同じくらいの年の。

 

男の子と。

 

「……卑怯……」

 

と。

 

濃いピンク色の髪をした。

 

アホ毛が二本立っている。

 

眠たそうな目をした。

 

怒りをあらわにした。

 

女の子がいた。

 

 

まいったなぁ……。

 

やっと話し合えそうな人がいたと思ったら、絶賛取り込み中かよ・・・。

 

どうしようかな……。

 

武器はあるけど……。

 

戦い方分からないしなぁ……。

 

でも。

 

まぁ。

 

別に。

 

あの人たちを殺さなくたって。

 

あの女の子を助けるだけでいいんだしな。

 

すると。

 

あの集団の筆頭らしい男が言う。

 

「近づくじゃねぇ!!!それ以上近づいたら、この小娘を殺すぞ!!!」

 

お~お~、悪人のセリフですね。

 

じゃ、ちゃちゃっとあの子を助けて、近くの街まで案内してもらおうかな。

 

すると。

 

「落ち着いてくれ。人質なら俺がなる。だから、その子は開放してくれ」

 

と、茶色の髪をした男の子が、懇願するように言った。

 

「ハ!!!お断りだ。俺たちを逃がしてくれるんなら、話は別だがな」

 

「クソ!!!」

 

あらバッサリ。一発で拒否されたよ。

 

じゃあ、しょうがない。

 

行きますか。

 

すると。

 

「ヘッヘ。手も足も出ねぇだろ。どうしてもこの小娘を返して欲しかったら。

 

そうだなぁ……」

 

と、勝ち誇ったようにその男が下卑(げび)た笑いを浮かべて。

 

「そこの小娘が俺たちの相手をしてくれるんなら、いいぜ」

 

といった。

 

「なっ……!?」

 

「……!?」

 

二人は驚愕している。そりゃそうだろう。

 

ああいう手合いが「相手をしろ」って言ったら、大体R-18の展開だからね。

 

「……分かった……」

 

「恋!?あんな奴にそんなことしなくていい!!!」

 

「……ご主人様。あの子のことは、お願い……」

 

「恋!!!」

 

悔しそうに唇を噛む二人。

 

その様子に。

 

ほんのわずかに。

 

僕は心を。

 

動かされた。

 

まぁね。

 

流石にね。

 

あんな可愛い子をね。

 

あんなゲス野郎共にね。

 

好きにさせるわけにもいかないよね。

 

ちょっと、あいつらには現実ってもんを見せてやるしかないか。

 

 

皆さんこんにちは。北郷一刀だ。

 

俺たちは今。非常にマズイ展開に陥っている。

 

洛陽での警備中のことだ。

 

俺がいつも、政務を抜け出してご飯を食べに行く中華料理店で、暴れている奴らがいると情報

 

があった。

 

そこに行くと、酒がまずいなどのいちゃもんをつけて暴れている暴漢六人を見つけて

 

逮捕しようとしたのだが、捕まえきれずそこの夫婦店主の娘を人質に逃亡。

 

途中で、恋にも協力してもらいここまできたのだが……。

 

なんと頭であるような男が、恋の身体と交換で、交渉してきた。

 

そんなこと、認めるわけにはいかない。絶対。

 

だが、どうする?

 

恋も悔しそうな様子でいた。覚悟は決めているようだが。

 

「オラオラ、どうすんだよ?早く決めろよ」

 

男の下卑た声が聞こえる。

 

「……ご主人様。恋は、大丈夫だから……」

 

「クソ!!!」

 

どうする?

 

考えろ俺。何のための「天の御遣い」だ。大切な人も守れず……。

 

こんなこと許されるか。

 

だが、相変わらず何も浮かばない。

 

絶望に打ちひしがれた俺と恋に。

 

「お嬢ちゃん。ちょっと伏せておいてね」

 

と、爽やかな。

 

若い。

 

俺と同じような。

 

少年の。

 

声が。

 

聞こえた。


 

 
 
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