一夏が弥生と別れて食堂の方へ行こうとしたときまたしてもあの人に出くわした。
「やあ。」
「・・・・どうも。」
「なんだかつれないね~。」
「いや。騒ぎの原因になった人に言われても。」
「あはは、若いうから自閉してたら損するよ。」
「誰のせいですか!後、まだあなたも若いでしょ!」
「ん~、それなら交換条件はどう?私があなたのコーチをするってのはどう?」
「ダメでしょう。それにあいつらだって・・!」
その時後ろから突如粉塵を挙げる勢いで竹刀を片手に持ち、勢いよく襲い掛かってくる女子生徒が近づく。一夏はポケットに入れていた鉛筆を取り出す。
「覚悟ぉぉぉぉぉぉぉ!」
「脇ががら空きだぞ。」
一夏は竹刀を鉛筆で受け止めた。
「何!」
「突く勢いと迷いのない踏み込みはいいが力が拡散しているぞ。余計に力を入れるな。」
一夏は受け流す。女子生徒は倒れる。それと同時に窓ガラスが割れる。一夏は振り向くとそこには無数の矢が飛んでくる。
「これ借りるぞ!」
一夏は倒れた女子生徒のほうの竹刀を蹴り上げ空中キャッチ。そして手に持ち、矢を真下だけに叩き落す。横には決して行かず真下だけに落ちる。一夏はポケットから爪楊枝を一本取り出し、弓女眉間に投げ込む。
「もらったぁぁぁぁ!」
今度は掃除ロッカーから第三の刺客が現れる。両手にはボクシンググローブが装着されている。女子生徒は左足を右腕を突き出す。一夏は足払いをする。
「きゃっ!」
一夏は倒れた女子生徒の横隔膜付近に木刀を突きつける。
「くっ・・・・・・・・・このっ!」
女子生徒は抵抗するが動けなかった。
「はい、負けね。」
「う~、まさか織斑君に負けるなんて・・・・これは生徒会長より先に織斑君を倒すことが先になったよ。」
「ははは、そらサイコー。」
パンパンパンと楯無が拍手する。
「すごいね織斑君。」
「生徒会長に言われても・・」
「まあね。それより一度生徒会室に来なさい。お茶くらい出すわよ。」
「断っても無理でしょうから行きます。」
「あら!わかってた☆」
「そういう人だと思って。」
「・・・・いつまでぼんやりしているの。」
「眠・・・・・・・夜・・・・・・・遅・・・・」
「しゃんとしなさい。」
「了解・・・・・・」
そんな声がドアの向こうから聞こえてくる。
「?どうしたの?」
「今聞いた事のある声が聞こえたので。」
「ああ、そうね。今は中にあの子がいるかしらね。」
そう言って楯無はドアを開ける。
「ただいま。」
「お帰りなさい、会長。」
出迎えたのは三年生の女子だった。眼鏡に三つ網、いかにも『お堅いが仕事は出来まる』風の人で、片手に持ったファイルは非常によく似合っている。そして後ろにいるのは・・・
「わー・・・・おりむーだ~・・・」
・・・・・・・・なんで?
「まあそこに座りなさい。お茶をすぐに出すわ。」
「は、はあ・・・」
いつもの六割り増しで眠そうだなのほほのんさん。さっき夜でなんか言ってたみたいだけど・・・・・・大丈夫か?
「お客様の前よ、しっかりしなさい。」
「無理・・・・・・・・。眠・・・・・・・帰宅・・・・・・いい・・・・?」
「ダメよ!」
きっぱりときられた。
「大丈夫、のほほんさん。」
「うん・・・・・・・・・深夜・・・・・・・・壁紙・・・・・・・収給・・・・・連日・・・」
「さようで。」
「あら、あだ名なんて仲いいのね。」
「そういや周りがのほほのんって呼ぶから俺もそれに釣られて言ってた。」
「ひどい、ずっとあだ名で呼ぶからてっきり好きなんだと思ってた~・・・・」
「・・・・なんかごめん。」
「本音、嘘をつくのはやめなさい。」
「ひひ、バレた。わかったよ~、お姉ちゃん。」
「お姉ちゃん?」
「ええ、私は布仏虚。妹は本音。」
「むか~しから、更識家のお手伝いさんなんだよ~。うちは代々。」
「え?ていうか、姉妹で生徒会に?」
「そうよ。生徒会長は最強でないといけないけど、他のメンバーは定員数になるまで好きには入れていいの。だから幼馴染の二人もね。」
三人とも幼馴染か。どうりで。」
「お嬢様にお仕えするのが私どもの仕事ですので。」
ちょうどお茶が出来たらしく、カップの一つ一つに虚先輩は注いでいく。なんだか秘書みたいな仕事が様になってるな。
「あん、お嬢様はやめてよ。」
「失礼しました。つい癖で。」
生徒会長の家って結構な家柄なんだろうな~。
「織斑君もどうぞ。」
「あ!いただきます。」
一夏は紅茶を飲む。
「入れ方上手いですね。」
「そう?よくわかんないんだけどね。」
「普通に入れたら苦いんですけど、苦くないのは入れ方が上手いんです。」
「あら、ありがとう。」
「本音ちゃん、冷蔵庫からケーキを出して。」
「は~い。眼が覚めた私はすごく仕事が出来る子~。」
そう言っていつもと変わらない仕草で冷蔵庫へケーキを取りにいく。不思議なことに転ぶことなく。
「おりむ~。ここのケーキはね、ちょうちょうちょ~・・・・・おいしいんだよ~。」
そういいながら本音は自分の分のケーキを手に取る。
「やめなさい本音。布仏家の常識が疑われるわ。」
「・・・・・・・・・」
ケーキのフィルムについたクリームを舐める妹を厳格な姉は許さない。
ゴツン
「うえええ・・・・いたあ・・・・」
「本音、まだ叩かれたいの?・・・・そう、仕方ないわね。」
「まだ何も言ってないよ~。」
今の音は痛いな。
「はいはい、姉妹の仲がいいのはわかったから。お客様の前よ?」
「失礼しました。」
「し、失礼、しました・・・」
「のほほんさん、ケーキのフィルムのクリームはフォークで取ったらいいと思うよ。」
「・・・・・あ!」
「う、うん。それじゃあ一応最初から説明するわよ。一夏君が部活に入らないと色々苦情がきてね。生徒会は君を部活に入れないといけない状況になったの。」
「それでですか。大胆な行動に出ましたね。」
「まあね。でね、交換条件としてこれから学園祭までの間特別に鍛えてあげようと思って。」
「でもおりむ~てそんなのいるのかな~?」
「どういうこと、本音?」
「おりむ~って今まで無敗だからね~。」
「・・・・・・・・・いや。」
「「「ん?」」」
「俺は負けているよ。昔に・・・・」
一夏の顔はどこか思いつめた顔をしていた。その時チャイムが鳴る。
「いけない、早く戻らないと!」
「ていうか俺昼飯食ってない!」
「あはは、ごめんね~。」
「それじゃあ失礼します。」
一夏が生徒会室を出ようとしたときであった。胸のエボルトラスターの鼓動を感じ取る。
!まさか!
一夏は教室とは反対方向に向かう。
「どうしたのでしょう?」
「トイレかしら?」
その時アラームが鳴り響く。
『生徒の皆さん避難してください。ビーストが出現しました。』
「虚、本音。生徒の避難を最優先にして。」
「「はい!」」
学園外れの森、グランドレスが現れていた。
「キイイイイイイイイイイ」
前回の戦闘により山田先生と三人の教員と箒達しか戦闘に出れなかった。
「あのときの!」
「回復したみたいだね。」
その時後ろからネクサスが空から降りてくる。ネクサスは左手を胸にかざし振り下ろす。ネクサスはアンファンスからジュネッスブルーに変わる。
「シュッ、ハアアアアアアアアア、フッ、シュアッ」
ネクサスはメタフィールドを展開する。
「見させてもらうわよ。ウルトラマン。」
メタフィールドが閉じようとした瞬間に楯無がISを起動させて侵入する。
「キイイイイイイイイイイイ」
「シュア」
「これが亜空間・・・・本当に外に連絡が出来ないのね。」
「そこにいるのは誰ですか?」
「!」
楯無が振り向くとそこには山田先生たちと箒達の姿があった。
「山田先生!それに皆さんも!」
「まったくどうしてあなたはここにいるんですか。」
「ウルトラマンが気になったからです。今までウルトラマンが私達のために戦ってくれていました。でも今戦っているウルトラマンが前のウルトラマンなのかわかりません。」
「・・・・・・仕方ないですね。でも約束です、死なないでください!」
「わかりました。」
「キイイイイイイイイ」
「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」
振り向くとそこには倒れているネクサスの姿があった。
ネクサスは立ち上がりグランドレスにパーティクルフェザーを放つ。グランドレスは後ろに下がる。ネクサスは接近しグランドレスの腹部にキックする。グランドレスは爪をネクサスに振り下ろす。ネクサスは膝を地に着ける。グランドレスは両爪をネクサスに叩きつけようとするがネクサスは両腕のアームドネクサスでそれを受け止め弾き返す。ネクサスは立ち上がり後ろにバク転し距離を取る。
「シュアアアアア、フィアアアア」
ネクサスはグランドレスにクロスレイシュトロームを放つ。グランドレスはそれを受け倒れた。
「やった!」
「これで終わった!」
「そのようね。私が来るまでも・・・」
「どうかしましたか、生徒会長?」
箒がたずねる。
「あ、あれ!」
皆は楯無が指差す方を向く。そこにはアンノウン・ハンドが死んだグランドレスに闇の光を与えていた。
「何よあれ!」
「また回収する気か!」
その刹那、グランドレスはよみがえった。グランドレスは雄叫びを上げる。
「キイイイイイイイイイイイイイ」
全員その状況が冷静に理解できなかった。
「うそ・・・・・・・・」
「でも・・・・・・・・・・・死んだはずじゃ・・・」
「・・・・・・・・・」
「シュア」
ネクサスはグランドレスに向かい接近する。グランドレスは尾から火球を放つ。ネクサスは左に側転し回避する。グランドレスは箒達に目を付け火球を連射する。ネクサスはマッハムーブを使いグランドレスに背を向け箒達をかばう。
「ジュアアアア、フ、グアアアアアア」
ネクサスは苦しむ。グランドレスは胸部からも火球を連射する。
「「「「「「「「ウルトラマン!」」」」」」」」
その場にいたものがただ呆然とその光景を見ているしかなかった。ネクサスは両膝を突き、両手を地に着ける。
「ハア、ハア、ハア」
ネクサスは呼吸が荒くなったが立ち上がる。グランドレスは勝ち誇ったかのように雄叫びを上げる。
「キイイイイイイイイイイイ」
「シュア」
ネクサスはグランドレスに向かい構える。グランドレスは尾と胸部にエネルギーを溜め込む。ネクサスはジャンプする。グランドレスは七つの火球を放つ。グランドレスの放った火球はホーミングレーザーのごとくネクサスを襲う。
が、ネクサスはそれを空中で舞い、回避する。
「すごい!」
「空を自在に飛んでますわ!」
ネクサスは空中で静止し右腕のアローアームドネクサスを胸にかざす。ネクサスの胸のYの文字が光の矢の形を作り、ネクサスのアローアームドネクサスにまとう。ネクサスはグランドレスにアローアームドネクサスを向け、左手を右腕の内側に沿え、弓矢のごとく引く。Y字型の矢は虹色の光を発する。
「フッ、フ、ハアアアアアアア、シュア」
ネクサス・ジュネッスブルーの必殺技・アローレイ・シュトロームがグランドレスに向けて放たれる。アローレイ・シュトロームはグランドレスに命中し、グランドレスは爆発する。
「キイイイイイイイイイイイイイ」
ネクサスは地上に着地しメタフィールドは解除される。
「・・・・・これが・・・・ウルトラマンの戦い・・・・」
楯無はネクサスを見ながらそう言った。ネクサスは光となり消えた。
放課後、一夏が自主練しようとグランドに出たところ一夏は急に倒れだした。楯無は一夏を保健室まで運んだ。
Tweet |
|
|
4
|
1
|
追加するフォルダを選択
弥生と別れた一夏は昼食をとりに食堂へ行こうとするがそこで楯無と出くわす。