No.507568

超次元ゲイム ネプテューヌmk2 Twin snow wind -episode18-

投稿が遅れてしまい申し訳ないです!

2012-11-12 23:40:14 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:858   閲覧ユーザー数:760

――Area リーンボックス付近の平原――

 

 

 

とまぁ、魔法の練習? の為に広い所に来たは良いものの…正直他人に何かを教えるなんて事一切した覚えがないし、どうすればいいのやら…

あとこれは気のせいだと思うんだけど、さっきからなんだか頭がぼーっとするような。

 

「で、フウちゃん! どうすれば強くなれるの!?」

「…え? あ、い、いや、えっと…」

 

不意にラムちゃんに声をかけられ、慌てて考え始める。

んー、うーん………あ、それじゃあ…

 

「…二人はさ、魔法を詠唱する時、魔力はどうしてる?」

「どうしてる、って…?」

「どうするも何も、普通にしてるけど」

 

あー、魔力の流れからしてそんな感じはしてたけどやっぱりそうか。

 

「んっとね、その集める魔力を練る、って事はできそう?」

「魔力を…」

「練る…?」

 

そう言ってみると、二人は頭の上に?マークを浮かべる。

魔法を使ってる人ってなんでかこれをやりながら詠唱する人が少ないんだよね、その方が良いのになんでだろ。

 

「えぇっと、表現的には……うん、練り飴を練るような感じ。そんな感じで魔力を集めながら練るって事」

「うーん…どうかなー」

「とりあえず…ちょっと待っててね」

 

どうするか少し考えてから、とある方法を思いついたのでまず手頃な強度を持った氷の塊を生成しておく。

練習にも使える溶けない魔法の氷、ってやつだ。

 

「えっと、まず普通に魔法でこの氷を壊そうとしてみて」

「これを壊せばいいのね? そんなのらくしょーよ!」

 

と、ラムちゃんが魔法の槍を放って氷を壊そうとする。

けど氷が壊れる事はなく、むしろ傷一つ付いていない。

 

「あ、あれ? えい! えいっ!」

「まぁ壊せないよね。それ、普通の氷じゃなくてちょっと硬くしてるからさ」

「…ラムちゃんで壊せないんじゃ、わたしでも壊せないよ…」

 

ラムちゃんが氷を壊せないのを見て、自信を無くしたように言うロムちゃん。

確かにロムちゃんは回復とかの方が得意そうなイメージだけど。

 

「で、今普通に魔力を集めて放ったでしょ? それを今度は魔力を練るように、それでもって一ヶ所に集中させるようにしながらやってみて」

「わ、わかった!」

「ロムちゃんも、これをできるようにしておくと色々と応用効くから、一緒にやって覚えといたほうがいいよ」

「う、うん…」

 

そう指示すると、それぞれ練習し始める二人。

二人共元からセンスが良いみたいだし、案外すぐにできるようになるかもね。

 

 

 

……そう、思っていたのが数十分前の話。

うん、確かにフラグを立ててた気はしてた。してたけど…

 

「…まさかホントにすぐ覚えるとは思ってなかったよ…」

「やったやった! ふふん、あんな氷くらい、わたしに掛かれば簡単に壊せちゃうんだから!」

「で、できた…?」

 

喜び、どやぁ…といった表情のラムちゃんに、ホントに自分もできたのかまだ少し信じられてないロムちゃん。

……この習得の早さは単に二人のセンスがかなり良いからなのか…それともやっぱ女神だから、なのかなー。

…………。

 

「………ゃん……ウちゃんってば!」

「…! あ、え? な、なに?」

 

え、あれ…? 今わたし、またぼーっとして…?

 

「なに? じゃないわよ! 呼んでるのに返事しないで……って、ちょっと、大丈夫?」

 

呼んでいたのに反応しなかったと怒っていたラムちゃんが、急に心配そうに聞いてくる。

 

「大丈夫……って言われても、わたしはいつもどおりだよ…?」

「(ふるふる)違う…フウちゃん、お顔真っ赤…」

 

え? かお?

ロムちゃんにまで心配そうにそういわれるものだから、おもわずじぶんの顔をペタペタとさわってみる。

……べつに、いじょうはないけど…

 

「きのせいじゃない? わたしは、なんとも――」

 

……って…あ、れ…なんか、しかいが…へん…

あたま、も…ぼーっと、して…………

 

そこで、わたしの意識は途切れた。

――side rom――

 

 

 

「きのせいじゃない? わたしは、なんとも――」

 

お顔が真っ赤になったフウちゃんが、そこまで言った時だった。

突然、ゲーム機の電源を消した時みたいに、フウちゃんがわたしに倒れ込んできた。「ふぇ…? ふぇぇぇぇっ…!?」

 

いきなりでびっくりして、辛そうなフウちゃんの顔を見てもっとびっくり。

こんなフウちゃんを見て、隣にいたラムちゃんもびっくりしたみたいで、

 

「え? ちょ、ちょっとフウちゃん!?」

 

って、いつもイタズラがバレちゃってもしないようなびっくりした顔をしていた。

お顔真っ赤で辛そうにしてる、ときは…おでこ、さわるんだっけ…?

前に読んだ本でも顔の赤くなった人のおでこを触ったら…みたいなのがあった…はず。

 

「…熱い…」

 

そう思ってフウちゃんのおでこに触ってみると、すっごく熱くなっていた。

フウちゃんも苦しそうだし…ど、どうしよう…

 

「えっと、えっと……み、ミナちゃん! がこんなとこにいるわけないし……ど、どうすればいいのよーっ!」

「あぁ、やっと見つけました。……どうしたんで?」

 

わたしとラムちゃんが二人で慌てていると、そこにアリスちゃんがやってきた。

 

「あ、アリスちゃん…!」

「フウちゃんが倒れて…それで…!」

「……とにかく一度落ち着いて、フウちゃんを見せてください」

 

苦しそうにするフウちゃんを見ても、アリスちゃんは落ち着いてフウちゃんの様子を見始める。

 

「……どこかで病原菌でも貰ってしまったのか…そうじゃなくともかなりの高熱、と…。確かネプギアさん方のお仲間にナースの子がいたはずですから、その人を戻らせるよう連絡を入れて……お二人、フウちゃん持って宿まで戻れますか? できるのでしたら先に戻っていてください」

「アリスちゃんは、どうするの…?」

「ネプギアさん達の所にいた、コンパさんという方を呼んできます。なに、私が本気を出せば人探しなど一瞬で済みますのでご心配なく。それで、任せられますか?」

「も、もちろんよ! フウちゃんはわたし達が連れて帰るわ!」

 

アリスちゃんにそう言って、フウちゃんをおんぶするラムちゃん。

えっと…わたしも…

 

「…ら、ラムちゃん…がんばって…!」

 

自分にできる事を考えた結果、魔法でラムちゃんのお手伝いをすることに。

 

「ロムちゃんありがと! アリスちゃん、急いでよ!」

「了解してますよ」

 

そう答えて、アリスちゃんはすぅっと影に溶けるようにいなくなる。

 

「わたし達も行こ! ラムちゃん」

「うん…」

 

ラムちゃんもわたしにそう言って、街に向かって歩き出す。

……フウちゃん、苦しそう…大丈夫、なのかな…

ラムちゃんの背中で苦しそうにするフウちゃんを見つめながら、わたしはラムちゃんと一緒に街へと戻った。

 

 

 

 

 

…………。

 

辺り一面真っ白な空間に、わたしはいた。

 

………ここは……どこ…?

 

疑問に答えてくれる人はいなくて、変わりに聞こえて来たのは、激しい金属音。

 

なんだろう、と思い音の聞こえてきた方を見ると、

 

そこで、見たことのない四人の女神達が戦っていた。

 

 

『まったく頭のお堅い女神じゃのう…っ!』

 

 

短めの紫髪を小さくポニーテールのようにした、老年のような口調で話す女神がその手に持つ自身の身の丈よりも大きい大太刀を、一人の女神へと降り下ろしながら言う。

 

……彼女は…プラネテューヌの女神…?

 

 

『……できたばかりの小国共に、あれだけシェアを奪われたんだ。……当然の対応だと思うが? ウラヌス』

 

 

その一撃を表情一つ変えずに大鎌で受け止めるのは、水色長髪の女神。

 

その身に纏うプロセッサユニットは黒色だけど、なぜかルウィーの女神なのだろうとわかった。

 

(ルウィー)の女神は受け止めた太刀を弾き、一閃。

 

ウラヌスと呼ばれた(プラネテューヌ)の女神は斬られる前に素早く後方へ飛び退き、それを躱した。

 

そんな光景を、どこか悲しそうに見つめる女神が一人。

 

 

『…――……』

 

 

その、白髪ツインテールの、ラステイションのと思われる女神は多分、白の女神の名前を呼んだのだろう。

 

けど、どうしてかその名前の部分だけがノイズが走ったかのように聞き取ることができなかった。

 

 

『……今更情にでも流された? アーティル。……私は姉の遺した国に仇なすのなら……たとえお前が相手だろうとも容赦はしない、と言った筈…!』

『……ッ…』

 

 

アーティルと呼ばれた(ラステイション)の女神は白の女神とは戦いたくない様子だったけど、そんな事はお構い無しと言った感じで白の女神は無表情のままアーティルに斬りかかる。

 

辛そうな表情をしながらも、アーティルはその一撃を大剣で防いだ。

 

 

『…む…っ!』『………!』『……くっ…!』

 

 

そんな時、突然上空から緑色の魔力の雨が降り注ぎ、咄嗟に反応した三人の女神はその場から大きく飛びのいてそ

れを躱す。

 

そして上空から四人目の女神が言葉を発した。

 

 

『あら、折角一網打尽にできると思いましたのに』

 

 

残念そうに言いながら降りてきたのは、緑の長髪を横で結わきサイドテールにした女神。

 

恐らくこの女神がリーンボックスの女神なんだろう、身の丈近くある巨大な槍を肩に担いでいた。

 

 

『お主だけ何もしてこないとはおかしいと思っていたでの。イリティス』

『まぁ、今ので決着が付いていたら、今までの戦いは何だったのかと疑問になってしまいますしね』

 

 

大太刀を背負うように持ちながらウラヌスがそう言うと、緑の女神イリティスはくすくすと笑う。『ははっ、違いないわい』

『…………』

 

 

イリティスの言葉を聞いて笑みを浮かべるウラヌスと、面白くなさそうに沈黙する白の女神。

 

そんな、四人の女神が戦う光景を、わたしは少し離れた場所から傍観していた。

 

……これは、何? こんな出来事、わたしは、知らない…

 

…いや、もしかしたら知ってた事なのかもしれない。けど、思い出せない。

 

この女神達は何? どうしてわたしはこんな光景を見ているの?

 

そう考えると突然辺りが真っ白な光に包まれた。

 

 

 

――side alis――

 

 

 

「……ん…」

 

不意にそんな声が聞こえて、声の主であろうお方の寝ているベッドに視線を移す。

 

「お目覚めですか? フウちゃん」

「アリス…? わたし、は…」

「ラムちゃんとロムちゃんのお二人の魔法の特訓中に倒れたのですよ」

 

今だに少し顔の赤い我が主様にあった事を教える。

まったく、少し様子を見に行ったらあれですもの、流石に少しビビりましたよ。

 

「ふぇ……ぁ…そっか、わたし…」

「おっと、まだ安静にしててくださいね? まだ熱は引いてないんですから」

 

ベッドから起き上がろうとするフウちゃんを手で制し、再び横にする。

…この子はどうしてこうも無茶をしようとするのか。

 

「倒れた理由は40度近くの高熱。原因は寝不足、疲労辺りだろうとコンパさんは仰っていました。…フウちゃん、夜な夜な何かしていましたね?」

「ぅ…そ、そんなこと…」

軽くそう訊いただけでも、なんともわかりやすい反応が帰ってきた。

このお方はどうやら隠し事等は苦手、というタイプなんだろう。

 

「嘘ですね。無理を承知の事をしていたから、二人が寝静まり私がよく出かける夜に何かをしていた。…違いますか?」

「うぅぅー…」

 

子供っぽく唸って若干涙目になった顔で私を睨み付けてくる我が主。

しかしわざわざ寝る時間を削ってまで何をしてたのか。鍛錬かなんかでしょうかね?

 

「全く、何をそんなに急いでいるのです?」

「…わたし、弱いから…このまま二人と一緒にいて、置いてかれたく、なくて…」

「…はぁ」

 

問い掛けた質問の答えが想像通りだったからか、思わず溜め息を吐いてしまっていた。

 

「…あなたはそんな事の為に、お二人や皆さんに心配をかけたのですね」

「そんな事って、わたしは…っ!」

 

そんな事扱いされたのが気に入らなかったらしく、怒り顔のフウちゃん。

ですがね、フウちゃん?

 

「今のあなたは人間なのですから、女神であるお二人と差がついてしまうのは仕方の無い事です。それなのにそんな無理をして身体を壊してしまうのは、ただ周りの皆さん方に余計な心配をかけさせてしまうだけですよ」

「で、も…」

 

強情ですねぇ、彼女らしいといったらそうなんですが。

 

「それに、そんなに気に病まずとも来るべき時が来ますから。最も、それが何時になるのかはフウちゃん次第ですけれど」

「え…? そ、それってどういう…」

 

っと、少しお喋りが過ぎましたかね、失敗失敗…

 

「そもそもフウちゃんは今のままでも十分強いと思いますしね。…さて、と。では私はいつも通りに少し出掛けてきますので。間違っても抜け出そうだなんて思わないでくださいよ? 病人なのですから」

「わ、わかってるよ…」

「……あー、やっぱり心配になってきました。フウちゃん懲りずに抜け出しそうです」

「信用ないねわたし!?」

 

そりゃ、打たれ弱いくせに無茶ばかりして大怪我負ってるのを目の前で見たりしてるんですし、ねぇ?

 

「という事で、見張りを置いていこうかと思います」

 

そう言って私は横に手をかざし、影から自分の分身体を生み出す。

 

「…そんな事もできるんだね」

「まぁ、ドッペルゲンガーですし。分身体を作る程度なら余裕ですよ」

 

疲れるからあんまり使いたくないんですけど、正直これ使うよりもフウちゃんに無茶される方が疲れますし。

 

「ということで、フウちゃんの見張りは任せましたよウォック」

「りょうかーい!」

「……そんなに気に入ったの? あの本」

 

なんとなく付けた判別名的な物で分身体に指示を出していると、横でフウちゃんが若干呆れ顔でこちらを見ていた。

気に入った、というより、私の名もあの作品から貰ってるんですし折角だから同シリーズの作品から名前を拝借しようと思っただけなんですがね。

 

「では私はこれにて。今日は安静にして寝てなくてはダメですからね?」

「わかってるってば! もー…」

 

そんな、いい加減しつこいとでも言いたげな視線を背に受けつつも、私は部屋を後にするのでした。

 

 

 

――side fu――

 

 

 

「……はぁ…」

 

アリスが部屋から出ていって静かになると、思わず溜め息ひとつ。

自分ではそんなに無茶してる気はないんだけどな…

 

「…………」

 

熱のせいでまだぼーっとしている頭で、さっきまで見ていた夢の事を考える。

 

あの夢は、いったいなんだったんだろう。

出てきたのは…女神?みたいだったけど…行方不明になってる女神とは違うようだったし、かといってネプギアさん達とも違う。

そもそもどうしてわたしの夢に女神が出てきたのか。

 

「…ぅー…」

 

思い出そうとしてもただ確かに存在していた、ということだけしか思い出せなくて、その上頭が重く、ぼぅっと熱いせいで余計に上手く考えることができない。

まずはこの風邪を治すことが優先、か…

 

「…ウラヌス、イリティス、…アーティル…」

 

存在と共に、唯一覚えていたその名を呟く。

それと同時に感じたこの感じ……懐かしい?

 

「ねーねー、フウちゃんー。聞いてるー?」

「…ん。あぁ、そういえばなんか残していってたっけ」

「なんかって、ひどいなぁ…」

 

今まで思考に集中していたせいですっかり存在を忘れていた、アリスの置いていった分身体。

彼女はわたしの言葉にさも傷付いたかのように振る舞っている。

 

「…ま、いいよー、私の事は。それよりもさ、何か暇潰しできそうなものとかないー?」

「…暇なら外に遊びにいけばいいでしょ。もうすぐ夜だけど」

「それはマスターに怒られるからダメー。他の事ーっ!」

 

マスターってのは多分、アリス本体の事かな。

にしても、病人に頼むことだろうか、それは。

 

「はぁ…もう…」

 

子供のようにばたばたと喧しくするアリス分身体を静める為、気だるい身体をどうにか動かして自分のバッグを手に取り、中から携帯ゲーム機を取り出し、投げ渡す。

 

「ほら、それやって大人しくしてなよ…」

「わっとと…、物を人に投げたら危ないよっ!」

「大きな声出さないで。頭に響く…」

 

ぎゃーぎゃー喚く影を無視しながら布団を被る。

っと、寝る前に一つ聞いておかないと。

 

「ところで、ラムちゃん達はどこ行ったの?」

「んー? あの二人なら戻ってきたギアちゃん達と一緒だよ」

 

ネプギアさん達と…なら安心、かな。

 

「もう寝るのー?」

「うん。…他にすることもないし」

「そっかー。じゃ、ゆっくり休んでね。風邪なんてさっさと治すに限るし」

 

言われなくてもそうさせてもらう、なんて思いながら目を閉じる。

そうすると睡魔はすぐにやってきて、瞬く間にわたしは眠りに落ちた。


 
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