第8話 南蛮へ行こう!
曹操軍を漢中から追い出してしばらくのことであった。
南蛮の方で奇妙な動きがあるという情報を聞いた一刀は自ら動き、南蛮へと赴いた。
一刀は翠(馬超の真名)、蒲公英(馬岱の真名)、美咲、桔梗、焔耶を連れて南蛮の森へとたどり着いた。
「凄い森だ。それに暑い」
「暑いねぇ~…ふへぇ~…」
あまりの暑さに声を漏らす蒲公英。
「美咲、水と食料の確保は大丈夫か?」
「あまり大丈夫とはいえないかもしれません……、この暑さでは兵糧が持たないでしょうから……」
「やっぱこの暑さだと腐ってくるか……。兵糧は仕方ないとしても水は確保しないと…」
「しかしこの辺りの水は毒水と言われ、漢朝の人間が飲むとお腹を壊してしまうと聞いています。恐らく、何かの呪いが掛かっているのかと」
「それはない」
一刀がきっぱり言う。
「目に見えない小さな生き物……細菌って言うんだけど、それがいるから飲めないだけできちんと処理をすれば飲めるさ」
「お館様、何故そう言えるのですか?」
「何故って……そう言えばなんで俺、こんなことすぐに思いついたんだろうか」
「お館様でも分からないのですか?」
「……正直、………ただ何故か確信を持って言える。腹を壊す理由はその細菌だって…」
「ふぅ~ん」
「あんた、思ったより変わってるな」
「よく言われる」
翠の言葉をそのまま受け入れる一刀。
一刀達が行軍していると……突然目の前に猫耳をした少女が現れた。
「誰だ!?」
「我こそは南蛮大王孟獲なのにゃ! ショクとかいう奴らめ! 我らの縄張りに入ってきて、タダで帰れると思ったらいかんじょ!」
「……可愛い!」
「にゃ?」
孟獲の可愛さに思わずいつもと違う声と反応をする美咲。
「一刀! あの子、ぬいぐるみみたいで可愛いわ! 耳までついてる!」
「あ、ああ……」
「それであいつが南蛮の王様なのかな?」
「そうだじょ! みぃは南蛮の王様なのにゃ! えらいのにゃ! みんなハハーッって言え!」
「いや、それはちょっと…」
一刀は笑い混じりに言った。
「何を笑ってるのにゃ!」
「ごめんごめん」
一刀の顔はまだ笑っていた。
「むー! バカにしおってー! そんな奴らにはたっぷりおしおきしてやるじょ!」
「いや、ちょっと待ってくれ!」
「にゃにおー! 子分ども!」
一刀の言葉を聞かず、孟獲は仲間を呼び、孟獲の三人の子分、ミケ、トラ、シャムが現れた。
ちなみに三人とも孟獲とあんまり変わらない体系である。
「可愛い子分さん……」
「うわぁ、ちっちゃい。…たんぽぽの子供の頃を思い出すなぁ」
子分の三人が出てきても雰囲気は和んでばかりだった。
「…おっと、俺達は聞きたいことがあってここまで来たんだ」
「聞きたい事? なんじょ?」
「君達南蛮が俺達の領土に入って来たって聞いたけど、それは本当なのか? それで本当だとしてなんで入って来たのかを……」
「ああ、そのことかじょ。確かにみぃたちはショクに行ったにゃ」
「なんで?」
「なんでって、……観光に行っただけにゃ」
「観光?」
「そうにゃ」
「大王しゃまは外になにがあるのか気になって…」
「ミケ達を連れていったのにゃ」
「連れてったのにゃ~」
「なるほど、ということはこちらが過剰に反応しすぎただけか」
一刀は納得した。
「それでお前達は何しに来たにゃ? この南蛮の侵略かにゃ?」
「いや、ちょっと妙な動きがあると聞いたからその真意を確かめに来ただけだ。場合によっては戦闘も考えてたが、今聞いて見て分かった。
そちらに戦う意思はない。だったらこちらも戦うのはやめだ。皆、帰るぞ」
一刀は早速帰る準備をする。
「ちょっと待つにゃ」
孟獲が呼び止める。
「? どうした?」
「せっかくここまで来たのにゃからみぃと勝負にゃ!」
孟獲がどこからか武器を取り出す。
「勝負って……別に戦う理由はないってさっき言っただろ?」
「ここまで来たのにゃ! 何もせずに帰るなんてもったいないにゃ!」
「「ないにゃ!」」
「ないにゃ~」
「…………仕方ない」
一刀は刀を取り出す。
「一刀様?」
「美咲、もう公のことは終わってるからこれは私事だ。様付けせずに一刀でいい」
一刀は刀を鞘から抜く。
「言っておくけど、俺は殺すつもりはない。だからそちらも俺を殺す気で来ないでくれ」
「みっともない奴にゃ」
「いいだろ」
一刀と孟獲が対峙する。
「目にも止まらぬみぃの攻撃で、あっという間にオダブツにしてやるのじゃ!」
そういうと孟獲は得物を振るが、一刀はその攻撃を簡単に避けた。
「遅い」
一刀は刀を孟獲にむける。
「ぐぬぬー。お前が動くのが悪いにゃ! じっとしとくのにゃー!」
「あのな、それだと下手したら死ぬだろ。
俺は死ぬ気もないし、殺す気もないって言っただろ」
「ぐぬぬぬぬ」
「もう一度やってみろ、それで終わらせてやる」
「いくにゃ!」
孟獲は再び得物を振る。
「はあっ!」
一刀はなんとその得物をあえて避けずに刀で受け止める。
「っ!」
そしてうまく刀を滑らせることで孟獲の武器を回転させる。
「ににゃっ!?」
武器が無理やり回転したことで手が耐え切れず孟獲の手から得物が離れる。
「にゃ!?」
「俺の勝ち」
一刀の刀が孟獲の眼前まで近づいていた。
「ひぃいいいい!」
「これで終わりだ。それじゃあ」
一刀は刀を鞘に納め、帰ろうとする。
「待つにゃ!」
「? 今度はなんだ?」
一刀は孟獲の方に振り向く。
「もう一度勝負にゃ! みぃが負けたのは何かの間違いにゃ!!」
「悪いけど、俺、そこまで暇じゃないから君と戦う気はしないよ。じゃあ」
一刀達はさっさと帰る。
そして帰り道……。
「待つにゃーーーー!!」
孟獲たちが後ろから追いかけてきた。
「? また勝負か?」
「みぃ達も一緒に行くにゃ!」
「は?」
「そしてまたみぃと勝負するにゃ!」
どうやら孟獲達は一刀と勝負するためについて行くとのこと。
「どうするのじゃ、お館様」
「まあ悪さしないのであれば別にいいよ」
こうして孟獲達は一刀について行き、日常的に一刀を襲ったり、遊んだりしたそうだ。
この世界のどこかで……。
「蘇双、何か考えは浮かんだか?」
「あのな、俺は肉体派だと言うのを忘れたのか?」
「そうだったな」
蘇双と張世平が考える。
「呉の孫策でも動かすか?」
「どうやってだ?」
「襲わせるんだよ、蜀の兵に呉をな……」
「なるほど……」
二人は不気味に笑うのであった。
おまけ
作者「第8話でございます」
一刀「美以が随分簡単に仲間になったな」
作者「まあ七度もやる理由が正直、この劉璋一刀にはないからな」
一刀「確かに…」
作者「そして次回は管理者の暗躍」
一刀「そして雪蓮が相手か…」
作者「そうなるな」
一刀「ところで、お前はゲームしているのか?」
作者「ああ、きちんと『テイルズオブエクシリア2』をやっている。
今は起きたばっかりでこれを投稿している」
一刀「寝起きでこれかよ!」
作者「寝起きくらいしか投稿できる時間が……、ないわけじゃないぞ。
ただ気分的なもんだ。まあ俺はどんなゲームも可能な限り1週間で1週目をクリアしようとする男だ」
一刀「それはどうかと……」
作者「まあ、確かに問題だらけだけどな。
とりあえず今回はこんなもんだ。それでは!」
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この作品は作者が最近見かけている「転生もの」の影響を受けて書いたものです。