No.501114

語られし者たちとIS 世界樹大戦 第19話 ジェイの実力

書かせていただきます
視点はなしで

2012-10-27 23:55:52 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1491   閲覧ユーザー数:1379

 

 

シャルロットとして学園に入った次の日、一夏は久しぶりに屋上で食事を取ることにした

 

一人で食べようと思ってお弁当を用意したのだが、屋上には箒、セシリア、鈴、それに加えてシャルロットとラウラがいた

 

「……今日は弁当だぞ」

 

「そ、そうか……くっ」

 

「タイミングが合いませんわね……」

 

箒とセシリアは少々ショックを受けていた。今日も一夏のために何か作ってきたのだろう

 

一方、鈴とシャルロット、ラウラは自分の分だけ用意していたみたいだ

 

そのまま食事を始めようと思った時

 

「へえ、噂の男子君は料理上手なんだ」

 

一夏達の弁当を眺める女性が一人いた。リボンの色からして三年生なのだろう

 

「あなたは……三年のダリル・ケイシーさんでは?」

 

「そういうあんたはイギリスの代表候補生のセシリアだったか? まあいいや、食事の邪魔をして悪かったな」

 

そのまま立ち去ろうとした時、彼女は一夏の右肩を見て動きを止めた

 

しばらく一夏と周りの女子達をじろじろと見た後、感心したように右手の甲を見せた

 

そこには果実の模様が、そして彼女の後ろにはへそを出した軽装で茶色のチョーカーをつけた男性がいた

 

「そうか……私もなんだ。よろしく、三人」

 

(俺の名前はリッド。まあしばらくは戦う気はないから)

 

そう言い残して去っていった

 

箒、セシリア、ラウラは良くわからないという感じ

 

シャルロットはまだ自覚をしていないのか警戒心は薄い

 

一夏と鈴はこの場で戦いが起こらなかったことにホッとしていた

 

六人はそのまま昼ご飯を食べることにした

 

一方、ダリルは寝転がって空を見ていた。パートナーのリッドも同じようにしている

 

これが彼女の最近見つけたリラックス方法のようだ。発案者はリッドである

 

ファンの子達はそんな彼女の真似をしているらしい

 

その様子を一夏達は不思議そうに見ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業の後、一夏がシャルロットのことと昼にあった三年生について楯無に相談しに行こうと思った時、真耶に呼び止められた

 

「織斑君、少しお話があるので残ってもらえませんか?」

 

一夏は言われたとおり教室で待っていると、鈴とシャルロットに本音、簪がやってきた

 

このメンバーの共通点は、一つ。世界樹大戦の参加者だ。全員が集まったのを確認すると、真耶は話し始めた

 

「四日後の臨海学校なのですが皆さん、警戒してください」

 

「どうしてですか?」

 

一夏の質問にはみんなが頷いていた

 

「それは私が説明するわ。最近また魔物の動きが活発になってきたの、この前のようにね」

 

アンジュの言葉だけでシャルロットとジェイ以外は納得した

 

以前魔物がこちらの世界にやってきたことを説明するとジェイは理解する

 

「……つまり、こちらの世界に魔物が出てくるかもしれないということですね? そう言うことでしたら理解できます……僕のパートナーには後で話しておきますのでとりあえず話の続きをお願いします」

 

そのまま話が続く。とりあえず臨海学校ではパートナーとともに行動しておくこと、何かあったらすぐに連絡を取り合うことが決められた

 

話し合いが終わった後、すぐに解散となった。本音がシャルロットのことを報告してくれるようなので、一夏はそのまま部屋に戻った。ちなみに三年生のダリルについては既に知っていたらしい

 

それに合わせて鈴とシャルロット、簪も帰ることにした

 

シャルロットは帰りながらジェイと話をしていた

 

「一体どういう話だったのかよくわからなかったんだけど……」

 

「部屋に戻った後に詳しいことをお話しします。それと今話していると他の人に変な目で見られますよ」

 

シャルロットはその助言を聞いて少し恥ずかしそうにしていた

 

恥ずかしいのを隠すように急いで部屋に戻るとジェイは彼女にブローチを渡す

 

それをシャルロットが受け取って服に付けた瞬間、周りの景色が変わった

 

不思議そうにしているシャルロットにジェイは詳しく説明をした

 

ここはシャルロットのいる世界とは別だということ、この世界の時間経過が遅い事

 

そしてこの世界にはモンスターが出てくること等を

 

「そうですね、まずは僕と戦ってください、あなたの実力が見たいので。もちろん、ISを使ってくださいね。そして当たり前ですが本気で来てください」

 

ジェイの言葉を信じられないような顔で見るシャルロット。いくら何でもIS相手に生身で戦うなんてと感じていた

 

言われたとおり、ISを展開して戦いを始める

 

数分で決着がつく。シャルロットはそう感じていた

 

……それが自分の敗北というのは予想していなかったが

 

気が付いた時には、地面の上に仰向けで寝ていた

 

何をされたのかが分からないという感じだ

 

「一体……何をしたの? 僕が攻撃しようとした時、目の前から消えていたよね? そして体術と護身刀……かな? それだけでこんなにもあっさり……」

 

「なるほど、ちなみに消えた技はパッシング・スルーと呼ばれる戦闘技術です。相手の隙をついて後ろに回り込むということです。タネが分かってしまえば簡単なものですが、初見では確かに驚くでしょうね」

 

シャルロットはジェイの説明でなんとなくは理解できたようだ

 

だが、それ以上に彼の体術は相当なものだと思えた。軍の訓練を受けていたとはいえあっさりと負けた自分にショックを受ける

 

そんな彼女の様子を見て、ジェイは話を続ける

 

「ほら立ってください。別に負けたからって悔しがらなくても結構ですよ。一夏さんや鳳さんだって最初はこんな感じだったのですから。それに僕たちは遅れて参加したのですから追いつくように特訓をしないといけません」

 

「それって一夏の気迫が急に強くなることと関係しているの?」

 

シャルロットの質問にジェイは感心していた

 

「なるほど、オーバーリミッツを見たことがあるのですね。自分の蓄えた闘気を解放させる技術ですが、この大戦の参加者ならば必須になる技術ですね」

 

その言葉を聞いてシャルロットはジェイに特訓を頼むことにする

 

彼女は一夏と共に戦う権利を得た。自分の好意の持つ相手と一緒の。だからこそ、彼と互角に戦えるようにしたいと心から願った

 

その決意を理解したのか、ジェイはすぐにシャルロットを鍛えることにした

 

彼女の呑み込みが早かったので、すぐにパッシング・スルーを覚えたことにジェイは驚く

 

(なるほど、この実力に飲み込みの速さ……なかなかですね)

 

ジェイ自身も彼女の才能をうれしく思っていた

 

出遅れた、そう思っていたが、これなら何とかなる

 

そう考えながら特訓は続いた

 

しばらく特訓をした後、休憩時間にお互いのことを知ろうと思い、シャルロットはジェイと話始める

 

「ジェイって故郷ではどんなことをしていたの?」

 

「そうですね……情報屋として働いていました。それよりもシャルロットさん、あなたのことも多少調べました」

 

ジェイの表情は少し険しいものになっている

 

「シャルロットさん、随分と苦労していますね。あなたの生まれや今の立場に」

 

「そしてタイムリミットはたったの三年……あなたが考えている以上に大変なことに巻き込まれています。僕も可能な限りお手伝いしますが、最終的には誰か信用できる権力の持ち主に頼るべきですね」

 

シャルロットはその話を黙って聞いていた

 

そこまで調べたことに驚いたと同時に自分が想像していたよりもずっと自分のことを考えていてくれたことが嬉しかったようだ

 

「ありがとう、ジェイ」

 

「いえいえ、相手のことを調べておかなければいい関係は結べませんからね」

 

ジェイの笑顔が何か怖く素直に喜べなかったシャルロットであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スキット

 

不可視のジェイ

 

 

 

真耶を待っている時に一応自己紹介をするパートナーたち

 

「初めまして、ジェイと申します。みなさん、よろしくお願いしますね」

 

笑顔で自分の紹介をした後すぐに

 

「ギルド、凛々の明星(ブレイブ・ヴェスペリア)のジュディスさん、ストラタ軍少佐のヒューバートさん、王国客員騎士のリオンさん、元・王の楯の隊長の教え子のマオ。そして今から来るのは教会の聖女、アンジュさんでしたか?」

 

全てを言い当てたことにマオは驚いていた。しかしその情報の出し方で気づくものがいた

 

「……あなたが不可視のジェイね。情報屋としての噂、すごいわよ」

 

「聞いたことがあります。軍の諜報員よりもすごいとか」

 

そしてここにいる大勢はこう思った

 

(厄介な敵が来たと)

 

「おや? どうしましたか? とりあえずは戦わないですから安心してください」

 

そんな彼の笑顔にも油断できない。そう思うしかなかった

 

 


 
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