「あのー、お二人さんいちゃいちゃするのもいいんですけど、
亜美ちゃん真面目な気持ちで勉強しに来てるんだよねー」
はっ!
見つめ合う二人の間に出来ていた桃色空間が一瞬にして消え去る。
「か、川嶋、すまん別にいちゃいちゃしてたわけじゃ……」
「別に二人がなにしてたって文句言えませんけどー、
私だってバカップルの邪魔しに来ちゃ悪いかなーってほんの少しは考えてるわよ。」
「んなバカップルって」
そう、この勉強会には亜美も参加している。
モデルの仕事があるため毎回とは行かないが空きを見計らっては
ちょくちょく来ているのだ。
「それにさ私の事はいつまでもよんでくれないのに
奈々子は呼び捨てに……」
「ん?すまん。よく聞こえなかった。もう一度頼む」
「なんでもありませんよーだ」
まあ亜美もまだ竜児の事をあきらめたわけではないようだが
別に寝取ったりそういう展開を希望しているわけではなさそうなので
奈々子も安心していた。
何より亜美がそういう娘でないことは奈々子自身がよく知っている。
「ごめんね、亜美ちゃん。
でも本当にいちゃいちゃしてたわけじゃないのよ……?」
「まあ別にいいわよ。それより奈々子の方は大丈夫なの?
もう模試まで時間ないわよ。」
奈々子たちの目指す大学は幸い指定校推薦があり
模試でいい結果を残し少しでも有利に進めようという腹だ。
最初からこの大学を志望していた竜児に譲るために
一般試験を頑張るという話もあったのだが、
自分は一般でも大丈夫だから気にするな等という。
別に他意もなくこんなセリフがサラっと言える竜児に二人は思わず苦笑いしたものだ。
「そうね……物理と化学は何とかなったんだけど数学Aがちょっと」
奈々子は比較的記憶物が得意な方だと自分では思っていたのだが
三平方等同じような数字や記号が並べられるとパ二くってしまいよく分からない状態が続いていた。
「まあ確かにAは目立った対策とかもないからな……
でもその分やりこめば誰でも解けるようになるってことだから」
すかさず竜児がフォローを入れる。
「ふーん。まあ私も数Aは苦手なのよね、模試までに何とかなるといいけど」
そんな風に弱音をはき始めてしまった二人を竜児がなだめていると
ふすまの奥から声が聞こえた。
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