No.500629

チートでチートな三国志・そして恋姫†無双

第2章 劉備たちの動向 安住の地を求めて ~神の視点から~

2012-10-26 21:48:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2031   閲覧ユーザー数:1728

第19話 『警察』の役割 ~太史慈の憂鬱な日々~

 

 

 

 

 

 

 

”治安の維持”という重要な仕事を任された太史慈であったが、実際にやってみると憂鬱な気分になってくることが多かった。これは”不満要素”でもあるのだが、致し方ない……と諦めていた。それは……。

 

 

 

『警察』という組織は三つに分かれている。

 

一つ目は『”警邏”部』である。

 

これは、町の警備、間者の取り締まり、検問を行う部門となっている。

 

二つ目は『”特捜”部』である。

 

ここの主な任務は大麻生産者への強制査察である。

 

三つ目は『”査察”部』である。

 

この部署には”強制捜査権”が有り、いつでも”査察”を行うことができる。

 

”査察”とは、家族構成などが『戸籍』と合っているか……といったことから脱税

 

――申告漏れ――

 

がないか……ということまで、文字通り”骨の髄まで”調べ尽くす……というものである。

 

 

北郷はこの部署に訓示を行った。それは、

 

『巨悪を眠らせるな』

 

というものである。これは、とある検事総長の訓示を真似たものであった。

 

 

 

この北海では、沮授によって法の整備が進み、治安維持にも厳格な法が適応されていた。

 

まず、都市の中に入るためには検問所を通らなくてはならない。朝廷からの使者を除いた誰もがそこで綿密に調べられる。武器を持って侵入されることのないようにであったり、密輸されているものが無いか……といったことまで内容は多岐に渡っている。

 

これは警邏部で最も重要な仕事であった。

 

また、都市の中でも刃物を売る店は限られ、一般人は家庭で使う包丁などの刃物類を除き、その所持は禁止されていた。

 

 

それでも、犯罪は起こる。完全になくすことは不可能であった。その取り締まりを行う警邏部の基本方針は”人命の尊重”である。犯罪者であろうとも生かして捕らえるのが基本であった。

 

 

警邏部の所持する武器は、戦争で使うような『剣』や『槍』、あるいは『戟』ではなく、北郷が考案した『盾』であった。刀などの武器を使うのは

 

――自分の命が危険にさらされる――

 

といった、どうしても必要なときだけに限られていた。武器を使ったときには、必ず『状況』や『使用した理由』をなどを事細かに『始末書』に書き記さなければならなかった。

 

そのため、敵よりも自分たちのほうが負傷者は多かった。これまで死者が出ていないということが唯一の救いだろうか。

 

しかし、このやり方は太史慈を憂鬱な気分にさせる要因になっていた。それはつまり、治安の維持にここまで手間を掛ける必要がわからなかった……ということである。

 

 

 

 

 

これは、北郷が祖父から学んだことに由来する。

 

 

日本の警察は拳銃を撃つことが極めて少ない。それは何故か……という話である。

 

 

 

 

 

当初、北郷は理解できなかった。体に傷を負いながら、「ワシの誇りは、在職中に一度も拳銃を使わなかったことじゃ。」と言う祖父が。

 

が、祖父から、

 

「警察の目的は何じゃと思う?」

 

「治安の維持?」

 

「そうじゃ。それにはな、国民の支持が不可欠なんじゃ。国民の支持なくして治安の維持はできぬ。犯罪が起きたときにすぐ拳銃を使うようでは、警察を支持する国民など居なくなるわ。

 

それに、ワシらの役目は犯人を捕らえることであって裁くことではない。生かして捕らえるのが肝要なんじゃ。わかるか? そもそもな、権力の恐ろしさというものを自覚し、抑制的に使わねばいかん……そうじゃ。最後のは受け売りじゃがな。」

 

そういって祖父は小気味よく笑った。

 

 

 

 

 

この話と法執行機関(暴力装置)云々の話を聞いて、北郷の中ですべてが繋がった。故に、『警邏部』はこのようにして動くのだ。

 

 

 

 

それに加え、事件が起きることは極めて少ないため、民衆

 

――街の子供達――

 

と戯れることのほうが多いということも太史慈を憂鬱にさせた。

 

といっても、”検問”があるため、警邏部にそこまでの不満要素を抱いているわけではなかった。

 

 

 

 

太史慈を最も憂鬱で不快な気持ちにさせていたのは何よりも『査察部』の存在であった。

 

仕事そのものはとてもやりがいのあるものであった。だが、仕事は全て『徴税権』を持つ田豊の指示で動くのだ。そこが最も大きな不満要素であった。

 

とはいえ、全体として見ればこれ以上は考えられないような都市の状況であったし、他の将や文官からも信頼してもらえていることが伝わってきていたため、あえて”不協和音”を生じさせることもないだろう……と我慢していた。が、身内のみの会議でくらい吐きだしても良いだろう……と思ったため、太史慈は言ってみることにした。

 

 

「ご主人様……と呼んで良いのか……? は、なぜこれほどまで私の活動に制約をかけるのだろうか……?」

 

「率直に言って私たちにもよくわかりません。ただ、かつてご主人様は

 

『治安の維持や戦争というものは、領民の支持がなければできない。』と仰っていました。

 

『『軍』と『警察』という2つの組織だけは厳格に管理しなければならない……。』とも。そのためではないでしょうか……。」

 

そう田豊が言った。

 

「”領民の支持”か。確かにそれは上手くやれているようだな。」

 

「ええ。鴻鵠さんがやっている仕事は完璧の一語に尽きます。」

 

そう沮授も応じた。


 
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