翌日、何故か朝っぱらから遠坂さんとアーチャーが我が家の居間にいた。
居間を見渡しキッチンの方へ耳を澄ませるが、物音はない。
白はまだおねむのようだった。だが今は妹はどうでもいい。
今日は朝練はないらしいし今日俺は仕事はない。
まだ起こす時間ではないのでもう少し寝かせてやろう。それよりも気になるのは居間で平然と人の家の茶を啜る赤いの二人。何故ここにいるのだろうか。
「あら、おはよう退さん。早いのね」
「おはよう」
「あ、ああ、おはよう。・・・なんでここにいるんだ?」
普通に挨拶してくる二人に俺はたじろぐ。
というかこの家は遠坂さん曰く結界が外敵の侵入を知らせてくれのではなかったのか。
俺は家の結界に疑問を抱く。しかしその疑問はすぐに自己完結する。
ああ、なるほど。つまり遠坂さんに敵意がないから反応しなかったんだろうな。
そう考えて俺は自分で納得する。
「なんでって、白から聞いてない?」
「聞いてない。というか呼び捨てか、更に距離が縮まったようで何よりだ」
「ふむ、凛。簡単に説明してやったらどうだ?退なら絶対、間違いなく、天地がひっくり返ったとしても私たちの考えを理解してくれるはずだ」
「そうね。それにしても私と白が少し歩み寄った位で喜ぶなんて、結構妹思いなのね?そしてアーチャー?少し自重なさい」
だからアーチャーはなんで俺に関することになるとこう性格変わるのだろう。
彼女は普段割とクールな感じの美女なのに。
遠坂さんは少し悪い顔で俺をからかう。
だが俺は妹多いというわけではないと思う。
「別にそんなのではないさ。あいつは少し自分を粗末に扱いすぎている。だったら、白を引き止めてくれる聡明な娘に傍に居てもらいたいと思うのは当然だと思うが・・・俺もずっと白の傍に居てやれるわけじゃないんだからな」
「あら、十分妹想いな良いお兄さんだと思いますわ」
「その通りだな。私としては相手が衛宮白というのは誠に遺憾だが退のその想いは、きっと衛宮白も分かってくれている筈だ。嘗てあたしがそうだったように・・・」
「アーチャー?」
「ああ、いや・・・なんでもない」
途中まではっきり話していたアーチャーだが、最後はボソリと呟く程度で聞き取れなかった。
しかし本人が何でもないと言うのならばあまり詮索はしないでおこう。
「それにしてもアーチャー?貴方やけに退の肩を持つわよね。万が一にもないとは思うけど、退さんに近しい人物だったのかしら・・・?」
「ふっ、どうだろうな。生憎、凛の乱暴な召喚のツケで記憶に混乱があるので解りかねるな」
「ちょ!そんなこと今言わなくていいじゃない!」
どうやら遠坂さんは少々?おっちょこちょいのようだ。
アーチャーはそんな遠坂さんをからかい笑っていた。
平和な風景だ。とても昨日あんな戦闘があったとは思えない。
いや、それより話がそれて忘れていたことがあった。
「それで、結局なんで二人はここに?」
「ああ、そうだったわね。実はね、私と白は同盟を組んだの。対バーサーカーのね」
「バーサーカー、ああ・・・あのとてつもなく危険な輩か・・・。可愛らしいところもありはしたが」
「そう。そのバーサーカーなんだけど、どう考えても私とアーチャーじゃ適わない。勿論白、セイバーも同様ね。セイバーは戦えるとしても白が足手纏いになるし、相手はあの大英雄ヘラクレス。その上バーサーカーのクラスにも関わらず自我を保ちつつバーサーカーのクラスになる際の能力強化もしっかり付いている。で、極めつけに宝具『十二の試練(ゴッド・ハンド)』」
「うわ、実際に相対したから余計に危険さが窺えるな。それにヘラクレスっていえばあらゆる武器の達人だ。反則もいいところだな。なるほどな、個々じゃ適わないから同盟・・・か」
「そういうこと。それで同盟を組むなら住まいを共にしたほうが何かと都合がいいの。というわけで私今日からここに住むから」
突然だな。まあしかし俺としては遠坂さん白の傍に居てくれるというのは助かる。
俺は別に構わない。白も別に気にしないだろう。
問題は大河と桜ちゃんだ。
「はぁ、俺は別に構わないが、他の住人の説得は自分で何とかしてくれよ?俺は責任持たんからな」
「勿論、この遠坂凛。見事に皆さんを丸め込んでご覧に入れますわ」
「では、私は最初に少し希望を出しておこう。相当重要な案件だ。」
唐突にいやに真剣な表情でアーチャーは話してくる。
重要な案件とは一体何のことだろうか。
「私は退と同じ部屋が「アーチャー、貴方は終始屋根の上で周囲を見張ってなさい。以上。」なに!凛、それはあんまりだろう!」
「令呪使うわよ?」
「・・・ぬぐぅ。」
あまりに締まらない一同であった。
あとがき
アーチャーの使い勝手の良さよ
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