No.499094

緋弾のアリア~一般校の転校生~

昼夜神殿さん

~武偵殺し編~
一般校から武偵校に転校してきた瑞樹。
初心者なのにSランクになったり、事件に巻き込まれてしまう。

2012-10-22 16:13:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1198   閲覧ユーザー数:1162

20弾

 

 

「キンジ。追い払っちゃったお詫びに着陸法の提案なんだけど」

 

「俺も一つあるがどうする?」

 

「んー。まず俺の聞いてくれるか?」

 

「分かった」

 

「まず、ほんとにできるか分かんないから。武藤君、この飛行機の必要滑走路はどのくらいか分かる?」

 

「まあ、エンジン2基でそいつなら…2450Mは必要になるぞ」

 

「なるほど…じゃあそこの風速教えてくれる?」

 

「風速?何でそんなの」

 

「いいからお願い」

 

「レキ、分かるか?」

 

レキもいるのか…クラスメイトとして恥ずかしいとこは見せたくないな。それにまだいろんな恩返ししてないし。

 

「私の体感では、5分前に南南東の風、風速41・02M」

 

レキもしかしてこの雨の中、外にいるのか?後で風邪ひいてないか聞いておくか。

 

「武藤君、風速41Mに向かって着陸しようとするとどのくらいになる?」

 

「2050だな。そのくらいは必要だ」

 

「ギリギリだな。どうしようかな」

 

10Mほど余裕があるけど。足りないかもだよな。

 

「どこに着陸するつもりなのよ。そんな直線距離とれないでしょ」

 

「武偵校の|人工浮島《メガフロート》。そこなら対角線を使って2061Mとれる」

 

「よくわかったなキンジ」

 

「たまたま同じことを考えてたからね」

 

[お…お前らまさか…]

 

「ああ、安心して。学園島につっこむわけじゃないよ」

 

そこにつっこんだらどんだけ被害が出るんだろ?

 

「空き地島の方だろ?」

 

「うん。そっちも同じ大きさだったよね」

 

[|人工浮島《メガフロート》に…か。理論的には可能だ……だがそれはあくまで理論上は、だ。そこは本当にただの浮島で、誘導灯さえない。しかも豪雨に、暴風。最悪な環境だ…そこに…]

 

「関係ない。それともすぐに替えの案はある?」

 

武藤君の言葉を遮り聞いてみる。

 

[そりゃ無いけど……でもそこは今、雨で濡れてる!2050じゃ止まれない]

 

「それ以外ないなら仕方ないでしょ。どうせ羽田に戻るだけの燃料もないだろうし、まだ封鎖中だろうしね」

 

「俺が何とかして止めるさ」

 

[くっそ。勝手にしやがれ!しくじったら轢いてやる!]

 

そう言って武藤君は電話を切ってしまった。

 

「怒らせたかな?」

 

「大丈夫だよ。あいつはいいやつだから」

 

 

 

 

「アリアこの飛行機はかなり低く飛んでる。間違っても建物にぶつけないでくれ」

 

「馬鹿にしないでよね。そんなことするわけないじゃない」

 

さってと。そろそろ|人工浮島《メガフロート》が見えてもおかしくないよな。どこだ?…………あれか……くそ随分暗いな。今の状態の俺でかなり暗いんだから、キンジ達には欠片も見えないだろうな。くっそどうしたらいい?

 

「キンジ、瑞樹。あんたたちなら大丈夫。武偵をやめたいなら武偵のまま死んだら負けだし、あんたがあきらめたら乗客皆が死ぬことになるわ。それに私はまだママを助けてないんだから!」

 

そうだな…そうだよなあきらめなけりゃ何とかなる!

 

そう覚悟した時、|人工浮島《メガフロート》に人影が見えた。そしてそれが誰なのかを理解した時、思わず笑いがこぼれた。

 

「ははっ!」

 

「どうした?」

 

「キンジ。武偵の皆っていい人たちだね。ほんとに…ほんとに感謝するべきだよ」

 

そう言った後、空き地島に光が見えた。それはとてもたくさんあって、着陸するには、十分すぎるほどで、すごく眩しく見えた。

 

[見えてるか!キンジ!瑞樹!]

 

電話がまたつながり、大雨の音と共に声が聞こえてきた。

 

「うん、十分すぎるくらいに」

 

[そうか…お前らが死ぬと、泣く人がいるからよぉ!俺、|車輌科《ロジ》で一番でかいモーターボードをパクって来ちまったんだからな! |装備科《アムド》の|懐中電灯《マグライト》も、皆無許可で持ち出してきちまったんだからな!全員の反省文、お前らが書けよ!]

 

[キンジ!。  機体が見えてるぞ!。  あと少し!。  もう少し頑張れ!]

 

いろんな人の声が聞こえてくる。皆、空き地島に来て誘導灯を作ってくれている。

 

「キンジ、これで失敗したら怒るからな」

 

「分かってるよ。ここまでしてもらってるのに失敗するわけにはいかない」

 

さてと、武偵憲章1条…仲間を信じ、仲間を助けよ。

あとは信じるよ、キンジ。

 

ザシャアアアアアアアアアアアアアア!!

 

ANA600便は人工浮島メガフロートに着陸する。それでも、雨にぬれているため、武藤君の言った通り2050Mでは止まれない。でも、俺にはそれをどうにかする方法が思いついてる。俺が思いついてるなら、キンジにだって思いつくよな!

 

 

 

思った通り、風力発電の柱がどんどん近付いてくる。そして……。

 

ガスンンンンンンンンンンンンッッッ!!

 

柱に翼をぶつけ、600便は機体を回すように滑りながら……止まった。

 

「いってぇ。キンジ、アリア、無事か~?」

 

止まる時に思いっきり回ったせいで、体をあちこちにぶつけてしまっていた。

 

「ああ。大丈夫なんだが…少し助けてくれないか?」

 

どこか怪我でもしたのかと思い探してみると、そこには…アリアを抱っこしながらスカートをめくろうとする変態の姿だった。

 

「やだよ。そんな変態行為の助けなんて」

 

そう言い、痛む体を引きずるようにして俺は飛行機から出て行った。

 


 
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