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真・恋姫†無双  転生一刀劉璋録 第6話

BLACKさん

この作品は作者が最近見かけている「転生もの」の影響を受けて書いたものです。

2012-10-22 06:52:41 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:5665   閲覧ユーザー数:4937

 

 

第6話  劉備侵攻

 

 

 

 

一刀が防衛の方針を決めて、1ヶ月ほどが経つ。

その間に曹操は劉備のいた荊州を襲い、劉備達は民を引き連れて逃げて行ったとのこと。

そしてその劉備達はと言うと……。

 

「この蜀に入って来てる?」

「はい」

 

一刀はそのことを紫苑の出した斥候から聞いた美咲からさらに聞いた。

 

「ここを逃亡先として選んだ、ということかな?」

「そうだと思うのですが……」

 

美咲は言葉を詰まらせる。

 

「? どうした?」

「それがその劉備軍はどうも兵士達を前にしてるのです」

「兵士達を前に? それは普通じゃないの?」

「千歳、それは少し違う。確かに自分達の主を守るために兵士を多く配置するのは不思議ではないが、逃亡先に亡命するのに兵士を前にするか?」

「………少しおかしい?」

「そう、逃げる先にわざわざ剣を前にして入るのはおかしい」

「戦う気と言うことか……」

「そうなります」

「…………」

 

一刀は思わず額に手を添えて悩む動作をする。

 

「一刀様?」

「…………」

 

呼びかけにも応じない一刀。

 

「一刀様!?」

「ああ、ごめんごめん、少し考え事しててな……」

「考え事?」

「劉備達に対する対処ですか?」

「それもある、けどそれとは全く別のことも考えてた」

「まったく別……」

「俺、反董卓連合の時に劉備達と会ってるのは知ってるよな?」

「はい」

「その時、俺には見えた気がしたんだ」

「見えたって何をですか?」

「……人の……悪意…」

「人の悪意…ですか?」

「ああ、それで劉備の悪意が少し見えた気がしたんだ」

「それで劉備の悪意と言うのは……」

「……………矛盾だ」

 

 

劉備達は蜀の一番の外側の城を攻めていた。

そこには一応の為に配置されていた紫苑が防衛をしていた。

防衛している紫苑達、蜀兵の数は六万で劉備軍は五万。

籠城している限りは五万の兵では六万の兵に勝つことはまず難しい。

しかし劉備軍はそれでも攻めてきた。

 

「いったいどういうつもりかしら? 兵の数にしてもこちらより下なうえに、籠城してるこちらを攻めるにも兵の数は足りないはず…」

「どうしますか? 黄忠様」

「大丈夫だとは思うけど、一応、援軍の要請をお願いするわ」

「分かりました、すぐに早馬を出します」

「お願いね」

 

伝令兵は劉備軍に気づかれないようにすぐに城を出て行った。

それからしばらくして戦いが始まった。

戦いは籠城している紫苑が最初は有利であった。

しかし……。

 

「な、なんだあれ!?」

「!?」

 

兵に言われて紫苑は見てみる。

すると城の外には衝車が何台もあった。

 

「衝車! でも劉備軍には衝車を用意するだけの軍備はなかったはず……」

「黄忠様!」

「衝車の破壊を最優先に!」

「はっ!」

 

蜀兵達は投石などをして衝車の破壊を優先させるが、衝車が頑丈であるのと同時にあまりの数にさばききれず、衝車の一台が城壁にとりついた。

 

「このままでは……」

 

紫苑は城内戦で民達を巻き込むわけにはいかないと城外戦を覚悟しようとした時であった。

 

「! あれは!」

 

劉備軍からやや離れたところに粉塵が舞うのが見えた。

 

 

「ギリギリだな」

「しかし、劉備軍があれだけの衝車を用意しているとは……」

「今はそれより紫苑達の救援だ! いくぞ!」

『はっ!」

 

その粉塵の正体、それは一刀が綾、美咲、千歳を引き連れて援軍としてきたのだ。

 

「援軍……」

「報告します! 張任様、法正様、黄権様が劉璋様と共に援軍に来ています!」

「一刀様が!?」

「はい!」

「一刀様が来る以上、こちらも負けていられないわ!

皆さん、私達も打って出て援軍と共に劉備軍を挟撃します!」

 

紫苑もすぐに城の門を開き、打って出た。

 

「黄忠様、城から出た模様!」

「私達と挟撃する気か」

「それにあれだけの衝車が出てるんだ。城内戦は避けたいしな、いい判断だ」

「一刀様」

「美咲、衝車を効率よく壊す方法は思いついたか?」

「今の私達の用意では……、あるとすれば一刀様の……」

「…だろうな、皆、危険なのは分かってるが、俺が衝車にとりつけるように援護してくれ!」

『はっ!』

 

一刀を先頭に援軍は劉備軍に突撃していく。

 

「援軍か!」

「………」

「朱里、どうするのだ?」

「ここまで早く援軍が来るなんて思ってませんでした。止むをえません、後退しましょう」

「皆ー、後退するのだーーーー!!」

 

張飛の指示で後退を始める。

 

「しかし、何故こんなところにまで援軍を……」

「それほどこの場所が大事なのであろう」

 

関羽の疑問に趙雲が答える。

 

「それだけじゃないわ」

 

そこに千歳、綾の二人がやって来る。

 

「ぬっ!? お前達は…」

「久しぶりね、関雲長に趙子龍」

「反董卓連合以来だな」

「お前達は確か、劉璋と共に来ていた黄権に張任だな」

「覚えていたとは……光栄だな」

「お前達は確か劉璋の護衛付きのはず、そのお前達がいると言うことは……」

「別に我らは一刀様の護衛付きではない」

「けれど、お前達の読みは合っている。あちらの方はもうすぐ終わると思うぞ」

 

千歳の言葉の意味、それは……。

 

 

「どいてくれーーーーーーー!!」

 

一刀が先頭で衝車に向かって突撃していく。

 

『わああああああ!!!』

 

劉備軍の兵士達が一刀に襲い掛かる。

 

「……仕方ない!」

 

一刀は刀を抜いて、襲ってくる兵達を斬る!

 

「ぐああああああ!!」

「ぎゃああああああ!!」

 

一刀の腕はかなりのもので兵士レベルでは歯が立たない。

 

「許してくれ」

 

一刀は斬り走りながら涙を流す。

そして兵士達の妨害を退け、一刀は衝車の方にたどり着く。

 

「着いた」

 

一刀は刀に自分の氣を溜める。

 

「てゃあっ!」

 

一刀の刀は衝車の車輪を破壊した。

氣を溜めた刀でも衝車自身を破壊するのは簡単ではない。

だが衝車を動かすのにも足がある。

そして衝車は大抵車輪で動いている。

車輪となると衝車本体の装甲と比べると脆い。

つまりは破壊が簡単だと言うことであり、また足を破壊されては簡単に動かすことは出来ない。

仮に新しい足をつけようにもどうしても時間がかかる。

一刀はそれを理解していたため車輪の方を破壊したのだ。

 

「次だ!」

 

一刀はその調子で残りの衝車を破壊する。

 

「ふぅ……、次は千歳達の援護だ!」

 

一刀は関羽達と戦っている千歳達の方へと向かった。

その頃……。

 

「はあっ!」

 

綾が関羽、千歳が趙雲と戦っていた。

 

「っ! でやっ!」

 

綾の攻撃を防ぎ、関羽は綾を攻撃する。

それと同じように千歳と趙雲は武器をぶつけ合う。

 

「やるな…」

「そちらこそ……」

「さすがお付きなだけはある…か……」

「あんまりお付きだって言われるのは……嫌いじゃないわね」

「偶然だな、千歳、私もだ!」

 

千歳と綾、二人の気力が上がる。

 

「くっ、まだあれだけの力を残しているとは……」

「……どく」

『!?』

 

関羽と趙雲が後ろを振り向く。

そこにはなんと呂布がいた。

 

「恋!」

「……恋がやる……」

「しかし……」

「愛紗、ここは恋に任せて我らは桃香様と共に退くぞ」

「だが星………」

「今の奴ら相手に今の我らでは勝てないかもしれん。

だが恋なら……」

「……仕方ない、恋、頼むぞ」

「……(コクッ)」

 

呂布は頷く。そして関羽と趙雲は後ろに下がる。

 

「逃げられた…」

「仕方がない、相手はあの呂布。……さらに気を引き締めろ」

「……こい」

 

呂布も自分の武器、方天画戟を構える。

 

「はあっ!」

 

先に仕掛けたのは千歳だった。

千歳の攻撃は簡単に防がれる。

 

「たあああ!」

 

次に綾が攻撃するも、千歳の攻撃を防いでいる状態にも関わらず綾の攻撃を簡単に防いだ。

 

「くっ!」

「……次は…恋の番」

 

呂布が二人を押しのけて、すぐに自分が攻撃する。

 

「「!!」」

 

二人は何とか防ぐも手が少し痺れた。

 

「なんて重い攻撃だ」

「綾、大丈夫?」

「…お前達、弱い」

「弱い…か……」

 

思わず笑ってしまう千歳。

 

「? なんで笑う?」

「いや、事実そうだなって思ってな…」

「ああ、我らの主は……」

 

綾と千歳の後ろに一人、やってくる。

 

「「我ら以上に強い!!」」

 

二人の後ろに現れたのは一刀だった。

 

「お前…」

「久しぶりだな、呂布」

「…また泣いている」

「許してくれ」

 

一刀は泣きながらも刀を構える。

だが呂布は突然、武器を降ろす。

 

「?」

「どういうつもりだ」

「恋、お前とは戦いたくない」

「戦いたくない?」

「そんなに悲しい顔、見たくない」

 

一刀は確かに涙を流してはいる。

しかし涙を流すのはいつものことであって、決して相手の戦闘意識を鈍らせるためにやっているわけではない。

 

「……だから恋、逃げる」

 

呂布はすぐに逃げて行った。

 

「待て!」

「追うな! 追えば被害が出る!」

「っ!」

 

一刀の指示で呂布だけでなく劉備軍の追撃はしなかった。

 

 

撤退をする劉備軍。

 

「朱里、雛里、何故あんなにも早く劉璋は軍を動かせたんだ?」

「おそらくですが、私達の動きを読んでいた」

「…もしくは成都にいると思わせて近くに潜んでいた……ですね」

「朱里の言ってることは分かるが雛里の言ってることはよく分からないのだ」

「そうだな、仮に近くに来ていたとしても簡単に軍を動かせるとは思えん」

「それってどういうことなの? 星ちゃん」

「こちらの攻撃を防いでいる間に、漢中の張魯や西の五胡が攻めてくる可能性もあった。

それなのにこちらに来たと言うことは……」

「あそこには失いたくないものがあったか……」

「目の前しか見えてない愚か者だと言うことですね」

「でもあの人がそんなダメな人には見えないけどな~」

 

劉備が少し反論する。

 

「それはともかく今はこの後のことをどうするかですね」

「ああ、せっかく商人から譲り受けた衝車をまさかすべて失うことになるとは……」

「それだけではありません、これから私達はどこに行けばいいのかです」

「それでしたらいい場所がありますよ」

 

そこに謎の男達がやって来る。

一人は黒い短髪に黒い片メガネを右目にしている。

もう一人は茶色の短髪、顔に右斜めの傷痕が付いている。

そして二人は揃って白装束の服を着ていた。

 

「お前はあの時の……」

「衝車をくれた人達なのだ!」

「張世平です」

「俺は蘇双」

 

片メガネの張世平と傷の男の蘇双と名乗った男二人、この二人が劉備軍に衝車を与えたのだ。

 

「ごめんなさい! せっかく譲ってもらった衝車を全部無くしちゃって……」

「いえいえ、別に構いませんよ」

「譲った以上、その後のことは我々は問題しませんから」

「それは痛み入る」

「ところでいい場所があると言ってましたけど……」

「ええ、ちょうど誰もいないところがあるんですよ」

「誰もいない?」

「ええ」

「それでその場所は?」

「江陵です」

「江陵……それって荊州なんじゃ…」

「それが少し前に訪れたのですが、あそこは何故か誰もいない……とは言っても民はいますよ。

ですがそこを治めてる人がいないんですよ」

「治めているものがいない?」

「はい、少し不気味ですけど、今はそこに退いて、再起を図る、というのはどうでしょうか?」

「どうしますか? 桃香様」

「………じゃあとりあえずそこに行こうか」

「案内は俺がします」

 

こうして劉備軍は蘇双の案内で江陵へと向かった。

それを見送る張世平。

 

「ふふふ、江陵は我々の力で封印されているために我々の力を持つ者以外が入ることも見ることも出来ない。

これで劉備軍は誰にも入ることのできない領域で大人しくしてくれるだろう」

 

不気味に笑う張世平である。

 

 

劉備との戦いが起こる数日前。

謎の空間では……。

 

「ようやく見つけたか」

「随分苦労しましたね」

「まさかあんなに遠く離れた外史で転生をしているとは思いませんでしたよ」

「だがこれでようやく奴を殺しに行ける」

「待ってください」

「なんだ? 邪魔をしようというのか?」

「私はあなたの邪魔をする気はありませんが、その外史が邪魔をするみたいです」

「なんだと!?」

「どうやらその外史には特殊な結界があるようで、私とあなたは入れないみたいなんですよ」

「何故だ!」

「それは分かりません、このようなケースは初めてですからね……」

「ならばなんとかしろ、俺はどうしてもこの手で奴を殺したい!」

「そうは言ってもですね…、結界を破るにしてもかなりの時間を労しますね」

「少し待て」

「はい?」

「俺達二人は行けるのか?」

「はい、お二方に対しては結界の力は働いてないみたいです」

「そうか、ならば俺達が行くとしよう」

「悪く思わないでくれ、左慈」

「くっ……」

 

左慈と呼ばれた青年は歯ぎしりする。

 

「では行こう、蘇双」

「ああ、俺達がしてやるよ、左慈。于吉、頼んだぞ」

「はい、頼みますよ」

「…………」

「「任せろ、転生した北郷一刀殺しをな!!」」

 

張世平と蘇双の下に魔法陣のようなものが現れ、二人は空間から姿を消したのだった。

 

 

おまけ

 

 

作者「第6話」

一刀「ついに来たか。白装束」

作者「まあ出さないといけないかなって思った。

ちなみに二人の名前は『三国志』で劉備たちが最初の旗揚げの際に協力してくれた商人の名前からにした」

一刀「なんでまた…」

作者「いい名前がないか調べてみたら、ちょうどいいのがあってその二人のものにした」

一刀「ところでこの二人、どのくらい強いの?」

作者「最後まで書いてるけど、ぶっちゃけ考えてない。しかし管理者だけあって恋以上だと思え」

一刀「そうか…」

作者「今回は特にここで書くことが思いつかないな」

一刀「他の作品とかで言いまくりだもんな」

作者「そうだな。

今回はこの辺にでもしておくか。それでは!」


 
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