零冶 「・・・・・・・ふぅ。今日は本当に驚いた。」
ロキ 『そうだね。』
ルーテシアが帰って来た日の夜、零冶はミッド中央区画の広場で一人佇んでいた。
零冶 「ふふっ・・・・ルーの奴、大きくなったな。それに、強くもなった。」
ロキ 『でも、召喚術士かぁ。召喚能力は良いけど、直接戦闘になるとかなり厳しいよ?』
零冶はルーの魔力が別れたときよりも格段に上がっている事に気付いていた。
だが、ロキは問題点を挙げた。それが直接戦闘である。
確かに、それは 召喚獣に護衛させていれば良いのかも知れないが、それでは不安要素が残ってしまう。ある程度闘えなければ、
何が起こるか分からない戦場ではそれが命取りになってしまう。
零冶 「確かにな。はぁ・・・・・このまま何も無ければどれだけ良い事か。」
ロキ 『それは無理だね。アイツ等が居る限りは・・・。』
ロキの言う通り、あの腐った脳みそ共を駆逐しない限り、少なくともジェイルやチンク達、果てはなのは達に危険が及ぶのは
明白だった。
だが、奴等の居場所が未だ分からない。ジェイルの情報収集能力を持ってしても・・・だ。外からダメなら内側、と言う事で
ドゥーエに管理局へ潜入してもらっている。まぁ、ドゥーエなら心配ないと零冶は思った。
ドゥーエは戦闘向きではないものの、潜入工作能力は零冶を軽く越えている。まぁ元々零冶は潜入工作には向いていないのもあるが
元暗殺者という経歴上、そこら辺のスパイよりかは上である。
零冶 「・・・・さて、帰r「零冶・・・・か?」っ!?」
ロキ 『あれ?』
するとそこに、誰かが零冶に声を掛けてきた。そして零冶は振り返るとその人物を見て硬直した。
??? 「久しぶり・・・・だな、零冶。」
零冶 「お前・・・・どうして此処に?」
その人は先ず、女性だった。声からして女性だと言う事が分かっていたので、そこは大して驚いていない。
??? 「ん?私はつい先日、任務から帰って来たのだ。まぁ、予定より長引いてお前達の模擬戦は生で見られなかったが・・・まぁ、
そこは映像記録で我慢するとしよう。」
零冶 「いや、そうじゃなくて・・・・生きていたのか?死んでいると思ったんだぞ?」
その女性は腰まで伸びた銀髪、瞳は紅い。十人中十人が美人だというその美貌。
そして零冶はその女性の名前を呼んだ。
零冶 「・・・・リィンフォース。」
ロキ 『リィンちゃん・・・。』
その女性の名前はリィンフォース。かつての闇の書の管制人格であった者。
リィンⅠ「あぁ・・・・、確かに私はあの時、事が済めば主に嘘を吐いて消えようとした。本当は転生機能や防衛プログラムは
夜天の書から切り離した時点で無効化されている。管制人格である私自身も防衛プログラムの一種であるため共に
切り離されたわけだが・・・。」
リィンフォースが闇の書と切り離されていない状況なら、転生機能も、防衛プログラムの再生をして再び暴走していただろう。
だが、闇の書から切り離された時に無効化されたので、こうして生きている事が出来ている。
リィンⅠ「私にとって主は眩しかった。私のような者が居ては主に迷惑が掛かってしまう。だから消えようと思ったのだが・・・・・。」
零冶 「なら何故?」
リィンⅠ「馬鹿者。お前が虚数空間に落ちたからだ。」
リィンフォースは少し呆れた顔していった。
リィンⅠ「零冶が消えてしまった為に主は酷く落ち込んでいてな・・・。一週間ずっと泣いて部屋に引き籠もってたのだぞ?その上で私が
居なくなってみろ。自惚れている訳では無いが、かなりの確率でに主の心は壊れていた。そんな状況でどうやって消えるというのだ?
さらに、零冶が帰って来るまで、主はクリスマス・イヴに毎回部屋に籠もってこっそり泣いていたのだ。」
ロキ 『・・・・。』
零冶 「・・・すまない。」
零冶は自分が居なくなる事ではやてにそこまでの影響を与えていたとは思わなかった。
リィンⅠ「まぁいい。お前も無事に帰って来たのだしな。」
零冶 「ああ・・・・・ただいま、リィンフォース。」
リィンⅠ「ああ、お帰り・・・零冶。」
二人は共に再会を喜んだ。
リィンⅠ「ところで零冶・・・DOG隊の隊長だそうだな?かなり有名だぞ?」
リィンフォースがニヤニヤしながら言った。
零冶 「・・・そんなにか?」
リィンⅠ「当たり前だ。お前等は機動六課と同等か、それ以上のエリート部隊だぞ?」
零冶 「あー・・・・かもな。」
零冶は改めて言われると少し恥ずかしくなってきた。
リィンⅠ「だが、今は人数がかなり少ないようだな。」
リィンフォースはDOG隊の現状の問題点を突いてきた。
零冶 「・・・・ああ。実際、かなり不足している。通信士にパイロットに整備士。最低でもこれだけは必要だな。」
ヘリは数日で来るらしいのだが、肝心のパイロットがいない。まぁ、そこは目星は付いているから、あとは引き抜くだけであった。
リィンⅠ「そうか・・・。それにしても、お前とこうやって話すのは初めてだな。」
零冶 「そう・・・だな。あの時は戦うだけだったしな。」
リィンフォースと零冶はしみじみ言う。だがそんな時、
零冶 「・・・?」
零冶の持っている通信機のコール音が鳴る。零冶が応答すると、ボースが慌てた様子で映し出された。
ボース 『DOG隊を全員招集させて欲しい。』
零冶 「・・・・何が起きた?」
ボース 『説明は後だ。すぐに招集してくれ。』
零冶 「了解した。」
零冶は通信を切った。
リィンⅠ「・・・任務か?」
零冶 「ああ。それじゃ、またな。」
リィンⅠ「気をつけろ・・・・は余計だな。無理はしないようにな。」
零冶 「ああ。」
そう言って零冶はDOG隊に招集命令を出した。
DOG隊隊舎の会議室でボースとDOG隊が集まっていた。
ボース 「急に呼び出してすまないな。」
エリス 「いえ。それよりも今回の招集の理由を伺ってもよろしいでしょうか?」
ボース 「うむ。」
全員がボースの注目して言葉を待った。
ボース 「二日後の昼にホテルアグスタで骨董品のオークションが行われる。その骨董品にはロストロギアが含まれているという情報が
入った。DOG隊はそのホテルアグスタの警備に当たってもらいたい。」
零冶 「それじゃあ、俺達が出動する理由にはならないはずだが?どちらかというと六課の出番のはずだが・・・。」
ボース 「ああ、その通りだ。勿論、六課も出動する。だが、問題はそこではない。」
そしてボースが間を開けて、重々しく言った。
ボース 「・・・・・ガジェットドローンが確認された。」
DOG隊「っ!?」
全員は驚愕した。
エリス 「そんな!?ガジェットの生産ラインはジェイル博士が全て潰されたはずですわ!それに、設計図も全て博士が厳重に
保管しているはずです!」
エリスの言った通り、生産ラインは全て潰して設計図もジェイルが保管している。さらに生産はジェイルが全て独占していたので
設計図が出回っているはずが無いのだ。
ボース 「その通りだ。だが確認されたガジェットは一部を除き、全く違うものだ。それがこれだ。」
ボースはモニターを操作して映像が映し出された。
バライカ「こ、これは!?」
ヘンリー「・・・タンクか?」
キール 「ご大層なもんを作りやがって・・・。」
零冶 「・・・確かに全く新しい機体だな。」
そこに映し出されたのは全長5.5m、全幅3m、全高4mの多脚戦車だった。多脚戦車とはその名の通り、キャタピラの代わりに
複数の足が付いた戦車である。
武装は50mmの速射砲と思われる主砲が1門、正面装甲の両側に2問、腹部に1門のマシンガン、砲塔の頭に8連装ミサイルである。
イメージとしては、現代戦車に、ネギま!の麻帆等祭に出てくる多脚戦車の脚を太くしたのが3対付いている感じだ。
情報によると、何れも実弾・・・質量兵器である。
零冶 「・・・ったく、何処と戦争する気だ?」
エリス 「物騒ですわね。」
全くもって同感である。
ボース 「こいつが現れたのは昨日の午後5時、第35管理外世界だ。たまたま演習に出ていた2個小隊が撃破した。まぁ、2人が重傷、1
人は死亡し、残り全員は軽傷という甚大な被害だったが。」
2個小隊が相手して、さらには死亡者を1人出してやっと倒せるという相手だ。見た目通りの防御力と火力を持っているのだろう。
零冶 「で、襲撃してくるのか?」
ボース 「先ず間違いないだろうな。こいつの他にガジェットⅠ型に酷似した機体も確認されている。そいつらはどうやらロストロギアを
蒐集しているらしい。」
零冶 「了解した。それと、弱点はあるのか?」
ボース 「ああ。倒した部隊の話によると、どうやら腹部の一部が装甲が薄いらしい。その装甲が覆っている部分に動力源のコアがある。
それを破壊すれば停止する。」
零冶 「了解した。あとはこちらで対策を練ってみよう。」
ボース 「頼んだぞ。」
そう言って零冶達DOG隊は会議室を後にした。
零冶はミーティングの後、ジェイルに報告するために秘匿回線を開いて通信した。
ジェイル『どうしたんだい?・・・と言っても、大体予想は付いているけれどね。新型ガジェットのことだろう?』
零冶 「ああ。情報が早いな。」
どうやらジェイルは既に知っていたようだった。
ジェイル『3時間前にドゥーエから連絡があってね。私も聞いたときは驚いたが、よくよく考えると驚く事でも無いことだったよ。』
零冶 「・・・・例のコピーか?」
ジェイル『多分ね。まぁ、あるはずの無いガジェットⅠ型といい、新しいタンク型・・・これはⅣ型と呼称しよう。それを設計、
製造できる人物は限られている。これで、私のコピーが造られたという線が強くなった訳だ。』
零冶 「厄介だな・・・。」
ジェイル『全くだね。私と頭脳が同等なら恐らく戦闘機人を開発、製造することも可能だろうね。戦闘機人のデータは既に脳みそ共に
渡っているし。』
ジェイルは戦闘機人のデータを最高評議会に経過報告として渡していたので、これはもう手遅れだった。
ジェイル『ま、それでも製造できても2、3ヶ月で数体が限界だろうね。』
零冶 「それでも厄介なのには変わらない。もし、さらに巨大な拠点破壊ようのガジェットが作られ、大量生産されたら・・・・。」
ジェイル『ゾッとしないね・・・。』
零冶 「ああ。・・・兎に角、こっちも調べてみる。それじゃあな。」
ジェイル『ああ。頼んだよ。』
そう言って零冶は通信を切った。
零冶 「何時になったら・・・平和になるのだろうか・・・・・。」
零冶の呟きは暗い夜空に吸い込まれた。
後書き
いつも私の作品を読んで頂きありがとうございます!!
ここで久しぶりに後書きを書いてみました。
まぁ、理由はリィンⅠ生存の補足なんですがw
まぁ、私としてはリィンⅠをどうしても生存させたかった訳で、咄嗟に思いついたのがコレですw
私の勝手な解釈として、リィンフォースがアニメでは自分が居ると防衛プログラムが再び作られてしまって暴走する、と言ってたのが
実は自分が消える為の嘘ではなかったのではないだろうか?ということです。
一応色々調べてはみたのですが、私の集めた情報では説明することができないので、そこらへんはご容赦願いますm(_ _)m
それと、更新にかなり間が空いてしまったのは、今まで考えたこれからの話の土台を全部ぶち壊して新しく考えていたのが
原因です。
そしてやっと基礎が練り上がったので今日、更新しました。
遅れて申し訳ないです。
これからも『魔法少女と竜と漆黒の狂戦士と』をよろしくお願いします!
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遅くなってすいません!!