No.495029

IS〈インフィニット・ストラトス〉~G-soul~

梢の役目

2012-10-11 20:00:35 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:955   閲覧ユーザー数:930

夜、蘭は日曜日のデータ採取のための戦闘実施の内容を梢に話していた。

 

「……………」

 

しかし梢はコクリと頷くだけで特に何かを言おうとするわけではない。

 

「あ、それと鈴さんが、『次はボコボコにしてやるから覚悟しなさい』って言ってたよ」

 

「……………」

 

何か反応するかと思って鈴の別れ際のセリフを言っても、ただコクリと頷くだけだ。

 

ベッドに腰掛けて向かい合う二人の間に沈黙が漂う。

 

(うぅ…何か話題を……)

 

思考をめぐらせる蘭。そこでふと気になっていたことを思い出す。

 

「そう言えば、さっき鈴さんと戦ったときの、あれってなんだったの?」

 

蘭が気になっていたこととは先刻の鈴、一夏との戦闘の時、梢が衝撃砲を避けた後に梢から送られてきたプライベート・チャンネルだ。

 

「あの時梢ちゃんの前に飛び出すように言われたけど、あのバリアはいったい?」

 

鈴が二刀にした牙月で梢に斬りかかったとき、飛び出した蘭の周りにはバリアのようなものが展開された。突然の事だったため、蘭は未だにそれが何なのか把握できていなかったのだ。

 

「…あれは、フォルニアスとフォルヴァニスが至近距離にいると発動する、リフレクトウォール」

 

「リフレクトウォール?」

 

首を捻る蘭に梢は説明を始めた。

 

「…BRFがビームを無力化するなら、リフレクトウォールは実弾、実体衝撃を弾き返す」

 

「へぇ、じゃあ、本当にバリアなんだね」

 

「……………」

 

梢は頷き、さらに続けた。

 

「…エネルギーはフォルニアスからもらう。私が攻撃、あなたが防御をして、相手を倒す」

 

梢は蘭の隣に座った。

 

「私たち二人で、戦う」

 

「な、なるほど……」

 

梢はそっと蘭の右手に指輪となっているフォルニアスに触れた。

 

「…この子も、『蘭が操縦者で嬉しい』って言ってる」

 

そこで蘭の気になることが一つ追加された。

 

「梢ちゃんはどうして、ISの声が聞こえるの?」

 

聞くと、梢は首を横に振った。

 

「私が聞けるのは、フォルヴァニスとフォルニアスだけ。IS全部の声は聞けない」

 

「じゃ、じゃあどうしてフォルニアスたちの声だけ聞こえるの?」

 

「……………」

 

しかし梢はその問いには答えなかった。代わりに、

 

「あなた…」

 

蘭の顔にすっと詰め寄った。

 

「な、なに?」

 

「あなた…織斑一夏が、好き」

 

「ふぇ!?」

 

蘭は突然の暴露に動揺した。

 

「わ、分かるの?」

 

梢は小さく頷いた。

 

「…だけど、凰鈴音のことが、嫌い」

 

「嫌いってわけじゃあ…」

 

そう言って蘭は言葉に窮する。確かに鈴と蘭は犬猿の仲だ。中学のころから幾度となく火花を散らせている。

 

(そ、そりゃ、鈴さんは邪魔してくることがあるけど・・・・・)

 

そこで蘭は気づく。

 

(あれ…? 頭が…ぼーっとし…て………)

 

段々と視界がぼやけてくる。蘭の右手のフォルニアスが淡く光っていた。

 

朦朧とする意識の中、不思議と梢の声だけははっきりと聞こえる。

 

「…あなたは、私の盾」

 

(私は…梢ちゃんの………盾)

 

「…私は、あなたの剣」

 

(梢ちゃんは…私の…け……ん………)

 

そして蘭は梢にもたれかかるように眠りはじめた。

 

「………………」

 

梢は蘭をベッドに寝かせ、その寝顔を見下ろす。梢の目は暗いものだった。

 

すると、自分のベッドに置いてあった携帯電話に着信が入った。

 

「……………」

 

梢は無言で通話ボタンを押す。

 

『こちらで反応を確認した。どうやら上手くいったようだな』

 

電話の相手の声は男のものだった。

 

『対象に余計な感情は持つな。お前はお前の役目を全うすればいい。そのために行く宛てのないお前を我々の研究所が拾ってやったのだからな』

 

高圧的で突き放すような口調の声に、梢は応答する。

 

「…分かってる…これが私の仕事」

 

『ならいい』

 

そして電話は一方的に切れた。

 

「………」

 

梢は携帯を耳から離し、穏やかな寝息を立てている蘭を見た。

 

「………分かってるよ、フォルヴァニス。これが私の役目だもの…」

 

梢は部屋の明かりを消し、自分も何かから逃げるように布団にくるまった。

 

 

「…そう。わかったわ。ありがとう、虚」

 

学園の生徒のほとんどが眠りについた真夜中、三年生寮の屋上で、楯無は正式に自分のメイドとなった虚と電話をしていた。

 

「やっぱりね…」

 

携帯を上着にしまい、口元に閉じた扇子をそえる。その目は普段の温厚なものではなく、更識家当主としてのものだった。

 

(だとすると、確かめに行く必要があるわ………また忙しくなりそうね)

 

はぁ、と嘆息するが、その目は少し笑っているようにも見える。

 

「たっちゃん」

 

ふいに楯無は後ろから声をかけられた。

 

「薫子ちゃんね…」

 

楯無は振り返らずに相手を把握した。この学園でその呼び方をするのは黛薫子ただ一人であるからだ。

 

「首尾はどう?」

 

「80パーセントってところかな。明日には完成してるよ」

 

「そう。整備科の腕の見せ所ね」

 

「…でも、本当にいいの?」

 

薫子は少し表情を硬くした。

 

「何が?」

 

「余りにも危険じゃない。万が一何かあったら―――――」

 

「薫子ちゃん」

 

楯無は薫子の名を呼んで言葉を止めた。

 

「大丈夫よ。心配ないわ」

 

そう言って楯無は薫子の方へ振り返る。

 

「生徒を守るのは、生徒会長の務めよ」

 

「………………」

 

「それに、その万が一を起こすためにわざわざこんなことをしてるんだもの。私も体を張らなくちゃ」

 

楯無は薫子の近くまで歩き、お互いがすれ違うような立ち位置になった。

 

「それで『計画』の方はどう?」

 

「そっちは問題ないわ。今もあちらさんの様子を伺ってる」

 

そう、と言って楯無は出入り口へ歩きはじめる。

 

「これからもよろしく頼むわ。この言葉は更識家当主としてじゃなく、親友として、よ」

 

そして、楯無は寮の中へ戻って行った。

 

一人夜風に髪を撫でられている薫子は、ふぅ、と息を吐いてから自分も寮の中へ戻る。

 

「分かってるよ。ご当主様」

 

誰にも聞かれない、その言葉と共に。

 

 

瑛「インフィニット・ストラトス~G-soul~ラジオ!」

 

一「略して!」

 

瑛&一「「ラジオISG!」」

 

瑛「読者のみなさん、こんばどやぁーっ!」

 

一「こんばどやぁ」

 

瑛「さあ! 今回も始まりました、ラジオISG! 前回はあまり出演できず、読者のみなさんすいませんでした!」

 

一「お前の方はまだマシだろ。俺なんてレギュラーなのに出演してないんだから」

 

瑛「いやそれが、行ったは良いけどなんかラウラとシャルに襲われて大変だった・・・」

 

一「何したんだよお前……っつか俺がさっき来たとき妙に場が荒れてると思ったら、それだったのか」

 

瑛「ああ。でもその後ろで喧嘩も繰り広げられてたから、それもあるかも」

 

一「ホント何があったの!?」

 

瑛「で、では本日も参りましょう! 質問コーナー!」

 

一「流すな! 俺のコメントを流すな!」

 

瑛「今回も俺たちに質問が来てますよー! 最初の質問は…あ、またグラ2さんだ」

 

一「誰だよグラ2さんって」

 

瑛「グラムサイト2さんだよ。そこそこ長い名前だから略してみた。グラ2さん、いつもありがとうございます」

 

一「なるほど。で、どんな質問なんだ?」

 

瑛「えー、俺や一夏が専用機持ちの誰かとコンビを組んで戦うなら、誰と、どんな戦いをしますか? だってよ。ちなみに俺は一夏以外で、一夏は俺以外でだとさ」

 

一「うーん、その質問って、誰と組むかから始まるよな」

 

瑛「結構いるからな。うーむ…」

 

一「俺は普段は近接戦闘だから、後ろから援護射撃とかしてくれると安心だな」

 

瑛「じゃあ、ミサイルドッサリ系の簪とか遠近両用射撃可能なセシリアとかか? 武装的に援護にも持って来いだぜ」

 

一「そうだなぁ、シャルロットとかラウラなんかもいいかも」

 

瑛「マドカはどうだ? ブレードビットもあるし、一応射撃武装だってあるぞ。あ、俺が造ったやつな」

 

一「ドヤ顔すんなって。マドカか。ふむ……」

 

瑛「…なんだよ、真剣に考えて。………まさか、『マドカが攻撃を受けないかどうか心配で、戦闘に集中できないかもしんねえ』とか考えてんじゃないだろうな」

 

一「…瑛斗」

 

瑛「そうだよな。そんなことないよな。あはは―――――」

 

一「…………すまん」

 

瑛「お前はぁぁぁっ!!」

 

一「や、だってしょうがないだろ!? 妹だし! 心配だし!」

 

瑛「テメエ織斑先生ならともかく、マドカにまでそんなこと考えてんのか? アレかお前は。シスコンか!」

 

一「な、べ、別にいいだろ! ほら! 次はお前だ! お前は誰とどう戦うんだ!?」

 

瑛「照れ隠しで話振ってきやがったよコイツ…まあ、俺は特定の誰かっつーのは無いな」

 

一「え? 無いのか?」

 

瑛「ああ。ほら、G-soulってGメモリーがあるだろ? だから誰にでも合わせられるっていうのがあるからさ」

 

一「へぇ、やっぱり便利なんだな」

 

瑛「ドヤァ…」

 

一「いちいち何か腹立つなぁ…じゃ次の質問! 古川刹那さんからの質問だ。ありがとうございます」

 

瑛「ありがとうございまーす」

 

一「えー、もし異性と二人っきりで無人島に遭難したら誰と一緒がいいですか? だって。ISはもちろん、道具は無しで」

 

瑛「むむ? それってIS学園の誰かと、ってことか?」

 

一「そうだな。質問的にそうなる」

 

瑛「そうなってくると…ラウラかな。なんか、場慣れしてるイメージがある」

 

一「あー、確かに。軍でそういう訓練とかしてそうだよな」

 

瑛「…っつか、学園の生徒って大体そういう万が一的なことも想定して授業受けるから、誰と行ってもなんとかなりそうな気がするぞ」

 

一「………それを言ったらおしまいだろって」

 

瑛「ま、でも、結構面白そうだよな、無人島。めっさ自然が豊かそう。魚を銛で突いて『獲ったどー!』ってやってみたい」

 

一「その魚自分で調理したりするんだろ? あ、そうなると料理が得意な人とかもいいな。箒とか鈴とか」

 

瑛「シャルも得意だぜ。後…アレだ。木の棒を木の板にグリグリやって火を起こしたりもしてみたい」

 

一「懐かしー。俺小学校の時やったことあるぞ、それ。メチャクチャ大変だった記憶があるけど」

 

瑛「あー、ヤベェ。なんか行ってみたくなってきた無人島」

 

一「本編に期待してみるか。さて、それじゃあ次の――――――」

 

楯「良い子のみんなーっ! 楯無おねーさんが来たよぉーっ!」

 

瑛&一「「!?」」

 

楯「いやぁ、二人とも最近なにやら楽しそうなことしてるそうじゃないのー。おねーさんにもやらせて。これ会長命令ね、うふ☆」

 

瑛「い、いきなり出てきていきなりジョーカー切ってきやがった・・・!」

 

一「いつかこんな日がくると思ってはいたけど、まさか今回とは・・・!」

 

楯「私だけじゃないわよ。ほら、いらっしゃい」

 

簪「お、お邪魔します……」

 

瑛「簪、簪も来たのか」

 

簪「お姉ちゃんが、どうしても…って、うぅ………ごめんなさい…」

 

一「いや、別に構わないけど、楯無さんも来るなら来るって事前に言ってくださいよ」

 

楯「まあまあ、一夏くんと瑛斗くんにお茶の差し入れ持って来たから良かったら飲んで」

 

瑛「ま、また何か入ってるんじゃないでしょうね?」

 

楯「やーねー、流石に司会の二人にそんなことできないわ」

 

瑛「……まあ、そういうことなら…」ゴクリ

 

一「いただきますけど」ゴクリ

 

楯「………」ニヤリ

 

瑛&一「「……………」」バタ

 

簪「!? ふ、二人とも…どうした、の?」

 

楯「ふっふっふ…象でもコロッと寝ちゃう睡眠薬ー」

 

簪「お姉ちゃん!?」

 

楯「さあ簪ちゃん、これでこのラジオは私たちが占拠したわ。張り切って行きましょ?」

 

簪「でも、それより…二人が……!」

 

楯「だーいじょぶだいじょぶ! 体に害はないから。しばらくすれば起きるわよ」

 

簪「そういう問題じゃあ…」

 

楯「グラムサイト2さんからの質問よ!」

 

簪「き、聞いてよぅ…」

 

楯「まあ、私たち宛ての質問よ! ほら簪ちゃん、読んで読んで!」

 

簪「え、ええっと…もし姉妹で同じ人を好きになったら、諦めますか? それとも・・・い、一夫多妻制で、きょ、挙式をあげますか? だって…」

 

楯「おおぅ、結構ぶっ飛び気味の質問ね。まあそれはそれとして・・・同じ人を好きになったら、かぁ」

 

簪「お姉ちゃんは、好きな人…いる、の?」

 

楯「うーん、いるにはいるかなぁ」

 

簪「だ、誰?」

 

楯「それはね……」

 

簪「そ、それは…?」

 

楯「秘密よ。うふふ♪」

 

簪「………もう」

 

楯「…簪ちゃんはどう?」

 

簪「え?」

 

楯「もし私が、瑛斗くんを好きになっちゃったら、どうする?」

 

簪「……お姉ちゃんも、瑛斗が、す…好き?」

 

楯「そうね。好きよ」

 

簪「え…」

 

楯「もう、そんなショックを受けたような顔しないの。私はこの男の子二人が好きよ。だってリアクションが面白いから、悪戯のし甲斐があるもの」

 

簪「そ、そっか…良かった……」

 

楯「あら、何を安心してるのかしら? 簪ちゃんが油断してると、私が取っちゃうかもよぉ?」

 

簪「そ、そうならないように、が、頑張るもん」

 

楯「そう…もしかしたら、瑛斗くんが私の義弟になっちゃったりしてね」

 

簪「ふぇ!?」

 

楯「あはは、そんなに慌てるようじゃ、簪ちゃんもまだまだねぇ」

 

簪「むー…」

 

瑛「う、うーん………」

 

楯「あ、そろそろ二人とも起きるみたいね。簪ちゃん、行くわよ」

 

簪「え、い、いいの?」

 

楯「あの薬は前後の記憶が曖昧になる効果もあるから、二人が起きる前にいなくなっちゃえば証拠の隠滅になるの。さあ! 逃げるわよ!」

 

簪「あ、わ、待ってよぉ…!」

 

 

 

 

瑛「…………」

 

一「…………」

 

瑛「……ハッ、?……?? なんで俺寝てたんだ? 一夏、起きろ。一夏」

 

一「…うーん、ん? アレ? 俺たち、いつの間に寝ちまったんだ?」

 

瑛「えーっと…俺ら、無人島の話をしてて…そんで……」

 

一「…ダメだ。思い出せないな」

 

流れ始める本家ISエンディング

 

瑛「え!? もう!? ん、カンペ、『放送時間の都合、質問は終わったから問題なし』?」

 

一「俺たち全然答えた実感わかないんだけど・・・・・ってか今回は誰が歌ってるんだ? 男の人っぽいけど、ちょっとオネエ入ってる?」

 

瑛「ああ、そこで見かけたガタイの良い感じの人に歌ってもらってる。なんか、『メークした後で機嫌がいいの』とか言ってたぞ」

 

一「凄いな。堂々とした歌いっぷりだ。…ん?」

 

瑛「どうした?」

 

一「いや、なーんか忘れてる気がするんだよ」

 

???「大尉! また俺が寝てる間に顔を弄ったな!? しかも額にも悪戯書きを書いて!」

 

???「あら、いいじゃないの。あなた化粧のし甲斐があるのよ。それに額の『女』って言う字書いたの彼よ」

 

???「ミシェェェェルッ!!」

 

一「…なんか、女装した人がいきなり来ていきなり帰って行ったけど・・・・・」

 

瑛「すごい足速いな。そう言えば、お前なにを忘れてる気がするんだ?」

 

一「んー……思い出せない。ま、良いか。それでは!」

 

瑛「みなさん!」

 

瑛&一「「さようならー!」」


 
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