皆さんこんにちは蒼です。
ようやく、華琳の元に戻れます。
いや長かった。この約3年間は。何度戻ろうかと考えたか。
華琳のサドっぷりも上がってるだろうなー。春蘭の華琳様信仰も重度になってそうだなー。秋蘭のシスコン度も同じくだろうなー……うん、なんか少し帰りたくなくなってきた。カオスな予感がビンビンする。
「蒼様、もうすぐ曹操の治めている領内です」
「おう、そこら辺は分かってるからいちいち言わなくても大丈夫だぞ」
因みに、俺達が月の所にいる間に華琳は賊を討伐して、刺史から州牧になり、さらに領地を広げていることは分かっている。
民達の評判も相変わらずいい。
だが、今はそれよりも……
「森羅、あの情報は……」
「はい、かなり信憑性が高いと思われます。
それと、正規の軍として夏侯淵将軍が援軍と向かうとのこと。動かせる兵の数が少ないようですから、恐らく本隊までの時間稼ぎかと」
情報というのは近頃大陸中で暴れている黄色の布を頭に被った賊(俺達は黄巾党と呼んでいる)が近くの街を襲うというものだった。
ふむ、秋蘭が出張って時間稼ぎか。
「兵の数の差は?」
「街を守る勢力は義勇兵合わせて二千程、対する黄巾党は約八千、何とか援軍が来るまで持ち堪えるでしょう」
何とか、か……。
此処で、こんなこと考えてしまうのは三年間で出来てしまった悪癖だろうな。
「なぁ、森羅……」
「可能でしょう」
「……いや、俺何にも言ってないんだが?」
「どうせ、紅蓮団だけで戦場を掻き回せるか?と聞きたいのでしょう。
正直、正気を疑いたくなりますが、そんな無茶が紅蓮団ならば出来ると思います」
ぶっちゃけ、掻き乱すぐらいで賊如きにやられる奴は紅蓮団には置いてない、そして、全員が騎馬だからこそ出来ることだ。
本音は……
「紅蓮団の傭兵生活の締めですから、最後に暴れようぜ!……ですか?」
「なあ森羅、頼むから地の文を読むのはやめてくれ」
なんか、華琳も同じことが出来そうだが、考えたくないな。
「蒼様は、分かりやすいですから。(これは蒼様への愛の力ですから。)」
……そうですか。
まあ、副音声なんかはないと信じたいが。
「ふう、まあいいや。
森羅、全員にこのこと伝えて一旦休むぞ。
俺達はちょいっと事前に考える事があるが……とにかく、こっから先は賊を蹴散らすまで休みなしだからな。鋭気を養っておけとも伝えておけ」
「御意」
で、休んでから駆け付けて来たんだが。
「なんとか耐えているが……」
「厳しいですね。西側が一番圧力があります。そこに将軍がいるのでしょう。上手く耐えていますが、問題は東側ですね」
今俺達は気付かれないように賊の本陣の真後ろで突撃の準備をしながら戦況を見ている。
戦況は厳しい、今の状況も秋蘭だからこそ粘れているようだが、春蘭なら……突撃する図しか思い浮かばないのが悲しいな。まあ、それがアイツの良いところでもあるんだがな。
ともかく、秋蘭が守る西側は耐えているが、東側が押されている。
この状況なら一つでも抜ければ負けになる。秋蘭も分かってるだろうが、割ける戦力がなく、あと一手が欲しいってところか。
「ま、俺達がその一手になってやるかな」
「その通りです。
……全員の準備が完了したようです」
その言葉を聞き、見渡すと、全員が俺が指示を出すのを待っている状況だ。
「よう、てめえら。
この戦いで紅蓮団の傭兵稼業は終了だ。
こっから先は曹軍の紅蓮団になる。
嬉しい事に曹軍に入ったら更に厳しい戦いに巻き込まれる。それも天下分け目の大決戦なんてのもある。当然今まで以上に無理無茶無謀を押し通すこともある。ぶっちゃけこの中でも死ぬ奴が出てくる。
こいつが最後の忠告だ。それでも出ない奴は死ぬまで付き合ってもらう。
抜けたい奴はとっとと抜けろ。当面の資産は渡してやる」
周りを見回す。
誰も抜けないか。
「いいだろう。とことんまで付き合ってもらうからな。逃げたくても逃がさんから覚悟しな」
「「「応!」」」
いい覚悟だ。
これが俺にとっての理想の始まりだ。派手にいかしてもらう。
「さてと、てめえらの覚悟が決まった所で改めて言わせてもらう。
死ぬな!死にそうになったら逃げろ!そんで隠れろ!で、隙を見つけたらぶっ殺せ!
とにかく生き残れよ。てめえらの死に場所は用意してやる。その時はちゃんと「死ね」って言ってやる。だからその時まで死ぬんじゃねえぞ」
「「「応!」」」
「いい返事だ。
さてと、俺達はこれから賊に突っ込んで引っ掻き回すんだが、命令は今までと変わらん。目の前の敵を殺し、己の道を作れ。『見敵必殺』、『見敵必殺』。
味方に助け(希望)を、敵には死(絶望)をくれてやれ」
「「「応!」」」
「森羅、お前は本陣を急襲後、五十程連れて、西側の援護」
「御意」
「残り七十は俺と東側の援護だ」
「「「御意」」」
「行くぞ、紅蓮団最後の傭兵活動だ。派手に暴れろ」
「「「応!」」」
「いくぞ!狙いは賊の本陣。嵐のように殺し、通り抜ける。
野郎共、俺に続け!」
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