No.490301 IS学園にもう一人男を追加した ~ エピローグrzthooさん 2012-09-30 09:18:01 投稿 / 全4ページ 総閲覧数:2017 閲覧ユーザー数:1947 |
一夏SIDE
[カキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキ・・・]
"あの時"から二ヶ月が過ぎ、現在、俺は机に向かう数少ない生徒と共に、補習を受けている。受けないと、進級できないってさ・・・何故?
いや、俺が予習復習を欠かしたのがいけなかったのは間違いない。シャルにも言われたし。
だからと言って、面と向かって・・・
千冬
『もう・・・ダメだな』
一夏
「"ダメ"って何だよぉっ!?」
先生
「織斑君」
一夏
「・・・すみません」
我が姉よ。せめて、お叱りの言葉を頂きたかった・・・
まぁ、俺の事はさておき、"あの時"から二ヶ月が経った事は最初に言ったが、その後について少し、補習プリントに集中しつつ説明しよう。
俺が迷い込んだあの基地、『亡国企業』の隠れ家の一つだった事は知っていると思うが、あの基地はすでに無くなっている。どうやら、島の下に作られた基地全体が支柱が崩れたように瓦礫・・・というより、塵の山となっていたそうだ。
"内部では爆発が起きたんじゃないか"と、誰かが言っていたような気がするが、外見から見た島はまったく変わりがない。まるで、"核兵器並みの爆発が基地内だけ被害を及ばした"ようだった。
一応、日本の政府と更識家、そして更識家とキョウダイ関係にある家柄が協力して、調査しているようだ。
一夏
(そういえば、楯無さんって、留年したんだっけ?)
千冬姉の命令を無視して、俺達は学園を飛び出したため、かなり重い罰則が与えられる・・・はずだったが、その罰を全て楯無さんが"会長責任"として受けたのだ。そのせいで、また2年生から・・・
一夏
(楯無さんと同級生・・・変な感じだな)
[ゴォー・・・]
その時、校舎の外・・・第3アリーナから爆発音が小さく聞こえた。
一夏
(まだ特訓してるのか。鈴も大変だな・・・)
特訓といえば、箒も毎日、竹刀を振るってるみたいだけど・・・
【第3アリーナ】
鈴
「はぁ、はぁ・・・もう無理っ」
セシリア
「何を言っていますの? ほら、寝ていては一生、BT操作を取得できませんわよ」
鈴
「勘弁してよ・・・」
(って言っても、根を上げてたら、そこまでよね・・・この『甲龍』を完璧に扱えないと・・・)
セシリア
(わたくしは弱い・・・だからこそ、教える側に立って"弱さ"を学ばなければなりませんわ・・・そうしなければ、強くなれません!)
鈴
(限界を超えられない!)
鈴
「よしっ! 続きをやるわよ!!」
セシリア
「ビシバシ行きますわよ!!」
【篠ノ之道場】
[ブンッ!・・・ブンッ!・・・]
箒
「・・・足りない」
このままじゃ、いつまで経っても私は私を超えられない・・・そして、また・・・
箒
「紅椿・・・」
お前はまた、私を狂わすのか・・・
箒
「いや、私は変わる! そして───」
一夏の背中を守れる"奥ゆかしい女"になるんだ・・・!
[カキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキカキ・・・]
そういや、各地に潜り込んでいた『亡国企業』のエージェント達は、拘束されたって聞いたけど、まだ組織自体は完璧に壊滅してないんだよな・・・まっ、即戦力を失った組織じゃ、身を隠すのだけで精一杯だろうって、楯無さんは言ってたし気にしなくてもいいか。
気にするべきは捕らえられた"マドカ"と"もう1人のクローン"の処分だ。被害を受けたイギリス、ドイツがその処分を決めようとしたのだが、『亡国企業』の被害を受けた国は過去も含めて数知れず。2人の争奪戦が論説で始まった。
だが、その論戦はすぐに沈静化した・・・全国に"篠ノ之束"名義の脅迫状が届いたからだ。"騒いだら消すよ♪"の一文だけが・・・
でもまぁ、政府の全員はその一文にビビッたのだが、さすがにテロリストを野放しには出来ない。そこで名乗り出たのが千冬姉だった。
さすが『ブリュンヒルデ』とまで言われた戦乙女。千冬姉の言った事に全国の首脳達は文句も漏らさず、ただただ頷くだけ。それで2人の保護司が決まり、今では・・・
【織斑邸】
千冬
「お名前は?」
マドカ
「お、織斑・・・マドカ・・・です」
"大""小"が机を間に正座。どうやら、高校面接のシミュレーションをしているようだ・・・
千冬
「堅い。肩の力を抜け」
マドカ
「な、何故、私が、学校などに・・・」
千冬
「それが、条件だからだ」
マドカ
「くっ・・・」
千冬
「シミュレーションして、もう2時間か・・・未だに、名前の紹介から進んでいない」
マドカ
「うっ・・・な、なら、姉さんが見本を見せてください」
千冬
「っ・・・い、良いだろう!」
マドカ
「・・・」
千冬
(どうする・・・どうする! 面接なんてやった事ないぞ! IS学園には束のコネ的なもので入ったようなものだし・・・いやだが、ここで威厳を失っては・・・)
[ドキドキドキドキ!]
マドカ
「・・・はぁ」
(これは・・・期待できそうにない)
【シュヴァルツ・ハーゼ(仮)基地】
ラウラ
「ふぅ・・・」
『シュヴァルツ・ハーゼ』仮基地にて、明日、日本に発つラウラが準備に一息をつくため、軍服のボタンを2つ外し、休憩室に入る・・・
[ウィン・・・]
リリヤ
「た~いちょっ!」
ラウラ
「っ!? な、何だ、いきなり!?」
入った直後に、背後から気配を消して、共に室内に入ってきたリリヤに抱きつかれた。ラウラは驚き、後ろに気を向けていると、次は前・・・室内から多量のクラッカーの音が鳴り響いた。
ラウラ
[パチッ・・・パチッパチッ]
目をパチクリさせるラウラの頭に、クラッカーから飛び出した紐が乗っかり、広くもない休憩室にいる"『シュヴァルツ・ハーゼ』隊員全員"が一斉に・・・
全隊員
「ラウラ隊長ー!! 昇格おめでとうございまーす!!」
ラウラ
「え、あ・・・ありがとう・・・」
隊員1
「ほらほら、主役様はここに座ってください!」
ラウラ
「あ、ああ・・・って、クラリッサ! これは一体なんだ!?」
クラリッサ
「見ての通り、隊長のレセプションですが」
ラウラ
「た、確かにそうだが、こんないきなり・・・って、クラリッサだって昇格しただろ!」
クラリッサ
「チッチッチッ。何を言っているのですか? 今はそんな事はどうでもいいのです!!」
ラウラ
「はぇ?」
クラリッサ
「今は隊長の・・・ラウラ"中佐"の昇格パーティです!! 私がどれだけ、出番を惜しんで時間を懸けてきたか・・・」
ラウラ
「・・・もしかして、出番が少ないから見せしめに私を・・・」
クラリッサ
「そんな事はありません!! 私は隊長の活躍(萌え)を聞ければ、それだけで幸せです!!」
ラウラ
「そ、そう、か・・・すまない」
リリヤ
[ジ~~~]
隊員2
「? リリヤ、どうしたの?」
ラウラ
「え?」
リリヤはラウラの胸元・・・ボタンが外された軍服と肌の隙間を凝視していた。ラウラが振り向くと、リリヤは目を光らせて・・・
リリヤ
「おりゃ!」
ラウラ
「うひゃっ!?」
リリヤ
「あれ? ブラしてないんですか? 無防備すぎますよ、隊長~」
ラウラ
「や、やめっ───」
軍服の隙間から手を突っ込み、小柄な体躯に似つく胸を揉んだ。ラウラはリリヤの拘束を振り払うことが出来ず、ただただ愛らしい声を上げるだけ。
すると、周りの隊員達も抑圧されて、ラウラに群がっていった・・・
リリヤ
「あらら・・・」
その群れから持ち前の小柄さで抜け出したリリヤは、自分が招いた事に責任の影を一切見せず、ただラウラを哀れむだけ。そして、傍観に徹していたクラリッサの下へ。
リリヤ
「クラリッサ副隊長も昇格おめでとうございます」
クラリッサ
「ありがとう・・・そっちも"降格"おめでとう。リリヤ二等兵」
リリヤ
「お、おめでとうはちょっと・・・あはは~」
ラウラ
「ちょ、やめ・・・んんっ!」
クラリッサ
[ピクッ]
ラウラ
「ど、どこに、手をぉ・・・?」
クラリッサ
[ゴゴゴゴゴゴッ!]
リリヤ
「副隊長?」
クラリッサ
「・・・ブホァ!」
リリヤ
「副隊長!? 副隊長ぉー!?」
・・・まぁ、仲良くやってるみたいだな。
先生
「はいっ、これで冬休みの補習は全て終わりました。また3学期に会いましょう」
いや~、終わった終わった・・・
女生徒1
「織斑君、お昼、暇?」
女生徒2
「一緒に学食行かない?」
一夏
「ん? おう、いいぞ」
"よしっ"とガッツポーズをする2人の女子。
そうだよな~、あんな長い補習受けてて、お腹が空かないはずがないよな・・・
一夏
「あ、わりぃ。教室に忘れ物が」
女生徒1
「う、うん。じゃ、先に席を取っておくから」
そう返してくれた女子達は先に学食へ小走りで向かっていき、俺は反転して教室に向かう。
一夏
(今年度は色々ありすぎたけど、来年度から蘭が中学以来の学友になるのか・・・)
どんな新入生が来るのだろう・・・できれば、面倒事が起こらなければいいけど・・・
一夏
("面倒事"って・・・獅苑のが移ったか?)
【五反田食堂の上の階・・・蘭の自室】
蘭
「♪~」
新品同然のIS学園の制服を一足先に着た蘭は、立て鏡の前でクルッと一週回り、その姿にご満悦の様子。
その部屋の扉の隙間から、覗く二つの目・・・兄、五反田 弾が心配そうな眼差しで見ていた。
弾
(一夏・・・頼むから、昔よりは感が鋭くなってくれよ・・・じゃないと)
厳
「弾っ! 早く降りて来い!」
下の階から・・・食堂から男の声。
弾
(じいちゃんが、始動するから・・・頼むっ!)
【フランス・・・ディディア邸】
シャルロット
「お世話になりました」
レーア
「そんな畏まらないでいいわよ。また、いつでもおいで」
ジュン
「またね、シャルロットさん」
シャルロット
「うん。ジュンもね・・・あと、レーアさん。"あの話"の答え、もう少し待ってくれますか?」
レーア
「そう・・・そうね。ゆっくり考えなさい」
そうレーアは微笑み返し、シャルロットはディディア邸を後にした。
静けさが戻ったディディア邸では・・・
ジュン
「"あの話"って?」
レーア
「養子の件。お母さんとお父さんに連絡したら、大いに喜んでくれたんだけど・・・まっ、そういうのは本人が決めるもんよね」
ジュン
「そ、そうだよね・・・」
レーア
「歯切れ悪いわね・・・どしたの?」
ジュン
「・・・姉ちゃん。相談があるんだ」
レーア
「恋路?」
ジュン
「違う」
バッサリと否定したジュンに、レーアはつまらなさそうに腕を頭の後ろにやる。
レーア
「な~んだ、つまんないの~」
ジュン
「俺は千冬様一筋だ」
レーア
「あっそ・・・それで、なに?」
本題に戻した途端、ジュンの表情は強張り始め・・・
ジュン
「俺を・・・俺をIS学園に入れさせてくれ!!」
レーア
「・・・」
ジュンの発言にレーアは面を喰って・・・おらず、逆にテンションが上がって───
レーア
「姉さんに任せなさい!! 丁度、ジョンに合う私のおさがりがあるから!!」
ジュン
「あっ、いや、出来れば女装は・・・って、聞けー!」
【アメリカ・・・留置所】
ナターシャ
「・・・ん? イーリ?」
壁にもたれかかっていたナターシャは、牢の向こう側から訪問してきたイーリスに声をかける。
イーリス
「よぉ、ご機嫌は?」
ナターシャ
「良いわけないでしょ。毎日が退屈よ・・・まぁ、それも後三日で終わるんだけど」
イーリス
「そうか・・・もう逝っちゃうんだな」
ナターシャ
「違うわよ! 勝手に殺さないでくれない。"釈放"の方だから・・・それで、"あの子"は?」
イーリス
「やっぱ、"あの時"の貢献が良かったみたいでな、凍結は解除されるそうだ。当分は倉庫送りだが」
ナターシャ
「それでも良いわよ・・・"あの子"と会えるなら、ね」
【更識家別荘】
簪
「ご飯ですよ~」
ラン・ルン・ロン
「ワンッ」
獅苑が本音に渡した"赤い勾玉と水色の小石のブレスレット"から、三匹の炎犬が飛び出し、簪が持ってきた小皿の上に乗せられたドックフードを庭で仲良く食べ始める。
簪
(ナノマシンでも、ご飯は食べるんだ・・・)
そんな疑問を持つ簪だが、三匹の可愛らしさを見ていたら、全てが吹っ飛ぶ。
そして、三匹とも小皿に乗ったドックフードを綺麗に平らげて、三匹とも別の行動を取り始める。
ラン
「くぅ~ん」
ランは、縁側で腰掛けていた簪の膝の上で甘い声を出し、目を虚ろにする。人懐っこいランだが、この行動が取れるのも簪に対して心を開いてるからである。
ルン
「・・・」
ルンは、木の木陰に移動して、風で揺ら揺らと揺れる木の葉を眺めている。どうやら、ルンは猫と似ている部分があるらしい。
そして、ロンは・・・
優
「簪、散歩に出かけ───
ロン
「っ、がうっ!!」
優
「おっと・・・!」
襖から優が出てきた瞬間、気配を感じ取ったロンが飛び掛かり、避けた優は"またか"とちょっと嬉しそうな笑みを浮かべる。
優
「相変わらず、血の気が多いね・・・よしっ! やるか!!」
ロン
「がうっ!!」
例え、犬相手でも売られた喧嘩は買って出る優。"楯無"となった優とロンは、種族を超えた喧嘩をおっぱじめた。
春
「あらあら」
簪
「あ、飽きないよね。ホント・・・」
ラン
「ワンッ!」
【ミヨー橋・・・(南フランスのミヨー近郊にある世界一の橋)】
オータム
「・・・んで、これからどこに行く?」
スコール
「そうね~・・・今度はどこに旅行しようかしら」
雲海より高い位置に敷かれた橋のレールをスポーツカーが駆けている。前席にサングラスをかけるスコールとキャップを被るオータム。そして後席には・・・
B
「有り余った財産を使うのはいいが、ここ空気薄くねぇか?・・・あむっ」
W
「・・・くも・・・あむっ」
一本の綿雨を2人で頬張る『B』と『W』。正確には、綿雨を持つ『B』が車から顔を出している『W』に差し出していた。
スコール
「"ヴィヴィ"、乗り出すと危ないから頭を引っ込めなさい」
W
「・・・[コクッ]」
スコール
「素直で良い子ね。で、次の目的地だけど・・・希望はある?」
B
「ないなら、日本に戻ろうぜ。"店"をほったらかしにしちゃマズイしな」
スコール
「あのお婆さんから譲り受けたパン屋さん? へぇ~、店長の責任ってやつ?」
B
「そんなところだ」
オータム
「こりゃ驚きだ。お前に"責任感"っていうもんがあったなんてな」
B
「うるせぇ・・・ほら、さっさと飛ばせ!」
スコール
「言われなくても!」
オータム
「おおぉ!!」
スピードメーターが300を振り切り、橋に残留する雲海の塵を吹き飛ばしながら加速する。
[ビュンッ!]
B・W
「あ・・・」
『B』が『W』に差し出した綿雨が『W』の目の前で棒から抜けて、空に舞い上がった・・・
W
「・・・うぅ」
スコール
「オータム! ISで取りに行って!」
オータム
「はい!?」
B
「さっさと行け! 泣かれたら、取り返しが付かなくなるぞ!!」
W
「う・・・ひっく・・・!」
オータム
「わ、わぁったよ! 私が行けばいいんだろ!!」
【???】
束
「う~ん。やっぱり行き詰るな~・・・もう休憩!! くーちゃん、お茶~!」
くー
「どうぞ。束様」
どことも知れぬ、謎の室内。そこで束はテーブルに腰掛け、くーが出したお茶を啜りながら、先まで研究していた"コア"の情報を脳内で再生する。
束
(う~ん・・・やっぱり、"原石"を持ち出してこないと、先に進めないのかな? 今の私ならピュッピュピュ~イ!なんだけどなぁ~)
くー
「束様。通信が入ってます」
束
「ん? げっ! "イカレポンチ"からだ・・・」
【とある喫茶店】
山田
「それにしても、博士はずっと研究室に篭りっきりだけど、ご飯はどうしてるんでしょうか?」
[キュッキュッ]
ユウキ
「ん~・・・別段、気にしなくてもいいんじゃないんですかー?」
[ピコピコ]
山田
「そうは言っても、博士だって人なんだし・・・あと、客席に座ってないで吹き掃除を手伝ってくれません?」
ユウキ
「働いたら負け」
山田
(・・・失業者)
「そういえば、ユウキさんって僕が博士の助手に就いた後に来ましたけど、博士とは随分と仲が良いですよね。前からお互い知り合いみたいな感じで」
ユウキ
「まぁ・・・祖父だし」
山田
「あ~、なるほど・・・」
[キュキュッ・・・キュッ]
「ぇ・・・」
パリィンッ・・・!
【生徒会室】
楯無
「はぁ・・・来年度はこの資料の山と向き合わなきゃならないのか~。虚ちゃんも一緒に留年しない?」
虚
「しません。会長にはちゃんと会長らしくやっていただけないと」
楯無
「あ~あ、来年に良い後輩が来てくれたらなぁ」
駄々をこねる楯無は、会長席から立ち上がり、窓の向こう側を見つめながら、窓際に置かれた"氷中花"を撫でる。
虚
「その氷、全然とける気配がないですよね・・・どこで手に入れたんですか?」
楯無
「ん? どこって・・・"あの時"よ。"あの時"」
[ガラガラ・・・]
一夏
「あっ」
本音
「オリムーだぁ」
教室に戻ってくると、誰も居ないはずの無人の教室に、何故か机を運んでいたジャージ姿の のほほんさんがいた。その机は、以前まで居たもう1人の男子生徒 獅苑の席があった場所に置かれた。
一夏
「何してたんだ?」
本音
「綺麗にしてたぁ!」
垂れた両袖を振り上げた のほほんさん。机を見れば、窓から入る日光を反射して、その綺麗さをものがたっている。
本音
「よいしょっ・・・」
のほほんさんは、どこかしらから取り出した30cmぐらいの氷柱を机の上に置いた。その氷の中に一輪の淡い青紫色の花が咲いていた。
これは・・・
一夏
「紫苑花?」
本音
「そうだよぉ~」
"獅苑"に因んで"紫苑"ねぇ・・・ダジャレかいっ
突っ込みの代わりに、その氷中花に触れる。
一夏
(そこまで冷たくない・・・)
氷のヒンヤリさがなく、ガラスに触れているような感覚。
一夏
「でも、こんな物を置いたら、不吉じゃないか?」
本音
「だいっじょーぶ! 先生から許可はもらったからぁ!」
一夏
「いや、そういう意味じゃ・・・だいたい、どうして急にこんな事を?」
本音
「紫苑花の花言葉ってな~んだ? 4つぐらいあるんだけどぉ」
花言葉?・・・紫苑花の花言葉って何だ?
俺が知識のないものを脳内で手探りをしながら考えていると、獅苑の隣の席(のほほんさんの席)に座り、氷中花を見つめて膝に頬杖をつく。
本音
「でも、本人が居ないとつまんないよねぇ~」
一夏
「・・・」
急にしんみりとした雰囲気に、俺も口をつむぐ。だが・・・
本音
「その分、オリムーには"面倒事"を起こしてもらわなくっちゃ♪!」
一夏
「ええぇ!?」
獅苑
「クシュン・・・さむっ」
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最後まで愛読してくださった方、本当にありがとうございます。