場所は一転しルウィー。
ザッ―――
「ここですね。」
ネプギアは目の前の大きな建物を見上げる。
少し不思議な形をした建物だった。一言で例えるならキノコのような傘を持つ宮殿だった。
「これがルウィーの教会……随分と目立ってるわね。」
アイエフの言うとおり、ルウィーの教会は国内のど真ん中にドーンと建っているためめっちゃ目立っている。この国に来たら誰でもまず間違いなくあの教会に目が行くだろう。
「さて、中に入ろうぜ!」
ソニックの言葉を合図に一同は中へと入って行った。
キィッ―――
ルウィーの教会は見た目の通り中はめちゃくちゃ広かった。
何度も教祖室と思わしき扉を開いては間違えての繰り返しだったが、今度の扉は教祖室と書いてあるため間違いなく教祖室だろう。
今、教祖室の扉が開く。
「失礼します。」
部屋が間違ってないことを確認し、ネプギアが挨拶する。
だが―――
「キャーッ!」
「ふぁ……!」
何故か、子供の声が聞こえる。
「え?」
その声にネプギアは目を丸くした。
バタバタバタバタバタ――――!
教祖室内では何故か二人の子供が室内を走り回って遊んでいた。しかもよく見たらその子達は先程戦ったロムとラムだった。
「あ、おかえりミナちゃ―――」
ラムが走り回りながらもドアが開いたことに気づいたらしくこちらに視線を向けつつ口を開くが………
「――あー!悪い女神と誘拐犯!」
「悪い人………(ふるふる)」
どうやら人違いだったらしくラムがビシィッ!とこちらを指差してくる。一方のロムは細かく震えだす。
「私達をもう一回誘拐するつもりだったのねー!」
「Huh……またこのパターンか……」
ソニックはやれやれと頭を振る。
(――まぁ、この国の教会だから居ることは予想してたけどね……)
アイエフも額を押さえ肩をすくめる。
「ち、違うよ!私は悪い女神じゃないし―――」
「もんどーむよー!」
ロムとラムはペン型のステッキを取り出す。
「し、室内で戦ったら大変なことになるですぅ!」
コンパがロムとラムを宥めようとするものの、やはり二人は聞く耳持たない。
直径およそ20mの空間に緊迫した空気が奔る。
キィッ―――
再び、教祖室の扉が開く。
扉から眼鏡をかけた水色のロングヘアーを二つに分け、まるで大学教授のような赤い帽子をかぶってる若い女性が入ってきた。着ている上着など全体的に見ると教授みたいな女性だった。
「あ、あなた達!?」
その女性は室内をざっと見渡すとロムとラムの姿を見つけ口を開く。
「あ、ミナちゃん!危ないから入ってきちゃ駄目だよ!今誘拐犯と悪い女神を退治しようとしてるから!」
「何を言ってるのです!」
ラムが言い放ったが呆気なく駆け寄ってきた女性にステッキを没収される。
「か、返してよ~!このままじゃ私達誘拐されちゃうよ~!うぇーん!」
「ふぇ……ぐす……」
ステッキを没収された二人は女性にしがみつくと泣きだしてしまった。
女性は一同の方に顔を向けると苦笑いをする。
「すみません、私に用かもしれませんが5分ほど廊下で待っててもらえませんか……?」
「は、はい。」
目を丸くしていたネプギアが返事を返すと、とりあえず一同は廊下に出た。
(5分後)
「どうぞ。」
廊下で一同が待っているとドアが開き、女性が出てくる。
「はい、失礼します。」
一同は教祖室内に入る。
「私はルウィーの教祖をしている西沢ミナと言う者です。先程は失礼しました。あの子達、もうすぐお友達が来るからはしゃいでたようで……」
ミナが帽子を取ると思いっきり頭を下げる。
「わわ、そんなに頭を下げなくても……!」
「いえ、あの子達の保護者として……教育者としてしっかりと謝らせてもらいます!」
「Huh……ところであいつらはどうしたんだ?」
「あの子達はそこでアニメを見ています。」
ミナが指差した方を見ると、ロムとラムはちょっと離れた場所でなんかのアニメを見てた。
(どんなアニメ見てんだ……?)
気になったらしくソニックは視線をテレビに向ける。
画面には子供教育テレビに出てきそうなピンク色のリスや黄色いウサギが出ていた。
(へへ、やっぱそんな感じか。)
ソニックは微笑みを浮かべると視線をミナに向ける。
(………ん?さっきのキャラどっかで見覚えが……)
ソニックは再びテレビ画面に視線を向ける。
――やっぱあのキャラどっかで見覚えあるな……あー、けどタイトルが思い出せない。えーっと……なんだっけな……あ、そうだ確かハッピーツリーフレ――
タイトルを思い出した瞬間ソニックは画面の目の前にダッシュしていた
「お、お前らこれ見ちゃだめだ!」
「ど、どうしたの?」
頬に汗を垂らした日本一が訪ねてくる。
一方、ロムとラムは訳が分からず目を丸くしていた。
「こ、子供にそんなアニメ見せたらアカン!」
「な、何でソニックさん大阪弁になってるですか?」
「アンタ達、とりあえず落ち着きなさい……」
アイエフの言葉にソニックはブチッ!とテレビを消すと大きく深呼吸する。
「はぁ……sorry。」
「さて、話を戻しましょう。私達、プラネテューヌからやってきました。私はプラネテューヌの女神候補生のネプギアです。」
「プラネテューヌの女神候補生……?女神様がそんな遠方からわざわざいらっしゃるということは、重大な用件なのでしょうか?」
「はい。実は………」
そのままネプギアが一部始終を話し始める。
「―――なるほど、要するにルウィーのゲイムキャラの力を借りにいらっしゃったのですね?」
「はい。どうにかお願いできないでしょうか?」
「―――申し訳ありませんが、ご期待には応えられません。」
「…………………」
沈黙が奔る。
チラと視線をアイエフの方に向けるとミナの返答に若干見当がついていたのか、腕を組んで眉間に皺を寄せていた。
アイエフだけじゃない。いつもはあんなにテンション高い日本一も最近あんま喋んないけどコンパも黙り込んでいた。
完全なる沈黙。
先程まで耳にも入らなかったテレビの音がめちゃくちゃでかく聞こえた(消したはずなのに何故かついてる。もう知らん)。
その沈黙をネプギアが破る。
「どうしても……駄目でしょうか?」
「この国―――ルウィーのゲイムキャラはとある重大な役目を背負っていて、少しの間でもこの国を離れると大袈裟にではなくこの国が滅亡の危機にさらされます。」
おいおい、ホントかよ―――とソニックは言おうとしたが、ミナの表情を見るとそれが言えなくなった。
冗談でもなんでもない、まるで過去の地獄を思い出すかのようなその表情を……
「―――その役目が何なのかは言えないのかしら?」
黙っていたアイエフが口を開くも―――
「あまり、軽々しく話せることではないのです。」
あっさりと潰される。
「けど、俺達も女神救出のためにはゲイムキャラの力は不可欠って訳だしな。こっちで勝手に探すことになるけどいいのか?」
「止めはしません。仮に見つけたとしても、あなた方なら無理矢理連れて行くようなことはしないと信じています。」
ミナの返答にソニックはやれやれと頭を振りため息をつく。
「―――しかし、わざわざ遠方からいらっしゃったのにこれで追い返すのはあまりにも失礼。折角なので、犯罪神マジェコンヌについて少しお話しましょう。」
「マジェコンヌについて……?」
「ここ、ルウィーには犯罪神マジェコンヌの伝承が残っており、犯罪神の生まれた地と言われています。皆さんはそもそも犯罪神マジェコンヌがどういうものなのかをご存知ですか?」
「悪いが、俺はよく知らないねぇ。」
ソニックが横に首を振る。
イストワールから名前は聞いていたがそこまで詳しく知ってるわけでもない。
「言われてみたら私もよく知らないかも……」
ネプギアも顎に手を置き考え込む。
「犯罪組織にとって都合の良い神なんじゃないのか?」
ソニックがぶっきらぼうに両手を後頭部に組み言う。
「――いえ、誰かにとって都合の良い神というものではありません。神というのは名ばかりでその存在意義は、ただ全てを破壊し全ての命を滅ぼすためにある……犯罪神が誕生した際にはゲイムギョウ界は滅亡の一歩手前まで追い詰められたと言われています。」
「ゲイムギョウ界が………滅亡………?」
それを聞いた時に、ネプギアの頬を汗が伝った。
「けど、その伝承が本当なら犯罪組織も滅びちゃいますよね?なんで犯罪組織はそんな神様を復活させようとしてるですか?」
コンパが頭から?をぽぽぽぽーんさせて首を傾げる。
「恐らく、本当に復活を企んでいるわけではないか……何も知らずに誰かに利用されているという可能性もありますね。」
「犯罪組織マジェコンヌと全てを破壊する犯罪組織マジェコンヌ……」
ネプギアがその名を繰り返す。
「さて、いかがでしょう?参考になりましたか?」
「ミナちゃーん!おやつあるー?」
どうやらアニメを見終えたらしくロムとラムがミナに近づいてくる。
「今は我慢しなさい。お客さんが来てるんですから……」
ラムがチラとこちらを見つめてくる。
「あんな悪い奴らお客さんじゃないよ!ねぇねぇ、ミナちゃんてばー!」
困ったようにミナが一同に顔を向ける。
「あの、先程何かあったんですか?」
先程からロムとラムが一同を完全に悪者扱いしてることが気になったらしくミナが尋ねてくる。
「は、はい。実は……」
―――ネプギアtalking now―――
「そうですか……この子達がそんなことを……」
申し訳無さそうに言うと皆は急に土下座をしてくる。
「えッ?」
そんなミナの様子に驚いた一同は素っ頓狂な声を発する。
「誠に……すんませんでしたぁぁぁッ!!」
「えぇぇぇッ!?」
何故か突如ミナが体育会系キャラになった。
「ほら、あなた達もごめんなさいは?」
ミナがロムとラムに向き直す。
「やだ!なんで誘拐犯と悪い女神に謝んなきゃいけないの?」
「………(ふるふる)」
ラムが反論し、ロムが首を横に降る。
「……ご・め・ん・な・さ・い・は?」
そんな二人にミナは表情を一変させる。
そう、まるで鬼のような……スゲー顔だった。
「……ごめんなさい。」
「なさい。(ぺこり)」
そんなミナの表情を見たロムとラムは半泣きで一同にごめんなさいした。
「ひゅ~♪cool!」
「どこがよッ!?」
小さく口笛を吹いたソニックにアイエフが突っ込む。
「ホントにもういいですから!それより、女神救出にあたってこの子達に協力を頂くのは……無理でしょうか?」
ネプギアの問いにミナは首をふるふると横に振る。
「……保護者としては素直に頷けません。まだ幼いですし、最もこの子達が自らの意思で動きたいというなら話は別ですが……」
ミナが顔を再びロムラムに向ける。
「やだ!」
「……いや(ふるふる)」
「ですよねー」
案の定だった。
やれやれとソニックが頭を振る。
「さて、それじゃあ私達はそろそろ失礼しましょうか。」
「何一つお役に立てなくてまじすんませんしたああぁぁぁぁぁッ!」
ミナが再び土下座してくる。(注 ジャンピング土下座です)
「だから、キャラ変わりすぎだっての……」
色々とあったが、一同はルウィーの教会を後にした。
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ソニックはいつものようにエッグマンの計画を阻止しようとしていた。だがそれはエッグマンの罠だったのだ。カオスエメラルドの力で別世界へと飛ばされてしまったソニック。そこはゲイムギョウ界と呼ばれた異世界だった。そしてその世界でネプギアと言う名の少女に出会い―――……ネプギアは姉を助け出すことは出来るのか?ソニックは元の世界へ帰れるのか?これは、ネプテューヌmk2にソニックが居たら――のもしもの物語である。―――