その頃の僕、
曰く、勉強では1位しか取らないほどの成績。
曰く、スポーツをすれば他が羨むほど運動神経。
曰く、男女問わず見惚れてしまうほどの美貌。
それが知る竜王院雪姫と言う人物だった。
目の前に居る人物は、確かに噂通りの人物である。
肩まで流れるように伸びる黒髪、透き通るような白い肌、吸い込まれそうな青い瞳。
女神が光臨したかのようなスタイル抜群の身体つきに、その身体に合わせて作られたかのような白の制服。
そしてそんな僕の目の前に居る彼女、竜王院雪姫は手にクナイを持って、そのクナイを僕に向けていた。
「え、えっとボクは僕の事が好きです! どうか付き合ってください!」
「は、はい?」
な、何を言っているの、この人は? 『ぼくはぼくが好き』? ど、どう言う意味だよ?
と言うか、なんでこの人、顔を赤らめながらクナイをこっちに見せないでくれます? 何かクナイに毒々しい毒が付いているんだけれども……。
「えっと……伝わってないようならばもう1度ちゃんと言います。
ボク、竜王院雪姫は銀林僕の事が好きです。もしよろしければ付き合って、駄目ならばこのクナイで……」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
な、なんでLove&Dead!? どうしてこんな状況に!?
今日朝、下駄箱にラブレター、しかもあの竜王院雪姫からと浮かれていたのに……。どうしてこんな事に……。
「ねぇ、僕……。どうして早く教えてくれないの? 早くしてくれないと私、あなたの事を……」
と、僕が考えている内に彼女はその毒付きナイフで僕を殺そうと……! ちょ……! し、死んじゃう!
「大丈夫。私、暗殺者ですから。軽ーく、痛みも感じない内に……」
「なる! 大丈夫、恋人になるから安心して!」
と、僕が安心させるように言うと、
「う、嬉しいわ……! ありがとう、僕! ボク、絶対にあなたを幸せにして見せるから……!」
「と、とりあえず、『僕』はややこしいので、『ギン』でお願いするよ……」
「分かったわ」と雪姫は言って、こうして銀林僕と竜王院雪姫は恋人となった。
この時、僕は予想してなかった。彼女が僕が予想していたよりも嫉妬深く、そして暗殺者と言うのが本当の事と言うのも。
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僕、銀林僕には彼女が居る。
彼女の名前は竜王院雪姫。頭脳明晰、運動神経抜群、眉目秀麗と三拍子揃った完璧な彼女である。
ただし、彼女には秘密がある。
そう、彼女は暗殺者だったのです。