No.487440

夜天の主とともに  30.一時の休息

森羅さん

A's編っす

2012-09-23 00:29:32 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2672   閲覧ユーザー数:2510

夜天の主とともに  30.一時の休息 アースラ陣営

 

 

 

守護騎士たちと接触してから数日が経っていた。あれからというもの警戒心をより一層高めたのかかなり遠くの世界での蒐集活動へ移行していた。そのためエイミィを筆頭としたアースラ局員は蒐集が終えられた跡を発見するばかりでその行方をなかなかつかめないでいた。

 

クロノとエイミィは地球での本部としているマンションへ少しの休息のため戻っていた。そこで通信でユーノからの闇の書についての報告を受けていた。

 

『――――――――って感じ。とりあえず以上が現時点で分かったことだよ。』

 

「ああ、わかった。すまないな、大変だったんじゃないか?無限書庫の蔵書量は文字の如く大量にあると聞いたけど。」

 

『検索魔法を覚えてるからもっとうまく探せると思ったけど、ここはすごいよ。』

 

『何謙遜してるのよ。君すごいと思うよ。』

 

そう言ってユーノ後ろから出てきたのは頭に猫耳、腰にしっぽ付けた女性、リーゼアリアだった。その横から妹のリーゼロッテも現れる。

 

『そうだぞ~少年。アタシたちから見てもよくできてると思うわ。』

 

『い、いえお二人も手伝っていただけたのでこれほど調べれたんだと思います。』

 

そこまで褒められると思っていなかったユーノは思わず照れた。

 

「ロッテもアリアも忙しいのにありがとね。」

 

『ううん。手伝うって言ったのはこっちなんだしこれぐらい当然よ。でもこの子優秀すぎてあまり意味ないかも。』

 

『あたしの部下じゃないのが惜しいくらいよ……じゅるり。』

 

『ひっ!』

 

涎をふくような仕草をしたアリアを見てユーノは軽く身の危険を察した。動物的本能でも働いたのだろうか?

 

「あまりそこのフェレットもどきをいじめないでやってくれ二人とも。」

 

『誰がフェレットもどきだ!!』

 

両者の側で笑いが出る。話が一段落したところでクロノが通信を切ろうとするとユーノが思い出したかのように呼び止めた。

 

『伝え忘れてたことがあともう一つだけ。あの拳装着型デバイスのことなんだけど、どうにも闇の書本体とのつながりがありそうなんだ。』

 

「なに?」

 

これはクロノもエイミィも予想していなかったことだ。今までの闇の書関連の事件ファイルは全て目を通していた二人だが健一が使っていたあのデバイスが登場するところはどこにもなかったからだ。

 

「そうか……他に何かわかったことはあるか?」

 

『それはこれからになると思う。ここは本当にすごいよ。探せば探すだけでてくる。発掘者の血が騒ぐよ。』

 

「そうか、頼むよ。」

 

「ユーノ君、ガンバ。ロッテもアリアもね。」

 

『私たちもできる限り手伝うよ。』

 

『だから偶にはまた会いに来いよ~クロ助。』

 

「ああ、じゃあまた。」

 

そう言って今度こそクロノは通信を切った。力が抜けて二人ともふぅとため息をつきながらソファーへ座り込んだ。

 

「ある程度は情報集められたね。」

 

「ユーノたちが頑張ってくれたからね。」

 

「とりあえずコーヒーでも飲む?」

 

「ああ、頼むよ。」

 

コーヒーを受け取って一口飲んでまた一息入れた。話すことがなくなり沈黙が訪れる。それに耐えきれずエイミィが顔を俯かせて口を開いた。

 

「ごめんね、クロノ君。」

 

「いきなりなんだ、らしくない。」

 

「索敵と追跡は私の仕事なのに守護騎士たちを見つけられてないことだよ。なんか私役に立ててなくて。」

 

思い浮かぶのはすでにことが終わった危険指定魔力生命体たちの亡骸。そしてそれを確認したクロノを筆頭とした捜索隊が次の場所へと転移する姿。その姿を見るたびにもっと自分が正確に、もっと迅速に発見することができていればと感じていた。

 

「そんなことはない。」

 

「えっ?」

 

顔を上げるとクロノは優しく微笑んでいた。

 

「エイミィがしっかり索敵と追跡をしているから僕たちはその手がかりを増やしていける。守護騎士たちの動向や考えてることもある程度予測することができる。これは紛れもなくエイミィのおかげだ。」

 

「クロノ君……。」

 

「だから役に立ってないなんて言うもんじゃない。………君が僕の執務官補佐でよかったと思っているんだから。」

 

そう言うと机に置いていたコーヒーを手に取り両手で持ちながら飲んだ。カップに顔が隠れて表情はあまり見えないが隠れていないところが蛸のように赤くなっていた。

 

「…ふふっ。うん♪私もクロノ君の執務官補佐でよかったよ。」

 

エイミィも顔を赤らめながらもそういうとクロノの顔がより一層赤くなった。甘い空気が漂い始め二人だけの空間と化していた。

 

そこに二人だけであったのならば。

 

「フェイトちゃん、ナリン君。お茶がすごく甘すぎなの。」

 

「私もそう思う。」

 

「そやな、甘すぎるわいな。」

 

「「!?」」

 

声がする方を勢いよく振り向くとそこにはキッチンのほうでお茶を飲みながらクロノとエイミィを見ているなのは、フェイト、ナリンがいた。

 

「き、きみたちいつからそこに!!」

 

「ついさっきここに来たんだけど。」

 

「フェイトちゃんの部屋でいろいろ話すのもいいと思ったけど喉も乾いたからお茶でも飲もうかと思って。」

 

「んで、リビングは行って見たらあら不思議。甘い空間が形成されとるやないか。馬にけつ蹴られるのは嫌やったからここで見てたっちゅーわけや。」

 

アー甘いと言いながら再び3人がお茶を飲む。今さっきの会話を聞かれていたと思うと恥ずかしさで本当に火が出るかと思うほどクロノとエイミィは赤くなっていたが内心で見られただけぢよかったと思った。がしかし、

 

「ああ、心配せんでもしっかりヴィトルたちに映像と音声記録とってもらっとるから安心しいぃや。」

 

「です♪」

 

「なの♪」

 

「「やめてぇぇぇぇ!!」」

 

結局クロノとエイミィの必死の説得により高級アイスを奢るということで手打ちとなりこの事態は終息した。よって誰にも恥ずかしい会話を聞かれることなく事なきを得たのであった。

 

ちなみにナリンがこっそりバックアップをとって映像などなどを隠しておいたということをその二人が知るのは数年後の話であるのは内緒だったりする。


 
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