みのりは言葉を絞り出している間もずっとうつむいていた。
そんな普段とは打って変わったみのりを見て奈々子も不用意なことを言えなかった。
「やっぱりあんたそんなこと考えてたんだ」
沈黙を破ったのは奈々子でもみのりでもなかった。
「亜美ちゃん!?」
「なんか麻耶に放課後しつこく誘われたからなんかあるんだろうなーとは思ってたのよね」
「まさかこんなことしてるなんてね」
「あーみん、ちょっと今はあーみんとしゃべる気分じゃないんだ。
部外者はちょっと黙っててくれないかn」
「はぁー?私が部外者なわけないでしょ。私だって、私だって高須君のことが好きなんだから。
ごめんね、奈々子。あの時のはうそ。ケンカとかしてるつもりもない。悪いのは私だから」
奈々子は驚かなかった。
亜美を見てればそんなのは分かっていたから。
それを知った上でくぎを刺した自分のずるさを責めるのにも疲れていたときだったから。
「誰かを好きになるのは他人が止められることじゃないもの。私に謝る必要なんて……
それにだれとだれが付き合うのかも他人が決めていいことじゃない」
「そうよ、あんたは、私が引いてチビトラと高須君が幸せになれればとか言ってるけどね。
私はこうして自分の気持ちに向き合ったわ。あんたはどうするのよ」
亜美はみのりにむけて諭すように言った。
この2人は自分なんかよりもずっと近い距離で大河と竜児を見ていたのだ。そしてお互いのことも。
お互いの気持ちに気付いていないはずがない。
「どうするもこうするもないよ、私はただ」
「今朝あいつと話してきたんだってね、そこで分からなかったの?
今でもずっと悲しそうな顔してる。そんな顔にさせたのはあんたなんだよ。」
亜美のこの言葉にみのりははっとなる。
確かに大河は昼休みまで竜児がずっとご機嫌取りをしていたのにどこか元気がなかった。
「あたしがしたかったのはこういうことじゃないんだけどな
違うんだけどな。ちょっと、頭冷やさなきゃいけないみたいだね」
「高須君のことはどうするの?」
「ちゃんと自分でけじめつけるから心配しないでいいよ。ごめん。
勝手だけど少し一人で考えさせて」
そう言ってみのりは歩いて行った。
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25です。
結構色々強引なんですが、そうしようと思った理由なんかは本編が終わって後日談を書く前に一回はさもうと思いますので、
そちらでよろしくお願いします。