No.486741

リテラエルネルア「第六話」

今回から暁の一人称視点が増えてきます。ハーメルンにも投稿しています。

2012-09-21 08:02:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1168   閲覧ユーザー数:1148

 俺達はいまヘリに乗り込み仕事先へと向かっていた。

 

 「警備の仕事、か?」

 

 仕事の内容はとある場所の警備。

 

 「そや、ホテルアグスタにて骨董品のオークションが行われるんやけど中にはロスト・ロギアがはいってんのや。 そこでウチらの次の任務はその貴重なロスト・ロギアの護衛と参加者の安全の確保や」

 

 「おい待て、ロスト・ロギアってのは危険な奴でそれを回収するのがここの仕事じゃなかったのか?」

 たしかこの六課の方針はロスト・ロギアの回収、及び管理だと聞いていた。

 「そうなんやけど、中には取引可能なロスト・ロギアがあるんや。もちろん管理局の許可があってな」

 矛盾している…。 それが例え害意がない物だとしてもオーバーテクノロジーだ。 解明も出来ない代物を何故取引許可出来るだろうか。

 「それにな一連のガジェットドローンの生産者がわかったんや」

 モニターには男性が映し出された。

 「ジェイル・スカリエッティ、生体関係の違法研究で指名手配されているの」

 説明を引き継いだフェイトが話すが、こいつの経歴を見るに高学歴と申し分ないらしい。 いかにも天才と言えるな。 この憎たらしい顔がなければな。

 「コイツがあのガジェットの生みの親?」

 「はい」

 レリックというロスト・ロギアを狙うガジェットドローン、その生みの親となるこのスカリエッティとは少なからず因縁はあるということか。

 

 しかし、あれだな。

 「話しは代わるが八神」

 「なんや?」

 「この制服、誰のだ? 俺にあうサイズなんて都合よくあるのか?」

 昨夜、着替えに困っていた時に八神から「ずっと同じ服というのもキツイやろし、ここの服に着替えたらええよ」と渡されたのが機動六課の茶色の制服だった。

 

 「一通りのサイズは在庫あるってきいてたしな。 それに男性のは女性のより多いんや」

 

 「なるほどねぇ」

 

 「でもよく似合ってますよ」

 

 「きゅ?♪」

 

 高町から褒めの言葉がでたので素直に受けとっておく、ついでに定位置になりつつある頭の上のフリードも同意見だろう。 …なんとなくわかる。 外をみると都市が見えてきた、もうすぐ到着か。

 

 八神、高町、フェイトの三人はホテル内の警備。 フォワード陣とヴィータは周辺の警備、俺はどちらでもと言うことだがとりあえず中を見てからにすることにした。 ヴィータは俺に対し、よく思ってないらしく睨んでいたが敢えて気にしない。

 

 

 

 

 「あの、ちょっと良いですか?」

 「ん?」

 ホテルのロビーにて三人を待っている声をかけられた。

 その方向を見ると黄土色の長髪、首のところで一本にまとめ眼鏡をかけた奴と緑の長髪で細目軽そうな感じの奴が居た。

 「なにか?」

 「違ってたらゴメンね、君神崎くん?」

 「そうだが」

 「君がなのはの言ってた民間協力者だね」

 なのは? あぁ高町の知り合いか。

 「僕はユーノ・スクライア、本局で無限書庫の司書長をしているんだ。 そして彼が」

 「ヴェロッサ・アコース、査察官さ」

 「んじゃ俺も、知っているだろうが一応な。 神崎 暁、悪魔関連で古代遺失物管理部機動六課の民間協力をしている」

 にしてもこのヴェロッサとか言う男、査察官だ? ホストの間違いじゃないのか?

 「その顔見ればどう思ってるのかわかるよ、こんなナリだけどちゃんとした査察官だよ」

 どうやら俺以外にも同じ感想を持った奴が居たようだな。

 「ユーノ・スクライアって言ったか、無限書庫ってのはなんだ?」

 「ユーノでいいよ、無限書庫っていうのは簡単にいえばあらゆる分野の色んな資料がある資料館ってとこかな」

 資料館か…聞いてみるか。

 「なぁ悪魔関連でその無限書庫で調べ物したいんだが、今度行ってみていいか?」

 「是非、構わないよ」

 「悪魔ってのはアンノウンの事かな」

 「あぁ高町から聞いているようなら知ってると思うが俺は悪魔狩人だからな、それにちょっと気になる事もあるからな」

 「気になる事? それは一体―――」

 ヴェロッサが問い質そうとするがそれは阻まれる形となった。

 「お待たせ~」

 「っと来た様だな」

 パーティードレスに着替えた三人が戻ってきた、やはりパーティードレスの肌の露出度が高いのは世界共通か。

 「あれ? ロッサやん?」

 「ユーノ君!?」

 さて俺も仕事するために抜け出すとするかっと。

 「へぇ、よく似合うな。 馬子にも衣装とは……よく言わないから青筋だすな」

 

 元の世界にいた時も身内に同じような事を口走ってしまったからな、あの時の地獄は魔界より酷い経験したな……。

 

 「…これは少し教育的指導が必要みたいだねなのは」

 

 「奇遇やなフェイトちゃん、ウチも同じ事を考えとったわ」

 

 「少し、お話しようか。 神崎さん?」

 

 「悪いがそんな実力を行使したお話は熾烈に激烈に猛烈に申し上げる」

 

 このとおり効果覿面だった…。

 

 「よし、夜叉がこれだけ居れば中は大丈夫なようだから外の様子を見てこよう」

 

 このままでは虎に狩られる兎の図になるからな。 出口まで全力で走る!!

 

 「あ、逃げた!!」

 

 後ろでなんか言ってるが無視だ。なんとなく……いや、絶対に修羅が居るからな。

 

 

 

 

 それから数時間後予定通りオークションは執り行われていたが、ガジェットドローンが突如襲撃してきた。

 

 「わるい、遅くなった」

 「神崎さん!?」

 

 オークション開始直前になってまたホテル内の見回りをしていたから合流に遅れてしまった。

 

 ティアナの横を駆け抜けながら双銃を出しガジェットⅠ型目掛け跳躍、ドロップキックをかます。 蹴飛ばした後体勢を直し、魔力弾を数発撃ち込む。

 

 障壁が展開されていた様だが関係なく撃ち貫いた。 よし出力は安定しているな。

 

 「?」

 ふと後方から魔力を感じたのでそちらを見た。

 

 「シュゥゥゥーートッ!!」

 

 「ティアナ?」

 

 視線の先、ガジェットで見えないがその先からティアナの声がした。

 

 魔力量からして強烈な一撃でも放つところか、まぁ良いけどさ…。

 

 「味方まで巻き込む気かよ……」

 

 射線上には俺とスバルがいるのを見落としてないか?

 

 スバルは気づいてなさそうだし…。

 

 「くっそぉおおおおッ!!」

 

 何処からかヴィータの声が聞こえるがスバルの方が優先だ。

 

 「え?」

 

 「ったく、しかたねぇ、な!!」

 

 スバルの前にでて迫り来る魔力弾に対し身構える。 俺は防御に関しては自信がない、だから――。

 

 「『エアリアル』!!」

 魔法陣の足場を作り魔力を込めた拳で『相殺』する。

 

 パァンッ――

 

 衝撃により俺とスバルは煙に包まれる。

 

 「――げほッ、くそ…むせる」

 

 「か、神崎さん!? 大丈夫ですか!?」

 

 背後からスバルが声をかけてくる、大丈夫じゃないならやらんぞ。

 それにしても今裏口のほうから魔力を感じたが…。

 

 「お前、……なんで?」

 

 そんなことを思っていると飛んできたヴィータが信じられないような表情でこちらを見ている。

 

 「心外だな、『仲間』なら当然だろ」

 

 「あ……、あぁ…」

 

 ティアナは体を震わせながらこちらを見ている。 だが…。

 

 「神崎さん、何を!?」

 ルドラの銃口をティアナに向け魔力を溜める。

 

 「テメ!?」

 

 ヴィータが止めに入ろうとするが残念、俺の方が早い。

 

 引き金を引くと翠の魔力弾が幾つも形成されティアナに向かう。

 

 「まだガジェットが残っているんだ」

 

 標的は背後からティアナを襲おうとしていたガジェットだ。

 

 自分の重大な過ちに気づき呆然としていた為に背後には気付かなかったようだ。

 それよりもあの魔力反応、気になるな。

 「シャマル、裏口の警備はどうなってる?」

 『民間の警備隊と現地の局員が行っていますが…それがなにか?』

 通信機能を使い警備状況の確認をする。 どうやら警備は薄そうだ。

 「今しがた魔力反応を裏口から感知した、ガジェットではなさそうだから気になってな」

 『そうなんですか? こちらからは何も反応ありませんでしたが』

 「一瞬だったからな。 確認だけでも行こうかと思う」

 何も無ければそれに越したことはない。

 「勝手に戦線から外れるんじゃねぇよ! お前は協力者だろうが!!」

 

 するとそれを聞いていたヴィータが食ってかかってきた。

 「確かに俺は協力者だ。 しかしある程度の行動の自由は保障されているはずだが?」

 

 「ぐ…!」

 

 そこまで言うとヴィータは押し黙ってしまったが仕方ない。

 『わかりました、では確認の方をよろしくお願いします』

 「了解した。 というわけだ、ティアナ!」

 「ッ!?」

 「いつまでそうやっている、行動でミスをしたなら行動で帳消しにしてみろ!!」

 ティアナに喝をいれ俺は裏口に向かう。

 

 

 「―――やはりか」

 裏口に着くと警備員の人間が二人倒れていた。

 どうやら気絶されただけのようだな。

 「シャマル、裏口から何者かが侵入した形跡あり。 意識不明が二名、医療班への救急を要請」

 『まさかホントに……!? わかりました本部に要請します』

 奥を見ると扉が開いていてその奥から先ほど感じた魔力が感じ取れる。

 「続いて調査に入る、戦闘になる可能性高いから緊急以外の通信を遮断する」

 『わかりました、お気をつけて――』

 報告を終え臨戦体勢に移行し調査を開始する。

 一人……いや二人か?

 なんだ?気配は二つだが一つは人間ではなさそうだが…。

 『接続―リンク―』を使うことも考えとくか。……バレなきゃいいよな。

 扉の向こうを覗くと通路があり、数人の局員が倒れていた。

 首筋に指を当てると脈があるから入口と同じく気絶されてる様だ。

 的確に気絶出来ることから相当な使い手だな。

 迷彩魔術を使い、素早く奥に向かう。

 「居た」

 だだっ広い部屋に出ると黒いのと青いタイツを着た女性が何かを抱えていた。

 「何してんだ?」

 「「!?」」

 迷彩魔術を解きアグニを二人に向け口を開く。

 「……神崎 暁ッ!!」

 黒いのと青タイツを着た女性がこちらを見た。 青タイツを着た女性が何故俺の名前を知ってるのかと疑問に思ったが、それ以上に気になったのが黒い方だ。

 仮面ライダーにしか見えんが…。

 「ガリュー、ここは私に任せろ。 君は少女のところに戻れ」

 ガリューと呼ばれた仮面ライダーもどきは頷くと粒子に包まれ抱えた荷物と共に消えた。 転移か?

 「さて、ここで何してたのか話してもらおうか?」

 「まさか君が出て来るとはね……」

 並行世界の住人である俺の事を知っていることはないはずだが?

 「俺の事を知っているようだが何故だ? 先ほどの質問を答える前にこの質問に答えてもらおうか」

 するとナイフを構え女性は地を蹴り間合いを詰めてきた。

 俺はアグニで牽制射撃を行うもサイドステップしながら交わされる。

 「チッ!」

 結構素早いな、スバルと同程度か?

 「ハァアアッ!!」

 アグニとルドラに魔力を通し、ダガー状の魔力刃を形成すると交差させナイフを受け止める。

 どうやら向こうも魔力を付加させているのかスパークが起こる。

 「お前は何者だ?」

 「私はトレディ…、君の存在に心奪われた者だ!!」

 ハムゥーー!?

 まさかの上級大尉かよ!!

 「君の圧倒的な強さに私は心を奪われた」

 こ、これは……まさか!?

 「この気持ち―――まさしく愛だ!!」

 「何言ってんだコルァ!!」

 「キャア!?」

 神崎家門外不出奥義

 瞬 速 踵 落 と し !!

 「なにお前何になりきってやがる!!」

 あの名台詞をなに言ってんの!!

 「なにをする青年!!」

 「なにをするじゃねぇだろ!! この際さっきの質問はどうでもいい(よくはないけど)。 なんでその台詞をどこで覚えた!!」

 「プレジデント…まぁ姉君達はドクターと読んでいるが、そのドクターから君の事を教えられてね。 そんなのことはどうでもいい――」

 オーケーオーケー…元凶はそのドクターって奴ね。

 しかしガジェットの襲撃に合わせたタイミング…ガジェット=スカリエッティの仕業と考えるとコイツ等も繋がっている可能性も無いとは言えない。

 けどなぁ…

 「――そうとももはや愛を超え、尊敬も超越し運命となった!!」

 これだ……。 人がまともに考えてる時にこの娘暴走してるんだもん…所々台詞が惜しいし。

 ドクターとやらこの娘、どうにかしてくれ…。

 『トレディ』

 願いが通じたのか彼女の前に通信ウィンドウが展開される。

 「さすれば…む、水入りか?」

 『水入りか?ではないでしょ、貴方何してるの。 任務は終わったのだから早く戻ってきなさい』

 「むむ…ようやく敬愛する者と巡り会えたというのに。 口惜しさは残るが私とて人の子、上の決定には従わねばならん」

 おい、早く帰って来いって言われてるんだからはよ行けよ。

 「敢えて言うぞ青年、覚えておくがい『トレディッ!!』わかりましたァ!!」

 ほら怒られた。

 彼女は慌てながらも転移を行いこの場から消えて行った。

 別に止めても良かったがリスクが高すぎる。

 精神面でな……。

 そんなことを思っていると入口の方から複数の人間の気配を感じた。

 さてどう説明するか…そう思うと顔に手を当てた。

 

 

 

 

 あのあと奇しくも説明できた俺は六課のメンバーと合流し帰還した。 どうやらオークションも終了し参加者やロスト・ロギアも奪われたのが一つだけということなので今回の任務は成功とも失敗とも言えないところだ。

 

 ただ特筆すべき問題もでた、先ほどのティアナのミスショットの件だ。

 酷く落ち込んだ様子のティアナ、外で一人で地面に座っていたが一人にしておいた方が良いだろうと判断しそっとしておいたと同時に嫌な予感が過ぎる。

 出来れば気のせいであって欲しかったがそれは裏切られた……数日後のトレーニングにてそれは起こった。

 

 

 

 

 スターズとライトニングでわかれ模擬戦をしている時だった。

 「神崎さん」

 「フェイト、どうした?」

 ヴィータ、ライトニング二人と観戦していたらフェイトがやって来た。

 「今日の模擬戦代わろうかと思ったんだけどなのはに断られちゃって」

 「たしかに最近のアイツの訓練密度は高いからな…すこし休ませないとな」

 教導隊の訓練やここでの訓練……たしかに密度が高い。フェイトの話だと夜遅くまでフォワード陣の訓練の映像記録を見ていたと言っていた。

 だが、なぜ高町は訓練の意味を伝えない?

 それゆえにティアナは不安し自分に劣等感を抱くことになるのだ、『自分は凡人だから』とスバルからティアナがそのようなことを呟いていたと聞いた。 そのことを聞いたら以前の強くなることへの執着が理解できた。そう思うと段々と苛立ってきた。

 「ティアナや高町は何を考えているんだ」

 「何をいってるんだお前」

 先日以来俺に対して接しかたが少し柔らかくなったヴィータが訝しげに聞いた。

 「ティアナは強くなりたい一心で俺に教えてほしいと言ってきた。 だが高町の訓練は意味あるもののティアナにはその意味が届いてなかった……だからアグスタの時にあんな無茶をしたんだ」

 「アイツ、お前にそんなことを頼んでたのか」

 「ティアナさん……」

 隣にいたエリオとキャロが心配そうに彼女を見ていた。

 「大事にならなきゃいいが……」

 そう呟くがやはりその期待は裏切られた。

 無茶な戦略を立て危険を省みない行動をとったティアナとスバルに対してついに高町がキレた。

 「…どうしちゃったのかな?」

 レイジングハートを待機状態にして二人の挟撃を受け止める高町、ティアナのダガーを素手で止めたせいか血が滴る。 その事態に理解したティアナは悲痛な表情で下がり積もった不安を打ち明ける。が――

 「頑張ってるのはわかるよ?」

 魔力が増大している?

 「神崎さん?」

 「けどね、模擬戦は喧嘩じゃ無いんだよ?」

 ……あの眼は正気じゃない!!

 「少し…頭冷やそうか」

 「《サーキット》!! 《エアリアル》!!」

 肉体強化をかけ、魔法陣の足場を作り二人の間に急ぐ。

 お互いに魔力を溜め、放とうとしている。 ちッ、間に合うか!?

 「起きろ、《クラウ・ソラス》!!」

 【了解】

 胸元のペンダントを取り相棒を起こす。

 音声がでた後、十字架を模したペンダントが光を放つと身の丈程の大剣に変わった。

 

 見かけは機械仕掛けの大剣といったところだ。

 「オラァア!!」

 なんとか二人の間に入り、高町がティアナに放った魔力砲を断ち切った。

 「か、神崎さ…ウッ!?」

 俺はティアナの鳩尾に一発入れ気絶させる。 ぐったりするティアナが落下しない様に片腕で支える。

 「邪魔しないで欲しいな、神崎さん」

 高町の言葉を無視し、ティアナを医務室に行かせるためにスバルにまかせよう。

 「スバル、コイツを医務室に運んでくれ」

 「は、ハイ!!」

 やって来たスバルにティアナを渡し俺は高町と向かい会う。

 「お前、ティアナを撃墜しようとしたな?」

 確かに危険な行為をしたのはマズイ。だがそれ以上に高町がティアナを墜とそうした行為もマズイ。

 「なぜだ?」

 「……どういうことかな?」

 どうやら話が通じてないらしくそれが俺の苛立ちを加速させた。

 「ちッ、いちいち言わなきゃならねぇのか? はっきり言うぞ『テメェも頭冷やせ』」

 クラウ・ソラスの切っ先を高町に向けて言い放った。

 「……酷いこと言うね神崎さん、でもそういうあなたも頭冷やそうか」

 そういった高町はレイジングハートを出し球体状の魔力を形成し自身の周囲に展開した。

 「自由の利かない空中でわたしと戦えるの?」

 「……調子に乗るなよ小娘」

 「ッ!?」

 相当頭に来ているなと自分でも思う様な口調だ。

 「『足場がない』? は、相手が空戦できない、自分が空戦出来るからって絶対的なアドバンテージがあると思うな、自惚れると足元掬われるぞ」

 「へぇそう、なら是非ともそうさせてほしいな」

 そういった高町は球体を操り俺に攻撃して来た。 俺はそれらを全てきりおとす。

 「クラウ・ソラス、スタンモードに移行。 物理ダメージ最小限、魔力ダメージ優先」

 詳細設定をして極力怪我しないようにする。

 【スタンモード……移行完了】

 設定完了の音声を受け俺は高町に切り掛かる。

 「はぁあ!!」

 「レイジングハート」

 【Yes my master.】

 高町がレイジングハートに命令を出すと桜色の魔法陣が現れる高町を護るように展開した。 だが――

 「!?」

 「吹っ……飛べぇえ!!」

 その防御ごと飛ばし、高町はビルに突っ込んだ。

 埃と塵を巻き上げる先を見据え俺は別のビルの屋上に着地した。

 「あのなのはをガードごとすっ飛ばしたのかあいつは!?」

 離れた場所からヴィータの声が聞こえた。

 【魔力反応健在】

 「流石に気絶はしないだろ。 もしもの時は一次解放するぞ」

 【……いいの?】

 「空中戦するならその方が良い。 悪魔化にはならんようにするし」

 あの姿になるのは、なるべく避けたいからな。

 

 「まぁ一気に決めるときの奇襲に使うか」

 

 出来るなら一次解放する前に気絶できればいいんだが、まぁ無理だろうな。

 【魔力反応増大】

 ほらな?

 「……なんかさ、やな予感するんだが」

 たしか聞いた話しじゃ高町って砲撃が得意とかだったような……

 「やっべ!!」

 危険を感じすぐさまそのビルから移動するため跳んだ。

 すると高町が突っ込んだビルから魔力の砲撃が俺が今いたビルの屋上を削った。

 ルドラを取り出し、数発撃ち放つ。

 砂煙に隠れている中で乾いた音がしたので防がれたんだなと思う。

 

 遠距離なら向こうの方が上手か、なら突っ込むしかないな。

 「《エアリアル》!!」

 魔法陣を出してその上に乗り高町に向かって飛ぶ。

 ビルから高町の魔力の塊が無数に飛んできた。

 「ちッ!!」

 身を捩り、避けきれない物は切り伏せた。 そのため速度を落とされやむなく《エアリアル》を出して上に着地した。

 「凄いね神崎さん、リミッターが掛かってるとはいえ結構本気なんだよ?」

 ビルから出てきた高町が足に同じ魔力光の羽根を出して浮かんでいた。

 「なら本気でこいよ、じゃないと今度は俺がいただくぞ」

 見上げる構図ででかい一撃を要求するように挑発する。 今回はいただくというのは嘘ではない、事実勝機は有るしあいつは俺が空戦出来ないと思ってる。

 「……それじゃ遠慮なく。 レイジングハート」

 【All right my master.】

 レイジングハートが光を放ち、収まると形状が変わり先端が槍のような形になった。

 「まさかなのはのやつスターライトブレイカーをぶっ放すつもりか!?」

 「なのは!?」

 「たしか神崎さんってバリアジャケット無いんですよね!? まともに喰らったらただじゃ済みませんよ!?」

 「神崎さん!!」

 上からヴィータ、フェイト、エリオ、キャロ。

 そこまで驚いているなら相当な一撃が来るのだろう。

 「一次解放するぞ、モード変更ランス」

 【了解】

 クラウ・ソラスが大剣から槍へと形状を変えると俺は眼をつむる。

 「スターライト……」

 「一次解放、リテラエルネルア(躍動の力)………」

 身に収めた力の一部を解放するために枷を外す。

 「ブレイカァアアーー!!」

 「―――トリガー!!」

 枷を外した直後、高町が放った桜色の魔力の奔流が俺を飲み込んだ。

 

 

 


 
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