「問おう、君が私のマスターか?」
そう聞いてきた白い仮面のサーヴァントは決して屈強というわけではなく、平均的な男性程
度の背格好であったがその身にまとう雰囲気はまさに歴戦の勇士と呼ぶに差支えないほどの圧
倒的な存在感を漂わせていた。しかし、その圧倒的な存在感を軽く流せてしまうほどに大きな
驚きを衛は彼に抱いていた。
(このサーヴァント、まさか・・・いや、間違いなくあの英雄だ・・・!)
「ああ、俺がお前を召喚したマスターで間違いない。」
そう答えると仮面のサーヴァントは仮面の奥に光る優しげな、それでいて確固たる強い意志
を秘めたその瞳でマスターを一瞥した。
「ふむ、マスターとしての実力は申し分ないようだな。まぁ経験は足りないようだがそれは追
々どうにかしてもらうとしよう。」
どうにかサーヴァントから認めてもらったところで衛はサーヴァントに対して最も聞きたか
った疑問を口にする。
「なぁ、お前の真名って“ハクオロ”か?」
「っ・・・!なぜ君が私の真名を知っている・・・!?」
真名を言い当てるとサーヴァントは目に見えて狼狽する。
確かに真名を言い当てられるというのは驚愕に値すべきことであろう。しかし、目の前の
サーヴァントの驚愕の仕方はただ単に真名を言い当てられただけの驚愕とは一線を画していた。
まるで“知り得ることのないことを知っている”ものに対して畏れるかのように・・・
「まぁ、驚くのも当然だわな。“知ってるはずのない未来の英雄”の真名を当てたんだからなー」
しかし、言い当てた当の本人というとサーヴァントの心情を知ってか知らずか余裕の表情
を崩さない。
「なぜ君は私の真名だけでなく未来の英雄だと知っているんだ?」
そう質問したサーヴァントからはわずかだが強烈な殺気が漏れ出していた。
「っと・・・!そんなにピリピリしないでくれ、しっかり説明はするから!」
(この様子だと誤魔化し切れないな・・・まぁ、命を預けるサーヴァントに隠し事してもしゃ
ーない、正直に話そう。)
「実はな・・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「まさか私のマスターが異世界の人間だったとは驚いたな。しかも異世界では私たちのことが
物語として語り継がれているとはな。」
そうしてサーヴァントに包み隠さずすべてを教え、何とか事なきを得たのであった。
「でもよくそんな突拍子の無い話を信じられたな。俺だったらますます疑うぞ?」
「ふっ、私もかなり不思議な体験というものをしているのでね、今更この程度じゃ驚きはしな
いさ。」
「流石は一国の皇ということか。遅くなったが自己紹介といこう。俺の名前は福居衛|《ふくいまさる》だ
衛って呼んでくれ。」
「わかった。では衛、私のことはキャスターと呼んでくれ。」
「あ、やっぱりキャスターなのか。」
「ああ、ライダーの適性も一応はあるが今回はキャスターとして現界した。」
「よし、これからよろしくな!」
「ああ、ともに聖杯戦争を勝ち抜けよう。」
こうして二人の聖杯戦争は幕を開けたのであった・・・・
Tweet |
|
|
3
|
0
|
追加するフォルダを選択
やっと更新できました。夏コミ後にもいろいろとあって更新が遅れてしまいました。申し訳ありません。