No.485735

咲-saki-月宮編 第9局 幕開け

白昼夢さん

---月宮高校麻雀部での城山華南と麻雀部の仲間達の紆余曲折ありながらもインターハイ優勝を目指していく、もうひとつの美少女麻雀物語---

2012-09-18 19:37:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:488   閲覧ユーザー数:482

ついに地区大会開始です、ここから麻雀描写が増えてくると思います。

 

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『あ、これが一応ルール概要みたいなやつねー、とりあえずみんな目を通しておいてねー』

『『はーい』』

大会の会場へ向かうバスの中、羽衣はみんなに全国高校麻雀大会・団体戦ルール概要、と書かれた冊子を配っていた。

全員が一通りそれに目を通す。

 

全国高校麻雀大会・団体戦ルール概要

 

出場校は代表5人、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将をそれぞれ定め、予め申請し、左記の順序で対局を行う。

 

上記の順番、及び選手は申請後、大会終了まで変更は一切できない。

 

東南戦アリアリルール、赤ドラ3枚、ダブル役満はなし。大明槓の責任払い有り。

 

各選手2半荘、1試合10半荘執り行う。

 

持ち点100000点、得点は次の選手に持ち越し、大将戦終了時の各校の点数により、勝敗を決定する。

 

大将戦終了前にいずれかの選手が0点未満になった場合、その時点での各校の点数により勝敗を決定する。

 

等々…。

 

第9局 幕開け

 

『吾野と越谷女子とは決勝まで当たらないかあ、まあ良かったと言えばよかったのかな?』

『どうせ早いか遅いかの違いですよ、相手が誰であろうと私達はやれることをやるだけ』

『んーそれもそうだねー』

『なんだか緊張してきちゃいましたぁ…』

会場に到着し、トーナメント表を確認している4人、この場に居ない羽衣は大会の団体戦の受付に出場選手の申請などを行っている最中だ。

吾野は前年度インターハイ出場校、越谷女子もインターハイ出場回数の多い名門校だ。

ちなみに華南達、月宮女子はAブロック、吾野はCブロック、越谷女子はDブロックとなっていた。

 

あ、吾野高校だー!

その場にいた誰かがそんな声をあげる、視線は会場の入り口に集まる。

吾野(あがの)高校、昨年度は名門越谷女子を下し、インターハイ出場を決めた。今年は高校麻雀連盟会長、有栖川の娘が入学し、1年でレギュラーになったことで一層話題になっている高校だ。

マスコミもそんな話題性のある高校を放っておかない、あっというまにマスコミと野次馬で人だかりが出来てしまった。

『有栖川選手!意気込みの方はー!』

『あ、鮫島選手!ちょっとこっちに視線くださーい』

『チームの今年の目標をお聞かせ願えますかっ!』

『一言!一言お願いしまーす!』

質問攻めである。そんなような声が聞こえてくるが実際よく聞こえない。

『うわあー…すっごいですねえー』

『まあ、埼玉のインターハイ出場校の最有力候補みたいだからなあ』

『あたし去年の地区大会のDVD見たけど、吾野は頭一つ抜けてたよ、今年入った有栖川も中学では結構な成績を残してるらしいしー』

『決勝まで行ったら、確実にぶつかることになるだろうなぁ』

そうこう話してる内に、羽衣が戻ってきた

『申請だしてきたわよー、あら、あれ吾野の選手達?』

『そうみたいですね』

『そっかあー、あ、あの有栖川って呼ばれてる子可愛くないっ?』

ほらほらーと指を指す羽衣、自由である。

『はぁ…試合前から疲れさせないで下さい、申請も終わったことだし待合室に行きますよ』

『あらー華南ちゃん妬いてるのー可愛いー、心配しないでっ、私は華南ちゃん一筋よっ!』

『妬く理由がありません、というか部長、ふざけてないで早く行きましょう』

『ちぇー、華南ちゃんのいけずー』

それ以上華南は突っ込まず、5人は待合室に向かった。

 

『うちはAブロック第一試合だから、もうすぐ始まるな、りりあ、ルール確認とかはもう大丈夫?』

『だいじょーぶだってー、あーなんかちょっと緊張してきたあー』

『いつもどおりやれば大丈夫ですよ、りりあ先輩』

『ですですっ』

今更ながら、対局順を確認する。

 

先鋒・綺羅星りりあ

次鋒・棗あかり

中堅・折原泉

副将・高天原羽衣

大将・城山華南

 

りりあは先鋒だ、月宮女子はAブロック第一試合であるから、地区大会最初の試合の最初の対局に出ることとなる。

 

---それでは、Aブロック第一試合、先鋒戦を開始いたします、出場各校の先鋒の選手は30分以内に対局室までお越しください。

そんなアナウンスが聞こえる、いよいよ幕開けだ。

『じゃあ、ちょっと早いけど行こうかなっ!』

『うん、いってらっしゃいな』

『かっとばしていけよー!』

『ファイトですっ、綺羅星先輩っ!』

『先輩なら大丈夫です、頑張ってください』

力強い足取りで、りりあは待合室を後にする。

 

 

…。

 

…。

 

『ロン!18000!』

 

『ツモ!8000オールの一本場は8100オール!』

 

そんなりりあの声がしきりにこだまする。

 

(また槓子が新ドラかよー)

(なんなのこいつ~~~!)

(親で満貫以上確定って、勝負にいけないじゃないー!)

他校の選手もこの不条理に心の中で叫ぶしかなかった。

 

試合前の心配は杞憂だったようで、りりあは圧倒的な実力を見せ付けていた。

結局第一試合先鋒戦は、月宮高校は2着の若葉台と10万点以上の差をつけ、211600点で終局した。

 

『ナイス!りりあ!上出来すぎる!』

『綺羅星先輩!すごすぎます!』

『対戦相手が不憫になるほどねえーうふふ』

『お疲れ様です、素晴らしい内容でした』

『ふっふーん、歌って踊れて麻雀も出来るアイドルの本領発揮ねっ!』

対局を終えて戻ってきたりりあを4人が出迎える、内容が内容だっただけに全員の表情は明るい。

『さて、じゃあ私いってきますねっ!』

『おーう、まあこの点差だし大丈夫だと思うけど、ウォームアップも兼ねてきっちり打って来いよー』

『いってらっしゃーい』

あかりも無難な打ち筋で場を進めていく、高打点の和了りはないものの、仕掛けてからの和了速度で他校を圧倒していった。

リードを維持したまま泉へバトンを渡す。

『ふぅー終わりましたぁー』

『うん、おつかれー、きっちりプラスで終えてきたね、合格合格』

『2回目のオーラスの親倍をきっちり安手で流してたしなあー、上出来だよ』

『さて、次は私だな、行ってくる!』

『うん、いってらっしゃい、泉姉』

『ふぁいとー!いずみん、この調子でどっかトバしちゃえー!』

 

2着の若葉台が、泉への当たり牌を切ってきた。

(スルーだな)

打点は12000ある、しかし泉は和了らない、そのまま泉はツモり、ツモってきた牌をそのまま河へ捨てる。

(親はダマでテンパイ気配、この点数で振り込むわけにはいかない、これは今通ったし、月宮はツモ切りだった、手変わりしてないはずだからいけるはず!)

持ち点9300点、ラストの新東が一巡前に若葉台の通した牌を打ち出す。

『ロンだ、12000の一本、12300』

『は、はいぃぃ…』

 

『試合終了だあぁぁぁ!月宮女子!折原泉!先鋒綺羅星の大量リードを維持し、新東をトバし、副将に回すことなく2回戦出場を決定しましたー!』

解説の松浦が大げさにそう言った。

『原村プロ、今回2回戦出場を決めた月宮女子、初出場高校なのですが、実力の程はどう見ましょうか?』

松浦は隣に座る桃色ツインテールの美人プロ雀士、そして今日のゲスト解説の原村和にそう話題を振る。

『折原選手、若葉台を見逃して、山越しに新東への直撃を狙う、見事な打ち筋でした、対局通して見ても安定した打ち筋を見せてます、あと、先鋒の綺羅星選手、凄まじい火力で他校を圧倒していました、次戦以降はマークされてしまうかもしれませんね。しかし県予選突破には十分期待が持てるでしょう』

となりに座って和は簡単に感想を述べた。

(月宮女子の綺羅星さん、確かに強かったけど…かにゃんさん、あの人ほどの異常さを感じられなかった)

『はいっ、ありがとうございます!それでは30分のインターバルを持ちましてBブロック第一試合を…』

 

その後も月宮女子は快調に駒を進めていき、あっという間に決勝進出を決めたのだった。

特にりりあの活躍は目を見張り、先鋒で大量リードを作り、結果すべての試合が副将に回る前に決着がついてしまった。

 

『結局今日は1回も打ってないですわー、まあみんなが頑張ってくれた証ねっ』

『綺羅星先輩のおかげで安心して打てました、ありがとうございますっ』

『だなー始まる前から10万点以上差があるとさすがに楽だよ』

今日の感想を言い合う、結局羽衣と華南は今日一度も対局を行わなかった。

『…えーっと、男子の試合や会場の都合で決勝戦は3日後になるんでしたよね?』

『そうよー、とりあえず今日は快勝だったし、私の奢りでどこかいきましょうかー』

『さんせーさんせー!さっすがぶちょー!』

『わーいっ、部長!ありがとうございますっ』

『マジで!部長太っ腹!』

『お気遣いありがとうございます、折角なのでお言葉に甘えさせてもらいますね』

『いいのよ華南ちゃん!代わりといっては何だけど、私が華南ちゃんを食べさせて…』

『自重しなさい』

華南が言う前に釘を指す泉、それをみて嘆息する華南、その様子をみて笑う4人…。

この時はまだ誰も知らなかった。この後予想だにしない事態が待ち受けていることを…。


 
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