No.484012

IS-インフィニット・ストラトス ネクサス 告白と宣言ーConfession and declaration ー

ザルバさん

過去を思い出していたラウラ。目が覚めるとそこには千冬がいた。

2012-09-15 00:37:46 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3709   閲覧ユーザー数:3556

「ひとつ忠告しておくぞ。あいつに会うことがあれば、心を強く持て。あれは未熟者のくせにどうしてか、妙に女を刺激する。油断しているとほれてしまうぞ?」

「教官もほれているのですか?」

「姉が弟にほれるものか、馬鹿者め。」

 そう言ってる教官の顔は笑っていた。今ならわかる。あれは・・・・ヤキモチだったのだと。

 そして・・・出会ってわかった。戦って、理解した。強さとは何なのかと・・・

 お前は・・・・強いな・・・

『いいや、俺は強くない。でも・・・・』

 ?でも・・・なんだ・・・

『もし強いとしたらそれは・・・誰かを守れるからかな・・・』

 その言葉を聞いて私は理解した。あいつの・・・強さを・・・

 

 保健室のベッド。ラウラは目を覚ました。

「う、ぁ・・・・」

「気が付いたか!」

 側には千冬がいた。

「私・・・・は・・・」

「全身に無理な負荷がかかったことで筋肉疲労と打撲がある。しばらくは動けないだろう。無理をするな。」

「何が・・・・・起きたのですか?」

「一応重要案件である上に機密事項なのだがな。VTシステムを知ってるか?」

「えっ!」

「?どうかしたか?」

「あいつが・・・言ってたんです。これはVTシステムによるものだろう、と。」

「!あいつ・・・だからあの時あんな言葉を口にしたのか。」

「違っていましたか?」

「いいや、そのとおりだ。正式名はヴァルキリー・トレース・システム。過去のモンド・グロッソの部門受賞者の動きをトレースするシステムだ。だが、IS条約で現在どの国家・組織・企業においても研究・開発・使用のすべてが禁止されている。お前のISには巧妙に隠されていた。操縦者の精神状態、機体の蓄積ダメージ、そして何より操縦者の意思・・いや、願望か。近く、委員会から強制調査が入るだろう。」

「私が・・・・・・望んだからですね。」

「ラウラ・ボーデヴィッヒ。」

「は、はい!」

「お前は誰だ。」

「わ、私・・・・・私は・・・」

「誰でもないなら、ちょうどいい。お前はこれからラウラ・ボーデヴィッヒになるがいい。何、時間は山のようにあるぞ。何せ三年間はこの学園に在籍しなければならないからな。その後も、まあ死ぬまでの時間はある。」

「あ・・・・・・・」

 そう言って千冬は扉を開けようとするがピタリと動きを止める。

「ああ、それから・・」

「?」

「お前は私にはなれないぞ。アイツの姉は、こう見えて心労がたえないからな。」

 そう言って千冬は部屋を出て行った。

「ふ、ふふ・・・ははっ。」

 なんとずるい姉弟だろう。二人揃って言いたいことだけ言って逃げ切った。

 

 保健室から離れた人気のない廊下。千冬は電話に出た。

「山田先生か。」

『織斑先生、ボーデヴィッヒさんの容態はどうでしたか?』

「ああ、見た限り大丈夫であった。」

『そうですか。それはよかったです。それにしても織斑君すごかったですね。』

「・・・ああ。」

『どうかしましたか?』

「実はな・・・・・アイツはVTシステムに気が付いていたそうだ。」

『え!まさかそんな・・・』

「だが事実だ。」

『織斑君には何度も驚かされますね。テストの点数に、実力に、戦闘スタイルに、あの技に。』

「ああ、そうだな。テストは全教科満点。実力は言うまでのもなく、戦闘スタイルは万能型。それにあの技。」

『でも不思議なんですよね。』

「何がだ?」

『あの技、私どこかで見たことがあるんですよね。』

「山田先生もか!」

『織斑先生もですか!』

「ああ、昔・・・どこかでな。」

 

 所変わって学生寮食堂、一夏とシャルルは食事をしていた。結局試合は中止となった。

「まあわかってたことだけど。」

「うん、そうだね。あ、一夏七味唐辛子取って。」

「おう。」

 そんな二人を遠くから見ている女子たちがいた。

「・・・・優勝・・・チャンス・・・」「交際・・・・無効・・・」「・・・うわああああああん!」

 そう言って数十名の女子が泣きながら走り去っていった。

「どうしたんだ?」

「さ、さあね。」

 シャルルは知っていた。『学年別トーナメントで優勝したら交際できる』ということを。シャルルにとっては今回のことは助けになったと同時にチャンスを逃したといってもいい。

「・・・・一夏・・・・・」

「!箒。」

 一夏に箒が近寄り話しかけてきた。一夏は立ち上がった。

「・・その・・・だな・・・・あの話・・・なんだが・・・」

「ああ、あれか。付き合ってもいいぜ。」

「!!ほ、本当か!」

「ああ、買い物くらい。」

「・・・・・・・・・ど」

「ど?」

「どうせそんなことだろうと思ったわ!」

 箒は一夏の顔にめがけてパンチしてくる。一夏はしゃがみ箒の手をとり投げる形になる。

(!まずい!)

 一夏は箒を引き寄せて抱きかかえる形になった。距離はわずか2cm。

「jfgひsbにうsjをいjgbhsbtbsjんbj」

 箒は混乱し、顔を紅くして気を失う。

「箒、大丈夫か?」

「織斑君、デュノア君。ここにいま・・・・・・・何してるんですか、織斑君。」

「山田先生、実は箒が気を失って。」

「はぁ・・・また織斑君は・・・」

「?」

「それより山田先生、何か用件でもあるんですか?」

「あ、そうでした。ついについに今日から男子の大浴場が解禁です。」

「え!でも確か来月からじゃ・・」

「それがですね、今日は大浴場のボイラー点検があったので。もともと生徒たちが使えない日なんです。でも点検自体は終わったのでそれならお二人に使ってもらおうという計らいなんですよ!」

「そうですか。ありがとうございます、山田先生。」

「まあまあそんなことはいいですから早速風呂にどうぞ。」

「はい、じゃあさっそk・・・・あ!」

「?どうかしましたか?」

「あ・・・・いえ・・・・・箒はどうしましょう・・」

「そうですね。運ぶとちょっとした騒ぎになるのでここで寝かしておくことにしましょう。」

「じゃあ毛布を掛けておかないと。」

「・・・・・あの・・・・・織斑君・・・」

「はい?」

「どこから毛布出したんですか?」

「ポケットからです。」

「四次元ポケット!!!!」

「そ、そんなことより僕達着替えを取りに行ってから風呂に行きますから。」

「そ、そうですか・・・・わかりました・・・・・は・・ははは・・」

 山田先生はその場から去り、一夏は箒に毛布を掛けた。

「シャルル・・・」

「うん・・・仕方ないね・・・」

 

 男子専用大浴場。一夏は体と頭を洗い終わって風呂に浸かっていた。

「ふぅ~~~~~~、い~~~~き~~~か~~~え~~~~る~~~~~」

 一夏は堪能していた。そして考え事をしていた。

 ネクサスの力があそこまで使えるとは思わなかった・・・・・皆を守るための力・・・・・

 その時、扉の開く音がする。一夏はビクッと驚く。

「お、お邪魔しま~す。」

「シ、シャルル!」

「こっち向かないでね。」

「お、おう。」

 しばらく沈黙が続く。

「なあ、シャルル。」

「何、一夏。」

「大丈夫なのか。その・・・俺と一緒に入って。」

「えっ・・・あっ・・・うん、大丈・・・・・・・夫?」

「何で最後疑問形!」

「な、なんでだろう。」

 ちゃぷっ・・・・

「!シャルル!」

「こっち向いちゃダメだよ。」

「お、おう。」 

シャルルは一夏の背中に背を合わせる。

「一夏がここにいろって言ったんだからね。そんな一夏がいるから、僕はここにいるんだよ。」

「ここにいろって言ったっけ?」

「あ・・あれ・どうだったかな。」

「まあ、改めて・・・ここにいろ。」

「!!!うん!!!それとね、もうひとつ決めたんだ。」

「もうひとつ?」

「僕のあり方。一夏が教えてくれたんだよ。」

「そうか?」

「そうだよ。」

「そっか。」

「一夏、僕の本当の名はね、シャルロット。シャルロット・デュノア。」

「それが本当の名か・・・」

「うん。お母さんがくれた、本当の名。」

「そうか・・・・よろしくな。」

「うん・・・よろしく。」

 

 翌日

「ええっと、皆さんに転校生を紹介します。転校生というか既に紹介がは済んでいるというかなんと言うか・・・」

 そしてシャルロットが入ってきた。

「シャルロット・デュノアです。皆さん改めてよろしくお願いします。」

 なんか嫌な予感がするが・・・

「え!デュノア君って女・・・・?」「おかしいと思った!美少年じゃなくて美少女だったわけね!」「でもちょっと待って!昨日って確か男子が大浴場が使ったわよね!」

 刹那、扉が吹っ飛ぶ。そこには鈴がISを起動させていた。

「い~~~~~~~ち~~~~~~か~~~~~。」

「鈴!」

「死ね!!」

 鈴は衝撃砲を放つ。一夏は両手を部分展開させてサークルシールドを発動させるが、衝撃砲の砲弾がシールドより前で止まった。そこにはラウラがいた。

「ラウラ!ありがとな。ISは大丈夫なのか?」

「ああ、コアがかろうじて無事だったからな。予備パーツで何とかした。」

「そうか・・・・・・・・・!!」

 ラウラは一夏を自分に引き寄せて唇と唇が触れ合う。キスであった。

「!?!?!?!?!?!?!?」

「お前を私の嫁にする。異論は認めん。」

「・・・え!婿じゃなくてか?」

「日本では気に入ったやつを嫁にするという風習があると聞いた。」

「あ・・あんた達ね~~~~~~。」

「鈴、ちょっとま・・・・!!」

 一夏は右手で攻撃を防ぐ。攻撃してきたのはセシリアだった。

「ほほほ、いまのをよく防ぎましたわね。」

「そらどうも。」

「一夏、死ぬ覚悟はできたか。」

「い~~~~ち~~~~か~~~~~、死んでくれる~~~~~~。」

「お前ら、武器を納めろ。」

「ほう、随分余裕だな。」

「全くですわ。ご自分が今どのような立場かわかっていらっしゃらないですもの。」

「一夏は今地獄への片道切符を切ったのよ。」

「何か言い残したことはない、一夏。」

「はぁ~~~~、お前ら、ここで騒いだら織斑先生に怒られるだろ。」

「「「「うっ!」」」」

「ここで提案なんだが放課後にアリーナでケリをつけるってのはどうだ。」

「ふっ、いいだろう。」

「一人ひとりにします?それともリンチにします?」

「私はリンチ。」

「僕も。」

「私もだ。」

「では一夏さん一対四で戦ってくださいね。」

「おう。」

「待て一夏!何故私が入ってないのだ!!」

「ラウラのISはコアが大丈夫でも機体自体が大丈夫とは限らない。それにその体だと壊す元だぞ。」

「ぐっ!」

「わかったか?」

「・・・・・わかった。」

 こうして一夏は放課後にグラウンドで四人と戦うことになった。

 


 
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