No.483960

妹が俺離れしてくれない―だがフェレット、てめえはダメだ―

なし水さん

そうだ、フェレットを飼おう。
・・・妹が拾ったフェレットが普通に人語話してるんですが。

2012-09-14 23:01:33 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2478   閲覧ユーザー数:2282

「なるほど、そんなことがあったのか」

 

「そうなんです」

 

「お兄ちゃんが早く帰ってこないから宿題ができなかったの!」

 

いい加減一人でやれ。

 

「てかいい加減俺離れしろと。

どこにいてもこれとか恥ずかしいんだけど」

 

毎回思うんだけどさ、いい加減腕にひっつくなよ。

 

「私は恥ずかしくないよ!」

 

もういいよお前。もう黙ってろ。

 

「その子の名前はなんていうの?」

 

「聞いてねっす」

 

「・・・ハァ」

 

上の兄妹2人も興味があったようで。

今度会ったら聞いとくから。

 

「で、なのは。

話したいことってなんだ?」

 

「今日、塾に行くときに傷ついたフェレットさんを見つけたの。

だけどアリサちゃんのおうちもすずかちゃんのおうちも飼えそうになさそうなの・・・」

 

ふむふむ。

 

「というわけで、うちでそのフェレットさんを飼えないかなーって」

 

「だが断る」

 

「で、でもこのままだとかわいそうだよ!

飼い主さんだって見つからないんだし・・・」

 

「生理的に受け付けないから無理」

 

そういう嫌がらせは別のところでやってほしいんですが。

 

「で、そのフェレットってなんだ?」

 

お茶の間にいた全員がずっこけた瞬間である。

 

「イタチの仲間だよ、父さん」

 

「最近ペットとして有名なんだよ」

 

そうなのか。よく知らんけど。

 

「いいんじゃない?」

 

「母さん!」

 

「なのはがちゃんとお世話出来るなら、ダメとは言わないわ」

 

「ふむ、桃子がそう言うならいいだろう。

恭也も美由紀も良介もそれでいいな?」

 

「ああ」

 

「うん」

 

「はんたーい」

 

「ありがとう!お父さん、お母さん!」

 

聞いてよ。

 

「諦めなさい良介」

 

そういうのいらないから。

 

「仕方ない、諦めよう。

だがそのフェレットを俺の部屋に連れ込んだらそのフェレットにゴキジェットプロかける」

 

絶対にフェレットを部屋に入れてはならない。

 

 

「ね、ねえ良介お兄ちゃん」

 

「あ?」

 

「ちょっと、お話聞いてもらっていいかな?」

 

いいけど、お前のそんな表情初めて見た。

この年齢でそんな深刻そうな顔になる内容って言ったら便秘くらいしかないんだが。

 

「便秘なんかじゃないの!

お兄ちゃんったらデリカシーなさすぎ!

もっと真面目になのはの話聞いてよ!」

 

すんません。

 

「あのね、今、何かに呼ばれてる気がするんだ、「助けて」って」

 

「そういう電波な発言はよそでやってくれ」

 

こんな妹を持って俺はすげえ恥ずかしいんだが。

 

「そんな痛い子を見るような目で見ないでくれるかな・・・。

ともかく!一緒に来て!」

 

どこに。

 

「声のするところに!」

 

「待て。

そういうのはどう考えてもボス戦フラグだろjk。

俺的には行かなきゃ痛い思いしなくて済むから行かない。つか行きたくない」

 

「人の声を無視するなんてサイテーだと思う!」

 

「うっ!?」

 

こんな時だけ真顔とか反則だろ。常識的に考えて・・・。

 

「夜も遅いしボス戦フラグだぜ?

行くなら兄さんとか父さんとかの保護者をどうにかして連れてくべき」

 

 

「というわけでついてきて頂きたいんですが」

 

「はいはいワロスワロスwwwwww」

 

みたいな感じであしらわれたので増援は望めなかった。

 

「仕方ないので、道場にあった木刀を1本拝借してきた」

 

「それいいの!?

あとでお父さんに怒られないの!?」

 

バレなきゃいいのバレなきゃ。

 

「それに、なのはに傷1つでもつけて帰ったら我が家の男性陣にフルボッコにされるしな。

絶対になのはは無傷で家に帰してやんよ」

 

「かっこいいの!」

 

俺みたいなデブじゃなければな。

服を着てるとそこまでわからないが、服を脱ぐと腹が出っ張るんだよな、俺。やせてー。

 

「あっ、フェレットさん!」

 

「あ、こらバカ」

 

なのはが駆け出した瞬間、フェレットが出てきた家が砕けて黒い毛玉が飛び出した。

 

「・・・毛玉?」

 

なのはが数歩後ずさる。

 

ただの毛玉の癖して触手生やしてるとかお前何者。

そんな疑問が頭の中で延々と回り続ける。

 

「きゃっ!?」

 

なのはが尻餅をついたようだ。急いで駆け寄る。

 

「お2人とも、巻き込んでしまってすみません!」

 

「・・・喋った!?」

 

あるよね、そういうこと。

どこぞのQBのごとく「僕と契約して魔法少女になってよ!」とか言うんじゃなかろうな。

 

「なになに、一体なんなのー!?」

 

「おいなのは!兎や角言ってる暇ねーぞ!」

 

なのはの手を引っ張り電柱に隠れると、フェレットが再びしゃべりだした。

 

「お願いです!

あなたには力がある!その力を僕に貸してください!」

 

リアルQBがここにいた。

それはともかく、なのはを放置して何とか毛玉の攻撃を避けてとにかく逃げる。逃げるったら逃げる

火事場の馬鹿なんたらというのはまさにこのことだと思う。

 

「ハア・・・ハア・・・このへんくらいまでくれば・・・」

 

「それは・・・フラグだと何度言えば・・・」

 

「大丈夫ですか?

すいません、僕のせいで・・・」

 

あーうん、気にしないで。いつもこいつのおかげで面倒なことに巻き込まれてるから。

 

「ぶー!

でもなんだかんだでいつも助けてくれるよね!」

 

「だってお前、俺がそういうの助けないとうるさいだろ。

「可愛い妹が今大変なことになってるのに良介お兄ちゃんは無視するの!?」とかなんとか言って」

 

「あ、あはは・・・」

 

笑うなリアルQB。俺がいたたまれないだろ。

 

 

結論をから言おう。

 

俺はいらない子だった。

 

あれから、リアルQBと契約を結んだ我が妹はカラーリングこそ違うものの、学校の制服を彷彿とさせるようなコスプレと無駄に凝った作りの長い杖を駆使して毛玉を退治した。そして毛玉からドロップした青い宝石を手に入れたとか。

その間俺はリアル家政婦は見たをやってたわけである。

 

そして何故か公園に来た俺たち。

 

「自己紹介してもいい?

私、高町なのはです!」

 

なんでこんな時にこんなところで自己紹介してんだよ・・・。

 

「ほら、良介お兄ちゃんも!」

 

「はいはい・・・。

俺は高町良介な。残念ながらこいつの双子の兄貴です」

 

「残念ってなに残念って!?」

 

「あ、あはは・・・」

 

だから笑うなし。

 

「僕はユーノ・スクライア。この世界じゃないところから来ました」

 

まさかの異世界人とは・・・こいつを某SOS団の団長に差し出せば狂喜乱舞するに違いない。

因みに、俺がこんな感想を思ってるその間にも話は進んでいる。

 

「お願いです、僕ひとりの力じゃ成し遂げられないかもしれない。

手伝ってはいただけないでしょうか?」

 

「いいかな、良介お兄ちゃん?」

 

「さっきの戦闘で空気だった俺に何聞こうってのさ。そういうのは父さんか母さんに聞けと。

ま、いいんでね?好きにすれば」

 

しかし責任は自分で取るように。

 

「えー」

 

「えーじゃない」


 
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