No.481057

超次元ゲイムネプテューヌXWorld Act.23 【仲間集め(物理)】

ラステイションには多くのキャラが集結している。

が、私の力量では二人しか出せなかった!ごめんねー(キチ顔

いや、ほんとすまんかった。

2012-09-07 22:36:08 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1007   閲覧ユーザー数:910

~ラステイション 中部商店街階層~

「で、普通に出歩いていいんですの?」

「いいんだよ、武装ならしている。それに暇だし。」

 

ラステイションの一角…というより中央部の商店階層。ショップに換算されるものは殆どがこの階層に置かれており、大体の買い物ならここで済む。

…が、危ない物、大っぴらに見せられないものはもう少し下階層で売られている。

がすとが出て行って少しした後、フロムが追いかけてきてこの階層で合流した。フロムが出てきた目的は【暇だった】だそうだが定かではない。

 

「それで、どうすんだ?あの連中を煽るっつっても所在とかわかんのか?」

「これがまたちっとも。」「おい。」

 

「いや、仕方ないんですの。こちらとしては一刻も早いネロの排除が目的だけどその周りの妨害を優先した結果目の前の危険しか排除できなかったんですの。」

「お前にしちゃ珍しいミスだな。」

「よくある、よくある。」

「ねぇよ。」

 

普通に聞けば引かれるような会話だが周りの人間モドキ達は一切気にする様子がなく歩いている。

BGMとして流れるような喧噪もあり二人は安全に暗殺話ができている。

 

その後少し歩いたところ、二人は少し違和感を感じた。

何かに見られている感じ。周りの人混みの所為で細かくはわからないが、確かに何かが存在している、フロムは感じていた。

 

「…なぁがすと。」

「なんですの?」

 

話しかけながら、フロムはがすとに目くばせした。【少しカマをかける】という意思のようだ。

 

「この世界の崩壊。どれぐらいで成る?」

「……。ま、早ければ明後日にでも始まりはするですの。」

「なるだけ急げよ。早く皆殺しにしたくてうずうずしている。」

「止めてもやるような奴だろうに…。」

 

二人が一つ話初めてすぐ、BGMの如き喧噪とは別の声が二人の耳に聞こえた。

息を呑むような、聞いてはいけないことを聞いたときの驚愕に近い音だった。

 

「フロム、左斜め後方!」

「おっしゃ!」

 

そのあたりにいる人間モドキを踏み台にして跳びあがり、がすとが指示した方向にグレネードライフルを向ける。

装甲に内蔵されているブースターをフルに使っても滞空時間は2秒。一瞬が命取りだった。

一瞬で不自然な動きをした奴を吹き飛ばす。今のフロムはそれひとつに集中していた。

 

視界の中央、小さく不自然に揺れた薄紫の長髪が見えた。

 

「見えた…!」

 

すかさずライフルを構え、発射。

一般人はそのうち湧いて出る、意味がわからないかもしれないが事実だ。

 

多少照準はずれたかもしれないが、その多少では大したロスにはならない。グレネードというのは榴弾だからだ。広域殲滅用とは多数いようと関係なく吹き飛ばすもの。一般人が壁になっても関係はないだろう。

滞空状態から落下して着地。何か人のようなものを踏んでボキッという不穏な音が聞こえたがフロムは一切気にはしない。そのうち湧いて出ると予想しているからだ。

 

「どうですの?」

「一応見えた。紫色の長髪の女。背はそこまで大きくない。」

「紫色の長髪…?ネプギアですの?」

「さぁな。捕まえて吐き出させればいい。」

 

着弾したか撃ちこんだ方向から爆音と爆発光が届いた。

何か人間の残骸が飛んできたがいつものことだとしてフロムは気にしなかった。

 

「行くぞ」

「はいはーいですの。」

 

その辺の残っている人間を駆け上がり、頭を踏み台にして人混みの上に出るフロム。

がすとは鞄からサーフボードのような板を出して、それに乗って浮いている。どういう原理だ、とフロムは心中で突っ込みを入れていた。

 

「さっきの方角に走るぞ。」

「何が来るかー……。来たですの。」

 

フロムが人々の頭を踏み台に走り始めた途端、二人の周囲に漏斗のような【何か】が点在し、そのすべてがフロムに向いていた。

 

「キャストリームのビット…!?」

「…形状からしてエネルギー射出型。フロムとは相性が悪いですの。」

「あーあ…やだねぇ、この悲しい状況。」

「さて、どうやって生き延びようかですの。」

「そりゃあ決まってるだろうさ。」

 

二人が話している間にも周りのビットはフロムに狙いを定め、キュイイインと何かを充填しているような音を立て始める。

これはやばい、と思った二人が同時に走り出す。

 

二人の行動に反応したか多数のビットが細いレーザーを撃ち出した。

フロムやがすとには絣もしなかったレーザーが足元の人間たちを貫通し、蒸発させる。

聞こえたジュッという音だけでもあのビットの危険さが相当なものだと感じた。

 

「おいおいおいヤバくないかあのビット!あんなの刺さったら死ぬぞ私!」

「とんでもないのに喧嘩売ったですのフロムー。」

「嗾けたのお前だろうがァー!!」

 

池の上の岩を跳び伝うように走るフロムと平然とした顔でボードに乗るがすと。

そして二人を追う多数のビット。端から見るより二人はかなり危険状態だ。

 

走る最中、フロムは視界の端に先ほどみた薄紫が見えた。

直後がすとに目くばせで指示をだし、二手に分かれた。

それをビット達はあくまで標的はフロム、と言いたげにフロムを全てのビットが追った。

 

「いい子だ…着いて来いよ……!」

 

フロムが踏み出すと同時に背後の地面に向けてライフルを放つ。

榴弾を放った反動と車線上にいた人形に砲弾が当たって爆発した際の爆風で急激に勢いが増す。

爆風や飛び散る肉塊を物ともせず突っ込み、自分を追うビット達を見てフロムはしたり顔をしていた。

単純でどうもありがとう、と皮肉めいた言葉を心中に浮かべながら。

~その頃のがすと~

今、私は人混に紛れながらビットの本体を探っている。フロムが囮になっている間に見つけ、捕獲または殺害が目的だ。

 

小さい身体というのはこういう潜むときに便利だ。人混みに流されるという危険性を補って余りあるその利点は偶然の産物だが運を味方につけるのもまた策士というもの。

 

さて、フロムがいっていた本体は【薄紫の長髪の女】。かなり情報が少ないが紫色の髪というのはゲイムギョウ界でもかなり珍しい。正直プラネテューヌの女神以外でみたことがない。視界に入ればすぐわかるだろう。

遠くの方でレーザー音と爆音がしている。恐らくフロムが逃げ回りながら撃ち落すのを図っているのだろう。

とりあえず弾薬ももったいないだろうし早く見つけてあげれれば…。

 

「…どこに行った…?」

 

いた。

ほんの一言の呟きだが、今ので方向と距離と声質を把握するには十分だった。

気配を(うろ覚えで)消し、その方向に少しずつ近づいていく。

少し進んだところ、人混みに埋もれながら不自然に階層ごとの天井を見つめる美少女(客観的評価)がいた。恐らくあいつだろう。そして、アレもイレギュラーの内の一体だろう。

 

どうやら遠隔操作に集中しているらしい。これは好都合だ。

そっと近づき、ダガーを持ち後ろから喉下に刃を当てる。

 

動くな(フリーズ)…ですの」

「…!?」

「フロムに目を割きすぎたようですの…。今からあのビットを戻しても間に合わない。降伏するですの。」

「っ……。」

「おっと。」

 

少し暴れようとしたので刃の先端を喉下に差す。どれぐらい刺したら血が噴き出るか、なんてものはわかりきっている。誰に虐殺なんてしていない。

 

「抵抗はいい判断とはいえないですの。」

「くっ…!」

「降参、するですの?」

 

少女は静かにこくり、と頷いた。

missioncomplete。と。

 

「それじゃあ、フロムにここまで案内させるですの。」

「……」

 

何やら宙を見る素振りをした後、放して、と少女が小さい声で言った。

私はフロムが到着したら、と言いって拘束を続けた。

なんにせよ、イレギュラー一人を確保できたのは大きい。この戦果は大きいですの、フロム。

数分後、フロムが来るまで私はうきうきした気分だった。

~??? ????? sideネロ~

……これは夢だろうか。

…夢だろう。確実に。

自分を客観的に見る手段なんて、ビデオか、夢に限られている。

 

今のわたしの目には、幸せそうなわたしが映っている。

ギアねーさんやユニねーさんと勉強するわたし。

ネプねーさんと一緒にノワねーさんにいたずらするわたし。

ロムねーさんやラムねーさんと遊ぶわたし。

 

…体感的にほんの数時間前の出来事が、これほどまでに遠く感じることはそうないだろう。

次の瞬間には、焼け落ちたラステイションが見えた。

 

泣き叫ぶわたしを庇って、ノワねーさんが死んだ。

絶対に生きてと言い残して、ユニねーさんが死んだ。

その瞬間は見ていなかったが、ネプねーさん、ギアねーさんは切り刻まれ、ロムねーさんとラムねーさんは一緒に焼かれ、ブランねーさんは文字通り叩き潰され、ベールねーさんは蜂の巣にされた、とイストワールは言っていた。

 

わたしを過去に送った後、イストワールがどうなったのかはわからない。多分、死んだだろう。

 

……わたしは、どうして生きているんだろう。何でわざわざわたしを庇ったのか…。今となっては、そういう疑問が出始めるようになった。

 

わたしは、過去を替えられるようなそんな女神ではないのに。

 

 

 

 

 

 

「……。」

 

ふと、目が覚めた。

暗い視界の遠くに天井が見える。屋内なのだろうか…。

 

「あ、起きた。大丈夫?」

 

フウが視界に入ってきた。

…わたしは、確か教会にいたはずだ。それでいきなりがすとっつう奴が出てきて……!

 

「ユニねーさんは!?」

「あー…。うん。アリスが穏便に追い返したよ。」

「そうか……。」

 

何にせよよかった。ユニねーさんは怪我して居なさそうだ。

……ユニねーさんの冷たい目。

バイザー越しでわかりずらかったけど、敵意と殺意をむき出しにした目だった。

 

…わかっていたこととはいえ、やっぱり辛い。ねーさんに、武器や、殺意を向けられることが……。

 

「ネロさーん?」

「!?……何だ?」

 

フウがわたしをじっと見ていた。

怪しんでいるような目だ。

 

「えーっと……。ネロさん、未来の女神候補生って言ってたよね?」

「ああ。この時代からどれぐらい未来かはわからんがな。少なくともユニねーさんとノワねーさんはわたしは知っている。」

「うーん。何か悪いことしちゃったかも…。ユニちゃんとこんなことになっちゃったのわたしの所為っぽいし……。」

 

フウが露骨に落ち込んでいる。

ここまで感情豊かだと見ていて面白い。…自分が感情が乏しいという自覚はあったが、ここまで羨ましいと思ったことはない。

 

「気にするな。結局はあのがすとっつう奴の陰謀だろう。わたしらは女神だ、誤解もすぐに解けるだろ。」

「だといいけどなぁ…。」

「何にせよ行動は必要だろう。」

 

そういい、わたしが立ち上がった時だった。

 

『あなたの絶望はとても綺麗ですね。』

 

「!?……フウ、今、何か言ったか?」

「んー?何もー?」

 

脳裏に声が響いた。聞いてみたがフウではない…。まぁフウとは明らかに違う声だったが…。

 

『私とは違った絶望…。絶望は強い力になる…。』

 

まただ。

絶望……。わたしのことを言っているようだが、この声の意図が全く読めない。

マジェコンヌ事変、習ったことより生半可ではないようだが……

何故か、声を聞くたびに不安になってくる。

 

「…少し、外で涼んでくる。」

「はーい。あんまり遠出しちゃだめだよー。今アリスとフウカさんが情報収集に行ってくれてるからー。」

 

フウの言葉が遠く感じる。

自分でもわかるほどに今のわたしは足取りが酷い。

泥酔しているわけでもないのにな……。

扉を開き、外に出た途端。さっきと同じ声が聞こえた。

 

『あなたの絶望、わたしのために使わせてください…。あなたのために、わたしのために。』

 

次の瞬間、わたしの周りを暗い紫色の【何か】が包んだ。

布のようにわたしの全身に絡みつき、一切の身動きが封じられた。

 

「…!?――――――!!!」

 

声が出ない。怖い。

影に飲まれるより怖い、何かがわたしを包んでいる。

 

『さぁ。私と共に、絶望の力を振るい世界を救いましょう……。』

 

その声が聞こえたころにはわたしの全身から力が抜け、視界が暗く染まっていた。

 

「…あれ?ネロさーん?」というフウの声も遠く聞こえるだけで、返答を考える気力も、声を出す体力もないまま、わたしはその場から【消えた】。


 
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