No.480189

魔法少女リリカルなのはmemories 第五章 ベルカ時代の記憶(メモリー) 第六十一話

J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

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2012-09-05 21:24:49 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1712   閲覧ユーザー数:1679

「ミルティス・ベスカ中将が黒幕だと!?」

 

 本来なら次の研究所への命令をフィルノから聞いていたのだが、急用の話があるという事でナノハはフィルノに言い、ディメルニアへと戻ってきた。

 それから全員招集するようにと伝え、ナノハと同じように研究所の破壊をしていたアリシアをディメルニアへと戻るようにフィルノは伝えた。

 ちなみに、あの開かない扉に会ったのはどうやらリィナと同じように人体実験として連れてこられた人物だったらしく、パスワードを教えたのは別の人体実験に使うとしても移動させるのがかなり時間が掛かるし、移動している間にナノハ達がその研究所を破壊したら唯の無駄になってしまう事も考え、処分するにも費用が掛かるから、敵であるナノハ達に渡した方が良さそうだと思ったのだろう。ある意味お互いに利点があったからこそ破壊などもせずに済んだのだろう。まぁ、人体実験にとらわれた人間を助けてナノハはその研究所を再起不可能にするために破壊したのだが。

 アリシアが来たのを確認して、すぐにシルフィア姉妹とエメリアの三人を集め、全員が集まったところでナノハは先ほど破壊しにいった研究所での出来事を全員に話した。

 ミルティス・ベスカ中将が黒幕だということに一番驚いたのはフィルノであり、まさか管理局になのはが居たときに並ぶエースの人間がこのような事をしていたとは思いもしていなかった。ヘレスナ・リュベル一等陸佐よりもさらに上で命令している人物がいるとは思っていたが、まさか管理局でも有名な人物だとはフィルノ以外でも思っていなかった。

 

「えぇ、向こうからわざわざ私に話しかけてきてね。どうやら昔の私のままだと思っていたようだけど」

「それで、彼は一体何を言ったのですか?」

 

 いつもならあまり発言がないエメリアがナノハに問う。予想していたよりも早く黒幕の正体が分かり、もしかしたらもう少しで妹を救えると思っていたのである。

 そもそも、エメリアにとってはフィルノと会うまで妹をすく方法を諦めていた。敵が管理局というのもあって、一人で何とかできるような相手ではないと分かっていた。だがフィルノと会って共に管理局と戦うと言われたときに、妹を救えるかもしれないと思っていたのである。それはエメリアにとっては諦めかけていた奇跡に近い言葉であった。

 そして今、ついに黒幕の正体が分かりここまで来たことに、フィルノに会う前のエメリアにとってはあり得なかったことだろう。エメリアは、フィルノに会ってからすべてが変わったのに等しかったのである。

 

「まぁ、私の勧誘だね。もちろん断ったけど。どうやらあいつは管理局を離反する前とあまり変わっていないように思えたようだね。まぁ、私の正体を知っている事には驚いたけど」

「っていうことは、時間が経ってしまえば世間にオリヴィエみたいな人物の正体がナノハだと分かってしまうという事か?」

「そうなるかもしれない。けど、そんな些細な事は私にとってどうでもいい。私が全員を呼び出したのはこれでもう研究所を破壊する必要もほとんどなくなったっていう事」

「確かにそうなるな。俺達が研究所を破壊していたのは黒幕の情報を探すためであったから、まさか向こうから教えて来るとは思わなかったがこれで研究所を次々に破壊する必要はなくなった。敵の正体が分かったからな」

「そういうこと。だけど私はその前に一つだけやらないといけないことがある」

 

 元々、フィルノがナノハの覚醒しても同じような事を繰り返していたのかというと、情報が余り足りなかったからである。分かっていたのはリュベルが関わっているという事であり、それ以上の事は分からなかった。だから研究所を破壊し、その中にある資料に黒幕が載っている正体がないかと思って今までと同じことをしていたのである。

 しかし、偶然だとしてもナノハの功績によってミルティスが黒幕だと突き止めることが出来た。ナノハとアリシアのおかげで違法研究所の破壊はほとんど終わってしまっていたところであったので、もしかしたら黒幕が分かるものが研究所にはないのかもしれないと思いかげていたその時に分かったのはかなり良かった事であったのだ。

 そうとなれば今すぐにでも管理局へと攻めようとフィルノは思うのだが、そこでナノハがまだやらないといけないことがあると言い、どういうことなのかとフィルノは思っていた。

 

「一体、何をまだするというんだ?」

「いや、やると言っても一つだけだから私だけで行くよ。あの子たち二人を念のため捕まえておかないとまたJS事件みたいな事になりかねない」

「あの子たち?」

「オリヴィエ様のクローンである高町ヴィヴィオと覇王イングヴァルトの直系子孫であるアインハルト・ストラトス。本当はイクスヴェリアもなんだけど、聖王教会が易々と誘拐させてくれないと思うし、逆に言えばそれは安心だという事でもあるからね」

 

 一体誰の事を言っているのだろうかとナノハ以外は全員思うが、ナノハが言った言葉で理解した。

 確かに彼女たち二人をこのまま何もせずにしていたら、管理局に捕らわれて何かされる可能性が高い。そうなってしまえばこちらの戦力人数的に危うくなる可能性だってありえるし、そうならないためにもナノハはその事を言ったのだろうであろう。自分の娘だという事も少しは含まれているとは思うが、そうでないとしても無視しておける問題ではないのだろうと思った。

 

「なるほど、確かにそうだな。ならその辺りの行動は任せる。二人の事はナノハの方が詳しそうだし、連れて来るぐらい一人でできるだろ?」

「うん、みんなはそれまで待ってて。すぐに連れて来るから」

 

 それからナノハは転移魔法を発動させ、管理局へと向かうのだった。

 その後フィルノ達はそれぞれ自由にすることにしたが、アリシアはフィルノへと近づいて行った。

 

「でも、一人で行かせて大丈夫だったの? 多分フェイトとかが邪魔すると思うのだけど」

「そうだろうな。だけど、ナノハなら大丈夫だろ。たとえ向こうに正体を気づかされたとしても動揺してチャンスが生まれるだけだからな」

「フィルノが大丈夫というのならいいけど」

 

 アリシアはなぜか、ナノハ一人で行かせて大丈夫なのかと不安になるのだった。


 
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