第五十九技 友達を探しに
キリトSide
「やるせないよな…。あんな小さな子がさ……」
「うん……」
ユイが食事をする前に少し彼女と話をしたが、ユイはなにも覚えていなかった。
リアルでの記憶もなく、こちらに来てからのしかも最近の記憶ですら無かったのだ。
「明らかに精神的なショックだ…。ホント…、ねぇよこんなのって…」
たしかに小・中学生の子供がいるのは聞いたことがある。
ゲーム開始直後にパニックをおこしたりした子もいたと聞く。
だがユイは、記憶に影響がでるほどのショックを受けたのだ。
それは生半可なことではないはずだ。
「キリトくん……」
「……ゴメン。ちょっと、弱気になってた…」
アスナはベッドに座り込んでいる俺の隣に座り、手を握ってくれた。
「大丈夫だよ、キリトくん…。あの子には、ユイちゃんにはわたし達がついてるんだから…」
「そうだな…」
そうだ、弱気になっていたらいけない。アスナにまで心配を掛けてしまった。
「明日、1層に降りてみよう…。たしか、大きな掲示板があったと思うし、なにか情報が掴めるかもしれない…」
「う、うん……」
俺の提案にアスナは僅かに反応が遅れた。
なんだろう? アスナの様子に違和感を感じた。少し気に掛けておこう。
「今日は家でゆっくりしていよう…」
「そうだね…。ユイちゃんの事もあるしね…」
この日は家でゆっくりと過ごすことにした。
夕方、ユイが目をさましたのでご飯を一緒に食べてから彼女は再び眠った。
その間、アスナが「わたしとキリトくんの子供…」と呟いて頬を赤らめていたのは可愛かった。
朝、いつも通りアスナが起きてから俺も目を覚ました。
アスナが朝食を作って、俺が新聞を読んでいるとユイが起きてきた。
「おはよう、ユイ」
「おはよう、ユイちゃん」
「おは、よ…。パパ、ママ…」
まだ眠たいのか目をショボショボさせている。
けれど、挨拶はちゃんと行うのでそこはしっかりとしているようだ。
ユイは俺が座るソファの横に座った。
「朝ごはんできたよ」
朝食ができあがったのでみんなで食事をとり始める。
「「いただきます」」
「いただきまぅ」
俺とアスナが挨拶を言い、ユイも舌っ足らずにだがちゃんと言った。
アスナの料理はやはりおいしい。隣に座るユイも笑顔を浮かべながら食べている。
俺とアスナは顔を見合わせて微笑みを浮かべる。
「ユイちゃん…。今日は朝からお出かけするからね」
「おでかけ?」
「うん、ユイちゃんのお友達を探しにいくんだよ」
「おともだち? おともだちってなぁに…」
「お友達っていうのはね…、ユイちゃんの事を助けてくれる人達のことだよ…」
アスナの説明にユイは首を傾げるも、頷いたのでとりあえずは理解したようだ。
朝食を終えて、いまは出かける準備をしている。
ユイに関してはまたわかった事がある。
まず最初にウインドウがすぐに開かなかった。
少しすれば開いたのだが、アイテム欄などは普通のアイテムと服用の装備欄しかなく、
武器の装備ができないようになっていた。
また、名前のところにもおかしな点があるなどしていた。まあわかったのはこれだけだ。
俺はもう一度、アイテム・装備などの確認を行う。
1層といってもあそこは『軍』のお膝元だ。
なにがあるかわからないから準備を万全にしておいたほうがいい。
「アスナとユイは準備できたか?」
「うん。わたしもユイちゃんも準備OKだよ」
「おっけ~だよ」
「(クスッ)よし、それじゃあいくぞ。『始まりの街』へ」
俺達は『コラル』にある転移ゲートを使って『始まりの街』へと向かった。
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
次回は『始まりの街』で情報収集というところです。
キリト達は情報を手に入れる事ができるのでしょうか・・・。
それでは・・・。
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第五十九話です。
話し自体は今回は大して進みません。
キリトの弱い部分も出ます。
それではどうぞ・・・。