No.478715

超次元ゲイムネプテューヌ『女神と英雄のシンフォニー』チャプターⅡ第一話『重厚なる黒の大地、再会はは突然に』

月影さん

失踪した親友を探す中、ゲイムギョウ界と呼ばれる異世界を飛ばされた少年、朝倉桂斗。ゲイムギョウ界に存在する四つの大陸の一つ革新する紫の大地プラネテューヌにて看護士を目指す看護学生のコンパ、ゲイムギョウ界を旅するアイエフ、そして空から降ってきた記憶喪失の少女、ネプテューヌと出会う。そして、ネプテューヌの夢に出てきたイースンなる人物の導きの元、ケイト達はイースンを、そして世界を救うべく旅立ったのだった

2012-09-02 01:56:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1276   閲覧ユーザー数:1234

「うわぁ! なんか鋼鉄島ーって感じ!? あいちゃんあいちゃんっ! ここはなんて大陸?」

 

「ラステイション。守護女神ブラックハート様が納める大陸よ。重工業が盛んで、工場なんかが多いの」

 

 重厚なる黒の大地と呼ばれる大陸、ラステイションにやってきたネプテューヌ達。高いビルと工場群、煙突から常時上っていく排気ガス。そして、常に響き渡る金属の加工音がBGMと鳴っている島の様相にネプテューヌは目を輝かせながら辺りをキョロキョロと見渡している。記憶喪失、つまりは世界の事を何も知らないのと等しいが故に目に映るもの全てが珍しく思えるのだろう

 

「こういうのさ……ディテールって言うの? 大陸ごとに建物が違ったり雰囲気が違うのってさ、やっぱり女神様の趣味?」

 

「違うと思うわ。確かに治めるのは女神様だけど文明を築くのはあくまでも人だから」

 

「むー……あいちゃんは夢が無いね。二人はどう思う? この大陸!」

 

「工場とか煙突が目立ってて……産業革命って感じがするです。……ちょっとマニアックかもですぅ」

 

 雰囲気的に少し慣れていないらしく、辺りを軽く見渡した後に困った様な笑みを浮かべ、好きとも嫌いとも取れない感想を述べるコンパ

 

「どう、と言われてもな。俺からしてみれば見れなれた風景、だしな」

 

それに対しケイトは特にこれと言った反応もなく、二人みたいに辺りを見渡すこともせずに何てこと無いように口を開く

 

「あら、そうなの?」

 

「ああ」

 

 それもそうだ。全部が全部と言う訳ではないがこうした地球にもこうした工場地帯は所々に点在する。ゲイムギョウ界の事はまだ無知も同然だが、このラステイションの風景はケイトにとっては見慣れたものなのだ。だからこそ、対した興味も示さず、2,3歩前に出てからアイエフの方に振り向いて

 

「それで、この後はどうするんだ?」

 

「そうね、どんな大陸でもまずは協会に行きましょ。協会の方で調べたモンスターの分布を教えてもらうの。ほらねぷ子、何時までもキョロキョロしてないで早く行くわよ」

 

「あっ、待ってよー」

 

 アイエフが近くの店のショーウィンドウに置かれている何かの機械を見ていたネプテューヌに声をかけ、三人が協会に向かうのをネプテューヌが小走りで後に続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいませーんっ! ちょっとモンスターのコトが知りたいんですいけど中に入ってもいいですか!!」

 

 それから程なくして到着したラステイションの教会。文明のレベルこそ違えど協会の見た目はさほど違いは無い。が、プラネテューヌのそれと違い、協会の出入り口に協会の職員が立ち塞がり、どこかピリピリした雰囲気を出している。が、そんな事は気にもせず、ネプテューヌが傍に駆け寄り、声をかける

 

「モンスターの情報? そんなもの知ってどうするんだ」

 

「鍵の欠片っていうアイテムを探してるです。そのために強いモンスターさんを探してやっつけないといけないですぅ」

 

「モンスターを……やっつける??」

 

 コンパの言葉に見張りの男は4人をそれぞれ一瞥。やがて、ケイト達を見下す様な口調になる

 

「バカを言うな! ラステイションの軍隊でさえモンスターには苦戦してるんだ! それにお前達は、どうみても子供だろう! モンスター退治など百年早い、帰れ帰れっ!!」

 

「み、見た目で判断しないでほしいです! こう見えても私達は、今まで何度もモンスターさんをやっつけてきてるですぅ!! ねぷねぷだって変身したらうんと強く、カッコよくなるです!」

 

「変身? 何を言っとるんだお前は。ごっこ遊びがしたいなら、よそでやれ。仕事の邪魔だ!」

 

 確かに自分達はまだ大人とは言えない年齢だ。けれど、それにしても目の前の職員の対応は冷たすぎる。その反応に今度はアイエフとケイトが前に出てきて、彼を睨み付ける

 

「協会って、ずいぶん不親切なのね。女神様に仕えるアナタ達がそんなじゃブラックハート様も大したことないんじゃない?」

 

「場所によってはダメな協会もある、か。なるほどな、確かにあの時聞いたとおりだ。女神様の造った組織だからってどこも善良な組織と言うわけでは無いという事か。女神様の人選ミスだなこりゃ」

 

「何とでも言え! 我々国政院は、女神にへつらう教院とは違う! 女神がどう思われようと、痛くもかゆくも無いわ」

 

 とケイトが肩を竦めながら、アイエフに続き挑発的に言ってみる。が、次に見張りの口から告げられた言葉でケイトとアイエフは口を閉じる

 

「分んないよ? 強さは見た目じゃなくてステータスだもん! 私達の方が――」

 

「ネプテューヌ、そこまでだ」

 

「そうね、変な張り合いしないで一度戻りましょ。これ以上ここで時間を費やしても無駄そうよ……」

 

 今にも背中の達を抜いて構えそうな勢いのネプテューヌをケイトが肩に手を置いて静止し、アイエフも最後に職員を一瞥してから踵を返し、二人に促される形でネプテューヌとコンパも協会を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねーっ! どうしてあそこあっさりで引き下がるの!?」

 

「そうですぅ! あんな酷い事言われたのに、二人は悔しくないんですかぁ!?」

 

「理由があるんだよ、理由が。アイエフ、気づいたか?」

 

「ええ……」

 

 協会からの帰り道。未だ納得の言ってないネプテューヌとコンパが二人に抗議の声に軽く返事を返してからアイエフの方に目を向けて問いかけると、アイエフも同じ疑問を持っているらしく頷きながら答えてきた

 

「これもモンスター被害拡大の影響なのか?」

 

「かもしれないわね。協会の職員も同じ人間だしね」

 

「えっ、何? 何の事?? むー……二人して一体何の話!? 私にも教えてよーっ!」

 

「そうです! 二人だけ通じ合ってるなんてずるいですぅ!!」

 

「なっ!? 別に通じ合ってるわけじゃないわよ! ただ、普通に考えればおかしいのよ」

 

「おかしいって……何がおかしいの?」

 

 そこで、俺達は足を止めて二人の方を振り返る

 

「つまりだ。女神の世話と大陸の内政。役目こそ違えど協会の職員ならば、みんな女神に対して忠誠を誓っていても不思議じゃない。いや、本来ならそれが普通の筈だろ?」

 

 だと言うのにさっきの見張りの発言から女神様に対する敬意は一切感じられず、むしろ必要とすらしていないかの様な言い方だった

 

「なのに、さっきのあの職員の女神様に対する物言い。普通なら直にでもクビを切られてもおかしくないわ。もしかしたら協会内部で何か問題が起こっているかもしれない」

 

「そっか、言われてみれば、確かにそうかも……」

 

 言われて、ネプテューヌとコンパもようやくその疑問にたどり着く

 

「でも……それならこれからどうするです? モンスターさんの事を聞くどころか教会の中にも入れてもらえなかったですぅ……」

 

 そう、俺達にとってはそれが一番の問題だ。 協会の問題に口出しを出来るような立場でもないし、もっとドライな言い方をすれば教会の内部事情なんて自分達には関係無い。ただ、大陸のモンスターに関して一番詳しい情報を把握している協会が当てにできない以上、手がかりが0の状態になる

 

「むー……こうなったら街の人に聞いてみようっ! やっぱ街の人への聞き込みはRPGの基本だよ! 基本!」

 

「ねぷねぷの言うとおりです。地道だけど、ラステイションに来たばっかりです。知らない事が、たぶん多すぎるですね……まだまだ序盤です。これしきのことでへこんだり、変に先走りすぎないでのんびりまったりいくですぅ!」

 

 

 基本、過ぎた事は余り引きずらない性分らしい。ネプテューヌが明るい声で提案する。確かにここで頭を悩ますよりはその方が建設的だ。何時しか重たい空気は完全に払拭され、一行にいつもの調子が戻ってくる。以前プラネテューヌで悩んでいた時もそうだったが、こういう重たい雰囲気を払拭し、前向きな気持ちにしてくれる明るさはネプテューヌのいいところなのだろう。まぁ、時に能天気すぎるところもあるのが珠に傷ではあるが……。それから、ラステイションの中央市街に戻り、聞き込み調査を開始。特に真新しい情報こそ掴めなかったが

 

「あ、きっとあの人です! モンスターさんを倒して欲しいって言う社長さんは!!」

 

 代わりにモンスター退治の依頼を一つ見つけた。もしかしたらそのモンスターが鍵の欠片を持ってる可能性もあるし、元々モンスターに困ってる人を助けると言う目的もあるのだから、とりあえずそっちを優先と言う結論になった訳だ

 

「えー? なんか一回り小さいよ? 社長さんて言うくらいだから、もっと風格のあるがっちりした人じゃないの?」

 

「でも……あ、気づいたです。……顔をしかめたです。手を振ってくれたです。やっぱり間違いないですぅ!」

 

「むこうの人も、もしかしたらこっちと同じ気分かもね」

 

 待ち合わせの場所。視界に映ったのは赤いボブカットヘアーに額にバンダナを巻き、タンクトップの上からねずみ色のつなぎを上半身のみを脱いで袖の部分で腰に縛った着かたをした女性だった

 

「……お前らか? モンスターを退治してくるってのは。本当に大丈夫なのかよ」

 

「見かけによらないのはお互い様よ。それより、はじめまして。私はアイエフ、後ろの三人がコンパとネプテューヌ、そしてケイトよ」

 

「わたしはシアン。都心近くでパッセって言う小さな工場をやってる! 実は交易用の道にモンスターが出るようになって荷馬車や列車がたびたび襲われてるんだ。それをどうにかしてほしいって訳だが、大丈夫か?」

 

「大丈夫、戦闘はもう慣れっこだから大船にのったつもりで、任せていいよ!!」

 

「気に入った!! そう自信満々に言ってくれるとこっちも任せがいがある!」

 

「なら、モンスターの規模とか詳しい状況を教えてもらえるかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「旋風輪っ!」

 

身体ごと一回点させて闘気を纏った棒を振ると闘気の輪が同心円状に広がり、周囲のモンスターを纏めてなぎ払う。周囲にはモンスターの姿は無く、少し離れた所でもコンパとアイエフも自分の周囲に居たモンスターを倒し終えた所だ。と、同時にいきなり空から翼の生えたモンスターの死体が落ちてきた

 

「……プラネテューヌ以外にも。これほどモンスターがいるのね。倒し甲斐があるわ……!」

 

 あの後、モンスターが出現しやすい時間帯を狙い、街道へと出た。それからばらくしない内に、モンスターの一団と遭遇。俺、コンパとアイエフのコンビ、そしてネプテューヌで手分けし戦闘を開始。たった今殲滅した所だ

 

「なんかねぷねぷ。その格好だと強気です。それにしても……やっぱり女神様の守護が弱まってるから、モンスターさんも現れるですか?」

 

 普通、モンスターとは森や洞窟と言った人が近寄らない場所に生息し、街道付近では滅多に現れないらしい。その街道で頻繁に人が襲われているのだから、改めてこの現状が異常だと認識できる

 

「私に聞かれても分らないわ。でも、仮にも女神様と呼ばれてるほどの存在よ。その守護が弱まるなんて、ありえるの……?」

 

 そこで、太刀を粒子化して仕舞ったネプテューヌが傍に降りてくる

 

「女神様の力が弱まるっていうか……そもそも、その力の源はシェアと呼ばれる大陸の人々の信仰心よ。モンスターが人を襲えば自然と弱まるの。守護が弱まってモンスターが現れる。モンスターが人を襲って守護を弱める。堂々巡りなんだと思うわ」

 

「シェアは減ってモンスターは増える。見事なスタグフレーションだな。あっ、じゃあプラネテューヌの協会に人が少なかったのも……」

 

「そっ、モンスターのせいで協会に行くに行けないだけじゃなくて、プラネテューヌの女神様への信仰が弱まっている事も原因だったって訳よ」

 

「なるほど、分りやすいわ。でも、だとしたら時間が経過すればするほどモンスターは増えるかもしれない……」

 

「そ、それは考えて無かったです!! でも一理あるですよ。どうするです!? だとしたらキリが無いですぅ!」

 

「ホント、その姿と元の姿じゃ全然違うな」

 

 本人が目の前に居るので口に出来ないが頭のキレも段違いだ。俺と、恐らくアイエフもその推測には行き着いている。そして普段のネプテューヌならばコンパと一緒に驚いている所だ。そして同時におろおろしだしたコンパを安心させるようにネプテューヌはコンパの肩に手を置く

 

「安心して、私がいるわ。……誰かに言われたの。世界を救えるのは、私だけだって」

 

 肩から手を離し、もう一度モンスターの死骸に目を向けるネプテューヌ

 

「私なら救えるのよ。なら、救って見せるわ……!!」

 

 やがて、今度は自分の掌を見つめ、決意を固めるかのように拳を握る

 

「せ、正義感はそのまんまですけどこっちのねぷねぷは、安心感が違うですね……・!? すっごく頼れるです!」

 

「確かに普段の能天気なのよりはマシだけど。これはこれで……さわやか過ぎて癪に障るのは私だけ?」

 

「そっか? 俺は良いと思うけどな」

 

 自分だけでなく周りも明るい気持ちにさせてくれる普段の彼女も、クールながらもその内に熱い想いを持つ変身した時の彼女も。少なくても癪に障るとか、嫌いと言ったマイナスな感情は一切抱いていない

 

「へぇ~、それは一体どう言う意味なのかしらね?」

 

 からかうネタを見つけた。そんな感じなニヤニヤ顔でこちらを見てくるアイエフ。何故、今の話の流れでそういう表情になるのだろうか? とりあえず、さっき思ったことをそのまま口にしようとしたその時だった

 

「た、助けてくれぇーーーーっ!!」

 

 突然、男性の悲鳴が響き渡り、そっちに顔を向けるとそこにはフード付きのボロボロのローブを着た男性とそれを追いかける、手にトゲ付きの棍棒を持った巨大なモンスターの姿。しかし、長いこと逃げ続けていたのだろう疲労から足が縺れ転倒。そこにモンスターは棍棒を振り下ろそうとしたが

 

「捻糸棍!」

 

 すかさず、顔面に向けて闘気をぶつけ、怯んだ隙に間に割ってはいる

 

「お、大きいです……」

 

「確かに、さっきのモンスターなんかよりはよっぽど手ごわいでしょうね……」

 

 コンパが男性を介抱しながらその巨大モンスター見上げ、アイエフと俺は若干相手に気圧されながらも武器を構える

 

「そんなの関係ないわ。モンスターなら例えどんな奴でも……」

 

 そして、最後にネプテューヌが太刀を構えて

 

「倒す。それだけよ!」

 

 そして、モンスターが先手を切って攻撃してこようとした時――

 

「ブレイブ……スマァーーシュッ!!」

 

 突然、巨大な光弾がモンスターの側面に直撃、小さな大きく吹っ飛ばした。やがて、それは地面に落ちると光は弾け、その中から一人の青年が姿を現す。片ひざ立ちの状態からゆっくりと立ち上がり、こちらに顔を向ける

 

「待たせたなっ! 俺が来たからにはもう安心だぜ……って、あっ!?」

 

「「「あっ!」」」

 

 そして、トンファーを手に持ったまま、親指を立ててそれで自分を指差しながらニッとこちらに笑いかけたがすぐさま驚いたような表情になる。が、それはこちらも同じだ。何故ならそいつは俺がここに来た一番の目的

 

「疾風!!」

 

「桂斗……桂斗だな!? おぉーっ、すっげーっ!! まさか桂斗もこっちに来てるなんてなっ! いやー、地球にダチ一人残して来ちまった事が唯一の心残りだったんだよ。何時からこっちに来てたんだ?」

 

 やがて俺に気づいた瞬間、ハイテンションでこちらに近づいてくる。

 

「ほんの1.2週間前だ。元気そうで何よりだよ」

 

「当然っ! 何時だって何処にいったて俺は俺だ。それはケイトだって同じだろ?」

 

「まぁ、確かにな」

 

 失踪したのはほんの数週間の事の筈なのに地球に居た頃と何一つ変わってない親友の姿に安心し、同時にとても懐かしい感じを覚え、無事に見つかったことにホッとして気が抜ける。

 

 

 

 

「あんた達ねぇ……何時までの喋ってんじゃなわいよ!! まずあれを何とかするのが先でしょうが!!」

 

 が、アイエフの声に只今戦闘中なのを思い出す。アイエフの指差した先にはゆっくりと起き上がるモンスターの姿。確かに気を抜くのは早かったな

 

「うっしっ! お互い積もる話もあるしさっさと片付けるか!! 桂斗、そっちも恐らく俺と同じ経緯でこっちに来たんだろ? だったら、やれるよな?」

 

「ああ、少なくても足を引っ張らん程度には戦えるさ!」

 

「よし、そんじゃお仲間さん達はその人連れて下がってな。ここは俺達で十分だ!」

 

 そう言って、疾風はトンファーを構え、それに続き俺も棒を構える

 

「そ、そんな無茶です! こんな巨大なモンスター二人だけで戦うなんて無理に決まってるです!」

 

「大丈夫だって。なんてったって俺は全てを守るナイトだぜ! こんなモンスターごときに遅れなんかとらねぇって……それに、でかい奴に釣られておでましの様だしな」

 

 疾風の言うとおり、そこには騒ぎを嗅ぎつけた新たなモンスターの一団の姿

  

「ああ。だから、みんなはその人を頼む!」

 

「大丈夫なの……ケイト」

 

 アイエフとコンパが何か言いたそうにしていたがやがて、他のモンスターの所に向かっていった中、心配そうに尋ねて来たのはネプテューヌだった

 

「心配してくれるはありがたいけど、今の所空から来るモンスターに対処するならネプテューヌが最適なんだ。だから、ここは俺達に任せておいてほしい」

 

 恐らくは親友と再会できたが故、こっちも気分が盛り上がっているのだろう。根拠は無いはずなのに不思議と大丈夫だと思える。ネプテューヌも最後に巨大なモンスターとこちらに交互に目を向けた後

 

「判ったわ……ケイト、気をつけて」

 

「ああ、任せろ。そっちは頼んだぞ」

 

「ええ!」

 

 太刀を構え、ネプテューヌもコンパやアイエフと一緒に新たに現れた方のモンスターに向かっていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネプテューヌっていうのか? さっきの子?」

 

「そうだが……何か知ってるのか?」

 

「あ、いや、別に……と、それより――」

 

 言葉を濁す。実を言うとネプテューヌと言う名前には聞き覚えがある。恐らくは“彼女”の言ってたネプテューヌで間違いないだろう。桂斗はまだ此処に来て数週間と言ってた、恐らくは何も知らないのだろう。ならば、無理に教える必要も無いし、出来るなら巻き込みたくも無い

 

「あちらさんもお待ちの様だし、とっとと終わらせようぜ!」

 

「ああ!」

 

 そしてモンスターは棍棒を振り下ろし、それを左右に散開する様によける。ただ、棍棒で殴ってくるだけの攻撃。よけるのは簡単だ

 

「いっくぜぇーーっ!」

 

 そして、カウンターにトンファーで相手の顔面を強打。それに合わせ、桂斗も棒で相手の腹を突く。すると棍棒でこちらを攻撃してくるがそれを空中で身体を一回転させてかわす。そして着地と同時にトンファーの先端部分を左右に展開、内蔵されたスタンガンを駆動させる

 

「喰らえっ! スタンブレイクッ!」

 

 それをモンスターの腹に向かってトンファーを叩きつけた。電流を流し込まれ、モンスターの動きが一瞬止まる

 

「ケイトっ!」

 

「任せろっ! 金剛劇っ!!」

 

 そしてその隙を逃さず、桂斗も渾身の一撃を放つ。電流と衝撃でモンスターは2.3歩よろめき、膝を突く。実際に共闘するのは初めてだ。しかし、それでも互いの考えを理解できるだけ俺達の付き合いは長い。そしてその中で気づかれた信頼関係。互いに対して不安なんて無い、だからこそ

 

「悪いが……手加減無用! 一気に決めさせてもらうぜっ!!」

 

 俺達は、負けない!! 腕を目の前でクロスさせた瞬間、その想いと闘気に呼応し、トンファーは青の光に包まれる。

 

「ハアァァァーーーーーーーーっ!!」

 

 その状態でモンスターに肉薄、拳とトンファーのラッシュを叩き込む。最後にパンチを打ち込んだ後にバク宙、モンスターとの間合いを空け

 

「受けてみなっ!! 必殺……っ!」

 

 片足を一方後ろに引き構えた瞬間、トンファーだけでなく自分自身も青の光に包まれる。そしてその状態で突進。青の光はやがてトラの頭部の様な姿になりその牙がモンスターを捉える。これこそ、全てを砕く、青き猛虚の一撃!!

 

「タイガァ……チャァアアアアジっ!!!!

 

「グオォォォォォ-----っ!」

 

 やがて闘気のエネルギーによる爆発し、断末魔の叫びが響く。砂煙から抜け出し地面に着地し、そのまま桂斗の所に戻る。成果を確認する必要も無い。手応えあり、完全決着だ。トンファーをホルスターにしまい、目の前の親友にニッと微笑みかけ軽く手を挙げる。そして桂斗も同じように手を挙げ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 手と手を打ち合わせる音が響くのと同時にモンスターの巨体が地面に倒れ伏した


 
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