No.478342 ゲイムギョウ界で目指せハーレム!ゆきさん 2012-09-01 12:12:56 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1128 閲覧ユーザー数:1093 |
第10話 嵐の後
「そのような武器では私には勝てないぞ。ゾンビ少年!」
マジックはそんな変てこな名前を叫ぶと同時に、空高く舞った。
暗い空に浮かぶ大鎌を持ったそれは悪魔に見えた。
既に戦闘経過から数十分が立とうとしていた。
この戦いの中で学んだことがあった。俺の呼び出す、架空の武器(アニメとかゲームのやつ)では傷一つつけることが出来ない。
どうやら、戦闘中でもレベルは上がるらしくただいまのレベルは20だ。
俺は対抗するべく、強硬な盾を呼び出す。
すぐにマジックが鎌をこちらに向かって横に薙ぐ。その動きについていくように斬刃が次々と吹き飛んでくる。
「ファースト・モード!!」
叫びを上げ、それに呼応するかのように俺の持っている盾が赤く煌びやかに光る。
「!!」
目前に迫った斬刃を俺は懸命に脚に力を込め受け止めていく。
そして、斬刃の雨が降り止むのと同時に盾を消し黒の双剣を呼び出す。
そしてマジックが地に降り立ったと瞬間に駆け出した。
ゾンビパワーの脚力があるため、一瞬で距離を零にし勢いに任せ一振りする。
だが、さすがは四天王。俺の攻撃を余裕綽々でかわす。
俺は一歩踏み込むたびに素早くも重い一撃を双剣に乗せる。かすりはするが、致命的な一撃は与えることが出来ない。
俺はいったん体勢を整えるために、後ろに跳躍する。
マジックはその隙を逃すまいと、宙に浮遊していた俺に一気に迫る。
「あまいな...!」
俺は宙返りして後ろにあった家の壁をけり、迫ってくるマジックにすれ違いざまの一閃を浴びさせた。
「くぅ!」
マジックが空中で若干ひるむ中さらに追撃をかけんとばかりに、地に足を着け左に納まっている双剣の片割れをマジックの背に向けて投げつける。
ガキィィィィィィィ!!
マジックの背中のプロセッサに直撃し火花を巻き起こすが、すぐにそれは跳ね返される。だが、損傷はしたはずだ。
衝突した剣は消え去り、すぐ手元に再生し黒刃の双剣を構える。
実のところ双剣にもファーストモード=強化を使っているんだが、光らない。
この事については後で神様にしっかり聞くとしよう。
マジックは先程俺が蹴った家の壁に直立した。
そして俺と同様に壁を蹴るが、マジックは宙に飛び上がり、近くにあった工場の屋根の上に立った。
「消えろ、ゾンビ!!」
先程―――否、それ以上の斬刃を地面に―――俺がいるところに吹き飛ばしてくる。
俺はそれらを無視し一気に路地裏まで駆けていく。後ろからの衝撃で飛ばされそうになるほど、威力は桁違いだった
(さっきまで本気じゃ無かったってことか!)
胸中でそうはき捨てつつも、自分の中での戦いに対する興奮が抑えられなかった。
マジックは荒れ狂ったように周囲の家々にもそれを浴びさせていく。
これ以上は街が持たない、そう確信した俺はやっとの思いで裏路地に入り込むことが出来た。
「壁蹴りはあまり得意なことじゃないが、やるっきゃない!」
裏路地にある空に伸びる無骨なコンクリートに挟まれた道。
幅は2mといったところだろうか。
俺はその壁を蹴り、一気に駆け上がる。
「見つけたぞ!」
そう、こうなることは分かっていた。
遥か上に現れたマジックは急降下し、鎌を構えこちらに向かってくる。
「ばーか」
先と同じ双剣の右の片割れをマジックに投げつける。
マジックはそれに驚くが鎌で容易くなぎ払った。
払われた剣は無骨なコンクリートに突き刺さる。
なぎ払う瞬間に、俺は隙をつきこちらから接近をする。
マジックはしまったという顔をしたがもう遅い。
壁を有効に使い、極限にまで接近していたマジックのあごを思いっきりサマーソルトで蹴り上げた。
「げふ!」
その一撃で長く続くコンクリートの双壁からマジックの身体が追い出される。
俺は突き刺さった剣を即座に抜き、マジックがひるんでいる内に一気にコンクリートの壁から抜け出す。
宙に飛び上がり、左に握る剣をマジックに振り下ろすが、マジックは寸でのところで鎌で一撃を防ぐ。
ガキィィィィィィィィ!
よりいっそう激しい火花が散りつく。
左の重ね合わせている剣に力を加え、その反動で後ろに跳び下がる。
もちろんなことにゾンビパワーがあるからこそ出来る技だ。
俺は家の屋根の上に着地すると、ひざから崩れ落ちた。
今の動きはどうやら身体がついてこれないようだ。
普段ならこんなもんは超回復能力とかでどうにでもなるが、マジックの荒れた攻撃によってたまたま斬刃が空にでも行ったのであろう。
暗雲が一部裂けていた。つまるところ太陽が出現していた。
これ以上は戦闘継続は出来ないかな。
俺が片ひざをついて、空を見上げていると前方からマジックの声がした。
「ここまでの腕とはな、次は確実にしとめる」
マジックはそう言いきびすを返し去っていたのだった。
リーンンボックス教会
「何故にいつもベッドなのだろうか」
俺はキングサイズのベッドに寝転がっていた。
寝転がる理由は身体が動かないからなのである。
(リク君、え~っと...)
頭に響く声。まあ、既に知ってるかもしれないがこの声の主こそが俺をこの世界に呼んだ張本人の神様なのである。
「どうかしましたか、神様?」
部屋に誰もいないので、お口で話すことにした。
(リク君さ、ゾンビ化の際のリスクで、その、戦いきれなかったんだよね?)
「いや、別に戦いきれなかったわけじゃないよ。ただ、惨めにも警備士さん達に保護された挙句、いきなりここにつれてかれただけだけど」
(やっぱり、なんか怒ってる....その、リク君がお日様の元でも活動できるようにしてあげようか?)
「え!?出来るの!?そんなこと!?」
(う、うん。出来るんだけどね...それには多大な時間がかかるとか何とか)
「別に構わないよ!ささ、早速取り組んでくださいな!!」
(じゃ、じゃあ4年後ぐらいだからよろしく!!)
「うん、待ってま~す....って、えぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
(リク君も転送開始!!)
その後俺を襲ったのは、妙な浮遊感だった。
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嵐の中、四天王マジック・ザ・ハードと激しい戦闘を起こすリク。
リクの独特な動きに翻弄されるマジック。
そして、急に訪れる別れの時。物語はまだ始まったばかりだ!