No.475029

リテラエルネルア「プロローグ」8/27修正

ある世界で悪魔狩人として活躍している青年『神崎 暁』が依頼の最中に魔法少女リリカルなのはの世界へと来てしまった。

 史実では有り得ない要素を取り入れてしまった物語はどうなるのか、そして行き着く先の結末とは……

ハーメルンにも投稿しています。

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2012-08-25 07:00:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1835   閲覧ユーザー数:1800

 

 廃墟や瓦礫の山、空は雲が掛かり薄暗いがまだ日中の時間帯だ。

 見た目も酷い惨状のこの景色だ、煤汚れや焦げた匂いが鼻腔を突く。 それはここで大規模な事件が遭ったことを醸し出す。

 

 長いアスファルトで舗装された道があるためここは空港だと予想できる。

 その一角の場所に光が現れ、一際強い輝きを放った後一人の青年が姿を現した。

 青年は金髪で幼さ残る顔立ちではあったがおそらく成人は迎えているだろう。

 服装は見た目は普通だが上着となる服が違う、右側はノースリーブだが左側が袖があり先に行くほど広がって行くデザインだ。 そして最大の違和感が背部に背負い付けてる禍々しい気配を放つ大剣だ。

 「……何処だよ、ここ」

 青年は戸惑いながら辺りを見渡す。

 「……空港か?」

 おかしい。ここまで大きな空港がこうなっているのならば自分が知らない訳がない。

 青年は状況把握のため外に出る。

 「日本、………って訳ではなさそうだな。 ヤバイ、俺パスポート持ってないぞ」

 心配する点がズレている様なので見た目ほど困惑して居ないようだ。

 「!?」

 すると背後から物音が聞こえ瞬時に臨戦体勢に移り、背後に振り向く。

 「…ん? ロボット…だよな」

 青年の視線の先には球体状にコードが伸びているロボットだった。

 【¢&§☆▼¢@$#】

 恐らく故障しているのだろうか機械音を放ちながら上部からベルトを伸ばし青年に襲い掛かる。

 「おいおい、なんなんだよコイツは。 こんなやつ見たことねぇぞ」

 青年は自身の記憶を探るが残念ながら該当する物はなかった。

 「けど攻撃してくるなら、壊させてもらうぞポンコツ」

 

 

 「………次元振動?」

 太もも辺りまである金髪のロングヘアーを先の方で纏めているスーツ姿の女性が通信士からうけた報告を聞き確認する。

 『はい、ミッドチルダ臨海第8空港跡にて微弱ながら次元振動を感知しました。 それに伴い同位置にてガジェット・ドローンの出現が確認されました。 先程シグナム副隊長が出撃されましたが、フェイト隊長にも伝えるようとの事です。 その上で市街地での飛行魔法使用許可がだされました』

 「わかった、直ぐに向かう」

 『ではシグナム副隊長共々、ご無事を――』

 ピッ―

 金髪の女性―フェイトは通信を終えると三角形の形をしたものを取り出し天に翳した。

 すると淡い光に包まれ、光が収まると服装が変わり、髪型もツインテールになっており手には長柄の斧を思わせる機械じみた武器を握っていた。

 フェイトはフワッと浮くと凄まじい勢いで空を飛んで行った。

 

 

 青年はロボット―ガジェット・ドローンの攻撃を避けながら考え事をしていた。

 「(やはり、というかコイツは俺の居た時代にはない技術が使われている。 となるとここは未来の世界か?)」

 

 青年は憶測の域にしかないと首を振り目の前の敵に意識を向ける。

 ベルトアームとコードをくねらせ、それは青年を捉えようと各々軌道を描き向かっていく。

 青年は攻撃を交わし出来た隙にガジェット・ドローンを斬り裂かんと肉薄する。 通常ならこれで決まりだが……。

 

 「あばよ」

 ガギンッ―

 「―――硬てぇ、なら…ウラァッ!!」

 切り裂くことは叶わなかったが強引に振り抜き、弾き飛ばした。 よく見ると彼の腕にはパリッと電気が走っていた。

 飛ばされたガジェット・ドローンは勢いそのまま瓦礫の山に突っ込み埋もれていた。

 「くそ、なんつう強度だよ」

 自身の持つ剣の刀身部分を見つめつつ、何もない空間から朱い装飾銃を手にした。

 「やはり簡単にはいかないか」

 瓦礫の山が崩れ落ちる。 それはガジェット・ドローンが出て来た合図だ。

 右手に持つ朱い装飾銃で狙いをつけ引き金を引く。

 自身の魔力を弾丸に変換した弾は朱い尾を引きながらガジェット・ドローンへ向かう。

 しかし体に当たる前に魔力弾は消失した。

 「あちゃー、障壁持ちかよ」

 近距離では強固なボディに守られ、遠距離では障壁で守られる。 だが、それはそれでやり様はある。

 

 紅い装飾銃を消し、大剣も背負い持つ。

 「我が呼び掛けに応え、今ここに来たれり混ざれ。 『水流』『雷電』」

 青年の呟きに応えるようにガジェット・ドローンの周りに雷を帯びた水流が現れた。

 ここで察して欲しい、水は電気分解するとある物が発生する事を。

 水はH2Oだ、それを電気分解するとHとOが発生する――つまり『水素』と『酸素』だ。

 となると。

 「爆ぜろ」

 青年はその場から下がりながら指を鳴らした。

 すると轟音と地響きを撒き散らしながらガジェット・ドローンを中心に爆発が起こった。

 

 

 「来たか、テスタロッサ」

 フェイトがミッドチルダ臨海第8空港跡に向かっている最中に彼女の見知った人物が視界に入った。 赤紫の長髪をポニーテールにした意志の強そうな女性、シグナムだ。

 「ガジェット・ドローンが出て来たならばもしかしたら次元振動の原因はレリックかもしれん」

 「うん。 けどなんで空港跡になんて」

 「レリック自体が高エネルギーを有しているためだとは思うが……」

 

 二人が現場に急ぎながら会話をしていると。

 【現場付近に生体反応1あり】

 フェイトの持つ武器から無機質だが男性らしき声が聞こえた。

 その直後、前方から爆発が起こり黒煙が上がる。

 「急ぐぞ、テスタロッサ!!」

 「はい!!」

 

 

 「ぷはッ」

 山を築いていた瓦礫から埃まみれの青年が出て来た。 彼は爆風から身を守るため敢えて瓦礫の中に飛び込んだのだ。

 「えぇと? いたいた」

 周りを見渡しガジェット・ドローンの姿を見つけた。 やはり障壁持ちといってもあれだけの爆発の爆心地に居たのだ、当然無事ではなくスクラップ同然のボロボロとなり所々から火花が散っていた。

 「こりゃ驚きの耐久性だな、まだ動いている」

 青年は朱い装飾銃を取り出しガジェット・ドローンに銃口を突き付ける。

 ガジェット・ドローンは青年に攻撃を仕掛けようとするがベルトアームがなくなり、さらにコードも無くなっているためどうしようもない。

 「Jack pot」

 これだけの損傷で障壁が働く訳がない、そう確信し青年は引き金を引くと魔力弾はガジェット・ドローンを貫通し動かなくなった。

 「ったく、人騒がせな。 あぁくそ、人が居そうな場所に移動しないと――」

 

 そう言いながら青年は掌から赤い水晶を出して空に翳し、仰ぎ見たその時。

 青年は敵意を感じとり臨戦態勢に移りながら居場所を捜す。

 

 だが見渡せどもその声の主らしい人物は居ない。 するともう一度声が発せられた、それも予想外な場所から―――

 「我々は時空管理局だ、その手にもっている物と武器を寄越しご同行願おうか」

 青年は声のする方向に、再び取り出した赤い装飾銃の銃口と視線を向ける。

 「(浮いてる? それも二人もか。

 どういうことだ時計塔でもない奴が浮遊魔術を扱うというのは聞いたことがない)」

 「我々は時空管理局の者だ、もう一度言おう。 武器をこちらに渡し我々について来てもらおうか」

 青年の前に居た人物はフェイトとシグナムだった。 

 「悪いがそれは出来ない」

 「それは我々に敵対意識を持つということだな?」

 「そういう訳じゃ無いが……これは俺の仕事道具な訳だから渡せないというだけだ」

 「ちょっとまってシグナム。 貴方は此処で何をしていたのですか?」

 青年とシグナムが睨み合う中フェイトが言葉を挟む。

 「何をしていたって気が付いたら此処にいて、変なロボットが襲い掛かってきたから戦闘になったんだ」

 ほら。と、先程戦っていたガジェット・ドローンの残骸を指す。

 「あのガジェットを倒したのか」

 「ガジェット? しかも時空なんとかってなんだ?」

 聞き慣れない単語に疑問符を浮かべる。

 「……時空管理局を知らないのか?」

 「……なにそれ、それに此処何処よ」

 青年の発言にシグナムはため息を吐き剣に掛けていた手を離す。

 それを確認した青年はもう感じられない敵意に銃を下ろした。

 「ここはミッドチルダ臨海第8空港跡だ」

 「……知らねぇ」

 「ねぇシグナム、彼はもしかしたら次元漂流者かも」

 「可能性は高いな」

 

 「私はフェイト・T・ハラオウンと言います。 良ければ貴方の名前と此処へ来る前の状況をお話していただけますか?」

 フェイトに言われ、青年は少し悩んだ。 だが、情報が乏しい彼にとって状況把握のために有効なものだと判断し、話すことにした。

 「………俺の名前は神崎 暁だ。 ある依頼を受けてとある島へと来ていた。 だがこの不思議な宝石を手にしたら光に包まれたんだ。 そして気が付いたら此処にいたという訳だ」

 「その『ある依頼』というのは?」

 「それは――!?」

 暁の表現が一変、その変化に二人が気づくと辺りの空間がまるでガラス板のような音と共に砕け異形が現れた。

 「こいつらは!?」

 

 「例のアンノウン!?」

 その異形とはボロ布を纏い身の丈ほどの鎌を持ち赤い眼光を放っていた。 そのただならぬ風貌と雰囲気に二人は戦闘体勢に移った。

 「こんなところにまで来たか」

 「貴方はこいつらの事を知っているんですか?」

 「あぁ、受けた依頼ってのが『悪魔の討伐』だ。 そしてコイツらがその『悪魔』さ」

 「悪魔だと!?」

 暁は赤い宝石を消し、新たに空間から翠の装飾銃を取り出すと朱い装飾銃と共に構える。

 「(二丁銃? ティアナと同じ?)」

 朱と緑の装飾銃を見て二人はガンナーなのかと思った。 だがそれでは背部に背負っている大剣が違和感を出しているのでひとまず思考を停止させ得物を構えた。

 「さぁてパーティーの始まりだ!!」

 二人がやる気十分なのを確認した暁は、空に銃を向け銃声をだし戦闘開始の狼煙をあげた。

 

 
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