No.474655

夜天の主とともに  22.のんきなのんびり屋

森羅さん

A's編っす

書き忘れがあったので18話のほうに少し付け加えがあります。

2012-08-24 12:40:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1721   閲覧ユーザー数:1635

夜天の主とともに  22.のんきなのんびり屋

 

 

 

「フェイト大丈夫!?」

 

シグナムによってビルに叩き落されたのを見たユーノはなのはに防護・回復結界を張ってから急いで向かった。そして到着したユーノが見たものは柄が真っ二つに斬られたバルディッシュを抱えたフェイトだった。

 

「ユーノ。なのはは?」

 

「うん。防護と回復の結界を張ってきたから大丈夫だと思うけど。これで当分は‥‥少なくともナリンがくるまではもつはず」

 

「そのナリンがまだ来てないんだよね。もうナリンってばこんな時までのんびりなんだから。これが終わったらお説教してあげなきゃ」

 

「アハハハハ‥‥。(ナリンどんまい)それよりもバルディッシュが‥‥‥‥」

 

「大丈夫。そうだよねバルディッシュ?」

 

〈Yes sir.Recovery〉

 

本体が無事だったためか損壊が激しいように見えたバルディッシュはすぐに元の姿に戻った。そして大穴があいた天井を2人は見上げた。

 

「こっちは負傷してるなのはを含めても4人。あっちは無傷で4人」

 

「しかも能力は未知数。せめてナリンが来れば数の上では互角になれるんだけど…。ユーノこの結界内から全員同時に転送いける?」

 

「アルフと協力できれば多分……」

 

「じゃあ私が何とかひきつけるから。………来る!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し戻る。

 

「で、第2ラウンドになるんだけど誰が誰を相手にする?ザフィーラはもう戦ってるけど」

 

「私はあの黒き斧を持った者と対峙しよう。相手を取るようですまないがそれでいいか健一?」

 

「俺は別に構わないよ。ヴィータは?」

 

「あたしはそうだな……あのなよっちそうな男にする。」

 

「そっかじゃあ俺はどうするかな…。もう戦えそうな人いないみたいだけど」

 

シグナムは自分の顎に手をやり考え込むようにしてから言った。

 

「せっかく身動きの取れなくなった魔導師がいるのだ。魔力を蒐集してくるといい。お前にも時間はそこまで残ってないだろう」

 

「………………」

 

その言葉に健一は急に黙りこんだ。

 

「どうした?何か問題でもあるのか?」

 

「……いや何でもない。まぁ確かにあんまり時間は残ってない。だけどあの娘のところ結界張ってあるな」

 

「なに、防御を壊すのはヴィータとお前の専売特許だろう?それともできないか?」

 

シグナムの挑発のような言葉に健一はニヤリと笑った。

 

「そこまで言われたら是が非でもあの結界をぶっ壊すよ。なぁジェナ?」

 

〈ja!!〉

 

「では行くとしよう。我々の願いのために」

 

「「おう!!」」

 

それを合図に3人は一気に各々の標的へと向かった。途中ユーノがなのはへと向かう健一を止めようとしたがそれもヴィータに妨害されあえなく断念。

 

それをわかっていたのか気にせずむしろさらにスピードを速めてなのはへ接近した。結界の中で顔を強張らせているなのはが見え健一は決心が揺らいだがそれも一瞬でそのままジェナで渾身の一撃を入れた。

 

ゴガァァァン!!!と拳と結界がぶつかり合った瞬間周囲響いたが結界は依然としてそのままだった。

 

(さっきの金髪の子より大分堅いな)

 

「ジェナ、カートリッジロード」

 

〈Explosion〉

 

右腕からカートリッジが排出され健一の魔力が跳ね上がり右拳には風が纏う。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

その状態からさらにジェットで加速した攻撃は一撃で結界を破壊した。

 

健一はそのままゆっくりとビルに降り立った。あとはなのはを気絶させるなり昏倒させるなりさせて蒐集すればそれで完了だ。なのはは先ほどから俯いている。

 

「……恨みはないけどやらなきゃいけないことがある。だから魔力はもらうよ」

 

拳を振り上げその一撃はすさまじい速度でなのはの腹へと向かい、

 

「もしかして……時野健一君?」

 

その拳はあと数センチというところで止まった。

 

「うん、そうだよ絶対そう。あなたは私の友達の時野健一君なの」

 

「………なぜそう思う?会話中に俺の名前を聞いたのかもしれないがただの偶然かもしれないぞ。」

 

「確かに名前はそうかもしれないけど姿かたちも、その眼も、そして声が健一君なんだもん」

 

なのはがしゃべるたびに健一の顔は俯いてきその表情はすでに掴めない。

 

「………その根拠は?」

 

「友達だから!」

 

なのはと健一の周囲は静かに遠くで衝撃音がいくつも聞こえる。数秒後、その静寂を破ったのはため息をついた健一だった。

 

「全く高町さんには敵わないなぁ。確かにそうだ、俺は時野健一だ」

 

そう言いながら健一は鼻まで覆っていたインナーシャツのようなものを首まで下げ苦笑いしながらその顔を露わにした。

 

「やっぱり。でもなんで?なんで健一君がこんなことをしてるの?魔法のことだったら私が‥‥いやみんなも助けてくれると思う。だから話しt「悪いけどそれは話せない」えっ?」

 

すでに健一はさっきまでの苦笑いを引込め、先ほどまでのいわゆる戦闘モードの表情へと戻っていた。

 

「俺たちがやっていることは誰にも話せないし話すつもりもない。それがたとえ高町さんでもだ。そして俺たちは魔力がいる、それも大量の魔力が」

 

右腕のナックルが薄緑に光り風が纏われていく。ゆっくりと拳を腰に溜めて狙いを定める。

 

「だから……ごめん」

 

その拳をなのはが有無をいう前に振りかぶり―――――突然飛来した魔力弾によってジェットナックルが大きく横に弾かれた。

 

「!?」

 

すぐに周囲を見渡しさらにジェナにも索敵させたが確認されなかった。よほど距離が離れているようだ。だが魔力弾がジェナに当たった角度で大体の位置は掴めていた。

 

どうせこの高町さんは動けないのだから先に不確定要素から潰そうと弾かれた方向から位置を逆算し動いた。

しかし次の瞬間、

 

「おごっ!?」

 

魔力弾が飛んできた方向とは真逆から複数の魔力弾が飛んできたのだ。着弾する直前で威力を倍加されたそれは健一の背後を襲い予想外だったのも相成ってその衝撃になされるがままにビルへと吹き飛ばされた。

 

同時刻、同じようにシグナム、ヴィータ、ザフィーラのところにも長距離からそれぞれ複数の魔力弾が牽制するかのように飛来し無理やり距離を取らさせた。

 

『あ~聞こえとるかいなみなはん。遅れてしもぉた、堪忍な』

 

「これはもしかして!」

 

「はぁ~やっときたのかいあののんびり屋は」

 

「‥‥待ってたんだよ」

 

驚いたような声、呆れたような声、少し怒ったような声。それぞれ三者三様の反応をするがその表情には笑みが浮かんでいた。

 

『ナリン・ノーグルの登場やで!!』

 

 


 
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