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魔法少女と竜と漆黒の狂戦士と A's編 空白期 十二話

訓練風景です。

2012-08-24 12:32:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6092   閲覧ユーザー数:5450

 

 

 

     火災から少しの時間が経つ。零冶は今日も訓練生達をしごいていた。

 

 

零冶  「そこ!足を止めるな!!キリキリ走れ!!止まると腕立て100回追加だぞ!!」

 

 

訓練生1「はぁ・・はぁ・・はぁ!き、キツイ・・・。」

 

 

訓練生2「お、鬼だわ・・・。」

 

 

訓練生3「り、理不尽だ。」

 

 

     訓練生は一生懸命に走る・・・・・・2時間ぶっ通しで。

 

 

零冶  「よし、そこまで!10分間の休憩の後、組み手を1時間行う!」

 

 

訓練生1「ひえ~~、容赦無ぇよ!」

 

 

訓練生2「うぅ・・・足が棒になってる・・・。」

 

 

訓練生3「ひ、人でなし・・・。」

 

 

     本当に頑張っている訓練生だった。そして訓練が終了し、訓練生達はいつもの如く真っ白に燃え尽きていた。

 

 

     だが、例外もいた。

 

 

エリス 「ユンカース教官!」

 

 

    訓練が終了し、部屋に戻ろうとした零冶の所へキャシーを含めた10名が駆け寄ってきた。

 

 

エリス 「お待ち下さい!ユンカース教官!」

 

 

零冶  「ん?ぞろぞろと集まって、どうした?」

 

 

ギンガ 「教官、今日もお願いしたいのですが・・・?」

 

 

零冶  「ああ、アレか。・・・いいだろう。」

 

 

     そう言うと零冶達はシミュレータールームへ向かった。

 

 

零冶  「さて、今日もいつも通り、俺に一本当てるかデバイスを使用させたら勝ちでいいな?」

 

 

みんな 「はい!」

 

 

     数ヶ月前、零冶の強さに魅入られて心を入れ替えた4人、エリス、バライカ、キール、ヘンリーとA・B・C班のギンガ達が

     自主的に訓練をして欲しいと言ってきた。零冶は少し悩んだが、翌日の訓練に支障を来さない程度なら相手することを

     承諾した。

 

 

     ただ、最初はキールやヘンリーはいなかった。気にくわなかったからだ。だが、そんな感情も零冶と過ごすにつれて

     自分がどれだけ稚拙な態度を取り、恥ずかしい事を実感していった。

 

 

     そうしてヘンリーとキールはエリス達の訓練している所に零冶に頭を下げてお願いした。

 

 

キール 「お願いします!俺たちにも訓練してください!!」

 

 

ヘンリー「自分たちがどれだけ恥ずかしい事をやっていたのか実感しました。とても愚かなことをしたと思っています!ですから、

     お願いします!!」

 

 

     零冶は2人が改心したことに驚きもあったが嬉しくもあった。そして、2人を訓練に加える事にしたのだ。

 

 

     そして、A・B・C班の奴等がその光景を見て、自分たちもやって欲しいと言ってきて今に至る。

 

 

零冶  「先ずはエリスとバライカからだ。せあっ!!」

 

 

     零冶はそういうと開始の合図も出さずに攻撃した。だが、その攻撃も2人は難なく躱した。

 

 

エリス 「やあっ!はああああああ!せい!!」

 

 

     エリスはレイピアで刺突を繰り出し、高速で突く。しかし、零冶はそれを無駄な動きを一際せずに躱す。

 

 

バライカ「・・・ふっ!!」

 

 

     そこへ、零冶の左側面に回り込んだバライカのストレートが放たれる。零冶は跳躍して回避する。そして、空中で縮地を使い、

     バライカに踵落としを仕掛けた。

 

 

バライカ「っく!危なかったわ・・・。」

 

 

     しかし、持ち前の反射神経でギリギリで躱した。そして、バライカとエリスの額に汗が流れ落ちる。

 

 

エリス (バライカ、アレを試してみますわよ!)

 

 

バライカ(OK。アレね。)

 

 

     すると、2人は縦に並んで零冶に突撃する。前はバライカ、後ろはエリスだ。そして、バライカが零冶にストレートを放つ。

 

 

零冶  「無駄なことをっ!?」

 

 

     しかし、それはフリだった。バライカは零冶の股をスライディングして通過する。そこにエリスが迫ってきて突きを

     繰り出すと思いきや、

 

 

零冶  「っく!?突きじゃない!?」

 

 

     エリスは横薙ぎに一閃した。零冶は後ろに回避するしかなかった。そして、回避した先には

 

 

バライカ「せあっ!!」

 

 

     スライディングしたバライカが両手で地面に着き、逆立ちしながら回転して蹴りを繰り出していた。所謂カポエラだった。

 

 

     そして、バライカの蹴りが零冶の顔面に迫っていく、

 

 

 

     ガッ!

 

 

 

バライカ「なっ!?」

 

 

零冶  「惜しいな。」

 

 

     だが、零冶は左腕でガードした。そしてバライカの足を掴み、

 

 

零冶  「そらよっ!!」

 

 

バライカ「きゃあ!!」

 

 

     エリスに向かって投げ飛ばした。

 

 

エリス 「え?あ、ちょ!?」

 

 

     エリスは避けるわけにもいかず、バライカを受け止めた。そして、

 

 

     ビシッ! ビシッ!

 

 

2人  「きゅぅ~~。」

 

 

     頭に手刀を入れられて気絶した。

 

 

     しばらくして2人は目を覚ましたが、少しガッカリしていた。

 

 

エリス 「うぅ、いけると思いましたのに・・・。」

 

 

バライカ「やっぱり即席のコンビネーションではダメですね・・・。」

 

 

零冶  「いや、そうでもないぞ?中々面白いコンビネーションだったぞ。それに、まだまだ改良出来るしな。」

 

 

2人  「・・・え?」

 

 

零冶  「短すぎるんだよ。バライカが放ったカポエラの次の次まで回避される事を前提に練習していけば、あのコンビネーションは

     完成する。まあ、カポエラまでの連携技でも初見ならAAAランク魔導師までなら通じるだろうからな。」

 

 

     零冶はそう言って2人の頭を撫でてポンポンッと叩いた。

 

 

零冶  「期待しているぞ?」

 

 

エリス 「え?あ、えへへ・・・///」

 

 

バライカ「・・・///」

 

 

     エリスは少し嬉しそうにしながら顔を赤くしてふにゃける。バライカは俯いて顔を赤くしていた。零冶はそんな2人の

     表情には気付かない。

 

 

キール 「・・・っけ、誑しめ!」

 

 

ヘンリー「あそこまで来ると最早、呪いだな・・・。」

 

 

     キールは少し恨めしそうにして地面に唾を吐き、ヘンリーが呆れていた。

 

 

ギンガ 「・・・むぅ。」

 

 

キャシー「2人ともずるいですぅ~。」

 

 

     何故かギンガとキャシーは面白く無さそうにしていた。

 

 

零冶  「それじゃ、次はギンガとミューだ。」

 

 

ギンガ 「教官!」

 

 

     しかし、零冶が始めようとするとギンガが止めた。

 

 

零冶  「ん?何だ?」

 

 

ギンガ 「あの・・・デバイスを使っている教官と戦ってみたいです!。」

 

 

ミュー 「ふぇえええ!?」

 

 

     ギンガの言葉にミューが驚く。そして、慌ててギンガを止めた。

 

 

ミュー 「ちょ、ちょっとギンガさん!そんなの勝てるわけないじゃないですか!!」

 

 

ギンガ 「それは解ってるわ。でも、教官の本当の強さを知りたいの!お願いします、教官!」

 

 

零冶  「俺の強さを知りたい・・・か。・・・全部は見せられないぞ?それと、俺対全員でやることが条件だ。いいな?」

 

 

ギンガ 「っ!ありがとうございます!」

 

 

ミュー 「あうぅぅ・・・ギンガさん、余計なこと言わないでよ~。」

 

 

キャシー「あら~、教官の本当の強さが見れますのぉ?これはラッキーですねぇ。」

 

 

ルイン 「ふふふ、楽しみだ。」

 

 

ジュドー「ひぇ~、大丈夫かなぁ?」

 

 

ユーリ 「おっしゃ!絶対勝ってやるからな!!」

 

 

ヘンリー「・・・勝てるのか?」

 

 

キール 「いや、無理じゃね?」

 

 

     一応皆はやるようなので、零冶はルナを使うことにした。ちなみに、エリス達は見学だ。

 

 

零冶  「ルナ、デュアルソード。」

 

 

ルナ  [了解、ブラックウィング!]

 

 

     デスギアSのバリアジャケットを展開し、夜天連刃【黒翼】を構えた。

 

 

ギンガ 「っ!?これが・・・教官のバリアジャケット・・・。」

 

 

ヘンリー「悪趣味だな。」

 

 

キール 「気味悪ぃな。」

 

 

ユーリ 「俺と同じ双剣使いかよ。」

 

 

ミュー 「こ、怖いです~・・・。」

 

 

キャシー「あらあら~、とっても強そうねぇ。」

 

 

ジュドー「なんだか禍々しいなぁ・・・。」

 

 

     一部酷いコメントがあったが、零冶は気にしない。そして、零冶は深呼吸して構え、

 

 

零冶  「さぁ、惨劇の始まりだ!」

 

 

全員  「はあああああ!!」

 

 

     始めた。

 

 

     それから5分後、当然零冶に勝てるはずもなく、ギンガ達はボコボコにされていた。ギンガを除いた全員は気絶している。

 

 

ギンガ 「はぁ・・・はぁ・・・はぁ!か、勝てる気が全くしないわ・・・。」

 

 

     ギンガはペタンッと地面に座り込んでしまった。

 

 

エリス 「まさに鬼神の如くでしたわ・・・。」

 

 

バライカ「それにしても、えげつない攻め方だったわね・・・。」

 

 

     零冶は常に相手の死角から攻め込み、一撃で撃破していた。その見えない攻撃にギンガ達は恐怖してやられていった。

 

 

零冶  「教官が負けるわけにもいかないだろう?さて、今日はここまでだ。エリス、バライカ。こいつらを運ぶのを手伝ってくれ。」

 

 

エリス 「分かりましたわ。」

 

 

バライカ「仕方ないわね。」

 

 

     2人はそう言ってギンガ以外を部屋に運び出した。そして、ギンガは未だに座ったままだった。

 

 

零冶  「ん?ギンガ、ケガでもしたのか?」

 

 

ギンガ 「い、いえ・・・その、足が震えて・・・立てないんです・・・。」

 

 

     どうやらギンガは先の模擬戦の恐怖が未だに残っているらしく、立てなかった。

 

 

零冶  「仕方ない、運んでやるか・・・。」

 

 

ギンガ 「え?あ、いいです!自分で立てきゃっ!!」

 

 

     零冶は遠慮するギンガを無視して抱き上げた。

 

 

ギンガ 「え?あ、きょ、教官!?な、何を!?」

 

 

零冶  「じっとしてろ、運んでやるだけだ。俺も少し調子に乗ってやり過ぎてしまったしな。」

 

 

ギンガ 「あぅ・・・あ、ありがとう・・・ございます。///」

 

 

     ギンガは顔を真っ赤にして縮こまった。今まで同い年の男性と接点が無かったため、余計に緊張してしまう。

 

 

エリス 「ああーー!!ちょっとギンガ!!何故あなたがそんなうらやmもとい、そんな格好をしているのですか!?」

 

 

バライカ「抜け駆けは感心しないわね。」

 

 

     そこへ他のメンバーを運んでいた2人が戻ってきた。

 

 

ギンガ 「え、エリス!?それにバライカも!?」

 

 

零冶  「ああ、2人ともご苦労だったな。丁度ギンガを運ぶ所だったんだ。」

 

 

バライカ「ならば私達がギンガさんを運びますので降ろして頂けませんか?」

 

 

ギンガ 「え!?」

 

 

零冶  「ん?いいのか?他の奴等を運んだのだから、疲れているだろ?」

 

 

エリス 「いえ!問題ありませんわ!」

 

 

零冶  「だそうだ、ギンガ。それでいいか?」

 

 

ギンガ 「え?あ、私はこのままが・・・」

 

 

エリス 「ギ・ン・ガ・さ・ん?まさか教官の手を煩わせようとは思っていませんわね?」

 

 

バライカ「・・・・・・・・・・。」

 

 

     エリスのもの凄い気迫でギンガに顔をズイッと前に出す。また、バライカのこめかみに青筋が浮かんでいるように見えた。

 

 

ギンガ 「うぅ・・・。はい・・・お願いします。」

 

 

     エリスの気迫とバライカの無言の圧力に屈したギンガであった。

 

 

零冶  「?そうか?じゃあ頼むな。」

 

 

     そうして零冶はギンガを2人に渡した。そして、部屋に戻る途中までエリス達と話をしていた。

 

 

エリス 「ところで教官、教官がこの訓練学校で噂になっていることをご存じですか?」

 

 

零冶  「ん?俺の噂?聞いたことが無いのだが・・・。」

 

 

バライカ「この訓練学校が設立して以来、最年少で教官に就いた人、ゼロ・ユンカース。黒髪で瞳は紅く、容姿も抜群で訓練には

     厳しいが優しくもあるイケメン教官。しかも歳は自分たちと近い。学校中の女子は教官の噂で持ちきりです。」

 

 

零冶  「し、知らなかった・・・。」

 

 

エリス 「そして、ユンカース教官のファンクラブまでできてしまう始末ですわ。まったく、少しは訓練生らしく訓練に

     集中できないものですか。」

 

 

     ハラリッ・・・。

 

 

     エリスがそう言っているときに懐から一枚のカードが落ちた。

 

 

バライカ「エリス?何か落ちたわ・・・・よ・・・?」

 

 

エリス 「へ?」

 

 

     バライカはそのカードを見て固まった。そこには

 

 

     ゆんかーすファンクラブ会員証 会員No.00006 と書かれいてた。しかもゴールドで。

 

 

エリス 「きゃあああああああ!!?」

 

 

     エリスは悲鳴を上げながらバライカからカードを取り返した。バライカはそんなエリスに冷たい視線を浴びせた。

 

 

バライカ「エリス・・・・。」

 

 

エリス 「ち、違うんですの!こ、これは、その・・・///」

 

 

バライカ「エリス、他人のこと言えないわよ。貴女こそ訓練に集中するべきでは「バライカ、ポケットから何か落ちたぞ?」え?」

 

 

     零冶が言って、バライカのポケットから落ちたカードをエリスが素早く拾うと、そこには・・・

 

 

     ゆんかーすファンクラブ会員証 会員No.00001 と書かれている。ちなみにプラチナだった。

 

 

零冶  「・・・・・・。」

 

 

エリス 「・・・・・・。」

 

 

ギンガ 「・・・・・・。」

 

 

バライカ「あ、そ、その・・・・これは・・・・。」

 

 

     3人は言葉を失い、バライカは必死にいい訳をしようと考えていたが、パニックになって頭の回転が追いついてなかった。

     カードの色はゴールドが№4~6、シルバーは7~10 11~20がブロンズ。21~が黄色である。

 

 

     プラチナは勿論№1~3である。

 

 

     つまり、№1はファンクラブを設立した人物であり、会長でもある。

 

 

バライカ「わ、私はこれで失礼します!!!」

 

 

エリス 「あ!こらー!!バライカーー!!お待ちなさーーーい!!!」

 

 

     そして、バライカは逃走した。エリスはギンガを抱えたままバライカを追いかける。だがギンガはその時、何も言えなかった。

 

 

ギンガ 「(い、言えない・・・。私も持っているなんて言ったら・・・・エリスに殺されちゃう。)」

 

 

     実はギンガも会員だったりする。ちなみに、№00401だ。そして、零冶が1人取り残された。

 

 

零冶  「・・・・・・・一体何だったんだ?」

 

 

     零冶は呆然として、走り去った3人を見ていた。

 

 


 
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