No.474532

いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した

たかBさん

第五十三話 本気でいろんな人に謝ろう。

2012-08-24 01:22:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:9394   閲覧ユーザー数:8312

 第五十三話 本気でいろんな人に謝ろう。

 

 

 

 外部からの刺激……!

 それが俺達の力になる…!

 

 

 (…これは、まさか)

 

 

 そうだ、俺が…。それこそが、それを俺達が…!

 

 

 (ガンレオンの…)

 

 

 どM!(へんたい)だぁああああああ!!

 

 

 

 「謝れぇえええええ!俺だけじゃなく、ガンレオンやいろんな人に謝れぇええええええええええ!!」

 

 俺は自分が寝かしつけられていたベッドを蹴り上げるかのように起床した。

 アリシアとプレシアの責め苦に耐え切れなくなった俺の意識はそこで意識の手綱を手放していたらしい。

 短い間だが俺が見た夢では俺を無限極(どM)に落とそうとしやがった。夢を終わらせるために俺は跳ね起きた。

 クロノ曰く、俺の声を聴いた彼は急いで医務室に突入。そこで見た俺はかなりやばかったらしい。主に精神が…。

 何でも、光の灯っていない目を見開きながら寝ていた(気絶していたともいう)俺は寝言で『アリシア…。可愛いよ、アリシア』と、苦しそうに寝言で何度もつぶやいていたらしい。

 …本当に危なかったみたいだ。

 中でも一番やばいと思ったのが。

 

 『ははは。うははははは。ちょーちょさんだー♪』

 

 と、寝言をほざいていた。

 ついにはボケたかと思ったら…。

 

 『この蝶々アリシア可愛いよぉおおおお!

 さすが、プレシア・テスタロッサがお母さん!』

 

 と、意味不明なことをほざいていたらしい。

 

 

 ○光蝶である!

 

 

 …本気でいろんな人に謝ろう。

 主に機動戦士辺りの関係者に…。

 

 

 「…で、何の集まり?」

 

 改めて、俺のベッドの周りを見渡す。

 テスタロッサファミリーを皮切りに、

 俺のいる医務室の中にはクロノとリンディ艦長とアリアさん。

 民間協力者のなのは。ユーノ。

 八神ファミリー。

 リンディ提督とアリアさんに挟まれて車椅子に乗ったクロウ。

 なんかクロウの方はやつれきっているように見えるな。なんて考えていたら、

 

 「俺のスフィアを!『揺れる天秤』を返せぇええええ!」

 

 「おちつけクロウ!」

 

 「クロウ君落ち着きなさい。あなたのスフィアはブラスタの中にあるはずでしょう!」

 

 俺に掴みかかってきたクロウをハラオウン親子が抑え込む。

 …は?スフィアを返せ?俺はお前から奪った覚えはないぞ。

 それからクロウの話を聞いていくと、あの暴走体を吹き飛ばした後スフィアの様子がおかしい事に気が付いたクロウ。

 ブラスタでスフィアの事を調べようとしたらSPIGOTが使えなくなっていたらしい。

 それだけじゃない。

 いつも感じていたスフィアの感触がしないだそうだ。

 それもスフィアの恩恵を受けていただろうブラスタから漲る力も感じなくなったそうだ。

 

 「…てか、お前。スフィアを常用していたのかよ」

 

 ハイリスク・ハイリターンのスフィアをよく使うな…。

 

 「うるさい!使えるものは使う!でなきゃ死んでいたかもしれない場面もたくさんあったんだ!」

 

 …まあ、そうだよな。

 まあ、それは横に置いておく。

 

 「スフィアの使用が不可か…。逆ならあり得るんだけどな…」

 

 「…逆?」

 

 俺の言葉に興味を示したのはクロウと俺以外のスフィアリアクターのリインフォースだ。

 しかしよく見れば見ると美人だ。

 てか、俺の理想のお姉さま銀髪バージョンだ。

 

 「俺の。…ガンレオンの中にあるデータには他のスフィア。『尽きぬ水瓶』のスフィアなんだが…。発動条件が『慈悲』という他者を思いやる心の持ち主じゃないと使えないスフィアがある」

 

 「それが俺の『揺れる天秤』とどう関係がある!!」

 

 まくしたてるクロウを見て、俺は自分で建てた仮設を話すかどうか迷っていた。

 クロウの事を思って優しい仮説()を吐くべきか?それとも厳しい仮説(真実)を教えるべきか?

 

 「とっと教えやがれ!」

 

 あまりにもふてぶてしいクロウの態度にプッチンプリン。

 …ここまで我慢してきた俺は凄い

 厳しい仮説を伝えることに決定!そもそもこいつにそんな義理立てをする必要もないのだ。

 

 「クロウ。お前はスフィアに見限られたんだよ。『揺れる天秤』にな」

 

 『尽きぬ水瓶』の発動条件は見返りを求めない完全な『慈悲』の心。

 それは文字通り、我が身を砕き、その身をスフィアに捧げ、それでいながらその力を用いて助けようとした者からは何も求めない。例え、それがその者から見捨てられ、馬鹿にされようとも、『慈悲』を与えようとする高潔な志に目覚めないとスフィアは発動しない。

 

 ならば。逆もあり得るのではないだろうか?

 

 ここからは俺の仮説だ。

 アサキム曰く『選択』することが『揺れる天秤』の増長を促す。しかし、クロウはその力に溺れて『選択』することなく自分の思うが儘に使ってきた。

 それにより『選択』の意志を力とする『揺れる天秤』は糧を失いながら力を使い続けた結果。『揺れる天秤』のスフィアは停止に追い込まれた。

 再び活動するにはより強い『選択』の意志が必要になるだろう。

 

 あの闇の書への暴走体への攻撃時にクロウには二つの選択肢があったはずだ。

 おそらく、

 

 

 『僅かな希望に全てをかけて闇の書の暴走体に攻撃』。

 

 『絶対的な絶望を感じながらこの地球から逃げる』。

 

 

 またはそれに同等の選択肢が。

 だが、クロウは現実から目を逸らし、この二つの選択肢のどれも選択することなく諦めた。別に上の二つ以外の選択肢もあったのかもしれない。だが、『選択』しない。いや、出来なかったクロウをスフィアは見限って眠りについた。と、俺は伝えた。

 

 「…違う。違う!俺は悪くない!お前が!お前が奪ったんだ!」

 

 クロウは心当たりがあったのか。それでも認められないのか俺に食ってかかる。

 というか、俺よりアサキムを疑えよ。俺はもう『傷だらけの獅子』のスフィアでお腹いっぱいです。てか、これ以上スフィアなんかいらないよ。てか、扱える自信もないよ。

 

 「俺に何のメリットがある?アサキムの事もあるんだ。お前からスフィアを奪って戦うよりそのまま戦う方がまだいいだろう?」

 

 「…違う!お前は俺からなのはやフェイト達を遠ざけたいだけだろう!」

 

 「「っ?!」」

 

 クロウの言葉に周囲にいた皆の目がまるで腫物を見るかのような目付きに変わる。

 特に彼といた時間が長かったなのはとユーノは顕著だった

 

 「むしろ遠ざかりたいよ。俺はそれを望んでいた頃もあったし…」

 

 一時期、フェイトと目を合わせるたんびに胃が痛かったんだから!

 今でも時々痛むんだからね!

 今でこそ普通に話せているが、フェイトの養子の事が済んだら、今後プレシアやアリシアと暮らしていく俺は心と胃を痛める。

 最近、ジェネ○ックの胃薬と精神安定剤を入荷したんだから!

 

 

 『薬漬けの獅子』。

 …嫌だ、そんな獅子。

 

 

 「そうやって気が無いふりをしてお前は!」

 

 「…やめてよ」

 

 クロウがまだ何かを言い続けようとしたがなのはが震える声でクロウに声をかける。

 

 「…なのは?」

 

 「…もうやめて。…クロウ君。私、もうそんなクロウ君見たくない」

 

 涙を流しながらクロウにそう伝えるなのはを見たクロウは顔を青くする。

 まるで何か重大なミスに気が付いたかのように…。

 

 「な、のは。これは違、う」

 

 「…ごめん。私、先に家に帰る」

 

 なのはは力無くうなだれながら医務室を出ていった。

 その様子を見ただけでわかる。

 なのははきっとクロウの事が…。だが、今のクロウを見た瞬間にそれが一気に冷め切ったのだろう。

 

 「…な」

 

 「なのはっ」

 

 なのはが出ていって数瞬後、何かに気が付いたかのようにユーノがそれを追う。

 クロウはなのはに声をかけようとした状態で固まっていた。が、次の瞬間にクロウはブラスタを展開していた。

 

 「お前の所為でぇえええ!…ガッ」

 

 俺に向けて銀色の銃口を向けようとした瞬間にクロノとアリアの拘束。さらにシャマルのクラールヴィントでブラスタを拘束。そして、シグナムのレヴァンティンでクロウの首筋にあたる部分に振り降ろして気絶させた。

 

 「…なんとなく、こんなことになるんではないかと思っていたが本当にするなんてね」

 

 「まったく。まさかと思っていたことをするもんだね。この子は…」

 

 「ですが。…これで彼からスフィアを切り離す条件が揃いました」

 

 「全くだな。こいつにスフィアとやらの力は強すぎる」

 

 各々がクロウについてダメ出しをする。

 てか、お前等。今、俺を餌にしただろう。

 そんなことを考えていると気絶したクロウの手元から零れたブラスタ(待機状態)が俺の足元に転がってきた。

 これも縁という奴なのか…?

 俺は待機状態のブラスタを拾い上げる。

 主を見限った『揺れる天秤』が弾いた天井に設置された蛍光灯の光が、なんだかとてもくすんでいるようにも感じられた。

 


 
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