人が一番輝いているのは、恋人の時間だと私は思う。

そして、恋人関係になると人の性格は大きく変わりやすい。

彼女もその一人だ。

彼女は恋人が出来ると、ある日課が当たり前になっていた。外側から見ればそれは依存と中毒ともとれるが、内側からは当たり前であり、永遠にしたいと思うほどになっていた。

「いやいや、永遠にしたいなんて思わないぞ！？」

クリスティアーネ・フリードリヒは顔を真っ赤にして否定する。

「あ、そうなんだ。それじゃ、今日から別々の部屋で寝よう」

直江大和は、そう言うとクリスを部屋から追い出した。

「なっ！？　……ふん。そうだな、今日から別々の部屋で寝よう」

クリスは大和に追い出された事に腹が立つつも別々の部屋で寝ることを宣言した。

その日の夜。

「ねぇ―――まゆっち？」

父親手作りの喋る黒い駿馬の携帯ストラップ松風が、黛由紀江に尋ねた。

「なんですか松風？」

壁に耳を当てながら返事をする。

「今日はやばくね？　あれ完全服従だよクリ吉」

由紀江はため息まじりで答えた。

「大和さんの性格やテクニックを考えると自然ですね……」

人が一番輝いているのは、恋人の時間だと私は思う。

そして、恋人関係になると人の性格は大きく変わりやすい。

なんせ、本人でさえも知らなかった世界が開くのだから……。