「お母さん!!」
「あら、デュナと……リィナじゃない!!」
ヘレスナ・リュベル一等陸佐を含む管理局員が居なくなったのを確認して、家の中に入ろうとしたシルフィア姉妹の母親をデュナが声をかけて足を止め、シルフィア姉妹の母親は振り向き、目の前に娘二人が帰ってきたことに驚いていた。
特にリィナはここ最近帰ってきていなかったこともあり、リィナが帰ってきたことに特に驚いていた。先ほどデュナが言った通り数年間仕事で忙しいからと言っていたので、当分は帰ってこないだろうと思っていたのである。
シルフィア姉妹が母親に向かって走っているのを見ながら、フィルノは突然なのはの耳に近づいて話しかけてきた。
「……なぁ、シルフィア姉妹の母親って若く見えないか?」
「それは私も思ったけど、お母さんも全く若さが変わってないからな」
「え!? それってなのはのお母さんは相変わらずあの容姿で若さを保っているのか!?」
「うん、そうだけど?」
フィルノは、この世界はおかしいだろと思ってしまい、つい顔に手を置いてしまうのだった。どうして自分の身の回りの母親は若いのだろうかと。
実際、シルフィア姉妹の母親を容姿的から年齢を考えると二十代にしか見えず、シルフィア姉妹の年齢からして最低でも三十代後半の年齢だという事になるのである。それなのに二十代くらいの若さを保っていることに驚いたのである。
ちなみに、フィルノが驚いていた理由は自分の母親もなのはとシルフィア姉妹の母親と全く同じで、生きているまでかなり若く思えたのである。ちなみに母親が生きていた年齢なのでフィルノが十歳の時の話で、また当時のフィルノの母親の年齢は39歳と言う年齢であったりする。
「それで、そちらの方たちは……あぁ、大体察したわ」
シルフィア姉妹の母親はなのは達の方を向いて名前を聞こうとするが、自分の娘と一緒に行動しているという事は先ほどの管理局員の内容と一致したのでなんとなく分かったのである。
「とりあえず、中に入ってもらえるかしら、あなたたちがここに来た理由もなんとなく分かりましたから。高町なのはさんは少し話した後でちょっと私と来てもらう必要がありますが」
「あ、はい」
名前もまだ教えてもいないのに、突然名前を呼ばれたことになのはは驚くのだった。
そしてなのは達はシルフィア姉妹の後に続いてシルフィア姉妹の家へと入るのだった。
家の中に入るとある一室に連れて行かれ、適当にテーブルに座っていてとシルフィア姉妹の母親に言われたので全員座ることにした。
それからシルフィア姉妹の母親が紅茶を全員に注いできて、紅茶カップをそれぞれ座っている前に置いて行き、置き終わると自分も空いている椅子に座るのだった。
「まず、私の名前はアリス・シルフィア。もう分かっていると思うけど、デュナとリィナの母親であるわ」
「フィルノ・オルデルタです。そちらが……」
「高町なのはね。あなたたちの名前は管理局から指名手配までされているから有名よ。そこの金髪の彼女の名前は分からないけど……」
「彼女はアリシア・テスタロッサです。それで、俺たちがここに来た理由は分かっているのですか?」
アリシアの名前はまだ指名手配までされていないので知って居なかったが、自分たちの名前を知っており、ここまで動じていないという事は、何のためにこの場所に来たのか大体分かっているような感じだった。
動じないのは自分たちの妹たちが指名手配と誘拐扱いにされているからというのもあるからかもしれないが、それでもアリスがなのはたちを最初に見た印象は、外道のような人間ではないと思った。
どちらかと言えば管理局に裏切られ、今の管理局を変えなければならないという思いが全員から感じられたのである。思いの差はそれぞれ違うが、娘たちも自分たちの意志で共に行動しているのだと分かったのだ。
指名手配や誘拐扱いをされているにも関わらず、どうしてここに来たのかという事を考えればすぐに分かったのだ。ちなみに誘拐扱いにされているのはリィナである。
「えぇ、だから先ほど高町なのはさんに後で来てもらうところがありますと言ったのですから」
「……その言い草だと、私が誰の末裔なのかという事が分かっているのですか?」
なのはは、自分が末裔だと分かっていたという事は今までの事が見られていたのではないかと思って不安になっていた。
「その通りよ。一応、私たちは誰が聖王の末裔かというのを調べているのですからね。あなたの事は生まれたときから知っていましたよ。さすがに何をしていたのかまでは分かりませんがが」
「……それなら良かった。今までの事が他人に見られたらさすがに嫌だと思いましたし」
「さすがにそこまではしないよ。聖王の末裔が今どこにいるのかというのを調べるだけだから。それにそこまで調べることはできないからね」
アリスの言葉を聞いて、なのははホッとしていた。自分の事をずっと見られていたとなると誰だって嫌だと思うだろう。
「さて、そろそろはじめましょうか。ここから先は聖王の末裔とシルヴェルンの末裔しか行かせることはできないから、デュナとリィナ、そして高町なのはさんの三人だけが来てください。それ以外はここで待っていてくれませんか」
「それは他人に見られて後世に伝えられたら困るからですか?」
「その通りよ。それに今までなかったことでもあるし、どうなるのかも私たちには知らない。知っているのは聖王の力を覚醒させるためのやり方を知っているだけだから」
「分かりました。アリシアと二人でここで待ってます」
「お願いね。それじゃあ。行きましょうか」
アリスはフィルノとアリシアをここで待たせ、なのはとシルフィア姉妹を連れて移動するのだった。
アリスが歩いていた先はこの家のかなり奥の方へ行き、あるドアの前に立ち止まるのだった。そのドアはかなり厳重で、鍵が幾つも掛けられており、さらにはその鍵にはすべて鍵穴というものが存在していなかった。
「このドアって、そういえば住んでた私たちでも教えてくれなかった……」
「その通りよ。ここから先は聖王の末裔とシルヴェルンの末裔の二つの魔力を注いでもらわい限りは、絶対に開かないようになってるの。だからこのドアを開けた者は居ないし、無理やり開けようとしてもびくともしないようになってるの。もちろんこの家を壊したとしても、このドアより先は無傷で残ったままになるらしいわ」
「本当にお母さんも知らないんだね」
ここまで開かないとなれば、お母さんも入ったことがないのだろうとリィナは思うのだった。
「そう言う事よ。やり方は私のお母さん、デュナとリィナのお婆ちゃんから聞いているのだけど、どういう事が起こるのかまでは誰も知らないのよ。とりあえず高町なのはさん、少し手伝ってもらいますか?」
「別にいいですよ。それと、さっきからフルネームで呼んでいますけど、名前だけでいいですよ」
「分かりました。それではなのはさん、私と一緒に魔力をドアに注いでくれませんか? そうすればこのドアは開きますので」
なのははアリスの言葉に頷き、アリスと一緒にドアに向けて魔力を注いでいくのだった。
するとドアから施錠が解除されていく音が次々に聞こえ始め、一つ一つ解除されていくのが分かるのだった。
そして解除される音が無くなり、それからアリスは魔力をドアに注ぐのを止めてなのはに言うのだった。
「もう魔力を注がなくていいですよ。たぶんドアが開きますから」
「あ、そうですか」
そう言われたのでなのはは魔力をドアに注ぐのを止め、それを確認したアリスはドアを開くのだった。
そしてドアを開き、アリサを先頭にドアの先に歩いて行くのだった。
Tweet |
|
|
2
|
0
|
追加するフォルダを選択
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。
その青年はなのはに関わりがある人物だった。
だがなのはにはその記憶が消されていた。
続きを表示