No.471854

恋姫外史終章・いつまでも一刀第10話

アキナスさん

婚礼まであと・・・・・・

2012-08-18 11:35:57 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:6409   閲覧ユーザー数:5027

婚礼まであと二日

 

 

「目の届きにくい場所を中心に探して見ましたが、特に異常は見当たりませんでした」

 

「そうか。って事は前もって罠を仕掛けてる訳じゃなさそうだな・・・・・・」

 

昼前、一刀は明命を連れて、街を歩いていた。

 

麗羽はと言うと、華琳との邂逅の後すっかりへそを曲げてしまったのだが、一刀が一晩頑張ったおかげで、現在は気持ちよさそうに寝ている。

 

それゆえに、一刀は少々やつれぎみである。

 

「大丈夫ですか?コーチ?」

 

「・・・・・・あんまり大丈夫じゃないな。このままじゃいかん。どこかで精のつくものでも食って、二日後に備えないと・・・・・・」

 

そう言いながら、一刀は通りにある店を見て回っていた。

 

その途中、

 

「もうちょっとまけてよおじさん。もう少しまけてくれたら買うから・・・・・・ね?」

 

「はあ・・・・・・仕方ねえな。いいぜ姉ちゃん。半額で売ってやるよ。持ってけ泥棒!!」

 

「おじさんありがと!・・・うふふ。いい買い物しちゃったわ」

 

酒屋からほくほく顔で出てくる女性と鉢合わせした。

 

そう、彼女は・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「しぇ、雪蓮様!?」

 

「・・・・・・明命?貴方、何でこんな所にいるのよ。袁紹の所でこきつかわれてたんじゃないの?」

 

「え、ええと・・・・・・」

 

言いよどむ明命。

 

そこに一刀が助け舟を出した。

 

「今もこきつかわれてるよ。現在は護衛の一人として使われてる所だ」

 

「ふうん・・・・・・ていうか、貴方はだ・・・・・・」

 

雪蓮は誰かと聞こうとしたが、途中で言葉を切り、一刀を上から下へ、じっくり眺めた。

 

「・・・・・・何だよ。そうやって観察されるのは、あんまりいい気分じゃないぞ?」

 

「そうね、ごめんなさい」

 

一刀の言葉に、雪蓮は眺めるのを止めて謝った。

 

「貴方からなんだか懐かしい感じがして、つい・・・・・・ね。それで、名前は何て言うの?」

 

「北郷一刀。一刀と呼んでくれ」

 

「一刀ね。私は孫策。袁術の下で客将やってるわ」

 

雪蓮と一刀は互いに自己紹介をする。

 

「それで、その一刀は何で明命と一緒にいるのかしら?袁紹の関係者?」

 

「ああ、袁紹の補佐・・・・・・ってところか」

 

「ふうん・・・・・・」

 

それを聞いて、雪蓮の目が少し細まる。

 

「ねえ一刀」

 

「何だ?」

 

「袁紹はいつになったら明命を返してくれるのかしら?明命はうちの重要な将の一人なんだから、いつまでもそっちにいられたら困るんだけど・・・・・・」

 

「あと少しだと思う。確実な期日までは分からないけどな・・・・・・」

 

「そう」

 

一刀の言葉に雪蓮はそれだけ言うと、一刀たちに背を向けた。

 

「もう戻らないと。冥琳に黙って出てきちゃったしね・・・・・・明命」

 

「は、はい!」

 

「早く帰ってきなさいよ。みんな待ってるからね」

 

「は、はい・・・・・・」

 

背を向けたまま手を振って去って行く雪蓮。

 

「・・・・・・」

 

明命は無言で、その後姿を見つめていたのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

婚礼まであと一日

 

 

 

 

一刀は一人で大通りを歩いていた・・・・・・のだが

 

「かっずとさ~~ん!!」

 

その声と共に、いきなり誰かがドーン!と一刀の背中にぶつかってきた。

 

背中に柔らかな感触が伝わる。

 

「うお!?」

 

一刀は驚き、背中越しにぶつかってきた人物を見る。

 

「もう!遊びに来てって言ったのに、ちっとも来てくれないんですから・・・・・・」

 

その人物とは、桃香であった。

 

そのまま一刀をホールドし、背中に大きな胸を押し付けてくる。

 

「色々忙しかったんだよ・・・・・っていうか、一人なのか?」

 

「いえ、愛紗ちゃんと鈴々ちゃんも一緒だったんですけど、鈴々ちゃんがはぐれちゃって、愛紗ちゃんと手分けして探してた所だったんです・・・・・・」

 

一刀をホールドから解放し、てへへと舌を出す桃香。

 

「ところで一刀さん。月ちゃんの事ですけど・・・・・・」

 

「その事なら心配すんな。既に奪還作戦は立ててある。後は明日になるのを待つだけだ・・・・・・」

 

「本当ですか?・・・・・・くれぐれも月ちゃんの事、お願いしますね。私に出来る事があったら・・・・・・」

 

「大丈夫だから任せとけ・・・・・・ところで、鈴々の事はいいのか?」

 

「あ!そうでした・・・・・・あの、一刀さんも一緒に探してくれません?」

 

「・・・・・・いいけど」

 

「やった!それじゃあ行きましょう」

 

そう言って、桃香は一刀の腕に自分の腕を絡めた。

 

「おい・・・・・・人探すのに腕組む必要ないんじゃないのか?」

 

「まあまあ、細かい事は気にしないで行きましょう」

 

ご機嫌な様子で一刀の腕を引く桃香。

 

やれやれといった感じで、一刀は桃香と歩き出す。

 

 

 

 

ちなみに同じころ、愛紗は屋台で特大ラーメンを食べていた鈴々を見つけ、ラーメンを平らげた鈴々と共に、桃香と合流すべく街を歩いていた。

 

 

 

 

その後、ほとんどデートの様相を呈していた一刀たちに、鉢合わせした愛紗のカミナリが落ちる事になるのである・・・・・・

 

 

 

 

 

 

一刀たちが愛紗から説教を受けているころ・・・・・・

 

「断じて断る!」

 

宮廷内の一室で、あるいざこざが起こっていた。

 

明日の婚礼に使う作戦について説明する干吉に対し、左慈が異議を唱えたのだ。

 

「しかし、これが考えうる限り一番有効な作戦なのですよ?左慈」

 

「黙れ!何故俺がそんな事をしなければならん!百歩譲ってその作戦が有効だと認めたとしても、俺がその役をやる必要性がどこにある!!」

 

「おや?ならば北郷一刀が貴方以外の手にかかって、それで貴方はすっきりするのですか?片目まで奪われているのに・・・・・・」

 

「ぐむ・・・・・・」

 

干吉の言葉に、左慈は口を噤む。

 

確かに、出来る事ならやつは俺の手でやりたい!・・・だが、こいつの策は死ぬほど嫌だ!

 

左慈はそう思っていた。

 

「多少成功率が低くても構わん!他の作戦にしろ!!」

 

「そうは言っても、この作戦の準備しかしていませんし、やるなら確実性のあるほうがいいではありませんか・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

左慈はすごい目で干吉を睨んでいる。

 

「正直、貴様の趣味だとしか思えんのだが・・・・・・」

 

「否定はしませんが・・・・・・ならばこうしましょう。この作戦が失敗した時には、私の管理者としての力の全てを貴方に移します。そうすれば左慈。貴方は管理者二人分の力を持つわけですから貂蝉や卑弥呼、ましてや北郷一刀など敵ではなくなるでしょう・・・・・・いかがです?」

 

「・・・・・・」

 

左慈は目を閉じ、悩んだ。

 

悩んで悩んで、そして、

 

「・・・・・・いいだろう。だが覚えておけ。もし失敗して貴様の力を全て奪ったあかつきには、貴様をちり一つ残さず消し去ってやるからな!!」

 

そう言うと、左慈は部屋を出た。

 

バン!と扉を力任せに閉めると、ずかずかと廊下を歩いていく。

 

そして残された干吉は・・・・・・

 

「あらかた準備は整いましたね。後は、最後の仕上げを・・・・・・ふふふ」

 

そう言いながら、不気味な笑顔を浮かべるのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

どうも、アキナスです。

 

随分と引っ張りましたが、ついに次回が婚礼の当日となります。

 

左慈と干吉の策(主に干吉の策ですが・・・)に、一刀の策。

 

二つの思惑が交差する中で、果たして何が起こるのか?

 

すべては次回ではっきりします。

 

それでは次回に・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リモコン下駄!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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